サイボーグカフェ(札幌編)
Cyborg Cafe in Sapporo, Hokkaido, JAPAN:CYBORG Number Zero , # 0
真のカフェマスター(ひろピー)の体型ではありません、念のため[画像リンクで太っちょに!]
サイボーグカフェ in Sapporo(サイボーグカフェ第0回 2010年1月11日[月・祝日]メディカルカフェ)
空間座標:紀伊國屋書店札幌本店 午後5時開始〜
垂水源之介 敬白 サイボーグ2年1月11日
テンポラリーカフェマスター:池田光穂(大阪大学教員:サイボーグ・ドット・コム)、川口有美子(日本ALS協会・理事)
0. 謝辞
このサイボーグカフェは、札幌医科大学と北海道医療大学によるメディカルカ フェの一環として開催されます。また非常に快適な環境を提供してくださる紀伊國屋書店札幌本店をふくめ、関係者(とりわけ札幌医科大学・竹田寛さんとメ ディカルカフェ運営の札幌医科大学および北海道医療大学の元気な学生のみなさま)に深く感謝もうしあげます。
1.CSCDのロゴマーク
私たちはCSCDの人間です。[→大阪大学CSCD]
2.はじめに:Introduction
3.CSCDのイメージ合成写真
4.サイボーグ・カフェの公式?ボード
Cyborg cafe minus one の意味は、初回(サイボーグ元年10月21日:豊中市、今回の札幌でのイベントはゼロ回、そして次々回(サイボーグ2年1月27)は第1回目とな るための準備カフェという意味であるが、同時に「永遠に完成しないカフェ」のポリシーならびに美学をもつことでもある。
詳しくはサイボーグ・ドット・コムまで[→視覚障害者のためのテキスト編はこちら]
5.Any Vyber-body is welcome !!!
最初のwelcomed という綴りは誤り、招へい准教授のジェレマイヤ・モック氏にたずねても「英語は奇妙な言語なんだ」として単にそういう語用論(pragmatics)だからしゃーない、あきらめて頂戴と、英語を代表して「謝罪」されちゃった!
6.サイボーグカフェ:the Cyborg Cafe
7.カフェマスター紹介
別称:Mitzub’ixi Quq Chi’j, 珍寶亭など
生没年:1956年〜(∞と言いたいところだが、私もやがて朽ち果てるはず)[サイボーグ紀元前53年]
専攻:文化人類学・医療人類学・中米民族誌学
大阪大学コミュニケーションデザイン・センターの教員
8.This machine is Gen Tarumi
trade names: Mitzub’ixi Quq Chi’j, Chim Pau Teey
fabrication date: June 16, 1956[B.C = Before Cyborg 53 years]
specific functions: field worker, radical contestant & pleasure
current location: professor of art & field design, CSCD
※pleasure は映画『ブレードランナー』のレプリカントの映画内プレゼンスライドのパロディ
9.プログラム内容
10.Contents
Personal Historiography of the Cyborg Studies
Iconographic Studies of the GHOST IN THE SHELL
Assemble of Concepts of Cyborg Reason
the Cyborg Cafe Manifesto
11. サイボーグ研究私史:Personal Historiography of the Cyborg Studies
12. サイボーグとは何か
サイボーグ(cyborg)は、サイバネティック・オーガニズム(Cybernetic Organism)の略で、人工臓器等の人工物を身体に埋め込む等、身体の機能を電子機器をはじめとした人工物に代替させることで、身体機能の補助や強化を行った人間のこと(Wiki in Japanese)。
13. What is Cyborg
A cyborg is a cybernetic organism (i.e., an organism that has both artificial and natural systems). The term was coined in 1960 when Manfred Clynes and Nathan Kline used it in an article about the advantages of self-regulating human-machine systems in outer space.
"Cyborgs and Space," in Astronautics (September 1960), by Manfred E. Clynes and Nathan S. Kline.
Cited in Wiki in English
14. サイバネティクスとは何か
サイバネティックス(cybernetics)は、通信工学と制御工学を融合し、生理学、機械工学、システム工学を統一的に扱うことを意図して作ら れた学問。自動制御学(SF的に電脳工学と訳される場合もある)ともいう。その語源はギリシャ語で「(船の)舵を取る者」を意味するキベルネテスから来て いる(by Wiki Japanese)。
15. What is Cybernetics
Cybernetics is the interdisciplinary study of the structure of regulatory systems. Cybernetics is closely related to control theory and systems theory. Both in its origins and in its evolution in the second-half of the 20th century, cybernetics is equally applicable to physical and social (that is, language-based) systems.
cited by Wiki in English
16. 補綴(ほてい・ほてつ)
おぎなってつづりあわせること。不足を足すこと。 医学用語では「ほてつ」それ以外の分野では「ほてい」
補綴する(cosmetic)補綴(prosthesis)補綴の(prosthetic)補綴学(prosthetics)補綴歯科医(prosth-odontics)などと使われる。
歯科学は補綴学が主要なもののひとつであるが、外科においてもProsthetics Mitral Valve Replacement(人工の僧帽弁置換術)などの用法がある。
W・ギブスン『ニューロマンサー』(1984)では補綴は重要な概念になる。[cyberpunk: A subgenre of science fiction typified by a bleak, high-tech setting in which a lawless subculture exists within an oppressive society dominated by computer technology. by OED][→サイバーパンク]
17. 補綴論における重要論点
英語では、a prosthesis is an artificial extension that replaces a missing body part(wiki/en).と説明される。だが期待される延長=エンハンスが意味するものが、構造なのか機能なのか、それともその両方なのかについて留意することが、私のサイボーグ論では重要な概念になる
18. What is Prosthesis
In medicine, a prosthesis (plural prostheses; from the Greek "addition") is an artificial extension that replaces a missing body part.
Cited in Wiki in English
Our problem is what means “artificial extension” of missing structure or function, superficial or essential, and aesthetics or dynamics.
19. Structure and Function of prothetic
The ancient Egyptians of the Third Intermediate Period developed this wood and leather prosthetic toe to facilitate an amputee's ability to walk (Text & image from Wikl/en)
20. 古代エジプトの義足指
足親指の切断による欠指者にとってサンダルを履くためには義足指と部分擬足は構造機能上重要な意味をもつ。
もし機能だけを追求していたらなぜ義足指には見事な——美学にも叶った——爪がついているのか?[永遠の美]
爪のついた義足指と部分擬足には、構造機能以上の美的機能あるいは両者の融合がある。
あるいは構造と機能を分ける近代的発想が誤謬で、補綴思考(prosthetic thinking)には両者の融合というユートピアがそもそも生まれた時から内包されている?[仮説]
21. Prosthetic Utopia
the meaning of the ancient Egyptian prosthetic
structural and aesthetic functions fuses in a prosthetic
amputation between structural and aesthetic functions in modern thought
But according utopian “Prosthetic thought,” structural and aesthetic functions should fuse in a prosthetic [Our working hypothesis]
22. サイボーグ論(まとめ)
失われた身体部分とその機能を取り戻すテクネー(作る知)の物象化としての補綴化実践がある。 補綴物(=モノ)はすぐに身体と一体化する。あるいは一体化しようとテクネーは人類によって進化させられる[例:免疫抑制剤と移植臓器の開発]。
機械と合体する身体のプログラムは人類の歴史と共にある。
サイボーグは人間の考える自然(フロネーシス)と文化(テクネー)の二分法思考を存在論的に解体する。
23. 脱近代化論としてのサイボーグ
後期近代、ポストモダン、脱植民地化、近代の超克などの近代概念批判という議論における、共通の特徴として〈近代的なるもの〉の態勢の破綻・逆説・矛盾・異種混交などの指摘がある。
文明[概念]の終焉としての脱近代化を捉えるならば、構造と機能を峻別する主知主義的な分析理性(modernist analytic reason)を批判し、モノ化した身体から照射するサイボーグ論も立派な脱近代化論の一部を構成する。
数々のサイボーグ論がポストモダン思想の特徴として取り上げられることが多いのも、このことから明白。
24. 我々はすべてサイボーグ
Homo-cyborg sapience:人類の文明のレパートリーに多かれ少なかれ補綴概念(→脱自然化)が埋め込まれているとすると、我々の生後はサイボーグ化することが運命づけられている[仮説]。
人間のサイボーグ化の批判の基本的基調は「自然な身体」であるが、それは近代が呪ってきた野蛮化(=非[西洋]人間化)の回帰であり前近代化になる逆説をもつ。
のみならず、文化/自然の二分法(レヴィ=ストロース)における〈自然〉の概念は、文化によって修飾をうけた仮想的自然(culturally constructed “virtual nature”)である。→「自然ー文化は文化以上でも文化以下でもない」(ラトゥール『虚構の「近代」』新評論,pp.20-21, 2008年)
このあいだに川口有美子(日本ALS協会理事)さんによるプレゼンテーションが入る予定です
■. サイボーグ理性概念の整理 Assemble of Concepts of Cyborg Reason
■. サイボーグ理性(Cyborg Reason)とは
サイボーグ理性(Cyborg Reason)とは、近代意識の中に住まう非サイボーグが、自らの身体の中のサイボーグ的属性に覚醒した時点以降に発見するさまざまな身体知の仕掛け(=装置)のことである。言い換えると、意識をもつ装置そのものである。 サイボーグ理性とは、サイボーグの心=マインドのことであると言ってもよい。
■. さまざまなサイボーグ理性:ホーキング博士とチェアと人工呼吸器
■. さまざまなサイボーグ理性(マーシャル・マクルーハン)[→鎮魂サイト]
■. さまざまなサイボーグ理性(沼正三『家畜人ヤプー』)
■. サイボーグ理性批判
サイボーグ理性による批判とは、近代意識の中に住まう非サイボーグだと信じ込んでいる同胞に対し、自らの身体の中のサイボーグ的属性に覚醒自覚することを促し、共にサイボーグとしての人類(Homo-Cyborg sapience)同胞に目覚める社会運動のことである
この活動は、人類のサイボーグの心=マインドのことに対する自覚化とそれにともなう社会の再編運動を引き起こすだろう。
■.サイボーグカフェ宣言 the Cyborg Cafe Manifesto
■. サイボーグカフェ宣言 the Cyborg Cafe Manifesto
私たちサイボーグは、非サイボーグ的意識が抑圧してきた人間解放の原理をサイボーグ理性を通して復権し、 サイボーグ間の完全平等を勝ち取ることを誓い、その活動の根拠の場としてサイボーグカフェを社会のなかのさまざまな空間において惹起させることを約束する。
サイボーグ元年10月21日、大阪大学豊中キャンパスCSCD・オレンジショップ
■.患者サイボーグ宣言 the Patient-Cyborg Manifest (文案)
生命活動を遂行する際に生じるさまざまな苦しみ(patience)を克服するために、本人じしんと援助者との協働作業により本人の身体の内外に人工 物を装着することにより、生命維持、生活の質の向上、さらには生命の伸張や増強(エンハンスメント)を可能にする人間の存在様式を賞揚し、人間 に加えられるあらゆるタイプの苦痛や不幸と戦うのみならず、それらと(比喩的な意味において)対話し、交渉、共存、克服、解消などを通して人間 と人工物の存在様式を継続する人間の権利を保障することをここに宣言する。(→患者サイボーグ宣言)
■. SEE ALL YOU MACHINES SOON !
文献
ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』
沼昭三『家畜人ヤプー』
グレッグ・イーガン『しあわせの理由』山根真編・訳、早川文庫、早川書房、2003
所収の「適切な愛」は、適当なクローンが培養されるまで、鉄道事故(W.H.R.リヴァーズを想起させる)で重傷になり、その身体を放棄せざるをえなくなった夫の脳を、妊娠状態にした身体のなかで維持する妻クリスの意識の変容を描いた秀作。
ウィリアム・ギブスン『パターン・レコグニション』浅倉久志訳、角川書店、2004年(William Gibson, Pattern recognition. New York : G.P. Putnam's Sons. 2003)
市場アナリスト(クールハンター)のケイス・ポラードのネット上の〈フッテージ〉の作者を捜す旅。ステラを介したノーラとの邂逅シーンは秀逸!
リンク
クロニクル資料
藤田剛「人間を考える思考実験」(なにわアカデミー第61回)毎日新聞(大阪本社)2009年12月4日
NaniwaAcademy091204M.pdf(パスワードかけてあります。メールにて問い合わせください)
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