比較文化精神医学B
Introduction to Transcultural Psychiatry: An anthropological perspective, virtual syllabus
[キーワード]
[授業の目標または授業概要]
この授業は、比較文化精神医学(comparative psychiatry)あるいはトランス文化精神医学(transcultural psychiatry)と呼ばれる学問分野についての入門授業です。この学問分野は精神障害の文化的、社会的側面に注目します。つまり文化人類学 や社会学上でしばしば議論される、精神的な逸脱行動あるいは「狂気」の社会的文化的相対性と普遍性について研究する分野です。
この分野に興味があり、授業で要求される予習・復習をこなし、討論を中心とした授業に積極的に参加する意思のある学生を歓迎します。開講日 には必ず出席してください。受講者が多数の場合は、授業の2回目に試験を行い受講者を選別しますので、開講日より数えて2回目の授業には必ず出席してくだ さい。
[授業の内容]
授業の内容は、比較精神医学の成り立ちと基本的な概念の紹介(1,2)——括弧内の数字は以下の授業スケジュールの回数を示します——に始 まり、正常と異常が当該の社会や文化によってどのように規定されるのかついて考察し(3,4)、ストレスの社会的あるいは文化的な構成について検討しま す。ここまでが導入部です。
次に、具体的な記述研究が蓄積されてきた文化結合障害(Culture-Bound Disorder)の事例の紹介と検討(6,7,8)に入ります。ここにおいて病像の理解やその対処行動において、文化的な要因を理解することがいかに重 要なのか(9,10,11)について焦点があてられます。この授業の中心をなす部分です。
最後は、この学問の歴史性(12,13)について考えます。なぜ、この学問が確立したのか、その現代的意義とは何なのか、そして学問の未来 について、討論を中心にして考えます。
授業形態:
テキスト:
参考書(順不同):
評価方法:ゼミナールによる発表、口頭試問(試験)
[この講義内容を深めたり、広げたりするための指針]
クラインマン、A.とA.コーエン「途上国の精神障害 4つの神話」『日経サイエンス』1997年6月号
精神をめぐる議論の位相
脳の局在説(→機械論的な脳=精神観):故障する脳
ソフトマシーンとしての脳(プログラミングの故障)
ハードマシンとしての脳(モノアミン学説に代表される神経伝達物質的機械)
精神が社会によって規定されるという理論
精神医学史
デュルケーム『自殺論』
【よく使われる用語の整理】
対訳医学史(http://www.geocities.jp/minakami30jp/ )
収載されている著作のリスト
リンク
文献
その他の情報
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