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金夏日

きん・はいる、キム・ハイル、 김하일; KIM Ha Il, 1926-

池田光穂

金 夏日(きん・はいる,1926- )は、在日コリアンの歌人・作家、元ハンセン病患者。金山光男(金山光雄)、吉川正夫等の日本名・ペンネームがある。

年譜(おもに歌集『機を織る音』の 「著者略歴」等より)

1926 大正15 韓国慶尚北道桃山洞の 農家に生まれる

1932 12月総督府が、朝鮮癩予防協会を、貞明皇后からの下賜金(かしきん)をもとに設立する(日弁連検証会議 2007:204)

1939 先に日本に渡った父を訪 ね、母と長兄夫婦、次兄らと日本本土に渡る。菓子工場に勤め、夜学に通う(「十三歳の夏日少年釜山にてラッパ型拡声器初めて見たり」)

「菓子工場の仲間と共に日光に旅行せしころは健やかなりき」

1941 ハンセン病を発病、東京・ 多磨全生園に入所。

1942 長島愛生園の宮川量(ペンネーム東洋癩生)『愛生』13(1)1943年に寄稿し、日本のハンセン病患者を大東亜共栄圏に送り出し現地のハンセン病患者を看護する「救癩挺身隊」の構想を論じる。

1944 長兄が海軍軍属にとられ、逼迫した 家計を支えるために多磨全生園を一時退園。

1945 東京大空襲(3月10日他 にも複数回)に遭遇し、焼け出される。ハンセン病再燃、眼を病む。長兄戦死公報届く(戦死せし兄は遺族の知らぬ間に靖国神社に祀られていき (『一族の 墓』p.72、2009年))

1946 群馬・栗生楽泉園(くり う・らくせんえん)に入所。亡くなった長兄の妻子と次兄ら帰国する

1949 両眼失明。短歌を学ぶ。高原短歌会、潮 汐会(ちょうせきかい、『潮汐』を発行)に入会——「潮汐」は鹿児島寿蔵(かごしま・じゅうぞう, 1898-1982)が創刊した。キリスト教に改宗。母、帰国。

1950 東京に残った父と、帰国し た母、相前後して死亡

1951 父の遺骨をひきとり、療園 内の納骨堂に収める

1952 点字を舌読で学ぶ。同年 「外国人登録法(2012年廃止)」[昭和二十七年四月二十八日・法律百二十五号]施行。 作歌時期不詳なれども「指紋押す指の無ければ外国人登録証にわが指紋なし」(『やよひ』p.12、1993年)がある

1955 朝鮮語点字を通信教育で学 ぶ

1956 『陸の中の島:全国ハンゼン氏病患者短歌集』全患協編、新興出版社、1956年(書誌(金山光男 名で収載)

1957 『盲導鈴』栗生楽泉園高原短歌会 編、新星書房、1957年(金山光雄 名で、48-55ページに収載)。

1960 療園内の同胞により朝鮮語 学校が開校し、朝鮮語を学びはじめる。

1963 大腸と胆嚢の手術をうける

1964 点字を正確にうつために、 手指の整形手術をうける

1966 『山霧』栗生楽泉園、高原短歌会、新星書房(金山光雄 名で収載)

1969 病菌陰性と診断され、九州 へ旅行

1970 『三つの門内田守人編、人間的社(金山光夫、名で収載)

1970年代から(75年以降?)日本名・金山光男より金夏日(きむ・はいる)を名乗るようになる。

1971 2月第一歌集『無窮花(むくげ):金夏日歌集』光風社、を出版(後に、『在日朝鮮人(近代民衆の記録10)』新人物往来社、 1978、および『詩歌集(第1集)』勉誠出 版、2006年に収載される)

無窮花とはいかなる花か朝鮮の国花と聞けばわれは知りたし

1973 3月8日父の遺骨を抱いて 埋葬のため帰国

1978 『冬の花』栗生楽泉園、高原短歌会、短歌新聞社(金夏日 として収載)

1986 2月第二歌集『黄土』短歌出版社を出版。

1987 8月栗生楽泉園のコリアン 有志による合同歌集、「トラジの詩(うた)」編集委員会編『トラジの詩』(皓星社)に参加、出版する

1988 『融雪栗生楽泉園、高原短歌会、短歌新聞社(金夏日 として収載);『ハンセン療養所歌人全集』(藤楓協会, 1988

1990 随筆集『点字と共に』皓星 社を出版

1991 『点字と共に』が平成3年 群馬県文学賞(随筆部門)を受賞

1992 (社)群馬県視聴覚障害者 福祉協議会より文学賞受賞。『高原短歌会合同歌集

1993 第三歌集『やよひ』短歌出 版社を出版

2002 『ハンセン病文学全集』 (大岡信1931- 、大谷藤郎1924- 2010、加賀乙彦1929- 、鶴見俊輔1922-2015、田口麦彦1931- 、編)の刊行はじまる(〜2010年まで)

2003 作品10篇を加えた『点字 と共に(増補改訂版)』を皓星社より出版。第四歌集『機 を織る音』皓星社、を出版

2005 徐京植(ソ・キョンシ:서 경식)『ディアスポラ紀行』(岩波新書)岩波書店において言及。韓国の故郷への墓参に毎日新聞の萩尾信也記者が同行。萩尾記者は「人の証し」を連載。

2006 『週刊朝日』に舌読の写真 とともに掲載される。『詩歌集』(「在日」文学全集;磯貝治良, 黒古一夫編)勉誠出版;『ハンセン病文学全集8 短歌』(書誌と収載歌集リスト

2009 『一族の墓』影書房、を出版

2010 5月桂川潤ならびに西浩孝の両氏が訪問し鼎談をする。

2015 10月27日「重監房資料館」 (群馬県吾妻郡草津町草津白根464-1533)を訪問

2017 8月18日朝日新聞デジタ ル「群馬)二重の差別と闘う金夏日さん 朝鮮学校の教科書に」で、朝鮮学校高級部(高校)2年の日本語教科書に掲載されたことを伝える。「金夏日(90) =韓国籍」との記載も見える。

舌読(ぜつどく)の写真は別人の方です。

金夏日本人の歌(金山光男、吉川正夫)

謝辞

김하일; KIM Ha Il のハングル表記およびローマ字表記は、太田心平さん(国立民族学博物館)にご教示いただいた。記して感謝します(2018年5月21日)。

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