かならずよんで ね!

Analysis on the Docter Shinida's book

entitled as "Ancestors who became Japanese," 2019.


『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?, 1897-1897, by Eugène Henri Paul Gauguin

池田光穂

篠田謙一『DNAで語る日本人起源論』岩波書店、2015年ノート

篠田謙一『日本人になった祖先たち』(2007; 2019)、日本放送出版協会, NHK出版ノート

+++++++++++++++++++++++

★篠田謙一『DNAで語る日本人起源論』岩波書店、2015年ノート

0. 序章 私たちはどこから来たのか

1. DNAを読む

2. アフリカの物語

3. 出アフリカの後の展開

4. アジアへの道

5. 東アジア集団の成立と移動

6. 日本人の起源と成立を考える

7. 現代日本人のもつDNA

8. 日本列島南北の地域集団の成立

9. 本土日本人の成立

10. 歴史時代の日本人

11. DNA人類学の今後の展開

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

★著者紹介:篠田謙一(日本語ウィキペディア https://x.gd/3YL26

篠田 謙一(しのだ けんいち、1955年〈昭和30年〉10月20日[1] - )は、日本の分子人類学者、医学博士。国立科学博物館館長を務める。

経歴

静岡県生まれ。新潟に住んだ。1979年京都大学理学部卒業、産業医科大学解剖学講座助手、1986年佐賀医科大学解剖学講座助手、1994年講師、1996年助教授、同年「マカク属近縁数種の長管骨のアロメトリーについて」で佐賀医科大学医学博士。

2003年国立科学博物館人類第一研究室室長、2007年研究部研究主幹、2009年人類史 研究グループ長、2011年人類研究部研究グループ長、研究主幹。2014年人類研究部長、2015年研究調整役、2016年同博物館副館長。2021年 国立科学博物館館長に就任[2]。

京都大学および放送大学客員教授も務める。

2016年11月から2020年10月まで日本人類学会会長を務めた[2]。

研究

1998年より南アメリカのミイラのミトコンドリアDNAを解析しスペインによる征服以前のアンデス先住民の社会構造を研究した。

日本の縄文人骨や、周辺諸国の古代人骨などから、ミトコンドリアDNAのハプログループなどを解析し、アフリカで発生した現生人類がどのように地球全域に拡散したかを調査研究している。

0. 序章 私たちはどこから来たのか
1・ゴーギャンの作品D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?, 1897
種の起源(1859)

1. DNAを読む
15

2. アフリカの物語
37

3. 出アフリカの後の展開
57

4. アジアへの道
77

5. 東アジア集団の成立と移動
97

6. 日本人の起源と成立を考える
117

7. 現代日本人のもつDNA
133

8. 日本列島南北の地域集団の成立
149

9. 本土日本人の成立
179

10. 歴史時代の日本人
203

11. DNA人類学の今後の展開
221




++++++++++++++++++++++++++++

篠田謙一『DNAで語る日本人起源論 』岩波書店、2015年, pp.236-239. もとの情報は「篠田謙一博士の〈研究ために人骨資料が必要〉という修辞の分析」ですが、今後の更新はこちらのページでおこないます。
DNA には学問の垣根を越える力があります。ヨーロッパではDNA 分析によって得られた知見 は自然人類学の分野を超えて、考古学や民族学、歴史学、言語学にも影響をおよぼすようになって います。日本でも古代DNA 分析が進んでいけば、詳細な日本人形成のプロセスが明らかになって いくはずです。日本列島は世界でも例を見ないほど、各時代の人骨試料がそろっている地域です。 今後は先人たちが収集したこれらの人骨試料のDNA 分析を通して、過去にこの列島に暮らした人 たちの成り立ちを調べる作業が続けられることになります。私たちが何者で、どこから来たのかを 明らかにすることで、「日本人とは何か」という私たちにとって重要な問題ることになるはずです。
・DNA研究が必要だということが雄弁に語られる
ただし、そこには乗り越えなければならない壁もあります。その一つは研 究グループをいかにし て構築していくかという問題です。ネアンデルタール人のゲノム解析や、この章で紹介したヨーロ ッパの古代集団ゲノム解析などでは、おおむね30人から50人程度の研究者が―つのプロジェク 卜に参加しています。考古学と骨形態を専門とする研究者が試料を用意し、実験を担当する研究者 がそこからDNA を抽出して、次世代シークエンサーによる解析を行います。実験室の作業によっ て得られた膨大なDNA の配列データは、統計解析を担当するチームに引き渡され、そこから得ら れた情報をもとに結論がまとめられます。古代ゲノム解析は結果を得るために、かなりの数のそれ ぞれ分野の異なる研究者が協同作業をする必要があるのです。しかし、伝統的に発掘から論文作成 までをごく少数の人間によってまかなう伝統のある日本では、このような大規模な研究チームを作 ることが難しいという現実があります。これは今後、日本で大規模な古代ゲノム解析を行うにあた って、第一に解決しなければならない問題です。

さらに、学問の置かれた状況に関する問題もあります。日本では学問分野 が人文社会科学と自然 科学に分けられていて、互いの領域に干渉せずに研究が進められてきました。むしろ、異分野の研 究を認めないという風潮もあったように思えます。日本の霊長類学研究の草分けの一人から、昭和 40年代に日本人類学会でニホンザルの文化について発表をしたときに、文化人類学者から「今日は はサルにも文化があるという驚くべき話を聞いた記念日だ」と言われた、という話を聞いたことが あります。この時代の人文科学系の研究者からの批判は、テリトリーヘの進入に関する不信感が根 底にあったのだと思いますが、それから半世紀がたって、霊長類の研究は人間性や家族の起源など についての多くの注目すべき業績を挙げ、人文科学や社会科学の研究にも大きな影響を与える学問 に育ちました。
・ここには「文化人類学者」のテリトリー墨守の狭隘さと、他分野、とり わけ霊長類学研究を軽視する文化人類学について批判されている。
DNA 人類学も同様に認知され、学際的な研究を進めるためには、研究成果を他の学問領域の研 究者に向かって発信していく努力を続ける必要があります。これまでのDNA 人類学の研究成果は、 「ネイチャー」や「サイエンス」、あるいは「アメリカ遺伝学雑誌」や「自然人類学雑誌」といった 欧米の自然科学系の雑誌に発表されてきました。本書で紹介した成果もほとんどがそのような専門 誌に発表されたものです。日本の研究結果であっても、基本的にはこのような雑誌に英文で発表す ることを目的として論文が執筆されますので、日本の人文社会科学系の研究者の目に留まることは ほとんど期待できません。学際的な取り組みをどのように構築するかということも含めて、この状 況をどのように変えていくかが、これからの研究者が解決すべき課題となっています。

最後に、制度としての問題点を指摘しておきます。DNA 人類学は、私たちの過去を考える際に 考古学や歴史学と並ぶ、欠くことのできない学問分野として成長していくポテンシャルをもってい ます。しかし、その研究の材料である人骨には文化財としての法的な取り扱いが曖味であるという 問題があります。日本の文化財保護法では、出士した人骨を明確には文化財として規定 していない のです。ですから、墓地を発掘して出土した副葬品などの遺物は、保存と調査、さらには公開まで を視野に入れて公共のために役立たせることが義務づけられているのに対し、人骨の場合は、再埋 葬されて研究されないまま失われてしまうこともあるのです。本書でも紹介してきたように、人骨 に残るDNAは、その人物のもつ究極の個人情報であり、それを詳細に解析することができるよう になった今、人骨のもつ資料的な重要性はさらに大きなものになっています。歴史資料や考古資料 と同じか、場合によってはそれ以上の情報を引き出すことができる貴重な遺物だと認識する必要が あるのです。
・「日本の文化財保護法では、出士した人骨を明確には文化財として規定していない のです
・「人骨 に残るDNAは、その人物のもつ究極の個人情報であり、それを詳細に解析することができるよう になった今、人骨のもつ資料的な重要性はさらに大きなものになっています
私たちが目指すのは、「私たちは何者なのか」という人類の究極の問いの 解明なのであり、そこ には学問の壁があるわけではありません。人骨からこれだけの情報が取り出されるのですから、資料 的な価値を認めて文化財として位置づけるべきでしょう。人文社会科学の分野のみを対象とした文 化財行政は、時代に即したものに改められるべきであると思います。
・文化財行政は、自然人類学に無知あるいは無理解であるという隔靴掻痒 感がある→「人文社会科学の分野のみを対象とした文 化財行政は、時代に即したものに改められるべきであると思います」
日本で将来にわたってDNA人類学の研究を進めるには、ここで指摘した ようなさまざまな解決 すべき課題が残されています。しかし、DNA の解析技術は、私たちのDNA が教える人類の成り 立ちの歴史を、かなり正確に解読できる段階まで到達しています。これまでもさまざまなイノベー ションが私たちの社会や生活を変えてきましたが、DNA 解析技術は私たちの認識そのものを変革 する可能性をもっています。「二重らせん」の発見以来、60年余りを経て、ついに人文科学と自 然科学の壁さえも取り払ってしまったこの技術が、この先に何を見ればと思います。
・「私たちのDNA が教える人類の成り 立ちの歴史」がわかれば、どのような社会的インパクトをもたらすのかが十分に表明されていない。
篠田謙一『DNAで語る日本人起源論 』岩波書店、2015年
6. 日本人の起源と成立を考える(pp.118-)

・人類拡散史のなかの日本列島人(118)
・これまでの日本人起源論(120)
・二重構造説のもつ視点(123)
・最初の列島日本人(126)
7. 現代日本人のもつDNA(pp.134-) ・現代日本人のもつミトコンドリアDNA(134)
・日本人のY染色体DNA(140)
・日本人の核ゲノム(145)

++++++++++++++++++++++++++++

★篠田謙一『日本人になった祖先たち』(2019)ノート

【書籍紹介文】「近年、DNAを分析する技術が飛躍 的に発展し、古人骨の遺伝子から直接、祖先をたどれるようになった。私たち日本列島に住む人間は、どこからやってきたのか?「縄文人が先住する日本列島 に、稲作技術をもつ弥生人が渡来して混血し、日本人が誕生した」という定説は正しいのか?朝鮮半島、中国、南方の人々とはどうつながっているのか?本書は これらの問いに、最新の解析手法を駆使して答える。2007年刊行以来異例のロングセラーとなっていた旧版に、その後明らかになった事実を盛り込んで刷新 する大改訂版!(2011)」https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB27914959.


☆この本は、2019年に同名タイトルの「新版」が発表された。

章立て

第1章 遺伝子から私たちのルーツを探る

第2章 アフリカから世界へ—DNAが描く新人の拡 散

第3章 DNAが描く人類拡散のシナリオ

第4章 アジアへの展開

第5章 現代日本人の持つDNA

第6章 日本人になった祖先たち

第7章 南北の日本列島集団の成り立ち

第8章 DNAが語る私たちの歴史

+++

はじめに

+

わたしたちのルーツを求めて——人類学をの目 指すもの
4

DNAと人類学
7
・最新の研究を通して、自分たちは、研究に値するDNAハンターなのだ という言挙げがなされる(だがそれは本当だろうか?——評者)

+

第1章 遺伝子から私たちのルーツを探る

+

遺伝子はどのように受け継がれるか
17
・遺伝子(直接タンパク質を指定しているのは1.5%、何らかの機能を 含めて40%しか意味がある配列しかわかっていない)
・ゲノムは、ひとひとりをつくるための遺伝子の総体
DNAの変異を利用する個人鑑定
20
・エピジェネティクスとはDNAの変化によらない遺伝子の発現の制御伝 達システム(→正確には「DNAの塩基配列を変えずに細胞が遺伝子の働きを制御する仕組みを研究する学問(研究)」のことである)
遺伝子からみた「私」
22

祖先をさかのぼるということ
25

DNAで系統をたどる
26

分子人類学の誕生
28

スモール・イズ・ビューティフル
30

ヒトのミトコンドリアDNA解析の歴史
32

父系から息子に受け継がれるY染色体DNA
35

Y染色体のDNA分析の利点と難点
37

核DNAの解析法
39

遺伝子の分布からヒトの移動を考える
42

拡散と移動の諸相
47







+Molecular Anthropology.

第2章 アフリカから世界へ—DNAが描く新人の拡散

現生人類は4グループに別れる
51

多くの突然変異を持つアフリカ人
54

Y染色体から探る人類の共通祖先
56

核ゲノムが語るアフリカ集団
58

人類の始まりの姿
61

最初にアフリカを旅立った集団
63

出アフリカの2つのルート
66

なぜアフリカなのか
69







+

第3章 DNAが描く人類拡散のシナリオ

+

拡散の跡を探る
71

ミトコンドリアDNAハプログループから見た人類の分岐
75

歴史を再現することの難しさ
78

核ゲノムで再現するヨーロッパの歴史
80

ヨーロッパにおける狩猟採集民の系統
82

ヨーロッパの農耕民
84

ヨーロッパ人の遺伝子を一変させた牧畜民の流入
86




+

第4章 アジアへの展開

+

南アジアの状況
89

古代ゲノム解析が明らかにするインド-ヨロッパ集団の成立
94

東アジアと東南アジア——南北に別れる世界
95

東南アジアと東アジアの集団の特徴
100

中央アジア——シルクロード、北の回廊
101

新大陸へ渡った人たち——南北アメリカ
103

アメリカ先住民はどこから来たのか
105

ミトコンドリアDNAから考えるアメリカ先住民の由来
108

古代アメリカ人のゲノム解説
110

ナスカの子供にミイラに宿る遠い旅路
111

+

第5章 現代日本人の持つDNA——※ハプログループの個別解説と集団の「本質化」を試みる 重要な章である(評者)

+

日本人の持つミトコンドリアDNA
113
・日本人は政治的カテゴリーであり生物学的カテゴリーではないので、こ の言挙げは完全にナンセンスなのだが?
各ハプログループの起源地と拡散の推定
115

ハプログループD——東アジア最大集団
116

ハプログループB——環太平洋に広がる移住の波
120

パプログループM7——日本の基層集団を生む系統
124

ハプログループA——東北アジアに展開するマンモスハンターの系譜
126
・こちらも「マンモスハンターの系譜」と、ご先祖探しを正当化するとこ ろが一段と怪しいと思う。
ハプログループG——北方に特化する地域集団
127

ハプログループF——東南アジアの最大集団
129

ハプログループN9——南北に分かれるそのサブグループ
131

ハプログループM8a——中原に分布する
134

ハプログループC——中央アジアの平原に分布を広げる
135

ハプログループZ——アジアとヨーロッパを結ぶ人々
136

日本人のY染色体DNA
137

日本固有のハプログループ
141

核ゲノムに現れた現代日本人の地域差
142

集団の変遷について
145

【用語集】(「篠田謙一博士の 〈研究ために人骨資料が必要〉という修辞の分析」からの再掲)

第6章 日本人になった祖先たち

+

日本人起源論の系譜
149

二重構造論説の問題点
154

古人骨のDNA分析の歴史
158

日本の古人骨
162

DNAから見た縄文人
164

ミトコンドリアDNAが示す縄文人の地域性
165

縄文人とは誰なのか
170

現代人に受け継がれる縄文人のDNA
171

縄文人のY染色体DNA
172

縄文人の核ゲノム解析
174

多様な弥生人
177

弥生人のDNA
180

縄文人と弥生人の混合のシナリオ
188

歴史時代の日本人
191

【用語集】(「篠田謙一博士の 〈研究ために人骨資料が必要〉という修辞の分析」からの再掲)

+

第7章 南北の日本列島集団の成り立ち

+

多民族集団としての日本列島の歴史
194

旧石器時代の琉球列島集団
197

沖縄の縄文人(貝塚前期)のDNA
199

弥生時代からグスク時代までの沖縄
200

グスク時代のDNA
203

北海道先住民の成立史
207







+

第8章 DNAが語る私たちの歴史

+

国家の歴史を超えて
213
・国家概念うえにおもねった篠田博士の議論なのに「国家の歴史」を超え るというのは奇矯な響がする
家系とDNAのアナロジー
216
・人類史のなかで、養子や婚外婚を当たり前にしてきており、さらには、 略奪や嬰児殺しさらには冥婚など複雑な親族システムをつくりあげているのに、これも社会人類学の研究の歴史を知らないアナクロニスティックな表現である。
核ゲノム分析の意味するもの
218

DNAのネットワークとしての私たちの社会
221

これからの社会と私たちのDNA
223










+

★図表の分析

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

31

32

33

34

35

◎人脈関係者

番組出演(篠田謙一(日本語ウィキペディア https://x.gd/3YL26))

リンク

文献

その他の情報

Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1997-2099