Ex-patients of Hansen's disease and Japanese State, 1907-2001
1863 明治維新
1873 ノルウェーのゲルハール・ヘンリック・ア ルマウェル・ハンセン(Gerhard Henrick Armauer Hansen, 1841-1912)、検査した癩患者から細菌(Mycobacterium leprae)を発見したと報告。
1889 (明22)年フランス人のテストウィド神 父が御殿場に私立の復生病院を設立(以下:情報ソースは厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/01/h0131-5/dekigoto.html)。
1895 イギリス人のハンナ・リデルが 熊本に私 立の回春病院を設立(→「リデルと癩救済事業関連」)。
1899 日英通商航海条約(条約改正,
1894年締結)の発効により外国人居留地の廃止と内地雑居の実施。第13回
帝国議会でハンセン病対策について初めて議論される(藤野 1993:9)。
1901 青木大勇・台湾総督府医学校『台湾医事雑
誌』に「癩院設置の必要を論ず」を発表。
1907
「癩予 防に関する件」制定(癩予防ニ関スル法律[明治40年法律第11号]公布3月18日、施行3 月19日)。放浪患者を隔離。(「朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル癩豫防ニ關スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム」)
1909 全国5カ所で公立療養所開設。
1910 朝鮮総督府の設置
1916
小鹿島(Sorokdo;ソロクト)慈恵医院設置 (総督府の衛生顧問は山根正次)
大正5年3月11日「癩予防ニ関スル法律」改正(法律第21号)(「第四條ノ二
前條ノ療養所ノ長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ被救護者ニ對シ必要ナル懲戒又ハ檢束ヲ加フル事ヲ得。/第七條中「沖繩縣及」ヲ削ル」)
5月12日第一区府県立全生病院は「特殊部落調附癩
村調」を各道府県に照会する。医学者たちはハンセン病が遺伝しないと「信じて」いたにも関わらず被差別部落の「近親婚」が病気の多発を説明する可能性を捨
て切れていなかった悲しい証左と思われる。
1919 『癩患者統計 : 概要、統計表 / 内務省衞生局
[編] ; 大正8年3月31日』
1930 台湾総督府、楽生院(→「樂
生療養院(Losheng
Sanatorium)」)を開設(1934年勅令「らい予防法」公布)
1931
昭和6年4月2日(法律第58号)「癩予防法」 と改題(「明治40年法律第11号」を改題)。隔離の対象となる患者 の範囲が広まる。この時、国立癩療養所患者懲戒検束規定が制定されて、収容ハンセン病療養者への管理や身体拘禁などの制御が強化される。それに呼応して、 ハンセン病患者の収容政策も各都道府県の自発的な参画もあり「無癩県運動」が、実質的な国民運動として本格化するように思われる(→「明石海人(1901-1939)」)。
1932 朝鮮癩予防協会の設立
1934 台湾で勅令「台湾癩予防法」公布/9月 29日朝鮮総督府令98号により(小鹿島慈恵)小鹿島更生園に改称し、園長周防正季が 赴任。
1935 朝鮮癩予防令(政令第4号)
1936 小鹿島更生園の収容規模は6千人相当に拡 大。
1942 小鹿島更生園園長刺殺事件(園長「周防正季(1885-1942)」の殺害)
1943 アメリカでファヂニー、プロミンの治らい 効果を発表。
1945 8月21日「小鹿島虐殺事件」
1949
昭和24年5月31日(法律第168号)改正:
(「第四條 癩予防法(明治四十年法律第十一号)の一部を次のように改正する。/第七條第一項中「ノ負担トス」を「ニ於テ之ヲ支弁ス」に改める。/第七條
ノ二を次のように改める。/第七條ノ二 削除/第八條中「支出」を「支弁」に、「六分ノ一乃至二分ノ一ヲ補助スルモノトス」を「其ノ二分ノ一ヲ負担ス」に
改める。」)
1950
昭和25年3月28日(法律第26号)改正:
(「第二條 癩予防法(明治四十年法律第十一号)の一部を次のように改正する。/第一條、第二條ノ二、第三條、第七條第一項第一号、第九條及び第十條中
「行政官庁」を「都道府県知事」に改める。/第四條第一項、第七條第一項第四号及び第八條中「道府県」を「都道府県」に改める。/第六條及び第七條第一項
中「北海道地方費又ハ府県」を「都道府県」に改める。/第七條第二項中「関係地方長官」を「関係都道府県知事」に改める。/第十二條の次に次の一條を加え
る。/第十三條 第一條、第二條ノ二及第十條中「都道府県知事」トアルハ保建所法(昭和二十二年法律第百一号)第一條ノ規定ニ基ク政令ヲ以テ定ムル市ニ在
リテハ「市長」ト読替フルモノトス
第六條及第七條中「都道府県」トアルハ前項ノ市ニ在リテハ「市」ト読替フルモノトス但同項ノ規定ニヨリ読替ヘラルル第二條ノ二ノ規定ニヨリ市長ニ於テ同
條各号ノ事項ヲ行ヒタル場合ニ限ル第八條中「都道府県」トアルハ第一項ノ市ニ在リテハ「市」ト読替フルモノトス/」)
1953
昭和28年8月15日(法律第213号)(第十二条 癩予防法(明治四十年法律第十一号)の一部を次のように改正する。「第四条第一項中「主務大臣ハ」の下に「政令ノ定ムル所ニ従ヒ」を加え、同条第二項を 削る。」)
昭和28年 法律第214号「らい予防法」制定(公布: 昭和28年8月15日施行: 昭和28年8月15日(附則による))→廃止、平成8[1996]年4月1日(らい予防法の廃止に関する法律(平成8年法律第28号)による)
1996 「らい予防法」廃止
1998 熊本地裁に、星塚敬愛園、菊池恵楓園の入 所者ら13人、「らい予防法」違憲国家賠償 請求訴訟を提起。
2001 「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟で、 熊本地裁は原告勝訴の判決。国は控訴せず。内閣総理大臣談話。衆参両院で謝罪決議。ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律成立。和 解に関する基本合意書締結。厚生労働大臣、副大臣が各療養所を訪問し謝罪
2002 全国50の新聞紙上に厚生労働大臣名で謝 罪広告掲載。国立ハンセン病療養所等退所者給与金事業開始。
2004 (台湾)楽生院入所者25人は、東京地方 裁判所に補償請求
2005 10月25日、(台湾)楽生院入所者25
人は補償請求が認められる
リンク
文献
その他の情報
同康院癩病む兵士敗けし聞き咽喉(のど)突き死して 蛆わきしきく——杉村春三『終戦哀話』私家版、1983年
看護婦と妻子毒殺或は射て集化集結われらみな泣く ——杉村春三『終戦哀話』私家版、1983年
※同康院は、1939年開設の満州国立のハンセン病 療養所。『ハ ンセン病問題に関する検証会議最終報告書』
《法律》
患者心得(菊池恵楓園、大正15年) |
国立癩療養所患者懲戒検束規定(昭和6年) |
らい療養所の三園長の国会証言(昭和26年) |
(菊池恵楓園のもの、大正十五年九月改
正) 第一条 患者ハ本所々定ノ規則命令ニ服従スル義務アルモノトス 第二条 患者ハ常ニ柔順ヲ旨トシ和衷共同宜シク精神修養ニ励メ、衛生ヲ重ジ、男女ノ道ヲ正ウシ苟モ所規ヲ乱シ不穏ノ言動ヲ流布スルガ如キ行為アルベカラズ 第三条 患者ハ其ノ居所スル何レアルヲ問ハズ一般ノ家庭ノ如ク和親ヲ旨トシ老幼者又ハ身体不自由ナルモノ、可成比較的健康者ヨリ便宜ヲ与ヘ保護スルモノト ス 尚、不自由者ハ其ノ保護者ニ対シ常ニ感謝ノ意ヲ表スベシ 第四条 患者全体ヲ通シテ総代、副総代、病室取締、炊事取締ヲ置キ、患者ノ総取締ニ従事セシメルモノトス 第五条 患者家族舎一室毎ニ室長一人、副室長一人ヲ置キ室内ノ取締ニ充ツ 第六条 正副総代及正副室長、病室取締、炊事取締ノ任期ハ各一年トシ任期中其任ニ耐エズ又不都合ノ行為アルトキハ解任スルコトアルベシ 但シ任期後ト雖モ適任ト認ムルモノニハ再任ヲ命ズルコトアルベシ 第七条 患者ハ各自行動ヲ慎ミ苟モ社会ノ同情ヲ失スルガ如キ行為アルベカラズ 第八条 患者ハ治療上ニ就テハ総テ医員ノ指揮ヲ受ケ其ノ命令ヲ厳守スベシ 第九条 患者ハ係員ノ許可ヲ得ズシテ濫リニ構外ニ出ルコトヲ得ズ 第十条 患者ニ他ヨリ面会ノアル時ハ毎日午前八時ヨリ午後三時迄ノ間トシ尚特ニ急ヲ要スルモノハ其ノ事由ニヨリ之ヲ許可スル 但シ面会ノ際特ニ必要アルト認ムルトキハ係員ヲシテ立会セシム、尚其ノ面談不必要ニ渉ルトキハ差止メラルルトキアルベシ 第十一条 患者ニ対シ物品ノ差入レアルトキハ其物品ノ品質ニヨリ許可スルモノトス 第十二条 患者ハ他ニ書信スルハ妨ゲナキモ金銭物品等発収スルトキハ係員ノ許可ヲ受クルモノトス 第十三条 患者ハ所持金ヲ以テ必要ナル物品ヲ所定ノ方法ニヨリ購入スルコトヲ得 但シ事務所ニ於テ不必要ト認ムルトキハ許可サルルコトナカルベシ 第十四条 患者ハ貸与品ヲ丁寧ニ取扱ヒ保存スベシ、若シ濫リニ破損汚涜又ハ相互交換スルガ如キハ相当ノ責ニ充テラレルモノトス 第十五条 所持品貸与品等ハ一定ノ場所或ハ所持品箱ニ収メ散乱セザル様注意スベシ 第十六条 物品ノ請求又ハ亡失毀損シタルトキハ監護員ヲ経テ事務所ニ申出ルベシ、尚日常用ユル消耗品ノ如キハ可成節約ヲ守リ乱用セザル様殊ニ注意スベシ 第十七条 患者ハ其ノ望ニ依リ農業其他ノ作業ニ従事スルコトヲ得 第十八条 各家族舎ニハ毎日若干名順番ヲ以テ掃除人ヲ定メ室内外及ビ便所痰壺等不潔ナキ様掃除スベシ 第十九条 男子ハ女室ニ女子ハ男室ニ濫リニ立入ルベカラズ、若シ已ムヲ得ザル事故アルトキハ其用向先室長ノ承諾ヲ需ムベシ 又患者ハ男女ヲ問ハズ裸体ノ儘屋外ヲ徘徊スベカラズ 第二十条 患者ハ屋舎ノ内外ヲ問ハズ喧噪ヲ為スベカラズ 第二十一条 患者入浴時間ハ男女左ノ時間割トス 男子浴室 自七月一日 至九月三十日 午後四時 同六時 ソノ他ノ月 自午後二時 至同五時 女子浴室 自七月一日 至九月三十日 午後四時 同六時 ソノ他ノ月 自午後二時 至同四時 第二十二条 人員点検号鐘ノ際ハ速カニ自己ノ居室ニ集合シ検査ヲ受クルモノトス 第二十三条 就寝後ト雖モ臨時人員ノ点検ヲ受クルコトアルベシ 第二十四条 急遽ニ重病ヲ発シタルトキハ家族舎内ノ者ハ室長(副室長)或ハ他人ヲ経テ監護員ニ病室内ノ者ハ看護婦ニ申出ヅベシ 第二十五条 患者ノ起床時間ハ男女左ノ時間割トス 起床 自四月一日 至九月三十日 午前六時 就寝 自四月一日 至九月三十日 午後十時 起床 自十月一日 至三月三十一日 午前六時半 就寝 自十月一日 至三月三十一日 午後九時 第二十六条 痰ハ予メ配布ノ唾壺内ニ吐出シ尿ハ必ズ便所ニ上セイシ徒ニ路傍等ニ放便ヲナシ汚穢ナカラシムベシ 第二十七条 草花樹木ヲ猥リニ折リ取ルベカラズ 第二十八条 命令ヲ遵奉シ行状方正ニシテ衆ノ模範タルベキモノハ特ニ其ノ善行ヲ表彰スルコトアルベシ 第二十九条 此ノ心得書ニ違背スルモノハ内務省令第六号施行細則ニヨリ処罰セラツコトアルベシ Source: http://www.mognet.org/hansen/law/kokoroe.html |
(昭和六年一月三十日認可) 第一条 国立癩療養所ノ入所患者ニ対スル懲戒又ハ検束ハ左ノ各号ニ依ル 一 譴責 叱責ヲ加エ誠意改悛ヲ誓ハシム 二 謹慎 三十日以内指定ノ室ニ静居セシメ一般患者トノ交通ヲ禁ズ 三 減食 七日以内主食及副食物ニ付常食量二分ノ一迄ヲ減給ス 四 監禁 三十日以内監禁室ニ拘置ス 五 謹慎及減食 第二号及第三号ヲ併科ス 六 監禁及減食 第四号及第三号ヲ併科ス 監禁ハ前項第四号ノ規定ニ拘ラズ特ニ必要ト認ムルトキハ其ノ期間ヲ二箇月迄延長スルコトヲ得 第二条 入所患者左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ譴責又ハ謹慎ニ処ス 一 所内ニ植栽セル草木ヲ傷害シタルトキ 二 家屋其ノ他建物又ハ備品ヲ毀損シ若ハ汚涜シタルトキ 三 貸与ノ衣類其ノ他ノ物品ヲ毀損若ハ隠匿シ又ハ所外ヘ搬出シタルトキ 四 人ヲ誑惑セシムベキ流言浮説又ハ虚報ヲ為シタルトキ 五 喧嘩口論ヲ為シタルトキ 六 其ノ他所内ノ静謐ヲ紊シタルトキ 第三条 入所患者左ノ各号ノ一ヲ為シタルトキハ謹慎若ハ減食ニ処シ又ハ之ヲ併科ス 一 濫リニ所外ニ出デ又ハ所定ノ地域ニ立入リタルトキ 二 風紀ヲ紊シ又ハ猥褻ノ行為ヲ為シ若ハ媒合シテ之ヲ為サシメタルトキ 三 職員ノ指揮命令ニ服従セザルトキ 四 金銭又ハ物品ヲ以テ博戯又ハ賭事ヲ為シタルトキ 五 懲戒又ハ検束ノ執行ヲ妨害シタルトキ 第四条 入所患者左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ減食若ハ監禁ニ処シ又ハ之ヲ併科ス 一 逃走シ又ハ逃走セシムトシタルトキ 二 職員其ノ他ノ者ニ対シ暴行若ハ脅迫ヲ加ヘ又ハ加ヘムトシタルトキ 三 其ノ他所内ノ安寧秩序ヲ害シ又ハ害セムトシタルトキ 第五条 一個ノ行為ニシテ前三条中二以上ノ規定ニ該当スルトキハ情状ニ依り其ノ何レカ一ノ規定ニ依ル処分ヲ為スコトヲ得 第六条 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ノ免除アリタル後再ビ第二条又ハ第三条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタルトキハ第二条又ハ第 三条ノ規定ニ拘ラズ第四条ノ規定ニ依ル処分ヲ為スコトヲ得 第七条 二人以上共同シテ第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者ハ其ノ行為ニ付同一ノ責ニ任ズ 人ヲ教唆シテ第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者ハ実行者ニ準ズ教唆者ヲ教唆シタル者亦同ジ 第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ノ実行者ノ行為ヲ幇助シタル者及之ニ対シ教唆ヲ為シタル者ハ実行者ニ準ズ但シ其ノ処分ハ之ヲ減軽ス 第八条 第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ拘ラズ行為ノ情状憫諒スベキモノハ酌量シテ懲戒又ハ検束ヲ減軽又ハ免除スルコトヲ得 第九条 懲戒又ハ検束ハ宣告ノ上執行ス 第二条第三条又ハ第四条ノ規定ニ該当スル行為ヲ為シタル者逃走シタルトキハ其ノ懲戒又ハ検束ハ欠席ノ儘宣告シ其ノ執行ハ収容後之ヲ行フ但シ他ノ療養所ニ収 容セラレタルトキハ当該療養所ノ長ニ委託スルコトヲ得 前項ノ場合ニ於テ宣告ヨリ一年ヲ経タルトキハ其ノ執行ヲ免除ス懲戒又ハ検束ノ執行中逃走シタル者ニ対シテハ前二項ノ規定ヲ準用ス 第十条 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者改悛ノ情著シキトキハ其ノ懲戒又ハ検束ノ執行ヲ免除スルコトヲ得 第十一条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ハ懲戒又ハ検束ノ執行ヲ免除又ハ停止スルコトヲ得 一 大祭祝日、一月一日、一月二日、十二月三十一日又療養所ノ祝祭日並懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者ノ父母ノ祭日 ニ 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者其ノ父母ノ訃ニ接シタルトキ 三 懲戒又ハ検束ニ処セラレタル者療養上必要アリト認メタルトキ 前項第二号ノ場合ニ於テハ其ノ停止期間ハ之ヲ三日マデ延長スルコトヲ得 Source: http://www.mognet.org/hansen/law/chokaikensoku.html |
第12回国会 参議院厚生委員会会議録よ
り(昭和26年11月) 昭和28年のらい予防法改正に先立つこと2年前の昭和26年11月8日に参議院厚生委員会「社会補償制度の調査に関する件」の内「らいに関する件」で国立 らい療養所の三園長が証言をしました。以下はその抄録です。(全患協運動史より) 林芳信(当時多摩全生園園長) 我々が推定いたしますと、大体一万五千の患者が全国に散在して、そのうちただ今は約九千名の患者が療養所に収容されておりますから、まだ六千名の患者が療 養所以外に未収容のまま散在しておるように思われます。速やかにこういう未収用の患者を療養所に収容するように療養施設を拡張していかねばなりませんが、 らい療養所を新たに創設するということは、いろいろ困難が伴いますので大体既設の療養所を拡張していくほうが国家的には得策ではないかとかように考えてい る次第でございます。 ついでに将来らい患者の収容に対する問題でございますが、これにつきましては在宅患者に十分らいそのものの知識、また療養所の現在の状態、それらのことを 十分認識せしめ、すなわち啓蒙活動が非常に必要でございます。一方、又患者が療養所に入所いたしましても、家族のものが生活に差支えないようにというふう に国家が家族の生活を保障するということが非常に大切でございます。病気の性質上その家族から患者が出たということが世間に知れますとうと家族が非常な窮 地に陥りますので、世間にあまり知れないような方法において家族を救済するということも、生活を保障するということも必要だと思います。 らい予防法はもうすでに制定になりましてから44年を経過しております古いものでございますし、時勢に適合するように適当に改正されることが至当であろう と考えます。 次に国立らい研究所設置の問題でございますが、これは非常に必要なことでございます。らいの研究は他の結核その他の研究に比しまして非常に困難でございま して、その根本でありますところのらい菌培養とか、あるいは動物実験というようなものもまだ成功しておりません。あるいはまた疫学的のこと、あるいはまた 体質方面の研究とか、薬理学的研究のこと、あるいは生理学的研究のこと、いろいろ残された問題が実にたくさんあるのでありまして、是非これは国家が研究所 を設置されまして、十分な研究がとげられますように、これは単に日本の医学の問題ではなくて、世界に貢献するところが非常に多いと存じます。 病名の変更については、アメリカでは相当ハンセン氏病としたらいいじゃないかという議論があります。キューバのハバナで万国大会が開かれましたときにもそ ういうことがありました。しかし結局は、ああらい病のことだなということになりますと、元の通りになりはしないかと思いますが、学会あたりで諸学者の意見 をきいた上で採用するならば採用したらどうかと思います。 収容の問題でありますが、近来お陰様にて逃走の患者が非常に減少しております。やはり療養所の中の改善がだんだん行われてきたことに原因すると思います。 なお一層患者を落着かせしめるには療養所のすべてのことに、住居の問題とか、その他文化的方面にも一層改善を加えたならば、患者は落ち着いて療養すると思 います。それからまたそういう設備ができましたら、家族のものに一応療養所の視察をさせて、そうして、家族にも納得させますれば、案外入所を希望するよう になると思います。 光田健輔(当時愛生園園長) 未収容患者が二千人残っている厚生省の統計はいっておられますが、詮索すると余計にあるかも分かりません。その残っている患者を早く収容しなければなりま せんけれども、これに応じない者がたくさんあります。そのような者に強制的に、このらい患者を収容するということが、今のところでははなはだそのようなと ころまで至っていないのであります。この点については特に法律の改正というようなことも必要でありましょう。強権を発動させるということでなければ何年 経っても、同じことを繰り返すようなことになって、家庭内伝染は決してやまない。手錠でもはめてから捕らまえて強制的に入れればいいのですけれども、 ちょっと知識階級になりますとなんとかかんとか逃げるのです。そのような者はどうしても収容しなければならんという、強制のもう少し強い法律にして頂かん と駄目だと思います。 治療も必要でありますが、私どもまずその幼児の感染を防ぐためらい家族のステルザチョンということも勧めてやらす方がよろしいと思います。らい予防のため 優生手術ということは、保健所あたりにもう少し、しっかりやってもらいたいと考えております。 それで患者の逃走ということですね。これは何ぼ入れてもですね。その網の目をくぐって逃走するのでございますから、私どもは、逃走しないようにですね、長 島というところは海の中にあって、どこへでも船でゆかねばならんようにしている。ところが船を買収しまして、今では千円、二千円ほど漁夫にやって向こうへ 逃げていくようなわけです。そういうものはですね、逃走罪という一つの体刑を科するかですね。そういうようなことができれば他の患者の警戒にもなるのであ るし、今度は刑務所もできたのでありますから、逃走罪というような罰則が一つほしいのであります。これは一人を防いで多数の逃走者を改心させるというよう なことになるのですから、それができぬものでしょうか。 病名をハンセン氏病と日本で変えるということについては、子供みたいな話ではないかと、私どもは考えるのであります。 それからも一つ予防上から申しておくのは、所の中に民主主義を誤解して、患者が相互に自分の党を増やすということで争っているところがありますし、それは 遺憾なことで患者が互いにいがみ合っているようなことになっております。これは患者の心得違いでありまして、そのためにそこの従業員が落ち着いて仕事がで きない。結局は患者の不幸になって参ります。もう少し法を改正して逃走の防止ということにしなければ、不心得な分子が院内の治安を乱しますから、十分法の 改正すべきところはして頂きたいと、以上でございます。 宮崎松記(当時恵楓園園長) 患者の数と申しますのは、衛生当局が努力すればするだけ出て参るのであります。数の少ないところはそれだけしかないかというと、私はそうばかりは考えてい ないのでありまして、らいの数を出しますことは古畳を叩くようなものでありまして、叩くほど出て参ります。出てこないのは叩かないだけのことで、徹底的に 叩けばもっと出てくるのではないかと思います。九州ではどのくらいの収容をしなければならない患者があるかとのことですが、登録してある未収容患者は九百 九名でありまして、各衛生部の推計いたしました数は千七百六十七名となっております。 一方、収容が徹底して参りますと、沈殿患者となって参りまして、だんだんと底に沈んだのを汲み上げていかねばならなくなりますから、今までに経験したこと のないいろいろの困難が予想されます。かい患者の収容のいかに困難なものであるかという例を申し上げますと、熊本県某村で起こった事件でありまして、収容 の通知を受けた患者が、自分がらいであることがわかったのは、衛生主任が県に報告したからだと逆恨みいたしまして、一家謀殺を企ててダイナマイトをその衛 生主任の家にぶちこんだのであります。こういうことがありまして、いわゆるらいのフィールド・ワークというものは、なかなか普通の事務的な仕事ではできま せんで、相当強い信念と熱意をもっていなければできないのであります。 せっかくこれだけの苦心と多額の経費を使いまして送ってきた患者が、十人が十人とも療養所で落ち着けばいいですが、十人に一人、二十人に一人脱走してしま う。 患者のいわゆる自由主義のはき違いで、らい患者といえども拘束を受けるいわれはない。自由に出歩いても何ら咎めるべきではない。結核患者を見ろ、同じ伝染 病で結核患者は自由に出歩くことができるのに、らい患者が出歩いていけないことはないというようなことを申す状態であります。何故にらいは隔離しなければ ならないか、結核は隔離しなくてもいいか、ということの根本問題をはっきりして、患者がかように申し参りましても、こういう方針だと私ども確信をもって断 行できるような理論の裏付けをして頂きたいと思います。 現行の法律では、私どもは徹底した収容はできないと思っております。今の法によりますともちろん罰則はついておりませんし、いわゆる物理的な力を加えてこ れを無理に引っ張ってくるということは許されませんし、結局本人が頑強に入所を拒否した場合にはできない。手を拱いてみておらなければならない。いくら施 設を拡充されましても、沈殿患者がいつまでも入らないということになればらいの予防はいつまでも徹底いたしませんので、この際本人の意志に反して収容でき るような法の改正ですか、そういうことをして頂きたいと思います。結局私どもは現在の法律ではどうしてもやれませんから、検事正と話をいたしまして、実は こうこうだ、検事正も今の予防法では、あれは本人の意志に反して無理に入れるということは私どもできないと解する。しかし実際はそれをやらなければならな いのだから、万一これに関連して事件が起こったら、検事正として前以てそういう了解を持っているから、一つ心配なくやってくれ、それから警察隊長も、国警 の隊長もいやそれは事情はわかっていますから、もし万一問題が起こっても適当に処理しますから、やってくださいというだけでやっておるのであって、これは そういうことではなくて、私どもは何らそういう心配なくやれるようにしていただけませんとらい予防の徹底は今の時代におきましてはできない。最終段階に来 ておりますから、従来の場合とは違いますから、従いまして法の改正もそれに即応するような法を作って頂かねば無理だと思います。 現在のらい療養所も、まだ十分病院の形を整えませんで、むしろ一部収容所の感があります。それと申しますのは、今らい療養所の運営の大部分を患者の精神 的、肉体的の協力に依存しているような現状でありまして、実際の運営面に患者が大部分関与しておりますので、遺憾ながら運営の実権を患者に握られておりま して、施設の運営上この点が致命的な欠陥となっております。 らい研究所の性格、内容につきまして私はらいのような複雑な問題の解決は、単なる医学的な研究だけで解決できない。それに付随して起こります社会問題を同 時に徹底的に研究しなければならない。従ってもしおつくりになるとすれば、その研究所が当然文化科学的な面も含めました、らい問題の文化科学的、社会事業 的な研究もしていただきたい。そうして両々相俟ってらい問題の根本的解決の基盤を提供するということにして頂きたい。らいの隔離根本理念などももう少し文 化科学的に研究していただく必要があると考えております。 それから名称変更の問題がありますが、アメリカではすでにハンセン氏病というように一般に申しております。らいに対しましては昔から宗教的、迷信的な偏見 がつきまとっておりまして、天刑病だとか、業病、遺伝だとか、不治だとかいうような特殊な考え方が一般に支配的になっております。患者自身の苦痛は、病気 による肉体的苦痛だけではございません。らいの悲劇はすべてここに胚胎しておりますのでこのような偏見を除去いたしまして、らいを一般に、社会的に認識せ しめまして、こういった重圧をとってやることもらい問題解決の大きな役割だと考えております。 Source: http://www.mognet.org/hansen/law/law_shogen.html |
ら
い予防法廃止に関する法律(平成8年) |
ハ
ンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律 |
(らい予防法の廃止) 第一条 らい予防法(昭和二十八年法律第二百十四号)は、廃止する。 (国立ハンセン病療養所における療養) 第二条 国は、国立ハンセン病療養所(前条の規定による廃止前のらい予防法(以下「旧法」という。)第十一条の規定により国が設置したらい療養所をいう。 以下同じ)において、この法律の施行の際現に国立ハンセン病療養所に入所している者であって、引き続き入所するもの(第四条において「入所者」という)に 対して、必要な療養を行うものとする。 第三条 国立ハンセン病療養所の長は、この法律の施行の際現に国立ハンセン病療養所に入所していた者であってこの法律の施行後にハンセン病療養所を退所したもの又 はこの法律の施行前に国立ハンセン病療養所に入所していた者であってこの法律の施行際現に国立ハンセン病療養所に入所していないものが、必要な療養を受け るため、国立ハンセン病療養所への入所を希望したときは、入所させないことについて正当な理由がある場合を除き、国立ハンセン病療養所に入所させるものと する。 (2)国は、前項の規定により入所した者(次条において「再入所者」という。)に対して、必要な療養を行うものとする。 (福利増進) 第四条 国は、入所者及び再入所者(以下「入所者等」という。)の教養を高め、その福利を増進するように努めるものとする。 (社会復帰の支援) 第五条 国は、入所者等に対して、その社会復帰に資するために必要な知識及び技能を与えるための措置を講ずることができる。 (親族の援助) 第六条 都道府県知事は、入所者等の親族(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)のうち、当該入所者等が入所しなかっ たならば、主としてその者の収入によって生計を維持し、又はその者と生計を共にしていると認められる者で、当該都道府県の区域内に居住地(居住地がない か、又は明らかでないときは、現地)を有するものが、生計国難のため、援護を要する状態にあると認めるときは、これらの者に対し、この法律の定めるところ により、援護を行うことができる。ただし、これらの者が他の法律(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)を除く。)に定める扶助を受けることができ る場合においては、その受けることができる扶助の限度においては、その法律の定めるところによる。 (2)援護は、金銭を給付することよって行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他援護の目的を達 するために必要があるときは、現物を給付することによって行うことができる。 (3)援護のための金品は、援護を受ける者又はその者が属する世帯の世帯主若しくはこれに準ずる者に交付するものとする。 (4)援護の種類、範囲、程度その他援護に関し必要な事項は、政令で定める。 (都道府県の支弁) 第七条 都道府県は、前条の規定による援護に要する費用を支弁しなければならない。 (費用の徴収) 第八条 都道府県知事は、第六条の規定による援護を行った場合において、その援護を受けた者に対して、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定により扶 養の義務を履行しなければならない者(入所者等を除く。)があるときは、その義務範囲内において、その者からその援護の実施に要した費用の全部又は一部を 徴収することができる。 (2)生活保護法第七十七条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に準用する。 (国庫の負担) 第九条 国庫は、政令で定めるところにより、第七条の規定により都道府県が支弁する費用の全部を負担する。 (公課及び差押さえの禁止) 第十条 第六条の規定による援護として金品の支給を受けた者は、当該金品を標準として租税その他の公課を課せられることがない。 (2)第六条の規定による援護として支給される金品は、既に支給を受けたものであるとないとにかかわらず、差し押さえることができない。 附則(施行期日) 第一条 この法律は、平成八年四月一日から施行する。 (経過措置) 第二条 この法律の施行の日前に行われ、又は行われるべきであった旧法第二十一条の規定による援護については、なお従前の例による。 第三条 この法律の施行の日前に行われ、又は行われるべきであった旧法第二十三条各号に掲げる措置に要する費用についての都道府県の支弁及び国庫の負担に ついては、なお従前の例による。 第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、旧法第二十六条の規定はなおその効力を有する。 (地方財政法の一部改正) 第五条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。第十条第四号中「、性病、寄生虫及びらい」を「性病」に改める。 (優生保護法の一部改正) 第六条 優生保護法(昭和二十三年法律第百五十六号)の一部を次のように改正する。 第三条第一項第三号を削り、同項第四号中「虞れ」を「おそれ」に改め、同号を同項第三号とし、同項第五号中「且つ」を「かつ」に、「虞れ」を「おそれ」に 改め、同号を同項第四号とし、同条第二項中「前項第四号及び第五号」を「前項第三号及び第四号」に改める。 第四条第一項第三号を削り、同項第四号を同項第三号とし、同項第五号中「姦淫されて」を「姦淫されて」に改め、同号を同項第四号とする。 (医療法の一部改正) 第七条 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。 第七条第二項中「、らい病床」を削る。 (国立病院特別会計法の一部改正) 第八条 国立病院特別会計法(昭和二十四年法律第百九十号)の一部を次のように改正する。 第一条第二項中「らい療養所」を「ハンセン病療養所」に改める。 (出入国管理及び難民認定法の一部改正) 第九条 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)の一部を次のように改正する。 第五条第一項中「又はらい予防法(昭和二十六年法律第二百十四号)」を削る。 (国民健康保険法の一部改正) 第十条 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の一部を次のように改正する。 第六条第八号中「国立のらい療養所の入所患者」を削る。 (国民年金法の一部改正) 第十一条 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。 第八十九条第二号中「又はらい予防法(昭和二十八年法律第二百十四号)によるこれに相当する援助」を「その他の援助であって厚生省令で定めるもの」に改 め、同条第三号を次のように改める。 三 前二号に掲げるもののほか、厚生省令で定める施設に入所しているとき。 第九十条第一項第二号中「又はらい予防法によるこれに相当する援助」を「その他の援助であって厚生省令で定めるもの」に改める。 (地方自治法の一部改正) 第十二条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。 別表第一第七号を次のように改める。 七 削除 別表第三第一号(十六)を次のように改める。 (十六)削除 (厚生省設置法の一部改正) 第十三条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。 第五条第三十九号中「らい」を「ハンセン病」に改める。 理由 ハンセン病に関する医学的知見及び治療方法の確率等を踏まえ、らい予防法を廃止するとともに、国立ハンセン病療養所に入所している者に対する医療及び福祉 の措置等を引き続き講ずる等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。 Source: http://www.mognet.org/hansen/law/law_heisei.html |
(平成13年6月22日) (法律第63号) ハンセン病の患者は、これまで、偏見と差別の中で多大の苦痛と苦難を強いられてきた。我が国においては、昭和二十八年制定の「らい予防法」においても引き 続きハンセン病の患者に対する隔離政策がとられ、加えて、昭和三十年代に至ってハンセン病に対するそれまでの認識の誤りが明白となったにもかかわらず、な お、依然としてハンセン病に対する誤った認識が改められることなく、隔離政策の変更も行われることなく、ハンセン病の患者であった者等にいたずらに耐え難 い苦痛と苦難を継続せしめるままに経過し、ようやく「らい予防法の廃止に関する法律」が施行されたのは平成八年であった。 我らは、これらの悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびするとともに、ハンセン病の患者であった者等に対するいわれのない偏見を 根絶する決意を新たにするものである。 ここに、ハンセン病の患者であった者等のいやし難い心身の傷跡の回復と今後の生活の平穏に資することを希求して、ハンセン病療養所入所者等がこれまでに 被った精神的苦痛を慰謝するとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復及び福祉の増進を図り、あわせて、死没者に対する追悼の意を表するため、 この法律を制定する。 (趣旨) 第一条 この法律は、ハンセン病療養所入所者等の被った精神的苦痛を慰謝するための補償金(以下「補償金」という。)の支給に関し必要な事項を定めるとともに、ハ ンセン病の患者であった者等の名誉の回復等について定めるものとする。 (定義) 第二条 この法律において、「ハンセン病療養所入所者等」とは、らい予防法の廃止に関する法律(平成八年法律第二十八号。以下「廃止法」という。)によりらい予防 法(昭和二十八年法律第二百十四号)が廃止されるまでの間に、国立ハンセン病療養所(廃止法第一条の規定による廃止前のらい予防法第十一条の規定により国 が設置したらい療養所をいう。)その他の厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所(以下「国立ハンセン病療養所等」という。)に入所していた者であって、こ の法律の施行の日(以下「施行日」という。)において生存しているものをいう。 (補償金の支給) 第三条 国は、ハンセン病療養所入所者等に対し、その者の請求により、補償金を支給する。 (請求の期限) 第四条 補償金の支給の請求は、施行日から起算して五年以内に行わなければならない。 2 前項の期間内に補償金の支給の請求をしなかった者には、補償金を支給しない。 (補償金の額) 第五条 補償金の額は、次の各号に掲げるハンセン病療養所入所者等の区分に従い、当該各号に掲げる額とする。 一 昭和三十五年十二月三十一日までに、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者千四百万円 二 昭和三十六年一月一日から昭和三十九年十二月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 千二百万円 三 昭和四十年一月一日から昭和四十七年十二月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 千万円 四 昭和四十八年一月一日から平成八年三月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 八百万円 2 前項の規定にかかわらず、同項第一号から第三号までに掲げる者であって、昭和三十五年一月一日から昭和四十九年十二月三十一日までの間に国立ハンセン病療 養所等から退所していたことがあるものに支給する補償金の額は、次の表の上欄に掲げるハンセン病療養所入所者等の区分及び同表の中欄に掲げる退所期間(昭 和三十五年一月一日から昭和四十九年十二月三十一日までの間に国立ハンセン病療養所等から退所していた期間を合計した期間をいう。以下同じ。)に応じ、そ れぞれ、同表の下欄に掲げる額を同項第一号から第三号までに掲げる額から控除した額とする。 ハンセン病療養所入所者等の区分 退所期間 額 前項第一号に掲げる者 二十四月以上百二十月未満 百二十月以上二百十六月未満 二百十六月以上 二百万円 四百万円 六百万円 前項第二号に掲げる者 二十四月以上百二十月未満 百二十月以上 二百万円 四百万円 前項第三号に掲げる者 二十四月以上 二百万円 3 退所期間の計算は、退所した日の属する月の翌月から改めて入所した日の属する月の前月までの月数による。 4 昭和三十五年一月一日から昭和三十九年十二月三十一日までの間の退所期間の月数については、前項の規定により計算した退所期間の月数に二を乗じて得た月数 とする。 (支払未済の補償金) 第六条 ハンセン病療養所入所者等が補償金の支給の請求をした後に死亡した場合において、その者が支給を受けるべき補償金でその支払を受けなかったものがあるとき は、これをその者の配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死 亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(以下「遺族」という。)に支給し、支給すべき遺族がないときは、当該死亡した者の相続人に支給する。 2 前項の規定による補償金を受けるべき遺族の順位は、同項に規定する順序による。 3 第一項の規定による補償金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その全額をその一人に支給することができるものとし、この場合において、その一人に した支給は、全員に対してしたものとみなす。 (損害賠償等がされた場合の調整) 第七条 補償金の支給を受けるべき者が同一の事由について国から国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)による損害賠償その他の損害のてん補を受けたときは、 国は、その価額の限度で、補償金を支給する義務を免れる。 2 国は、補償金を支給したときは、同一の事由については、その価額の限度で、国家賠償法による損害賠償の責めを免れる。 (譲渡等の禁止) 第八条 補償金の支給を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。 (非課税) 第九条 租税その他の公課は、補償金を標準として課することができない。 (不正利得の徴収) 第十条 偽りその他不正の手段により補償金の支給を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、国税徴収の例により、その者から、当該補償金の価額の全部又は一部を徴 収することができる。 2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。 (名誉の回復等) 第十一条 国は、ハンセン病の患者であった者等について、名誉の回復及び福祉の増進を図るとともに、死没者に対する追悼の意を表するために必要な措置を講ずるよう努 めなければならない。 2 前項の措置を講ずるに当たっては、ハンセン病の患者であった者等の意見を尊重するものとする。 (厚生労働省令への委任) 第十二条 この法律に定めるもののほか、補償金の支給の手続その他の必要な事項は、厚生労働省令で定める。 附則 この法律は、公布の日から施行する。 |
ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律施行規則
厚生労働省令第百三十三号
ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成十三年法律第六十三号)第十二条の規定に基づき、ハンセン病療養所入所者等に対する補
償金の支給等に関する法律施行規則を次のように定める。
平成13年6月22日
厚生労働大臣 坂口 力
ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律施行規則
(補償金の請求)
第一条
ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成十三年法律第六十三号。以下「法」という。)第三条の規定により補償金の支給を受けよ
うとする者は、次に掲げる事項を記載して署名又は記名押印した請求書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
一 請求者の氏名、性別、生年月日及び住所
二
請求者が入所していた国立ハンセン病療養所等において前号の氏名と異なる氏名を用いていた場合にあっては、当該国立ハンセン病療養所等において用いていた
氏名
三 平成八年三月三十一日までの間に入所していたすべての国立ハンセン病療養所等の名称
四 前号の国立ハンセン病療養所等について、それぞれ入所した年月日(退所した場合にあっては、入所した年月日及び退所した年月日)
五 払渡しを受ける機関に金融機関を希望する者にあっては、払渡希望金融機関の名称及び預金通帳の記号番号
六 払渡しを受ける機関に郵便局を希望する者にあっては、払渡希望郵便局の名称及び所在地
七 請求年月日
2 前項の請求書には、次に掲げる書類を添えなければならない。
一 住民票の写しその他の前項第一号に掲げる事項を証明することができる書類
二 請求者の生存を証明することができる書類
三 前項第五号に規定する者にあっては、預金通帳の記号番号を明らかにすることができる書類
3 第一項の請求書は、現にハンセン病療養所に入所している者にあっては、当該ハンセン病療養所を経由して厚生労働大臣に提出するものとする。
(支払未済の補償金の請求)
第二条 法第六条第一項の規定により支払未済の補償金の支給を受けようとする者は、次に掲げる事項を記
載して署名又は記名押印した請求書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
一
請求者の氏名、性別、生年月日、住所及び当該請求に係るハンセン病療養所入所者等(以下この条において単に「ハンセン病療養所入所者等」という。)との身
分関係
二 ハンセン病療養所入所者等の氏名、性別、生年月日及び住所
三 ハンセン病療養所入所者等の死亡年月日
四 払渡しを受ける機関に金融機関を希望する者にあっては、払渡希望金融機関の名称及び預金通帳の記号番号
五 払渡しを受ける機関に郵便局を希望する者にあっては、払渡希望郵便局の名称及び所在地
六 請求年月日
2 前項の請求書には、次に掲げる書類を添えなければならない。
一 住民票の写しその他の請求者の氏名、性別、生年月日及び住所を証明することができる書類
二 ハンセン病療養所入所者等の死亡の事実及び死亡年月日を証明することができる書類
三
請求者が遺族である場合にあっては、請求者とハンセン病療養所入所者等との身分関係を証明することができる書類及び請求者がハンセン病療養所入所者等の死
亡の当時その者と生計を同じくしていたことを証明することができる書類
四 請求者が相続人である場合にあっては、相続人であることを証明することができる書類
五 前項第四号に規定する者にあっては、預金通帳の記号番号を明らかにすることができる書類
(支給決定の通知)
第三条
厚生労働大臣は、第一条第一項又は前条第一項の請求書を受理したときは、これを審査し、補償金の支給の可否及び支給する場合における補償金の額を決定し、
これらを請求者に通知しなければならない。
(添付書類の省略等)
第四条
第一条第一項又は第二条第一項の規定により請求書を提出すべき場合において、厚生労働大臣は、特別な事由があると認めたときは、その書類の添付を省略さ
せ、又は前条の審査のために必要な書類の提出を求めることができる。
(フレキシブルディスクによる手続)
第五条第一条第一項又は第二条第一項の請求書の提出については、これらの書類に記載すべき事項を記録したフレキシブルディスク並びに請求の趣旨及びその年
月日並びに請求者の住所を記載するとともに、請求者が署名又は記名押印した書類を提出することによって行うことができる。
(フレキシブルディスクの構造)
第六条 前条のフレキシブルディスクは、日本工業規格X六二二三号に適合する九十ミリメートルフレキシブルディスクカートリッジでなければならない。
(フレキシブルディスクへの記録方式)
第七条 第五条のフレキシブルディスクへの記録は、次に掲げる方式に従ってしなければならない。
一 トラックフォーマットについては、日本工業規格X六二二四号又は日本工業規格X六二二五号に規定する方式
二 ボリューム及びファイル構成については、日本工業規格X〇六〇五号に規定する方式
(フレキシブルディスクにはり付ける書面)
第八条
第五条のフレキシブルディスクには、日本工業規格X六二二三号に規定するラベル領域に、次に掲げる事項を記載した書面をはり付けなければならない。
一 請求者の氏名
二 請求年月日
附則
この省令は、公布の日から施行する。
Source: http://www.mognet.org/hansen/law/compensation02.html
___________________
ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律第2条の厚生労働大臣が定める ハンセン療養所
厚生労働省告示第二百二十四号
ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成十三年法律第六十三号)第二条の規定に基づき、厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所
を次のように定める。
平成13年6月22日
厚生労働大臣 坂口 力
ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律第二条の規定に基づき厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所ハンセン病療養所入所者等に対す
る補償金の支給等に関する法律(平成十三年法律第六十三号)第二条の厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所は、次のとおりとする。
一
明治四十年法(昭和二十八年法(らい予防法の廃止に関する法律(平成八年法律第二十八号)第一条の規定による廃止前のらい予防法(昭和二十八年法律第二百
十四号)をいう。以下同じ。)附則第二項の規定による廃止前の癩予防法(明治四十年法律第十一号)をいう。以下同じ。)第三条第一項の国立癩療養所及び第
四条第一項の規定により二以上の道府県が設置した療養所
二 前号の国立癩療養所と同視することが相当と認められる次に掲げるハンセン病療養所
イ 明治四十年法律第十一号中改正法律(昭和六年法律第五十八号)が施行されるまでの間における国立癩療養所長島愛生園
ロ 国に移管されるまでの間における沖縄県立国頭愛楽園及び沖縄県立宮古保養院
ハ
千九百四十五年米国海軍軍政府布告第一号及び千九百四十五年米国海軍軍政府布告第一のA号の規定により施行を持続することとされた明治四十年法第三条第一
項の国立癩療養所
三 昭和二十八年法第十一条の規定により国が設置したらい療養所
四 ハンセン氏病予防法(千九百六十一年立法第百十九号)第十四条の規定により琉球政府が設置したハンセン氏病療養所及び琉球政府が指定した政府立病院
五
次の表に掲げる私立のハンセン病療養所(平成八年三月三十一日までの間又は当該療養所を廃止するまでの間に名称の変更があった場合には当該変更後の名称の
もの及び当該ハンセン病療養所の事業を承継したハンセン病療養所があった場合には当該事業を承継したものを含む。)
Source:
http://www.mognet.org/hansen/law/compensation03.html
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