はじめによんでください

ハンセン病元患者と国家:法律関係の整理

Ex-patients of Hansen's disease and Japanese State, 1907-2001

池田光穂

1863 明治維新

1873 ノルウェーのゲルハール・ヘンリック・ア ルマウェル・ハンセン(Gerhard Henrick Armauer Hansen, 1841-1912)、検査した癩患者から細菌(Mycobacterium leprae)を発見したと報告。

1889 (明22)年フランス人のテストウィド神 父が御殿場に私立の復生病院を設立(以下:情報ソースは厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/01/h0131-5/dekigoto.html)。

1895 イギリス人のハンナ・リデルが 熊本に私 立の回春病院を設立(→「リデルと癩救済事業関連」)。

1899 日英通商航海条約(条約改正, 1894年締結)の発効により外国人居留地の廃止と内地雑居の実施。第13回 帝国議会でハンセン病対策について初めて議論される(藤野 1993:9)。

1901 青木大勇・台湾総督府医学校『台湾医事雑 誌』に「癩院設置の必要を論ず」を発表。

1907 

癩予 防に関する件」制定(癩予防ニ関スル法律[明治40年法律第11号]公布3月18日、施行3 月19日)。放浪患者を隔離。(「朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル癩豫防ニ關スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム」)

1909 全国5カ所で公立療養所開設。

1910 朝鮮総督府の設置

1916 

小鹿島(Sorokdo;ソロクト)慈恵医院設置 (総督府の衛生顧問は山根正次

大正5年3月11日「癩予防ニ関スル法律」改正(法律第21号)(「第四條ノ二  前條ノ療養所ノ長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ被救護者ニ對シ必要ナル懲戒又ハ檢束ヲ加フル事ヲ得。/第七條中「沖繩縣及」ヲ削ル」)

5月12日第一区府県立全生病院は「特殊部落調附癩 村調」を各道府県に照会する。医学者たちはハンセン病が遺伝しないと「信じて」いたにも関わらず被差別部落の「近親婚」が病気の多発を説明する可能性を捨 て切れていなかった悲しい証左と思われる。

1919 『癩患者統計 : 概要、統計表 / 内務省衞生局 [編] ; 大正8年3月31日

1930 台湾総督府、楽生院(→「樂 生療養院Losheng Sanatorium)」)を開設(1934年勅令「らい予防法」公布)

1931 

昭和6年4月2日(法律第58号)癩予防法」 と改題(「明治40年法律第11号」を改題)。隔離の対象となる患者 の範囲が広まる。この時、国立癩療養所患者懲戒検束規定が制定されて、収容ハンセン病療養者への管理や身体拘禁などの制御が強化される。それに呼応して、 ハンセン病患者の収容政策も各都道府県の自発的な参画もあり「無癩県運動」が、実質的な国民運動として本格化するように思われる(→「明石海人(1901-1939)」)。

1932 朝鮮癩予防協会の設立

1934 台湾で勅令「台湾癩予防法」公布/9月 29日朝鮮総督府令98号により(小鹿島慈恵)小鹿島更生園に改称し、園長周防正季が 赴任。

1935 朝鮮癩予防令(政令第4号)

1936 小鹿島更生園の収容規模は6千人相当に拡 大。

1942 小鹿島更生園園長刺殺事件(園長「周防正季(1885-1942)」の殺害)

1943 アメリカでファヂニー、プロミンの治らい 効果を発表。

1945 8月21日「小鹿島虐殺事件

1949 

昭和24年5月31日(法律第168号)改正: (「第四條 癩予防法(明治四十年法律第十一号)の一部を次のように改正する。/第七條第一項中「ノ負担トス」を「ニ於テ之ヲ支弁ス」に改める。/第七條 ノ二を次のように改める。/第七條ノ二 削除/第八條中「支出」を「支弁」に、「六分ノ一乃至二分ノ一ヲ補助スルモノトス」を「其ノ二分ノ一ヲ負担ス」に 改める。」)

1950

昭和25年3月28日(法律第26号)改正: (「第二條 癩予防法(明治四十年法律第十一号)の一部を次のように改正する。/第一條、第二條ノ二、第三條、第七條第一項第一号、第九條及び第十條中 「行政官庁」を「都道府県知事」に改める。/第四條第一項、第七條第一項第四号及び第八條中「道府県」を「都道府県」に改める。/第六條及び第七條第一項 中「北海道地方費又ハ府県」を「都道府県」に改める。/第七條第二項中「関係地方長官」を「関係都道府県知事」に改める。/第十二條の次に次の一條を加え る。/第十三條 第一條、第二條ノ二及第十條中「都道府県知事」トアルハ保建所法(昭和二十二年法律第百一号)第一條ノ規定ニ基ク政令ヲ以テ定ムル市ニ在 リテハ「市長」ト読替フルモノトス

 第六條及第七條中「都道府県」トアルハ前項ノ市ニ在リテハ「市」ト読替フルモノトス但同項ノ規定ニヨリ読替ヘラルル第二條ノ二ノ規定ニヨリ市長ニ於テ同 條各号ノ事項ヲ行ヒタル場合ニ限ル第八條中「都道府県」トアルハ第一項ノ市ニ在リテハ「市」ト読替フルモノトス/」)

1953 

昭和28年8月15日(法律第213号)(第十二条  癩予防法(明治四十年法律第十一号)の一部を次のように改正する。「第四条第一項中「主務大臣ハ」の下に「政令ノ定ムル所ニ従ヒ」を加え、同条第二項を 削る。」)

昭和28年 法律第214号「らい予防法」制定(公布: 昭和28年8月15日施行: 昭和28年8月15日(附則による))→廃止、平成8[1996]年4月1日(らい予防法の廃止に関する法律(平成8年法律第28号)による)

1996  「らい予防法」廃止

1998 熊本地裁に、星塚敬愛園、菊池恵楓園の入 所者ら13人、「らい予防法」違憲国家賠償 請求訴訟を提起。

2001 「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟で、 熊本地裁は原告勝訴の判決。国は控訴せず。内閣総理大臣談話。衆参両院で謝罪決議。ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律成立。和 解に関する基本合意書締結。厚生労働大臣、副大臣が各療養所を訪問し謝罪

2002 全国50の新聞紙上に厚生労働大臣名で謝 罪広告掲載。国立ハンセン病療養所等退所者給与金事業開始。

2004 (台湾)楽生院入所者25人は、東京地方 裁判所に補償請求

2005 10月25日、(台湾)楽生院入所者25 人は補償請求が認められる

リンク

文献

その他の情報

同康院癩病む兵士敗けし聞き咽喉(のど)突き死して 蛆わきしきく——杉村春三『終戦哀話』私家版、1983年

看護婦と妻子毒殺或は射て集化集結われらみな泣く ——杉村春三『終戦哀話』私家版、1983年

※同康院は、1939年開設の満州国立のハンセン病 療養所。『ハ ンセン病問題に関する検証会議最終報告書

《法律》

癩予防ニ関スル件(明治40年)1907
らい予防法(昭和28年)1953
(明治40年3月18日法律第11号)

第一条 医師癩患者ヲ診断シタルトキハ患者及家人ニ消毒其ノ他予防方法ヲ指示シ且三日以内ニ行政官庁ニ届ケ出ツヘシ其転帰ノ場合及死体ヲ検案シタル時亦同 シ

第二条 癩患者アル家又ハ癩病毒ニ汚染シタル家ニ於テハ医師又ハ当該吏員ノ指示ニ従ヒ消毒其ノ他予防ヲ行フヘシ

第三条 癩患者ニシテ療養ノ途ヲ有セス且救護者ナキ者ハ行政官庁ニ於テ命令ノ定ムル所ニ従ヒ療養所ニ入ラシメ之ヲ救護スヘシ但シ適当ト認ムルトキハ扶養義務者ヲシ テ患者ヲ引取ラシムヘシ
必要ノ場合ニ於テハ行政官庁ハ命令ノ定ムル所ニ従イ前項患者ノ同伴者又ハ同居者ニ対シテ一時相当ノ救護ヲ為スヘシ
前二項ノ場合ニ於テ行政官庁ハ必要ト認ムルトキハ市町村長(市政町村制ヲ施行セサル地ニ在リテハ市町村長ニ準スヘキ者)ヲシテ癩患者及其ノ同伴者又ハ同居 者ヲ一時救護スルコトヲ得

第四条 主務大臣ハ二以上ノ道府県ヲ指定シ其ノ道府県内ニ於ケル前条ノ患者ヲ収容スル為必要ナル療養所ノ設置ヲ命スルコトヲ得
前項療養所ノ設置及管理ニ関シ必要ナル事項ハ主務大臣之ヲ定ム
主務大臣ハ私立ノ療養所ヲ以テ第一項ノ療養所ニ代用セシムルコトヲ得

第五条 救護ニ要スル費用ハ被救護者ノ負担トシ被救護者ヨリ弁償ヲ得サルトキハ其ノ扶養義務者ノ負担トス
第三条ノ場合ニ於テ之カ為要スル費用ノ支弁方法及其ノ追徴方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第六条 扶養義務者ニ対スル患者引取ノ命令及費用弁償ノ請求ハ扶養義務者中ノ何人ニ対シテモ之ヲ為スコトヲ得但シ費用ノ弁償ヲ為シタル者ハ民法第九百五十 五条及第九百五十六条ノ依リ扶養ノ義務ヲ履行スヘキ者ニ対シ求償ヲ為スコトヲ妨ケス

第七条 左ノ諸費ハ北海道地方費又ハ府県ノ負担トス但シ沖縄県及東京府下伊豆七島小笠原島ニ於テハ国庫ノ負担トス
一 被救護者又ハ其ノ扶養義務者ヨリ弁償ヲ得サル救護者
二 検診ニ関スル諸費
三 其他道府県ニ於テ癩予防上施設スル事項ニ関スル諸費
第四条第一項ノ場合ニ於テ其ノ費用ノ分担方法ハ関係地方長官ノ協議ニ依リ之ヲ定ム若シ協議調ハサルトキハ主務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第四条第三項ノ場合ニ於テ関係道府県ハ私立ノ療養所ニ対シ必要ナル補助ヲ為スヘシ此ノ場合ニ於テ其ノ費用ノ分担方法ハ前項ノ例ニ依ル

第八条 国庫ハ前条道府県ノ支出ニ対シ勅令ノ定ムル処ニ従ヒ六分ノ一乃至二分ノ一ヲ補助スルモノトスル

第九条 行政官庁ニ於テ必要ト認ムルトキハ其ノ指定シタル医師ヲシテ癩又ハ其ノ疑ヒアル患者ノ検診ヲ行ハシムルコトヲ得
癩ト診断セラレタル者又ハ其ノ扶養義務者ハ行政官庁ノ指定シタル医師ノ検診ヲ求ムルコトヲ得
行政官庁ノ指定シタル医師ノ検診ニ不服アル患者又ハ其ノ扶養義務者ハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ更ニ検診ヲ求ムルコトヲ得

第十条 医師第一条ノ届出ヲ為サス又ハ虚偽ノ届出ヲ為シタル者ハ五拾円以下ノ罰金ニ処ス

第十一条 第二条ニ違反シタル者ハ弐拾円以下ノ罰金ニ処ス

第十二条 行旅死亡人ノ取扱ヲ受クル者ヲ除クノ外行政官庁ニ於テ救護中死亡シタル癩患者ノ死体又ハ遺留物件ノ取扱ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

     患者心得(菊池恵楓園のもの、大正十五年九月改正)

第一条 患者ハ本所々定ノ規則命令ニ服従スル義務アルモノトス

第二条 患者ハ常ニ柔順ヲ旨トシ和衷共同宜シク精神修養ニ励メ、衛生ヲ重ジ、男女ノ道ヲ正ウシ苟モ所規ヲ乱シ不穏ノ言動ヲ流布スルガ如キ行為アルベカラズ

第三条 患者ハ其ノ居所スル何レアルヲ問ハズ一般ノ家庭ノ如ク和親ヲ旨トシ老幼者又ハ身体不自由ナルモノ、可成比較的健康者ヨリ便宜ヲ与ヘ保護スルモノト ス
尚、不自由者ハ其ノ保護者ニ対シ常ニ感謝ノ意ヲ表スベシ

第四条 患者全体ヲ通シテ総代、副総代、病室取締、炊事取締ヲ置キ、患者ノ総取締ニ従事セシメルモノトス

第五条 患者家族舎一室毎ニ室長一人、副室長一人ヲ置キ室内ノ取締ニ充ツ

第六条 正副総代及正副室長、病室取締、炊事取締ノ任期ハ各一年トシ任期中其任ニ耐エズ又不都合ノ行為アルトキハ解任スルコトアルベシ
但シ任期後ト雖モ適任ト認ムルモノニハ再任ヲ命ズルコトアルベシ

第七条 患者ハ各自行動ヲ慎ミ苟モ社会ノ同情ヲ失スルガ如キ行為アルベカラズ

第八条 患者ハ治療上ニ就テハ総テ医員ノ指揮ヲ受ケ其ノ命令ヲ厳守スベシ

第九条 患者ハ係員ノ許可ヲ得ズシテ濫リニ構外ニ出ルコトヲ得ズ

第十条 患者ニ他ヨリ面会ノアル時ハ毎日午前八時ヨリ午後三時迄ノ間トシ尚特ニ急ヲ要スルモノハ其ノ事由ニヨリ之ヲ許可スル
但シ面会ノ際特ニ必要アルト認ムルトキハ係員ヲシテ立会セシム、尚其ノ面談不必要ニ渉ルトキハ差止メラルルトキアルベシ

第十一条 患者ニ対シ物品ノ差入レアルトキハ其物品ノ品質ニヨリ許可スルモノトス
第十二条 患者ハ他ニ書信スルハ妨ゲナキモ金銭物品等発収スルトキハ係員ノ許可ヲ受クルモノトス

第十三条 患者ハ所持金ヲ以テ必要ナル物品ヲ所定ノ方法ニヨリ購入スルコトヲ得
但シ事務所ニ於テ不必要ト認ムルトキハ許可サルルコトナカルベシ

第十四条 患者ハ貸与品ヲ丁寧ニ取扱ヒ保存スベシ、若シ濫リニ破損汚涜又ハ相互交換スルガ如キハ相当ノ責ニ充テラレルモノトス

第十五条 所持品貸与品等ハ一定ノ場所或ハ所持品箱ニ収メ散乱セザル様注意スベシ

第十六条 物品ノ請求又ハ亡失毀損シタルトキハ監護員ヲ経テ事務所ニ申出ルベシ、尚日常用ユル消耗品ノ如キハ可成節約ヲ守リ乱用セザル様殊ニ注意スベシ

第十七条 患者ハ其ノ望ニ依リ農業其他ノ作業ニ従事スルコトヲ得

第十八条 各家族舎ニハ毎日若干名順番ヲ以テ掃除人ヲ定メ室内外及ビ便所痰壺等不潔ナキ様掃除スベシ

第十九条 男子ハ女室ニ女子ハ男室ニ濫リニ立入ルベカラズ、若シ已ムヲ得ザル事故アルトキハ其用向先室長ノ承諾ヲ需ムベシ
又患者ハ男女ヲ問ハズ裸体ノ儘屋外ヲ徘徊スベカラズ

第二十条 患者ハ屋舎ノ内外ヲ問ハズ喧噪ヲ為スベカラズ

第二十一条 患者入浴時間ハ男女左ノ時間割トス
 男子浴室 自七月一日 至九月三十日
      午後四時 同六時
ソノ他ノ月
      自午後二時 至同五時
 女子浴室 自七月一日 至九月三十日
      午後四時 同六時
      ソノ他ノ月
      自午後二時 至同四時

第二十二条 人員点検号鐘ノ際ハ速カニ自己ノ居室ニ集合シ検査ヲ受クルモノトス

第二十三条 就寝後ト雖モ臨時人員ノ点検ヲ受クルコトアルベシ

第二十四条 急遽ニ重病ヲ発シタルトキハ家族舎内ノ者ハ室長(副室長)或ハ他人ヲ経テ監護員ニ病室内ノ者ハ看護婦ニ申出ヅベシ

第二十五条 患者ノ起床時間ハ男女左ノ時間割トス
 起床 自四月一日 至九月三十日 午前六時
 就寝 自四月一日 至九月三十日 午後十時
 起床 自十月一日 至三月三十一日 午前六時半
 就寝 自十月一日 至三月三十一日 午後九時

第二十六条 痰ハ予メ配布ノ唾壺内ニ吐出シ尿ハ必ズ便所ニ上セイシ徒ニ路傍等ニ放便ヲナシ汚穢ナカラシムベシ

第二十七条 草花樹木ヲ猥リニ折リ取ルベカラズ

第二十八条 命令ヲ遵奉シ行状方正ニシテ衆ノ模範タルベキモノハ特ニ其ノ善行ヲ表彰スルコトアルベシ

第二十九条 此ノ心得書ニ違背スルモノハ内務省令第六号施行細則ニヨリ処罰セラツコトアルベシ

       国立癩療養所患者懲戒検束規定(昭和六年一月三十日認可)

第一条 国立癩療養所ノ入所患者ニ対スル懲戒又ハ検束ハ左ノ各号ニ依ル
 一 譴責 叱責ヲ加エ誠意改悛ヲ誓ハシム
 二 謹慎 三十日以内指定ノ室ニ静居セシメ一般患者トノ交通ヲ禁ズ
 三 減食 七日以内主食及副食物ニ付常食量二分ノ一迄ヲ減給ス
 四 監禁 三十日以内監禁室ニ拘置ス
 五 謹慎及減食 第二号及第三号ヲ併科ス
 六 監禁及減食 第四号及第三号ヲ併科ス
 監禁ハ前項第四号ノ規定ニ拘ラズ特ニ必要ト認ムルトキハ其ノ期間ヲ二箇月迄延長スルコトヲ得

第二条 入所患者左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ譴責又ハ謹慎ニ処ス
一 所内ニ植栽セル草木ヲ傷害シタルトキ
二 家屋其ノ他建物又ハ備品ヲ毀損シ若ハ汚涜シタルトキ
三 貸与ノ衣類其ノ他ノ物品ヲ毀損若ハ隠匿シ又ハ所外ヘ搬出シタルトキ
四 人ヲ誑惑セシムベキ流言浮説又ハ虚報ヲ為シタルトキ
五 喧嘩口論ヲ為シタルトキ
六 其ノ他所内ノ静謐ヲ紊シタルトキ

第三条 入所患者左ノ各号ノ一ヲ為シタルトキハ謹慎若ハ減食ニ処シ又ハ之ヲ併科ス
一 濫リニ所外ニ出デ又ハ所定ノ地域ニ立入リタルトキ
二 風紀ヲ紊シ又ハ猥褻ノ行為ヲ為シ若ハ媒合シテ之ヲ為サシメタルトキ
三 職員ノ指揮命令ニ服従セザルトキ
四 金銭又ハ物品ヲ以テ博戯又ハ賭事ヲ為シタルトキ
五 懲戒又ハ検束ノ執行ヲ妨害シタルトキ

第四条 入所患者左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ減食若ハ監禁ニ処シ又ハ之ヲ併科ス
一 逃走シ又ハ逃走セシムトシタルトキ
二 職員其ノ他ノ者ニ対シ暴行若ハ脅迫ヲ加ヘ又ハ加ヘムトシタルトキ
三 其ノ他所内ノ安寧秩序ヲ害シ又ハ害セムトシタルトキ

第五条 一個ノ行為ニシテ前三条中二以上ノ規定ニ該当スルトキハ情状ニ依り其ノ何レカ一ノ規定ニ依ル処分ヲ為スコトヲ得

第六条 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ノ免除アリタル後再ビ第二条又ハ第三条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ第二条又ハ第  三条ノ規定ニ拘ラズ第四条ノ規定ニ依ル処分ヲ為スコトヲ得

第七条 二人以上共同シテ第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者ハ其ノ行為ニ付同一ノ責ニ任ズ
人ヲ教唆シテ第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者ハ実行者ニ準ズ教唆者ヲ教唆シタル者亦同ジ
第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ノ実行者ノ行為ヲ幇助シタル者及之ニ対シ教唆ヲ為シタル者ハ実行者ニ準ズ但シ其ノ処分ハ之ヲ減軽ス

第八条 第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ拘ラズ行為ノ情状憫諒スベキモノハ酌量シテ懲戒又ハ検束ヲ減軽又ハ免除スルコトヲ得

第九条 懲戒又ハ検束ハ宣告ノ上執行ス
第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者逃走シタルトキハ其ノ懲戒又ハ検束ハ欠席ノ儘宣告シ其ノ執行ハ収容後之ヲ行フ但シ他ノ療養所ニ収 容セラレタルトキハ当該療養所ノ長ニ委託スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ宣告ヨリ一年ヲ経タルトキハ其ノ執行ヲ免除ス懲戒又ハ検束ノ執行中逃走シタル者ニ対シテハ前二項ノ規定ヲ準用ス

第十条 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者改悛ノ情著シキトキハ其ノ懲戒又ハ検束ノ執行ヲ免除スルコトヲ得

第十一条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ハ懲戒又ハ検束ノ執行ヲ免除又ハ停止スルコトヲ得
一 大祭祝日、一月一日、一月二日、十二月三十一日又療養所ノ祝祭日並懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者ノ父母ノ祭日
ニ 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者其ノ父母ノ訃ニ接シタルトキ
三 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者療養上必要アリト認メタルトキ
前項第二号ノ場合ニ於テハ其ノ停止期間ハ之ヲ三日マデ延長スルコトヲ得

Source: http://www.mognet.org/hansen/law/law_meiji.html
法律第二百十四号 (昭和二十八年八月十 五日施行)

第一章 総則(この法律の目的)
第一条 この法律は、らいを予防するとともに、らい患者の医療を行い、あわせてその福祉を図り、もって公共の福祉増進を図ることを目的とする。
(国及び地方公共団体の義務)
第二条 国及び地方公共団体は、つねに、らいの予防及びらい患者(以下「患者」という)の医療につとめ、患者の福祉を図るとともに、らいに関する正しい知 識の普及を図らなければならない。
(差別的取り扱いの禁止)
第三条 何人も、患者又は患者と親族関係にある物に対して、そのゆえをもって不当な差別的取扱をしてはならない。

第二章 予防(医師の届出等)
第四条 医師は、診察の結果受診者が患者(患者の疑いのある者を含む。この条においては以下同じ)であると診断し、または死亡の診断若しくは死体の検案を した場合において死亡者が患者であったことを知ったときは厚生省令の定めるところにより、患者、その保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ)若 しくは患者と同居している者又は死体のある場所若しくはあった場所を管理する者若しくはその代理をする者に、消毒その他の予防法を指示し、且つ、七日以内 に、厚生省令で定める事項を患者の所在地(居住地がないか、又は明らかでないときは、現在地。以下同じ)又は死体のある場所の都道府県知事に届け出なけれ ばならない。
(2) 医師は、患者が治癒し、又は死亡したときは、すみやかに、その旨をその者の居住地の都道府県知事に届け出なければならない。
(指示医の診察)
第五条 都道府県知事は、必要があると認めるときは、その指定する医師をして、患者又は患者と疑うに足りる相当な理由がある者を診察させることができる。
(2) 前項の医師の指定は、たいの診療に関し、三年以上の経験を有する者のうちから、その同意を得て行うものとする。
(3) 第一項の医師は、同項の職務の執行に関しては、法令により公務に従事する職員とみなす。
(国立療養所への入所)
第六条 都道府県知事は、らいを伝染させるおそれがある患者について、らい予防上必 要があると認めるときは、当該患者又は又はその保護者に対し、国が設置 するらい療養所(以下「国立療養所」という)に入所し、又は入所させるように勧奨することができる
(2) 都道府県知事は、前項の勧奨を受けたものがその勧奨に応じないときは、患者 又はその保護者に対し期限を定めて、国立療養所に入所し、又は入所させ ることを命ずることができる
(3)都道府県知事は、前項の命令を受けたものがその命令に従わないとき、又は公衆 衛生上らい療養所に入所させることが必要であると認める患者について第 二項の手続きをとるいとまがないときは、その患者を国立療養所に入所させることができる
(4) 第一項の勧奨は、前条に規定する医師が当該患者を診察した結果、その者がら いを伝染させるおそれがあると診断した場合でなければ、行うことができ ない
(従業禁止)
第七条 都道府県知事は、らいを伝染させるおそれがある患者に対して、その者がらい療養所に入所するまでの間、接客業その他公衆にらいを伝染させるおそれ がある業務であって、厚生省令で定めるものに従事することを禁止することができる。
(2) 前条第四項の規定は、前項の従業禁止の処分について準用する。
(汚染場所の消毒)
第八条 都道府県知事は、らいを伝染させるおそれがある患者又はその死体があった場所を管理する者又はその代理をする者に対して、消毒材料を交付してその 場所を消毒すべきことを命ずることができる。
(2) 都道府県知事は、前項の命令を受けたものがその命令に従わないときは、当該職員にその場所を消毒させることができる。
(物件の消毒廃棄等)
第九条 都道府県知事は、らい予防上必要があると認めるときは、らいを伝染させるおそれがある患者が使用し、又は接触した物件について、消毒材料を交付し て消毒を命じ、又は消毒によりがたい場合に廃棄を命ずることができる
(2) 都道府県知事は、前項の消毒又は廃棄の命令を受けたものが命令に従わないとき、当該職員に、その物件を消毒し、又は廃棄させることができる。
(3) 都道府県は、前二項の規定による廃棄によって通常生ずべき損失を補償しなければならない。
(4) 前項の規定による補償を受けようとする者は、厚生省令の定める手続きに従い、都道府県知事に、これを請求しなければならない。
(5) 都道府県知事は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。
(6) 前項の決定に不服がある者は、その通知を受けた日から六十日以内に、裁判所に訴をもってその金額の増額を請求することができる。
(質問及び調査)
第十条 都道府県知事は、前二条の規定を実施するため必要があるときは、当該職員をして、患者若しくはその死体がある場所若しくはあった場所又は患者が使 用し、若しくは接触した者がある場所に立ち入り、患者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
(2) 前項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
(3) 第一項の権限は、犯罪調査のために認められたものと解釈してはならない。

第三章 国立療養所(国立療養所)
第十一条 国は、らい療養所を設置し、患者に対し、必要な療養を行う。
(福利増進)
第十二条 国は、国立療養所に入所している患者(以下「入所患者」という)の教養を高め、その福利を増進するようにつとめるものとする。
(厚生指導)
第十三条 国は、必要があると認めるときは、入所者に対して、その社会的更生に資するために必要な知識及び技能を与えるための措置を講ずることができる。
(入所患者の教育)
第十四条 国立療養所の長(以下「所長」という)は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第七十五条第二項の規定により、小学校又は中学校が、入所 患者のため、教員を派遣して教育を行う場合には、政令の定めるところにより、入所患者がその教育を受けるために必要な措置を講じなければならない。
(2) 所長は学校教育法第七十五条第二項の規定により、高等学校が、入所患者のため、教員を派遣して教育を行う場合には、政令の定めるところにより、入 所患者がその教育を受けるために、必要な措置を講ずることができる。
(外出の制限)
第十五条 入所患者は、左の各号に掲げる場合を除いては、国立療養所から外出してはならない。
一、親族の危篤、死亡、り災その他特別の事情がある場合であって、所長が、らい予防上重大な支障を来たすおそれがないと認めたて許可したとき。
二、法令により、国立療養所外に出頭を要する場合であって、所長がらい予防上重大な支障を来たすおそれがないと認めたとき。
(2) 所長は前第一号の許可をする場合には、外出の期間を定めなければならない。
(3) 所長は、第一項各号に掲げる場合には、入所患者の外出につき、らい予防上必要な措置を講じ、且つ、当該患者から求められたときは、厚生省令で定め る証明書を交付しなければならない。
(秩序の維持)
第十六条 入所患者は、療養に専念し、所内の紀律に従わなければならない。
(2) 所長は、入所患者が紀律に違反した場合において、所内の秩序を維持するために必要があると認めるときは、当該患者に対して、左の各号に掲げる処分 を行うことができる。
一、戒告を与えること。
二、三十日をこえない期間を定めて、謹慎させること。
(3) 前項第二号の処分を受けた者は、その処分の期間中、所長が指定した室で静居しなければならない。
(4) 第二項第二号の処分は、同項第一号の処分によっては、効果がないと認める場合に限って行うものとする。
(5) 所長は、第二項第二号の処分を行う場合には、あらかじめ、当該患者に対して、弁明の機会を与えなければならない。
(親権の行使等)
第十七条 所長は、未成年の入所患者で親権を行う者又は後見人のないものに対し、親権を行うもの又は後見人があるに至るまでの間、親権を行う。
(2) 所長は、未成年の入所患者で親権を行う者又は後見人のあるものについても、監護、教育等その者の福祉のために必要な措置をとることができる。
(物件の移動の制限)
第十八条 入所患者が国立療養所の区域内において使用し、又は接触した物件は、消毒を経た後でなければ、当該国立療養所の区域外に出してはならない。

第四章 福祉(一時救護)
第十九条 都道府県知事は、居住地を有しない患者その他救護を必要とする患者及びその同伴者に対して、当該患者が国立療養所に入所するまでの間、必要な救 護を行わなければならない。
(一時救護所)
第二十条 都道府県は、前条の措置をとるために必要があると認めるときは、一時救護所を設置することができる。
(親族の援護)
第二十一条 都道府県知事は、入所患者をして、安んじて療養に専念させるため、その親族(婚姻の届出をしてないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を 含む。以下同じ)のうち当該患者が入所しなかったならば、主としてその者の収入によって生計を維持し、又はその者と生計をともにしていると認められる者 で、当該都道府県の区域内に居住地(居住地がないか、又はあきらかでないときは、現在地)を有するものが、生計困難のため援護を要する状態にあると認める ときは、これらの者に対し、この法律の定めるところにより、援護護を行うことができる。但し、これらの者が他の法律(生活保護法「昭和二十五年法律第百四 十四号」を除く)に定める扶助を受けることができる場合においては、その受けることができる扶助限度においては、その法律の定めるところによる。
(2) 援護は、金銭を給付することによって行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他の援護の目的 を達成するために、必要があるときは、現物を給付することによって行うことができる。
(3) 援護のための金品は、援護を受ける者又はその者が属する世帯の世帯主若しくはこれに準ずる者に交付するものとする。
(4) 援護の種類、範囲、程度その他援護に関し必要な事項は、政令で定める。
(児童の福祉)
第二十二条 国は、入所患者が扶養しなければならない児童で、らいにかかっていないものに対して、必要があると認めるときは、国立療養所に附置する施設に おいて教育、養護その他の福祉の措置を講ずることができる。
(2) 第十七条第一項の規定は、前項の施設に入所中の児童について準用する。

第五章 費用(都道府県の支弁)
第二十三条 都道府県は、左の各号に掲げる費用を支弁しなければならない。
一、第五条第一項の規定による診察に要する費用
二、第六条の規定による措置に要する費用並びに同条第一項又は第二項の規定による勧奨又は命令による患者の入所に要する費用及びその入所に当り当該都道府 県の職員が附き添った場合における附添に要する費用
三、第八条及び第九条の規定による消毒及び廃棄に要する費用
四、第九条第三項の規定による損失の補償に要する費用
五、第十九条の規定による一時救護に要する費用
六、第二十条に規定する一時救護所の設置及び運営に要する費用
七、第二十一条の規定による援護に要する費用
(費用の徴収)
第二十三条の二 都道府県知事は、第二十一条の規定による援護を行う場合において、その援護を受けた者に対して、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規 定により扶養の義務を覆行しなければならない者(入所患者を除く)があるときは、その義務の範囲内において、その者からその援護の実施に要した費用の全部 又は一部を徴収することができる。
(2) 生活保護法第七十七条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に準用する。
(国庫の負担)
第二十四条 国庫は、政令の定めるところにより、都道府県が支弁する費用のうち、第二十三条第一号から第六号までに掲げる費用については、その二分の一、 同条第七号に掲げる費用については、その全部を負担する。

第六章 雑則(訴願)
第二十五条 この法律又はこの法律に基いて発する命令の規定により所長又は都道府県知事がした処分(第九条第五項の規定による補償金額の決定処分を除く) に不服がある者は厚生大臣に訴願することができる。
(2) 厚生大臣は、前項の訴願がらいを伝染させるおそれがある患者であるとの診断に基く処分に対してその診断をを受けた者が提起した者であって、且つ、 その不服の理由がその診断の結果を争うものであるときは、その訴願の裁決前、第五条第二項の規定に準じて厚生大臣が指定する二人以上の医師をして、その者 を診断させなければならない。その場合において、訴願人は、自己の指定する医師を、自己の費用により、その診察に立ち会わせることができる。
(3) 第五条第三項の規定は、前項の医師について準用する。
(公課及び差押の禁止)
第二十五条の二 第二十一条の規定による援護として、金品の支給を受けた者は、当該金品を標準として租税その他の公課を課せられることがない。
(2) 第二十一条の規定による援護として支給される金品は、すでに支給を受けたものであるとないとにかかわらず差押えることができない。
(罰則)
第二十六条 医師、保健婦、看護婦若しくは准看護婦又はこれらの職にあった者が、正当の理由がなく、その業務上知得した左の各号に掲げる他人の秘密を漏ら したときは、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一、患者若しくはその親族であること、又はあったこと。
二、患者であった者の親族であること、又はあったこと。
(2) 前項各号に掲げる他人の秘密を業務上知得した者が、正当な理由がなく、その秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十七条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一、第四条第一項の規定による届出を怠った者
二、第五条第一項の規定による医師の診断を拒み、妨げ、又は忌避した者
三、第九条第一項の規定による物件の授与の制限又は禁止の処分に従わなかった者
四、第八条第二項又は第九条第二項の規定による当該職員の執行を拒み、妨げ、又は忌避した者
五、第十条第一項の規定による当該職員の調査を拒み、妨げ、又は忌避した者
六、第十条第一項の規定による当該職員の質問対して虚偽の答弁をした者
七、第十八条の規定に違反した者
第二十八条 左の各号の一に該当する者は、拘留又は科料に処する。
一、第十五条第一項の規定に違反して国立療養所から外出した者
二、第十五条第一項第一号の規定により国立療養所から外出して、正当な理由がなく許可の期間内に帰所しなかった者
三、第十五条第一項第二号の規定により国立療養所から外出して、正当な理由がなく、通常帰所すべき時間内に帰所しなかった者

らい予防法改正に関する付帯決議
一、患者の家族の生活保護については、生活保護法とは別建の国の負担による援護制度を定め、昭和二十九年度から実施すること。
二、国立のらいに関する研究所を設置することについても、同様、昭和二十九年度から着手すること。
三、患者並びにその親族に関する秘密の確保に努めると共に、入所患者の自由権を保護し、文化生活のための福祉施設を整備すること。
四、外出の制限、秩序の維持に関する規定については、適正慎重を期すること。
五、強制診断、強制入所の処置については、人権尊重の建前にもとづきその運用に万全の留意をなすこと。
六、入所患者に対する処置については、慰安金、作業慰労金、教養娯楽費、賄費等につき、今後その増額を考慮すること。
七、対処者に対する更生福祉制度を確立し、更生資金支給の途を講ずること。
八、病名変更については十分検討すること。
九、職員の充実及びその待遇改善につき一段の努力をすること。

以上の事項につき、近き将来本法の改正を期すると共に、本法施行に当たっては、その趣旨の徹底、啓蒙宣伝につき十分努力することを要望する。

一九五三年八月六日 参議院厚生委員会



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患者心得(菊池恵楓園、大正15年)
国立癩療養所患者懲戒検束規定(昭和6年)
らい療養所の三園長の国会証言(昭和26年)
(菊池恵楓園のもの、大正十五年九月改 正)

第一条 患者ハ本所々定ノ規則命令ニ服従スル義務アルモノトス

第二条 患者ハ常ニ柔順ヲ旨トシ和衷共同宜シク精神修養ニ励メ、衛生ヲ重ジ、男女ノ道ヲ正ウシ苟モ所規ヲ乱シ不穏ノ言動ヲ流布スルガ如キ行為アルベカラズ

第三条 患者ハ其ノ居所スル何レアルヲ問ハズ一般ノ家庭ノ如ク和親ヲ旨トシ老幼者又ハ身体不自由ナルモノ、可成比較的健康者ヨリ便宜ヲ与ヘ保護スルモノト ス
尚、不自由者ハ其ノ保護者ニ対シ常ニ感謝ノ意ヲ表スベシ

第四条 患者全体ヲ通シテ総代、副総代、病室取締、炊事取締ヲ置キ、患者ノ総取締ニ従事セシメルモノトス

第五条 患者家族舎一室毎ニ室長一人、副室長一人ヲ置キ室内ノ取締ニ充ツ

第六条 正副総代及正副室長、病室取締、炊事取締ノ任期ハ各一年トシ任期中其任ニ耐エズ又不都合ノ行為アルトキハ解任スルコトアルベシ
但シ任期後ト雖モ適任ト認ムルモノニハ再任ヲ命ズルコトアルベシ

第七条 患者ハ各自行動ヲ慎ミ苟モ社会ノ同情ヲ失スルガ如キ行為アルベカラズ

第八条 患者ハ治療上ニ就テハ総テ医員ノ指揮ヲ受ケ其ノ命令ヲ厳守スベシ

第九条 患者ハ係員ノ許可ヲ得ズシテ濫リニ構外ニ出ルコトヲ得ズ

第十条 患者ニ他ヨリ面会ノアル時ハ毎日午前八時ヨリ午後三時迄ノ間トシ尚特ニ急ヲ要スルモノハ其ノ事由ニヨリ之ヲ許可スル
但シ面会ノ際特ニ必要アルト認ムルトキハ係員ヲシテ立会セシム、尚其ノ面談不必要ニ渉ルトキハ差止メラルルトキアルベシ

第十一条 患者ニ対シ物品ノ差入レアルトキハ其物品ノ品質ニヨリ許可スルモノトス
第十二条 患者ハ他ニ書信スルハ妨ゲナキモ金銭物品等発収スルトキハ係員ノ許可ヲ受クルモノトス

第十三条 患者ハ所持金ヲ以テ必要ナル物品ヲ所定ノ方法ニヨリ購入スルコトヲ得
但シ事務所ニ於テ不必要ト認ムルトキハ許可サルルコトナカルベシ

第十四条 患者ハ貸与品ヲ丁寧ニ取扱ヒ保存スベシ、若シ濫リニ破損汚涜又ハ相互交換スルガ如キハ相当ノ責ニ充テラレルモノトス

第十五条 所持品貸与品等ハ一定ノ場所或ハ所持品箱ニ収メ散乱セザル様注意スベシ

第十六条 物品ノ請求又ハ亡失毀損シタルトキハ監護員ヲ経テ事務所ニ申出ルベシ、尚日常用ユル消耗品ノ如キハ可成節約ヲ守リ乱用セザル様殊ニ注意スベシ

第十七条 患者ハ其ノ望ニ依リ農業其他ノ作業ニ従事スルコトヲ得

第十八条 各家族舎ニハ毎日若干名順番ヲ以テ掃除人ヲ定メ室内外及ビ便所痰壺等不潔ナキ様掃除スベシ

第十九条 男子ハ女室ニ女子ハ男室ニ濫リニ立入ルベカラズ、若シ已ムヲ得ザル事故アルトキハ其用向先室長ノ承諾ヲ需ムベシ
又患者ハ男女ヲ問ハズ裸体ノ儘屋外ヲ徘徊スベカラズ

第二十条 患者ハ屋舎ノ内外ヲ問ハズ喧噪ヲ為スベカラズ

第二十一条 患者入浴時間ハ男女左ノ時間割トス
 男子浴室 自七月一日 至九月三十日
      午後四時 同六時
ソノ他ノ月
      自午後二時 至同五時
 女子浴室 自七月一日 至九月三十日
      午後四時 同六時
      ソノ他ノ月
      自午後二時 至同四時

第二十二条 人員点検号鐘ノ際ハ速カニ自己ノ居室ニ集合シ検査ヲ受クルモノトス

第二十三条 就寝後ト雖モ臨時人員ノ点検ヲ受クルコトアルベシ

第二十四条 急遽ニ重病ヲ発シタルトキハ家族舎内ノ者ハ室長(副室長)或ハ他人ヲ経テ監護員ニ病室内ノ者ハ看護婦ニ申出ヅベシ

第二十五条 患者ノ起床時間ハ男女左ノ時間割トス
 起床 自四月一日 至九月三十日 午前六時
 就寝 自四月一日 至九月三十日 午後十時
 起床 自十月一日 至三月三十一日 午前六時半
 就寝 自十月一日 至三月三十一日 午後九時

第二十六条 痰ハ予メ配布ノ唾壺内ニ吐出シ尿ハ必ズ便所ニ上セイシ徒ニ路傍等ニ放便ヲナシ汚穢ナカラシムベシ

第二十七条 草花樹木ヲ猥リニ折リ取ルベカラズ

第二十八条 命令ヲ遵奉シ行状方正ニシテ衆ノ模範タルベキモノハ特ニ其ノ善行ヲ表彰スルコトアルベシ

第二十九条 此ノ心得書ニ違背スルモノハ内務省令第六号施行細則ニヨリ処罰セラツコトアルベシ

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(昭和六年一月三十日認可)

第一条 国立癩療養所ノ入所患者ニ対スル懲戒又ハ検束ハ左ノ各号ニ依ル
 一 譴責 叱責ヲ加エ誠意改悛ヲ誓ハシム
 二 謹慎 三十日以内指定ノ室ニ静居セシメ一般患者トノ交通ヲ禁ズ
 三 減食 七日以内主食及副食物ニ付常食量二分ノ一迄ヲ減給ス
 四 監禁 三十日以内監禁室ニ拘置ス
 五 謹慎及減食 第二号及第三号ヲ併科ス
 六 監禁及減食 第四号及第三号ヲ併科ス
 監禁ハ前項第四号ノ規定ニ拘ラズ特ニ必要ト認ムルトキハ其ノ期間ヲ二箇月迄延長スルコトヲ得

第二条 入所患者左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ譴責又ハ謹慎ニ処ス
一 所内ニ植栽セル草木ヲ傷害シタルトキ
二 家屋其ノ他建物又ハ備品ヲ毀損シ若ハ汚涜シタルトキ
三 貸与ノ衣類其ノ他ノ物品ヲ毀損若ハ隠匿シ又ハ所外ヘ搬出シタルトキ
四 人ヲ誑惑セシムベキ流言浮説又ハ虚報ヲ為シタルトキ
五 喧嘩口論ヲ為シタルトキ
六 其ノ他所内ノ静謐ヲ紊シタルトキ

第三条 入所患者左ノ各号ノ一ヲ為シタルトキハ謹慎若ハ減食ニ処シ又ハ之ヲ併科ス
一 濫リニ所外ニ出デ又ハ所定ノ地域ニ立入リタルトキ
二 風紀ヲ紊シ又ハ猥褻ノ行為ヲ為シ若ハ媒合シテ之ヲ為サシメタルトキ
三 職員ノ指揮命令ニ服従セザルトキ
四 金銭又ハ物品ヲ以テ博戯又ハ賭事ヲ為シタルトキ
五 懲戒又ハ検束ノ執行ヲ妨害シタルトキ

第四条 入所患者左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ減食若ハ監禁ニ処シ又ハ之ヲ併科ス
一 逃走シ又ハ逃走セシムトシタルトキ
二 職員其ノ他ノ者ニ対シ暴行若ハ脅迫ヲ加ヘ又ハ加ヘムトシタルトキ
三 其ノ他所内ノ安寧秩序ヲ害シ又ハ害セムトシタルトキ

第五条 一個ノ行為ニシテ前三条中二以上ノ規定ニ該当スルトキハ情状ニ依り其ノ何レカ一ノ規定ニ依ル処分ヲ為スコトヲ得

第六条 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ノ免除アリタル後再ビ第二条又ハ第三条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ第二条又ハ第  三条ノ規定ニ拘ラズ第四条ノ規定ニ依ル処分ヲ為スコトヲ得

第七条 二人以上共同シテ第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者ハ其ノ行為ニ付同一ノ責ニ任ズ
人ヲ教唆シテ第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者ハ実行者ニ準ズ教唆者ヲ教唆シタル者亦同ジ
第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ノ実行者ノ行為ヲ幇助シタル者及之ニ対シ教唆ヲ為シタル者ハ実行者ニ準ズ但シ其ノ処分ハ之ヲ減軽ス

第八条 第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ拘ラズ行為ノ情状憫諒スベキモノハ酌量シテ懲戒又ハ検束ヲ減軽又ハ免除スルコトヲ得

第九条 懲戒又ハ検束ハ宣告ノ上執行ス
第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者逃走シタルトキハ其ノ懲戒又ハ検束ハ欠席ノ儘宣告シ其ノ執行ハ収容後之ヲ行フ但シ他ノ療養所ニ収 容セラレタルトキハ当該療養所ノ長ニ委託スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ宣告ヨリ一年ヲ経タルトキハ其ノ執行ヲ免除ス懲戒又ハ検束ノ執行中逃走シタル者ニ対シテハ前二項ノ規定ヲ準用ス

第十条 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者改悛ノ情著シキトキハ其ノ懲戒又ハ検束ノ執行ヲ免除スルコトヲ得

第十一条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ハ懲戒又ハ検束ノ執行ヲ免除又ハ停止スルコトヲ得
一 大祭祝日、一月一日、一月二日、十二月三十一日又療養所ノ祝祭日並懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者ノ父母ノ祭日
ニ 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者其ノ父母ノ訃ニ接シタルトキ
三 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者療養上必要アリト認メタルトキ
前項第二号ノ場合ニ於テハ其ノ停止期間ハ之ヲ三日マデ延長スルコトヲ得


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第12回国会 参議院厚生委員会会議録よ り(昭和26年11月)

昭和28年のらい予防法改正に先立つこと2年前の昭和26年11月8日に参議院厚生委員会「社会補償制度の調査に関する件」の内「らいに関する件」で国立 らい療養所の三園長が証言をしました。以下はその抄録です。(全患協運動史より)

林芳信(当時多摩全生園園長)

我々が推定いたしますと、大体一万五千の患者が全国に散在して、そのうちただ今は約九千名の患者が療養所に収容されておりますから、まだ六千名の患者が療 養所以外に未収容のまま散在しておるように思われます。速やかにこういう未収用の患者を療養所に収容するように療養施設を拡張していかねばなりませんが、 らい療養所を新たに創設するということは、いろいろ困難が伴いますので大体既設の療養所を拡張していくほうが国家的には得策ではないかとかように考えてい る次第でございます。

ついでに将来らい患者の収容に対する問題でございますが、これにつきましては在宅患者に十分らいそのものの知識、また療養所の現在の状態、それらのことを 十分認識せしめ、すなわち啓蒙活動が非常に必要でございます。一方、又患者が療養所に入所いたしましても、家族のものが生活に差支えないようにというふう に国家が家族の生活を保障するということが非常に大切でございます。病気の性質上その家族から患者が出たということが世間に知れますとうと家族が非常な窮 地に陥りますので、世間にあまり知れないような方法において家族を救済するということも、生活を保障するということも必要だと思います。

らい予防法はもうすでに制定になりましてから44年を経過しております古いものでございますし、時勢に適合するように適当に改正されることが至当であろう と考えます。

次に国立らい研究所設置の問題でございますが、これは非常に必要なことでございます。らいの研究は他の結核その他の研究に比しまして非常に困難でございま して、その根本でありますところのらい菌培養とか、あるいは動物実験というようなものもまだ成功しておりません。あるいはまた疫学的のこと、あるいはまた 体質方面の研究とか、薬理学的研究のこと、あるいは生理学的研究のこと、いろいろ残された問題が実にたくさんあるのでありまして、是非これは国家が研究所 を設置されまして、十分な研究がとげられますように、これは単に日本の医学の問題ではなくて、世界に貢献するところが非常に多いと存じます。

病名の変更については、アメリカでは相当ハンセン氏病としたらいいじゃないかという議論があります。キューバのハバナで万国大会が開かれましたときにもそ ういうことがありました。しかし結局は、ああらい病のことだなということになりますと、元の通りになりはしないかと思いますが、学会あたりで諸学者の意見 をきいた上で採用するならば採用したらどうかと思います。

収容の問題でありますが、近来お陰様にて逃走の患者が非常に減少しております。やはり療養所の中の改善がだんだん行われてきたことに原因すると思います。 なお一層患者を落着かせしめるには療養所のすべてのことに、住居の問題とか、その他文化的方面にも一層改善を加えたならば、患者は落ち着いて療養すると思 います。それからまたそういう設備ができましたら、家族のものに一応療養所の視察をさせて、そうして、家族にも納得させますれば、案外入所を希望するよう になると思います。

光田健輔(当時愛生園園長)

未収容患者が二千人残っている厚生省の統計はいっておられますが、詮索すると余計にあるかも分かりません。その残っている患者を早く収容しなければなりま せんけれども、これに応じない者がたくさんあります。そのような者に強制的に、このらい患者を収容するということが、今のところでははなはだそのようなと ころまで至っていないのであります。この点については特に法律の改正というようなことも必要でありましょう。強権を発動させるということでなければ何年 経っても、同じことを繰り返すようなことになって、家庭内伝染は決してやまない。手錠でもはめてから捕らまえて強制的に入れればいいのですけれども、 ちょっと知識階級になりますとなんとかかんとか逃げるのです。そのような者はどうしても収容しなければならんという、強制のもう少し強い法律にして頂かん と駄目だと思います。

治療も必要でありますが、私どもまずその幼児の感染を防ぐためらい家族のステルザチョンということも勧めてやらす方がよろしいと思います。らい予防のため 優生手術ということは、保健所あたりにもう少し、しっかりやってもらいたいと考えております。

それで患者の逃走ということですね。これは何ぼ入れてもですね。その網の目をくぐって逃走するのでございますから、私どもは、逃走しないようにですね、長 島というところは海の中にあって、どこへでも船でゆかねばならんようにしている。ところが船を買収しまして、今では千円、二千円ほど漁夫にやって向こうへ 逃げていくようなわけです。そういうものはですね、逃走罪という一つの体刑を科するかですね。そういうようなことができれば他の患者の警戒にもなるのであ るし、今度は刑務所もできたのでありますから、逃走罪というような罰則が一つほしいのであります。これは一人を防いで多数の逃走者を改心させるというよう なことになるのですから、それができぬものでしょうか。

病名をハンセン氏病と日本で変えるということについては、子供みたいな話ではないかと、私どもは考えるのであります。

それからも一つ予防上から申しておくのは、所の中に民主主義を誤解して、患者が相互に自分の党を増やすということで争っているところがありますし、それは 遺憾なことで患者が互いにいがみ合っているようなことになっております。これは患者の心得違いでありまして、そのためにそこの従業員が落ち着いて仕事がで きない。結局は患者の不幸になって参ります。もう少し法を改正して逃走の防止ということにしなければ、不心得な分子が院内の治安を乱しますから、十分法の 改正すべきところはして頂きたいと、以上でございます。

宮崎松記(当時恵楓園園長)

患者の数と申しますのは、衛生当局が努力すればするだけ出て参るのであります。数の少ないところはそれだけしかないかというと、私はそうばかりは考えてい ないのでありまして、らいの数を出しますことは古畳を叩くようなものでありまして、叩くほど出て参ります。出てこないのは叩かないだけのことで、徹底的に 叩けばもっと出てくるのではないかと思います。九州ではどのくらいの収容をしなければならない患者があるかとのことですが、登録してある未収容患者は九百 九名でありまして、各衛生部の推計いたしました数は千七百六十七名となっております。

一方、収容が徹底して参りますと、沈殿患者となって参りまして、だんだんと底に沈んだのを汲み上げていかねばならなくなりますから、今までに経験したこと のないいろいろの困難が予想されます。かい患者の収容のいかに困難なものであるかという例を申し上げますと、熊本県某村で起こった事件でありまして、収容 の通知を受けた患者が、自分がらいであることがわかったのは、衛生主任が県に報告したからだと逆恨みいたしまして、一家謀殺を企ててダイナマイトをその衛 生主任の家にぶちこんだのであります。こういうことがありまして、いわゆるらいのフィールド・ワークというものは、なかなか普通の事務的な仕事ではできま せんで、相当強い信念と熱意をもっていなければできないのであります。

せっかくこれだけの苦心と多額の経費を使いまして送ってきた患者が、十人が十人とも療養所で落ち着けばいいですが、十人に一人、二十人に一人脱走してしま う。

患者のいわゆる自由主義のはき違いで、らい患者といえども拘束を受けるいわれはない。自由に出歩いても何ら咎めるべきではない。結核患者を見ろ、同じ伝染 病で結核患者は自由に出歩くことができるのに、らい患者が出歩いていけないことはないというようなことを申す状態であります。何故にらいは隔離しなければ ならないか、結核は隔離しなくてもいいか、ということの根本問題をはっきりして、患者がかように申し参りましても、こういう方針だと私ども確信をもって断 行できるような理論の裏付けをして頂きたいと思います。

現行の法律では、私どもは徹底した収容はできないと思っております。今の法によりますともちろん罰則はついておりませんし、いわゆる物理的な力を加えてこ れを無理に引っ張ってくるということは許されませんし、結局本人が頑強に入所を拒否した場合にはできない。手を拱いてみておらなければならない。いくら施 設を拡充されましても、沈殿患者がいつまでも入らないということになればらいの予防はいつまでも徹底いたしませんので、この際本人の意志に反して収容でき るような法の改正ですか、そういうことをして頂きたいと思います。結局私どもは現在の法律ではどうしてもやれませんから、検事正と話をいたしまして、実は こうこうだ、検事正も今の予防法では、あれは本人の意志に反して無理に入れるということは私どもできないと解する。しかし実際はそれをやらなければならな いのだから、万一これに関連して事件が起こったら、検事正として前以てそういう了解を持っているから、一つ心配なくやってくれ、それから警察隊長も、国警 の隊長もいやそれは事情はわかっていますから、もし万一問題が起こっても適当に処理しますから、やってくださいというだけでやっておるのであって、これは そういうことではなくて、私どもは何らそういう心配なくやれるようにしていただけませんとらい予防の徹底は今の時代におきましてはできない。最終段階に来 ておりますから、従来の場合とは違いますから、従いまして法の改正もそれに即応するような法を作って頂かねば無理だと思います。

現在のらい療養所も、まだ十分病院の形を整えませんで、むしろ一部収容所の感があります。それと申しますのは、今らい療養所の運営の大部分を患者の精神 的、肉体的の協力に依存しているような現状でありまして、実際の運営面に患者が大部分関与しておりますので、遺憾ながら運営の実権を患者に握られておりま して、施設の運営上この点が致命的な欠陥となっております。

らい研究所の性格、内容につきまして私はらいのような複雑な問題の解決は、単なる医学的な研究だけで解決できない。それに付随して起こります社会問題を同 時に徹底的に研究しなければならない。従ってもしおつくりになるとすれば、その研究所が当然文化科学的な面も含めました、らい問題の文化科学的、社会事業 的な研究もしていただきたい。そうして両々相俟ってらい問題の根本的解決の基盤を提供するということにして頂きたい。らいの隔離根本理念などももう少し文 化科学的に研究していただく必要があると考えております。

それから名称変更の問題がありますが、アメリカではすでにハンセン氏病というように一般に申しております。らいに対しましては昔から宗教的、迷信的な偏見 がつきまとっておりまして、天刑病だとか、業病、遺伝だとか、不治だとかいうような特殊な考え方が一般に支配的になっております。患者自身の苦痛は、病気 による肉体的苦痛だけではございません。らいの悲劇はすべてここに胚胎しておりますのでこのような偏見を除去いたしまして、らいを一般に、社会的に認識せ しめまして、こういった重圧をとってやることもらい問題解決の大きな役割だと考えております。

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ら い予防法廃止に関する法律(平成8年)
ハ ンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律
(らい予防法の廃止)
第一条 らい予防法(昭和二十八年法律第二百十四号)は、廃止する。
(国立ハンセン病療養所における療養)

第二条 国は、国立ハンセン病療養所(前条の規定による廃止前のらい予防法(以下「旧法」という。)第十一条の規定により国が設置したらい療養所をいう。 以下同じ)において、この法律の施行の際現に国立ハンセン病療養所に入所している者であって、引き続き入所するもの(第四条において「入所者」という)に 対して、必要な療養を行うものとする。

第三条 国立ハンセン病療養所の長は、この法律の施行の際現に国立ハンセン病療養所に入所していた者であってこの法律の施行後にハンセン病療養所を退所したもの又 はこの法律の施行前に国立ハンセン病療養所に入所していた者であってこの法律の施行際現に国立ハンセン病療養所に入所していないものが、必要な療養を受け るため、国立ハンセン病療養所への入所を希望したときは、入所させないことについて正当な理由がある場合を除き、国立ハンセン病療養所に入所させるものと する。
(2)国は、前項の規定により入所した者(次条において「再入所者」という。)に対して、必要な療養を行うものとする。

(福利増進)
第四条 国は、入所者及び再入所者(以下「入所者等」という。)の教養を高め、その福利を増進するように努めるものとする。

(社会復帰の支援)
第五条 国は、入所者等に対して、その社会復帰に資するために必要な知識及び技能を与えるための措置を講ずることができる。

(親族の援助)
第六条 都道府県知事は、入所者等の親族(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)のうち、当該入所者等が入所しなかっ たならば、主としてその者の収入によって生計を維持し、又はその者と生計を共にしていると認められる者で、当該都道府県の区域内に居住地(居住地がない か、又は明らかでないときは、現地)を有するものが、生計国難のため、援護を要する状態にあると認めるときは、これらの者に対し、この法律の定めるところ により、援護を行うことができる。ただし、これらの者が他の法律(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)を除く。)に定める扶助を受けることができ る場合においては、その受けることができる扶助の限度においては、その法律の定めるところによる。 (2)援護は、金銭を給付することよって行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他援護の目的を達 するために必要があるときは、現物を給付することによって行うことができる。
(3)援護のための金品は、援護を受ける者又はその者が属する世帯の世帯主若しくはこれに準ずる者に交付するものとする。
(4)援護の種類、範囲、程度その他援護に関し必要な事項は、政令で定める。

(都道府県の支弁)
第七条 都道府県は、前条の規定による援護に要する費用を支弁しなければならない。

(費用の徴収)
第八条 都道府県知事は、第六条の規定による援護を行った場合において、その援護を受けた者に対して、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定により扶 養の義務を履行しなければならない者(入所者等を除く。)があるときは、その義務範囲内において、その者からその援護の実施に要した費用の全部又は一部を 徴収することができる。
(2)生活保護法第七十七条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に準用する。

(国庫の負担)
第九条 国庫は、政令で定めるところにより、第七条の規定により都道府県が支弁する費用の全部を負担する。

(公課及び差押さえの禁止)
第十条 第六条の規定による援護として金品の支給を受けた者は、当該金品を標準として租税その他の公課を課せられることがない。
(2)第六条の規定による援護として支給される金品は、既に支給を受けたものであるとないとにかかわらず、差し押さえることができない。

附則(施行期日)
第一条 この法律は、平成八年四月一日から施行する。

(経過措置)
第二条 この法律の施行の日前に行われ、又は行われるべきであった旧法第二十一条の規定による援護については、なお従前の例による。

第三条 この法律の施行の日前に行われ、又は行われるべきであった旧法第二十三条各号に掲げる措置に要する費用についての都道府県の支弁及び国庫の負担に ついては、なお従前の例による。

第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、旧法第二十六条の規定はなおその効力を有する。

(地方財政法の一部改正)
第五条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。第十条第四号中「、性病、寄生虫及びらい」を「性病」に改める。

(優生保護法の一部改正)
第六条 優生保護法(昭和二十三年法律第百五十六号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第三号を削り、同項第四号中「虞れ」を「おそれ」に改め、同号を同項第三号とし、同項第五号中「且つ」を「かつ」に、「虞れ」を「おそれ」に 改め、同号を同項第四号とし、同条第二項中「前項第四号及び第五号」を「前項第三号及び第四号」に改める。
第四条第一項第三号を削り、同項第四号を同項第三号とし、同項第五号中「姦淫されて」を「姦淫されて」に改め、同号を同項第四号とする。

(医療法の一部改正)
第七条 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第七条第二項中「、らい病床」を削る。

(国立病院特別会計法の一部改正)
第八条 国立病院特別会計法(昭和二十四年法律第百九十号)の一部を次のように改正する。
第一条第二項中「らい療養所」を「ハンセン病療養所」に改める。

(出入国管理及び難民認定法の一部改正)
第九条 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項中「又はらい予防法(昭和二十六年法律第二百十四号)」を削る。
(国民健康保険法の一部改正)
第十条 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の一部を次のように改正する。
第六条第八号中「国立のらい療養所の入所患者」を削る。

(国民年金法の一部改正)
第十一条 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。
第八十九条第二号中「又はらい予防法(昭和二十八年法律第二百十四号)によるこれに相当する援助」を「その他の援助であって厚生省令で定めるもの」に改 め、同条第三号を次のように改める。
三 前二号に掲げるもののほか、厚生省令で定める施設に入所しているとき。
第九十条第一項第二号中「又はらい予防法によるこれに相当する援助」を「その他の援助であって厚生省令で定めるもの」に改める。

(地方自治法の一部改正)
第十二条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
別表第一第七号を次のように改める。
七 削除
別表第三第一号(十六)を次のように改める。
(十六)削除

(厚生省設置法の一部改正)
第十三条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条第三十九号中「らい」を「ハンセン病」に改める。
理由
ハンセン病に関する医学的知見及び治療方法の確率等を踏まえ、らい予防法を廃止するとともに、国立ハンセン病療養所に入所している者に対する医療及び福祉 の措置等を引き続き講ずる等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

Source: http://www.mognet.org/hansen/law/law_heisei.html
(平成13年6月22日)
(法律第63号)

ハンセン病の患者は、これまで、偏見と差別の中で多大の苦痛と苦難を強いられてきた。我が国においては、昭和二十八年制定の「らい予防法」においても引き 続きハンセン病の患者に対する隔離政策がとられ、加えて、昭和三十年代に至ってハンセン病に対するそれまでの認識の誤りが明白となったにもかかわらず、な お、依然としてハンセン病に対する誤った認識が改められることなく、隔離政策の変更も行われることなく、ハンセン病の患者であった者等にいたずらに耐え難 い苦痛と苦難を継続せしめるままに経過し、ようやく「らい予防法の廃止に関する法律」が施行されたのは平成八年であった。

我らは、これらの悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびするとともに、ハンセン病の患者であった者等に対するいわれのない偏見を 根絶する決意を新たにするものである。

ここに、ハンセン病の患者であった者等のいやし難い心身の傷跡の回復と今後の生活の平穏に資することを希求して、ハンセン病療養所入所者等がこれまでに 被った精神的苦痛を慰謝するとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復及び福祉の増進を図り、あわせて、死没者に対する追悼の意を表するため、 この法律を制定する。

(趣旨)

第一条 この法律は、ハンセン病療養所入所者等の被った精神的苦痛を慰謝するための補償金(以下「補償金」という。)の支給に関し必要な事項を定めるとともに、ハ ンセン病の患者であった者等の名誉の回復等について定めるものとする。

(定義)

第二条 この法律において、「ハンセン病療養所入所者等」とは、らい予防法の廃止に関する法律(平成八年法律第二十八号。以下「廃止法」という。)によりらい予防 法(昭和二十八年法律第二百十四号)が廃止されるまでの間に、国立ハンセン病療養所(廃止法第一条の規定による廃止前のらい予防法第十一条の規定により国 が設置したらい療養所をいう。)その他の厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所(以下「国立ハンセン病療養所等」という。)に入所していた者であって、こ の法律の施行の日(以下「施行日」という。)において生存しているものをいう。

(補償金の支給)

第三条 国は、ハンセン病療養所入所者等に対し、その者の請求により、補償金を支給する。

(請求の期限)

第四条 補償金の支給の請求は、施行日から起算して五年以内に行わなければならない。

2 前項の期間内に補償金の支給の請求をしなかった者には、補償金を支給しない。

(補償金の額)

第五条 補償金の額は、次の各号に掲げるハンセン病療養所入所者等の区分に従い、当該各号に掲げる額とする。

一 昭和三十五年十二月三十一日までに、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者千四百万円
二 昭和三十六年一月一日から昭和三十九年十二月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 千二百万円
三 昭和四十年一月一日から昭和四十七年十二月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 千万円
四 昭和四十八年一月一日から平成八年三月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 八百万円
2 前項の規定にかかわらず、同項第一号から第三号までに掲げる者であって、昭和三十五年一月一日から昭和四十九年十二月三十一日までの間に国立ハンセン病療 養所等から退所していたことがあるものに支給する補償金の額は、次の表の上欄に掲げるハンセン病療養所入所者等の区分及び同表の中欄に掲げる退所期間(昭 和三十五年一月一日から昭和四十九年十二月三十一日までの間に国立ハンセン病療養所等から退所していた期間を合計した期間をいう。以下同じ。)に応じ、そ れぞれ、同表の下欄に掲げる額を同項第一号から第三号までに掲げる額から控除した額とする。


ハンセン病療養所入所者等の区分     退所期間    額
前項第一号に掲げる者     二十四月以上百二十月未満
百二十月以上二百十六月未満
二百十六月以上    二百万円
四百万円
六百万円
前項第二号に掲げる者     二十四月以上百二十月未満
百二十月以上    二百万円
四百万円
前項第三号に掲げる者     二十四月以上    二百万円

3 退所期間の計算は、退所した日の属する月の翌月から改めて入所した日の属する月の前月までの月数による。

4 昭和三十五年一月一日から昭和三十九年十二月三十一日までの間の退所期間の月数については、前項の規定により計算した退所期間の月数に二を乗じて得た月数 とする。

(支払未済の補償金)

第六条 ハンセン病療養所入所者等が補償金の支給の請求をした後に死亡した場合において、その者が支給を受けるべき補償金でその支払を受けなかったものがあるとき は、これをその者の配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死 亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(以下「遺族」という。)に支給し、支給すべき遺族がないときは、当該死亡した者の相続人に支給する。

2 前項の規定による補償金を受けるべき遺族の順位は、同項に規定する順序による。

3 第一項の規定による補償金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その全額をその一人に支給することができるものとし、この場合において、その一人に した支給は、全員に対してしたものとみなす。

(損害賠償等がされた場合の調整)

第七条 補償金の支給を受けるべき者が同一の事由について国から国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)による損害賠償その他の損害のてん補を受けたときは、 国は、その価額の限度で、補償金を支給する義務を免れる。

2 国は、補償金を支給したときは、同一の事由については、その価額の限度で、国家賠償法による損害賠償の責めを免れる。

(譲渡等の禁止)

第八条 補償金の支給を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

(非課税)

第九条 租税その他の公課は、補償金を標準として課することができない。

(不正利得の徴収)

第十条 偽りその他不正の手段により補償金の支給を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、国税徴収の例により、その者から、当該補償金の価額の全部又は一部を徴 収することができる。

2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

(名誉の回復等)

第十一条 国は、ハンセン病の患者であった者等について、名誉の回復及び福祉の増進を図るとともに、死没者に対する追悼の意を表するために必要な措置を講ずるよう努 めなければならない。

2 前項の措置を講ずるに当たっては、ハンセン病の患者であった者等の意見を尊重するものとする。

(厚生労働省令への委任)

第十二条 この法律に定めるもののほか、補償金の支給の手続その他の必要な事項は、厚生労働省令で定める。

附則

この法律は、公布の日から施行する。


ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律施行規則

厚生労働省令第百三十三号

ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成十三年法律第六十三号)第十二条の規定に基づき、ハンセン病療養所入所者等に対する補 償金の支給等に関する法律施行規則を次のように定める。

平成13年6月22日

厚生労働大臣 坂口 力

ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律施行規則

(補償金の請求)

第一条 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成十三年法律第六十三号。以下「法」という。)第三条の規定により補償金の支給を受けよ うとする者は、次に掲げる事項を記載して署名又は記名押印した請求書を厚生労働大臣に提出しなければならない。

一 請求者の氏名、性別、生年月日及び住所
二 請求者が入所していた国立ハンセン病療養所等において前号の氏名と異なる氏名を用いていた場合にあっては、当該国立ハンセン病療養所等において用いていた 氏名
三 平成八年三月三十一日までの間に入所していたすべての国立ハンセン病療養所等の名称
四 前号の国立ハンセン病療養所等について、それぞれ入所した年月日(退所した場合にあっては、入所した年月日及び退所した年月日)
五 払渡しを受ける機関に金融機関を希望する者にあっては、払渡希望金融機関の名称及び預金通帳の記号番号
六 払渡しを受ける機関に郵便局を希望する者にあっては、払渡希望郵便局の名称及び所在地
七 請求年月日
2 前項の請求書には、次に掲げる書類を添えなければならない。
一 住民票の写しその他の前項第一号に掲げる事項を証明することができる書類
二 請求者の生存を証明することができる書類
三 前項第五号に規定する者にあっては、預金通帳の記号番号を明らかにすることができる書類
3 第一項の請求書は、現にハンセン病療養所に入所している者にあっては、当該ハンセン病療養所を経由して厚生労働大臣に提出するものとする。
(支払未済の補償金の請求)

第二条 法第六条第一項の規定により支払未済の補償金の支給を受けようとする者は、次に掲げる事項を記 載して署名又は記名押印した請求書を厚生労働大臣に提出しなければならない。

一 請求者の氏名、性別、生年月日、住所及び当該請求に係るハンセン病療養所入所者等(以下この条において単に「ハンセン病療養所入所者等」という。)との身 分関係
二 ハンセン病療養所入所者等の氏名、性別、生年月日及び住所
三 ハンセン病療養所入所者等の死亡年月日
四 払渡しを受ける機関に金融機関を希望する者にあっては、払渡希望金融機関の名称及び預金通帳の記号番号
五 払渡しを受ける機関に郵便局を希望する者にあっては、払渡希望郵便局の名称及び所在地
六 請求年月日
2 前項の請求書には、次に掲げる書類を添えなければならない。
一 住民票の写しその他の請求者の氏名、性別、生年月日及び住所を証明することができる書類
二 ハンセン病療養所入所者等の死亡の事実及び死亡年月日を証明することができる書類
三 請求者が遺族である場合にあっては、請求者とハンセン病療養所入所者等との身分関係を証明することができる書類及び請求者がハンセン病療養所入所者等の死 亡の当時その者と生計を同じくしていたことを証明することができる書類
四 請求者が相続人である場合にあっては、相続人であることを証明することができる書類
五 前項第四号に規定する者にあっては、預金通帳の記号番号を明らかにすることができる書類
(支給決定の通知)

第三条 厚生労働大臣は、第一条第一項又は前条第一項の請求書を受理したときは、これを審査し、補償金の支給の可否及び支給する場合における補償金の額を決定し、 これらを請求者に通知しなければならない。

(添付書類の省略等)

第四条 第一条第一項又は第二条第一項の規定により請求書を提出すべき場合において、厚生労働大臣は、特別な事由があると認めたときは、その書類の添付を省略さ せ、又は前条の審査のために必要な書類の提出を求めることができる。

(フレキシブルディスクによる手続)

第五条第一条第一項又は第二条第一項の請求書の提出については、これらの書類に記載すべき事項を記録したフレキシブルディスク並びに請求の趣旨及びその年 月日並びに請求者の住所を記載するとともに、請求者が署名又は記名押印した書類を提出することによって行うことができる。

(フレキシブルディスクの構造)

第六条 前条のフレキシブルディスクは、日本工業規格X六二二三号に適合する九十ミリメートルフレキシブルディスクカートリッジでなければならない。

(フレキシブルディスクへの記録方式)

第七条 第五条のフレキシブルディスクへの記録は、次に掲げる方式に従ってしなければならない。

一 トラックフォーマットについては、日本工業規格X六二二四号又は日本工業規格X六二二五号に規定する方式
二 ボリューム及びファイル構成については、日本工業規格X〇六〇五号に規定する方式
(フレキシブルディスクにはり付ける書面)
第八条 第五条のフレキシブルディスクには、日本工業規格X六二二三号に規定するラベル領域に、次に掲げる事項を記載した書面をはり付けなければならない。

一 請求者の氏名
二 請求年月日
附則

この省令は、公布の日から施行する。


Source: http://www.mognet.org/hansen/law/compensation02.html
___________________

ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律第2条の厚生労働大臣が定める ハンセン療養所

厚生労働省告示第二百二十四号

ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成十三年法律第六十三号)第二条の規定に基づき、厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所 を次のように定める。

平成13年6月22日

厚生労働大臣 坂口 力

ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律第二条の規定に基づき厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所ハンセン病療養所入所者等に対す る補償金の支給等に関する法律(平成十三年法律第六十三号)第二条の厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所は、次のとおりとする。

一 明治四十年法(昭和二十八年法(らい予防法の廃止に関する法律(平成八年法律第二十八号)第一条の規定による廃止前のらい予防法(昭和二十八年法律第二百 十四号)をいう。以下同じ。)附則第二項の規定による廃止前の癩予防法(明治四十年法律第十一号)をいう。以下同じ。)第三条第一項の国立癩療養所及び第 四条第一項の規定により二以上の道府県が設置した療養所

二 前号の国立癩療養所と同視することが相当と認められる次に掲げるハンセン病療養所

イ 明治四十年法律第十一号中改正法律(昭和六年法律第五十八号)が施行されるまでの間における国立癩療養所長島愛生園
ロ 国に移管されるまでの間における沖縄県立国頭愛楽園及び沖縄県立宮古保養院
ハ 千九百四十五年米国海軍軍政府布告第一号及び千九百四十五年米国海軍軍政府布告第一のA号の規定により施行を持続することとされた明治四十年法第三条第一 項の国立癩療養所
三 昭和二十八年法第十一条の規定により国が設置したらい療養所

四 ハンセン氏病予防法(千九百六十一年立法第百十九号)第十四条の規定により琉球政府が設置したハンセン氏病療養所及び琉球政府が指定した政府立病院

五 次の表に掲げる私立のハンセン病療養所(平成八年三月三十一日までの間又は当該療養所を廃止するまでの間に名称の変更があった場合には当該変更後の名称の もの及び当該ハンセン病療養所の事業を承継したハンセン病療養所があった場合には当該事業を承継したものを含む。)

Source: http://www.mognet.org/hansen/law/compensation03.html


Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099

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