ファシズム
On difficulty of the definition of
Fascism
ファシズムは1919年ごろから1945年までに西
欧で展開した政治的なイデオロギーであり、当時では後発とみなされた資本主義社会であるイタリアを中心に、日本やドイツの政治思想などにも影響を与えた、
ベルサイユ=ワシントン体制ならびにコミンテルンに対抗し、かつ挑戦する運動である。ファシズムという言葉の語源は、ベニート・ムッソリーニ
(Benito Amilcare Andrea Mussolini, 1883-1945)が1918年に「イタリア戦闘者ファッシ(Fasci
italiani di combattimento,
FIC)」が約200名の同志と結成した時に由来する。fasciはラテン語のファスケス(fasces)という高位公職者の従者リクトルが捧げ持つ権威
の標章——儀鉞(ぎえつ)ないしは束桿(そっかん)——であり、ファシスト党のシンボルにもなっている。
日本やドイツの政治思想にも影響を与えたが、日本の 昭和期の内閣総理大臣が軍人で占める軍国主義の時代をファシズムと言うことは困難であり、また、ナチスドイツの政治体制もイタリアのファシズムとイデオロ ギー的には同値と言うことも難しい。ハンナ・アーレントが『全体主義の起源』で、全体主義の定義の困難さに直面して全体主義とは「なんでもあり」と彼女が 言い放ったような、定義上の困難がある。デモクラシーやコミュニズムの定義にくらべると、ファシズムの定義も、協議には「イタリアのファシスト期の政治イ デオロギー」であり、広義には、1919年ごろから1945年までの枢軸国やスペイン、あるいは、当時からそれ以降のラテンアメリカの軍事政権時代に共通 してみられる「一種の全体主義」としてしか、言いようがない。
日本における山口定の『ファシズム』における、「運動としてのファシズム」「思想としてのファシズム」「体制としてのファシズム」という政治分類学的解説も、現在では十分に成功しているかどうかは、評価が分かれるところだろう。
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