はじめにかならずよんでください

ニーチェ的健康観

Nietzschean concept of health

引用と解説:池田光穂

汝の徳とは汝の魂の健康である

なぜなら

健康そのものというものはないからだ

君の肉体にとってすら健康とは何を意味すべきかを決定するのには、

君の目標、君の視界、君の力量、君の衝動、君の錯誤、とくに

君の魂の理想や幻想が極め手となるのだ。

それゆえに

数かぎりない肉体の健康がある

われわれが個別なもの独特なものに発言権を更めて認めてやるようになればなるほ ど

われわれが人間の平等というドグマを忘れれば忘れるほど

それだけますますわれわれの医師たちは正常の養生とか病状の正常な経過という概 念ものともに

正常の健康という概念をもなくしてしまうに違いない。

そうなってこそはじめて

魂の健康と病気について熟考し

各人の固有の徳をそれぞれの健康の道につかせる

時がめぐまれるだろう※。

※ ニーチェ『悦ばしき知識』120番、信太正三 訳、ちくま学芸文庫(pp.213-214)・一部改変

病気はひとつ状態だ。

健康はまた別の、

もっとひどい状態にすぎない。

つまりもっと卑怯でもっと卑小な、という意味だ。

成長しなかった病人などいようか。

私がかかった何人かの医者みたいに、病人になるのが嫌さに、ある日裏切ったりし たことをのない健康な者がいるだろうか。

※ アントナン・アルトー『アルトー後期集成(III)』「病人たちと医者たち(一部)」p.175,、鈴木創士ほか訳、河出書房新社、 2007年

哲学者でギリシャ文献学者であったニーチェ(1844-1900)は、人間の健康についてもさまざまなかたちで書き残しています。ニーチェ の健康観あるいは養生観は、我々の日常的感覚からみると、とても異様なものに写りますが——事実私も最初読んだときは度肝を抜かれました——、彼が古代ギ リシャ人の生活について恐ろしく該博であったこと、また後期とよばれるフーコーの『性の歴史』の三部作のうちの真ん中の巻において養生法がとりあげられて いることなどから、西洋における健康観——とくに身体への配慮——の研究にとって重要な指摘であるという認識が生まれつつあります。

●リンク集

  • 魂 の健康をめぐって
  • ニーチェも指摘しているように、この健康観/養生観の源泉はキオスのアリストンである。八雲出さんのご指摘によって、キオス(出身地の地 名です)のアリストンについては以下の(まず手始めに調べるためには)文献があるそうです。これ以外には、平凡社の『哲学事典』にも記載があるそうです (岩波版にはないといいます)。

    Aristo of Ceos (/əˈrɪstoʊ/; Greek: Ἀρίστων ὁ Κεῖος; fl. c. 225 BC) was a Peripatetic philosopher and a native of the island of Ceos. His birthplace was the town of Ioulis. He is not to be confused with Aristo of Chios, a Stoic philosopher of the mid 3rd century BC.

    Aristo was a pupil of Lyco,[1] who had succeeded Strato as the head of the Peripatetic school from about 269 BC. After the death of Lyco (c. 225), Aristo probably succeeded him as the head of the school. Although Aristo was, according to Cicero,[2] a man of taste and elegance, he was deficient in gravity and energy, which prevented his writings from acquiring the popularity they otherwise deserved. This may have been one of the causes of their neglect and loss.

    Judging from the scant extant fragments, his philosophical views seem to have followed his master Lyco pretty closely. Diogenes Laërtius,[3] after enumerating the works of Aristo of Chios, says that Panaetius and Sosicrates attributed all these works, except the letters, to Aristo of Ceos. Whether this attribution is correct we are unable to determine. At any rate, one of those works, Conversations on Love, is repeatedly ascribed to Aristo of Ceos by Athenaeus.[4] One work of Aristo not mentioned by Diogenes Laërtius was entitled Lyco[5] in gratitude to his master. There are also two epigrams in the Greek Anthology[6] which are commonly attributed to Aristo of Ceos, though there is no evidence for the validity of their authorship.
    アリスト・オブ・セオス(/əˈrɪstoʊ; ギリシア語: Κ_1F08↩ρίστων ὁ Κεῖος; 紀元前225年頃)はペリパトス派の哲学者で、セオス島出身。生誕地はイウリス。紀元前3世紀半ばのストア派の哲学者、キオスのアリストと混同してはならない。

    アリストは、紀元前269年頃からストラトの後を継いでペリパトス派の指導者となっていたリュコ[1]の弟子であった。リュコの死後(225年頃)、アリ ストはおそらくリュコの後を継いでペリパトス派を率いたのであろう。キケロ[2]によれば、アリストは趣味がよく優雅な人物であったが、重厚さとエネル ギーに欠け、そのため彼の著作は相応の人気を得ることができなかった。このことが、彼の著作が軽視され、失われた原因のひとつであったかもしれない。

    現存するわずかな断片から判断すると、彼の哲学的見解は、師リコにかなり忠実に従っていたようだ。ディオゲネス・ラエルティウスは、キオスのアリストの著 作を列挙した後[3]、パナエティウスとソシクラテスは、書簡を除くこれらすべての著作をケオスのアリストのものとした、と述べている。この帰属が正しい かどうかは判断できない。ディオゲネス・ラエルティウスが言及していないアリストの著作のひとつに、師への感謝を込めて『リュコ』[5]と題されたものが ある。また、『ギリシア神話集』[6]には、一般的にセオスのアリストの作とされるエピグラムが2つあるが、その作者の正当性を示す証拠はない。
    1. Diogenes Laërtius, v. 70, 74
    2.  Cicero, de Finibus, v. 5
    3.  Diogenes Laërtius, vii. 163
    4. Athenaeus, Deipnosophists, x. 419, xiii. 563, and xv. 674
    5. Plutarch, de Aud. poet. 1.
    6. Greek Anthology, vi. 303, and vii. 457
    his article incorporates text from a publication now in the public domain: Smith, William, ed. (1870). "Ariston, literary. 3". Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology. p. 310.
    Fortenbaugh, W., White, S., Aristo of Ceos: Text, Translation, and Discussion. Transaction Publishers. (2006).
    https://en.wikipedia.org/wiki/Aristo_of_Ceos


  • ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝』(加来彰俊訳、岩波文庫青 663-1, 2, 3、岩波書店)
  • フォン・アルニム編『初期ストア派断片集1』(中川純男訳、西洋古典叢書G017、 京都大学学術出版会、2001)
  • ダイアナ・バウダー編『古代ギリシア人名事典』(原書房、1994)



  • Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099

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