自然保護史
A history of natural conservation
21.自然保護史
【前世紀以前】
・紀元後3世紀にはゲームリザーブ(狩猟用保護地域)というものがあった(沼田の本では英王 室とかオーストリアのウィーンの森、が例に挙げられてい るが、歴史的には照応しない)。
・1807年アレキサンダー・フォン・フンボルト『天然記念物』(monument de la nature)を刊行。
・1854年ヘンリー・デーヴィツド・ソロー『森の生活』が保全(conservation of nature)の思想を明確化する。
・国立公園の設置:イエローストーン(1872年)、カナダ・バンフ(1885年)
・民間の保全団体と運動:英国のナショナルトラスト(1895年:3名から135万人までに 発展)、米国でのランドトラスト(19世紀終わり)、シェラ・ クラブ(1892年)、オーデュボン協会(1905年)
【20世紀】
・自然保護の国際会議の嚆矢としてのワシントン会議(T・ルーズベルト呼びかけ:1909 年)
・1912年「イギリス生態学会」設立。タンズレー(生態系概念の提唱者)の貢献大。
・国際自然保護会議(スイス・バーゼル;1913年)
・国際的な渡り鳥条約(北米;1916年)
・国際生物科学連合(IUBS)が自然保護機関を提唱(後のIUPNのモデル)。
・「生物相条約」(ロンドン;1933年)が後に発展して「自然保護および野生生物保存の条 約」(1942年欧米の各国が調印)。
・1947年「国際自然保護連合」(IUPN:International Union of Protection of Nature)の発足
・1956?年IUPNがIUCNに名称変更(→conservation of nature and natural resourses)。沼田によると、Protection から Conservation への変 化は重要という。
・1962年レイチェル・カーソン『沈黙の春』刊行。
・1961年WWF発足
・1970年(米)環境問題に関する大統領教書の発行と環境保護庁(EPA)の設置。
・1972年「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)
・1980年UNEP、WWF、IUCNによる世界保全戦略(WCS)報告書をまとめ、各国 の政府に提言。
【わが国の自然保護】
・1910年前後に三好学がドイツ留学で、コンベンツのNaturschutz, Heimatschutzの考え方を日本に持ち帰る。
・1911年貴族院で「史跡及び天然記念物保存に関する決議案」が提出される。
・1919年(大正8)「史跡名勝天然記念物保存法」(現在では文化庁行政の対象)。
・1925年山林局長通牒「保護林設定に関する件」が、国有林のうち天然記念保存に関するも のを保護することを規定する。
・1931年(昭6)「国立公園法」(厚生省所轄で、国民の健康と保養が主眼である)。
・1950年「文化財保護法」
・1951年日本自然保護協会、発足。この団体はもともと尾瀬が原を守る運動が発展したも の。
・1954年「日本生態学会」設立され、59年には「原生林保護についての声明書」を提出 し、71年には「自然保護法の制定について」という勧告書を総理 に提出する。(生態学会が、学術研究のみならず自然保護のためのロビー活動もおこなっていることは注目される:これについては沼田1994:14-15を 参 照)。
・1957年「自然公園法」
・1971年環境庁の設置
・1972年「自然環境保全法」
・1992年「世界遺産条約」加盟するが、ユネスコでの提案の20年後となる。
【出典】
沼田真『自然保護という思想』岩波新書、1994、pp.6-。
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