統合医療
Integrative medicine
解説:池田光穂
●統合医療(Integrative medicine)
日本伝統医療(漢方)の劣勢に対 抗してうまれたのが統合医療である。(社)日本統合医療学会は次のように統合医療を説明している。冒頭の最初のセンテンスは意味不明であるが、近代西洋医学を批判しながらも、そ れを含めた伝統医療なども含めた医療運動(かつてホーリスティック医療運動と呼ばれたものの変奏であるように思われるが)を標榜している。2012年以 降、厚生労働省なども支援している旨が書かれている。
「統合医療は医療の受け手である「人」を中心とした医療システムである。
近代西洋医学に基づいた従来の医療の枠を超えて、「人」の生老病死に関わり、種々の相補(補完)・代替医療を加味し、生きていくために不可欠な「衣・食・
住」を基盤として、さらには自然環境や経済社会をも包含する医療システムである。21世紀に入り、超高齢社会や大災害、がんなどの生活習慣病や難治性疾患
の増加、分化や高度化に伴った医療費の増大により、医療保険の枠組では限界のある、従来の医療から統合医療が求められている。2011年の東日本大震災に
おける統合医療の実績を踏まえて、2012-13年には厚生労働省で「統合医療の在り方に関する検討会」が開催され、2014年からは国民に統合医療の正
しい情報を発信するデータベース(統合医療情報発信サイト)の事業が始まった。さらに、2016年には厚生労働省医政局に統合医療企画調整室が開設され
た。このように政府が動き出す中で、医療従事者や一般市民への統合医療への理解は急速に浮上してきた。/統合医療の実施にあたり、統合医療には2つのモデ
ルが考えられる。一つは患者を中心とした、医療従事者の多職種連携による集学的チーム体制で患者の疾病に対応しようとする「医療モデル」であり、もう一つ
は地域住民を中心とした、地域コミュニティの多世代連携による地域住民の生活の質(QOL)の向上を目的とした「社会モデル」である」統合医療とは=日本統合医療学会のHP)
なお、次に説明する米国の補完代替医療(CAM)の定義では、この統合医療と呼ばれ ているものが含まれているために、それは、正統的な医療とは米国内ではみなされていない部分も含むと見なされている。米国の国立がん研究所(National Cancer Intsitute)では、統合医療は、「標準的な医療ケア(standard medical care)」をメインにしてそれに「患者の心、身体、精神(スピリッ ト)を扱い、安全で効果的と見なされてきた補完代替医療」を組み合わせたものであると定義されている。
"Integrative
medicine is a total approach to medical care that combines standard
medicine with the CAM practices that have been shown to be safe and
effective. They treat the patient's mind, body, and spirit." - Complementary
and Alternative Medicine.
●補完代替医療 (Complementary and Alternative Medicine, CAM)
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文献
その他の情報
ここがユニーク!:それ自身で独立したカテゴリーとしてではなく、 伝統医療を理解するためには、その参照軸となる近代医療を抜きにしては語れないことを明らかにした(もちろん議論の余地はある!)
【参考文献】
(池田光穂 . Mitsuho Ikeda, copyright, 2000-2019)