世直しとしてのピー・ビー・エル(PBL)
Problem-Based-Learning as an attempt to
make the world a better place
学習者自身が中心となり、反省的反復の作業をともないながら、実践される少人数グループの教育手法ことを、「問題にもとづく学習(ピー・ビー・ エル)」とよぶ。PBLとは, Problem Based Learningのアクロニム(頭文字による略記法)である。PBLに対照的な(つまり正反対の)従来型の教育手法のことを「系統的学習」と呼ぶ。教育手 法における正統的周辺参加論(LPP)では(アクティブな)状況的学習に反対としてとらえられる古典的学習がこの系統的学習に相当する。私たちが座学で先 生から講義を聞き、生徒や学生たちがノートをとって勉強するものである。
世界の大学で標準化されたPBLは、1)シナリオが学習グループに提示される、2)グループはそこに含まれている問題をあぶり出す、3)ブレイ ンストーミングをして、既知と未知を峻別して、できそうな課題を見つけ出す、4)課題を構造化して、既知を整理し、未知の項目の探索を決定する、5)全員 で相談して分担を決める、6)各人が図書館やインターネットで情報収集する個別学習を実践する、7)グループがスケジュールを組み再集合して、議論を熟議 のレベルにまで高める、という7つの段取りから成る(そのためセブン・ステップスと呼ばれる)。つまり学期を通して、小グループ学習+自発学習+問題中心 の学習という3つの要素から構成されるのである。
シナリオというのは、とてもシンプルなもので、マーストリヒト大学の学部生には次のようなものが提示されるだけである:
「ドイツのアーヘン市の保健サービス局が、マーストリヒト市の保健サービス局に、ベルギー・リエージュ市の一般診療医師から開放性結核の症 例1例の報告があったと知らせてきました。患者は39歳の電気技師(男性)で、高度な技術設計、施行をする会社に雇われています。最近、アーヘンとマース トリヒトの病院に現場を持ち、公共交通機関を利用して行き来していたとのことです。この患者の報告から何日かのち、こんどは、マーストリヒト在住の電車通 勤者に、開放性結核症例が報告されました。あなたは、つぎのような疑問について検討します。結核はどのように広がるのでしょうか? 何がリスクファクターでしょうか? 結核の広がりをふせぐために、国内で、また、国をまたがって、どのような手段が必要でしょうか?」
ここまで説明を聞くと、世直し研究会のメンバーはこう呟くはずである:「私たちがこれまで研究会で取り上げてきたような、世直し課題はすべて具 体的なものであり、その解決にはさまざまな専門家の知恵を総合的にまとめる熟議が必要だ。PBLって『世直し研究会』での勉強法と同じではないだろう か?」
まったくその通りである。どのような社会問題の気づきも自分の足元から出てこないと、学生の熟議能力を軽視する先生(教授)が押し付けてくる系
統的学習(古典的学習)の中の練習問題のひとつにされてしまう。つまり、世直し研究会の別名はピー・ビー・エルと言っても過言ではない。
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