はじめによんでください

熊野訳ヘーゲル『精神現象学』小見出し一覧

Hegel's Phenomenology of Spirit

池田光穂


☆熊野純彦訳の『精神現象学』 には、原著にはない訳者の小見出しがついている。これが、小見出しのない、なぐり書きのようなヘーゲルの原著を格段に読みやすくする。以下は、目次に収載 された小見出しをOCRで文字情報に変換したものである。変換ミスがあるが、おりおり修正していく予定である。まずは、この小見出しを、ざっとみて『精神現象学』の全体像をはやく掴んでほしい。

★ 精神現象学 / G.W.F. ヘーゲル著 ; 熊野純彦訳, 上,下. - 東京 : 筑摩書房 , 2018.12.,からの小見出しを引用する

The Preface
序文
哲学書に「序文」は必要か?
哲学的体系 どうしの関係について/
教養のはじまり は、実体的な生からの離脱にある/
真理は学的な体系としてのみ実現される/
直接 知の立場が、このことに反対している/
精神の現況はどのようなものであり、哲学 になにが要求されているのか?/
哲学に対するそのような要求の背後にあるもの/ 私たちの時代は誕生の時代である/
登場してきたばかりの学には、避けがた<欠陥 がある/
学の内容と形式をめぐるあらそい/形式主義の批判—すべての牛が黒く なる夜/
真なるものは主体として把握され、表現されなければならない/
実在と、 それをとらえる形式は不可分である/真なるものとは、自己展開してゆく全体であ る/
アリストテレスの「不動の動者」にことよせて/
「主語ー述語」という命題形 式の不十分さについて/
知はただ体系としてのみ現実的なものである/
真なるもの は体系として現実的となるが、それは絶対的なものが精神だからである/
絶対的に 他であるもののうちで純粋に自己を認識すること/
精神の現象学は、学一般あるい は知の生成を叙述する/
精神現象学の課題—特殊な個人から普遍的な個人への道 程/
精神現象学が叙述するのは、世界精神が遍歴してきた形態のすべてである/
熟 知されていることがらは、認識されたことがらではない/
表象の分析ー~精神の生 は死に直面して、死を超える/
古代における予備学のありかたは近代のそれとこと なっている/
論理学と精神現象学との関係—後者があきらかにするのは意識の世 界性である/
学の体系•第一部としての精神現象学の課題/意識の経験の学から思 弁的哲学としての論理学へ/
精神の現象学はたんに否定的な道程であるか/真理と 非真理との関係について/
歴史記述上の真理について/
数学的な真理と哲学的な真 理/
数学的な認識の欠陥について/
数学の目的と素材—最と空間/
純粋数学と応 用数学―あるいは時間について/
数学的詔識と対照されるかぎりでの哲学的認識 について/
哲学では、数学的方法はすでに時代おくれである/
ふたたび形式主義に ついて一ーその自然哲学を中心に/
形式主義的な「構成」の例―医学理論その他 の場合/
カント的なt吾性の立場と学の立場との差異/
「存在」と「思考」とが一致 することの意味/
ヌース、イデア、エイドス/
存在するものはそれ自身において概 念であり、形式である/
「序文」における断言が、べつの断言によって反駁される ことはない/
哲学研究にさいして要求されることはなにか/
詭弁的な思考のふたっ の側面(一)/
詭弁的な思考のふたつの側面(::)/
命題形式・再考/哲学的テクストが難解であるとされる理由/
弁証法的な運動とその叙述/
命題的形式と 弁証法的方式/ 哲学もまた修得されるべき一箇の仕事である/
いわゆる「健全な悟性」と「詩的」 な「哲学」/
「健全な人間悟性」とその欺瞞/
「学問に王道はない」ということ/
プ ラトン、アリストテレスの受容史にことよせて/
「普遍性」の時代と、個人の役割
Introduction
はじめに[序論]
「認識=道具/媒体」説とその困難/
「認 識=道具/媒体」説の前提/
絶対的なもの のみが真であり、真なるものだけが絶対的である/
「現象する知」を叙述すること /
「自然的な意識」と「たましいの宿駅」/
「懐疑」の道と「絶望」の途/
進行の必 然性と、「規定された否定」/
意識は自己自身を超越する/
探究の困難—吟味の尺 度は存在するか/
意識は或るものをじぶんから区別し、同時にこれに関係する/
意 識はみずからのうちに尺度をそなえ、意識は自己自身を吟味する/
知が変化すれば、 対象もまた変容する/
弁証法的運動としての「経験」/
意識に対して対象であるも のは、私たちに対しては生成である/
意識の経験の学としての「精神の現象学」の 理念
A. Consciousness I. Sense-Certainty, This, & Meaning A.意識
I. 感覚的確信、これと、その意味
直接的な知とはなにか?/
感覚的な確信の 農饒と貧困/
直接性のなかの媒介— 「この者」と「このもの」の区別/
「このもの」とはなにか一ー第一に「いま」をめ ぐって/
「このもの」とはなにかーー第二に「ここ」について/
「このもの」から 「この者」への移行/
「この者」である〈私〉をめぐる経験と、その弁証法/
「この もの」と「この者」の全体という場面への移行/
直接的で全体的な確信の真理を 「指示」することへ/
直接的な「指示」とその弁証法/
「いま」とは多くの「いま」 である/
「ここ」もまた多くの「ここ」である/
感覚的確信の総括1バッカス の秘儀/
感覚的確信の総括2—意識の普遍性と言語の普遍性

II. Perception, Thing, & Deceptiveness II. 知覚、物とその錯覚
感覚的確信から知覚の真理へ/
知覚の対象 とは「多くの性質をそなえた事物」であ る/
「このもの」とは「このものではないもの」である一「止揚」の意味/
事物 であることの二面性—肯定的な「また」と否定的な「一」/
「事物」の概念と諸契 機/知覚にさいしての意識の第一のふるまい/
知覚する意識が経験する第一の弁証 法/
第一の弁証法から第二の弁証法へ/
知覚する意識が経験する第=の弁証法/
第 二の弁証法の反転一「また」と「かぎりにおいて」/
「私たち」の立場から意識の 経験を比較すること/
ひとつの事物と他の事物一対自と対他/
本質的な性質と非本質的な性状という区別/
事物は他のものとの関係においてのみ自立的に存在す る /
個別性と普遍性の弁証法/総括—悟性の領圏へ

III. Force & Understanding III. 力とその理解
知鎚から悟性へ—無条件的に普遍的なもの の生成/
「無条件的に普遍的なもの」 という結果の二面性/
「力」の概念/
「誘発するもの」と「誘発されるもの」/
力の たわむれ/
内容と形式の区別とその解消/
力の概念と「内なるもの」/
「内なるも の」と「現象」/
「超感覚的なもの」と現象/
現象の真のありかたは「法則」である /
限定された法則と普遍的な法則/さまざまな力と法則/
「説明」とはなにか/
「第 二次の法則」と内的な区別/
顛倒された世界/
顛倒した世界とは現象に対する「自 体」ではない/
「内的な区別」と「無限性」/
「無限性」と「法則」/
「絶対的概念」 としての「単純な無限性」/
「自己意識」の段階への移行/
内的な区別、無限性、自 己意識
B. Self-Consciousness IV. True Nature of Self-Certainty B. 自己意識
IV. 自己確信の真理(120)
自己自身にかんする確信の成立/
自己意識 とは真理の故郷である一ー先行形態との 関係/
欲望としての自己意識の対象は生命あるものである/
円環を形成する生命の 本質/
生命と生命あるもの一一円環としての生命/
類としての生命と、自己意識の 登場/
自己意識が満足に到達するのは他の自己意識においてのみである/
自己意識 の概念/
精神の概念―「私たちである私、私である私たち」

A. Lordship & Bondage A.支配と隷属
自己意識は他の自己意識に対して、承認さ れたものとして存在している/
承認の概 念とその運動1/
承認の概念とその運動2/
自己意識の確信とその相互性/
承認を めぐる生死を賭した闘争/
「主人」と「奴隷」の成立/
支配と隷属1一「主人」 であること/
支配と隷属2不均等な承眩の成立/
支配と隷属3反転する関 係/
支配と隷属4「奴隷」であること/
支配と隷属5「労働」という契機 をめぐって/
「死」という絶対的主人一「恐怖」と「形成」

B. Unhappy Consciousness B. 自己意識の自由——ストア主義、懐疑主義、不幸な意識
主人と奴隷の対立から、ストア主義への移 行/
「ストア主義」の原理—主人と奴 隷からの解放/
ストア主義の限界—抽象的な自由/ストア主義を実現するものと しての懐疑主義/
懐疑主義における弁証法的なもの/
懐疑主義とこころの平静/
 「不幸な意識」への移りゆき/
「不変的なもの」と「可変的なもの」との対立/
勝利 なきたたかいとしての不幸な意識/
不幸な意識がたどる運動の概観/
不幸な意識の「経験」と「私たち」の視点/
「受肉」の意味とイエスの死/
可変的なものと 不変的 なものが「ひとつ」であること/
純粋意識としての非本質的意識/
不幸な意識にお ける欲望と労働ならびに享受の次元/
不変的な意識の犠牲と、個別的な意識の感謝 /
不幸な意識における第二の関係から第三の関係への移行/
意識の不幸と個別性の 廃絶/
不幸な意識における個別性の断念—喜捨と苦行/
「自己意識」の段階から 「理性」の段階への移行
C. (AA) Reason
C. (AA) 理性 「不幸な意識」から「理性」ヘ一「媒語」 としての意識/
理性の立場と「観念論」 の成立/
「断言する」観念論/
「カテゴリー」と悪しき観念論/
ひとつの純粋なカテ ゴリーと、多くのカテゴリー/
空虚な観念論はむしろ絶対的な経験論である
V. Certainty & Truth of Reason
確実性と理性=合理性の真理
A. Observation as Reason A.観察する理性
観察する理性への移行―理性とは世界であ り、世界は理性的である/
観察する理 性とその運動
【自然の観察】
記述すること一般について/
諮識の「標識」に ついて/
観察と記述の限界/
「標識」の観察から法則の概念へ/
法則の概念と「経 験」/
「実験」は「真理」を確証するか?/
「実験」とはなにか?/
物質あるいは 「素」から「有機的なもの」へ/
有機的なものと非有機的なもの/
カントの「自然 目的」について/
目的論的関係をめぐって/
目的論と自己意識/
有機的な事物の合 目的性と偶然性/
はたらきとしての有機的なもの/
「内なるもの」と「外なるもの」 の登場/
「内なるもの」にかんして一ー感受性、反応性、再生/
神経システム、筋 肉システム、内臓システム/
有機体をめぐる諸法則の絡みあいについて/
諸法則の 絡みあいの実相—同義反復としての諸法則/
法則定立という空虚なたわむれ/
 「内なるもの」、内なるもの自身の「外なるもの」/
内なるものと「形態」としての 外なるものについて/
「法則」という表象と思想について/
質的区別の盪的区別ヘ の転換/
感覚的なものと有機的なもの、知覚されたものと悟性が把捉するものとの 取りかえ/
外なるものにとっての内なるものと、外なるものとの関係について/
内 なるものの外なるもの、外なるものの内なるもの/
有機的なものにとっての数と量 —比重について/
非有機的なものとしての非有機的なもの/
有機的なものと非有 機的なものの比較から生じる帰結/
有機的なものにおける類、種、個別性/
有機的 なものにおける「推論」の成立/
普遍的な生命をは偶然的理性である/
有機的なも のを観察する理性の限界
【b 自己意識をその純粋なありかたにおいて、また外 的現実への関係で観察すること論理学的法則と心理学的法則】
思考の法則の二 面性—その抽象性と実在性/
思考の法則における「形式」と「内容」/
観察する 意識から行為する意識へ/
心理学的法則について/
法則における個体性と普遍性/
環境、状況、習慣、習俗、宗教等々が個体に与える「影響」なるもの/
心理学 的法 則の崩壊
【c 自己意識がみずからの直接的な現実に対して有する関係の考察 人相術と頭蓋論】
心理学的観察から人相術へ/
身体が与える形態ー一「身体」と 「相貌」について/
語る唇、はたらく手/人相術と占星術、手相占い/
とくに「手」 について_手とは精神の器官である(アリストテレス)/
手、口、声、書記をめ ぐって/
「なすこと」(行為)と「外化」(表情)/
「外化」としての相貌から「内な るもの」を表現する行為へ/
人相術はじっさいにはなに全問題としているか/
人相 術の「法則」なるものとはなにか/
「思いなされたこと」から「なされたこと」へ /
「頭蓋論」へと移行するにあたっての予備的考察/
ふるまいと器官との対応_ 行為の器官、生殖器官、プラトンの肝臓/
神経系、脳髄、頭蓋/精神の座はどこに あるか_脳髄ならびに脊髄と、頭蓋ならびに脊柱/
脳髄と頭蓋の関係、頭蓋と自 己意識との関係/
脳髄と頭蓋との関係をめぐるさまざまな語られかたについて/
観 察する意識にとっての課題の限定/頭蓋骨はなにも語るものではない/
頭蓋骨はな にも感じるものではない/
頭蓋論の本来的な欠陥をめぐって/
なお残される、しか し空虚な可能性_頭蓋論の拡大?/
ひとつの空虚な逃げ道_「素質」とその 「実現」をめぐって/
素質も頭蓋も精神の活動とはかかわりがない/
「救いの戸口に 立つものこそが、もっとも遺棄される」/
観察する理性の回顧ー)_非有機的な自 然と有機的な自然/
観察する理性の回顧口—ー一思考の法則から人相術へ/
観察する 理性の回顧曰_頭蓋論の到達点「精神とは骨である」/
頭蓋論と「不幸な意識」 との関係_「事物」と「カテゴリー」/
観察する理性の帰結_生殖器官と排泄 器官

B. Realization of rational self-consciousness B.合理的な自己意識の実現
自己意識としての理性の現段階/
観察する 理性と活動する理性_あるいは意識と 自己意識/
習俗、人倫、人倫的実体/各人は意識的ー無意識的に万人の労働を遂 行する/
自由な民族の幸福な共同体とその限界/
自己意識と世界との関係-実践 的な意識について/
人倫的な世界の経験_人倫性と道徳性/
世界のなかで活動す る理性の諸段階
【a 快楽と必然性】
「はじめに行為があった」(ゲーテ)/
自己 意識と快楽と、その享受/
必然性あるいは運命(Notwendigkeit)のありか/
快楽 に生きる意識の没落/
移行の意味と自己意識のあらたな形態
【b 心情の法則と うぬぽれの狂気】
心情の内なる法則へ/
心情の法則と現実の法則/
心情の法則に よる個体性と必然性の統一/
心情の法則の実現とその解消/実現された現実が心情 の法則を解体する/
心情の法則をめぐる知と不知/
心情の法則の錯乱(Verrucktheit) と狂気(Wahnsinn)/
うぬぼれの錯乱と、心情の顛倒/
心情の法則と「おお やけの秩序offentliche Ordnung」/
自他の個別性の解消と「世のなりゆきWeltlauf 」の成立
【c 徳と世のなりゆき】
先行する形態とあらたな形態との差異に ついて/
徳のいきつくところとはなにか/
徳と世のなりゆきとのたたかい/
徳にあって、善はなお潜在的で普遍的なものである/
徳の験士と世のなりゆきとのあ いだ の奇妙なたたかい/
世のなりゆきの強さと確実さ/
世のなりゆきの勝利と、徳の敗 北/
徳と世のなりゆきの対立から帰結するもの

C. Individuality C.個的性
ここで理性が立つにいたった立場はどのよ うなものか?/
自己意識とカテゴリー、 円環としての行為
【a 精神的な動物の国と欺眺、あるいはことがらそのもの】
 根源的に規定された自然/
行為における、目的、手段、対象について/
素質(根源 的自然)と行為と目的との円環/
「仕事」の成立と才能の比較―あるいは、個体 性の自足/
根源的自然における限定性と普遍性/
仕事における行為と存在の対立、 概念と実在性の対立/
仕事における偶然性の契機とその克服/
行為と存在の統一と 「ことがらそのもの」の成立/
現実と個体性の統一としての「ことがらそのもの」/
 普遍的なものとしての「ことがらそのもの」/
「ことがらそのもの」における意識の 誠実と不実/意
識の誠実さはその不実にほかならない/
「ことがらそのもの」にお ける意識のからくり/
欺きの具体相—「制作」と「批評」という欺晩/
あらゆる ひとびとの、またおのおののひとの行為である「ことがらそのもの」
【b 法則を 定立する理性】
「ことがらそのもの」から「人倫的実体」へ/
人倫的実体、自己意 識、〔道徳〕法則/
法則の例(→一ー「だれもが真実を語るべきである」/
法則の例に) ー「きみの隣人を君自身のように愛せ」/
法則を定立する理性から、法則を吟味 する理性への移行
【c 法則を吟味する理性】
法則を定立する理性と吟味する理 性とのことなり/
法則の吟味の実例—「所有」と「非所有」/
所有と非所有をめ ぐる検討の総括—吟味の基準は失効する/
立法的理性、査法的理性、ことがらそ のもの/
定立する理性と吟味する理性の統一と「精神的実在」の成立/
立法し、査 法する理性から、ほんらいの「人倫的」実体への移行
(BB). Spirit
(BB).精神
VI. Spirit
VI. 精神(VI Der Geist)
理性から精神への移行と、その条件/
万人 の、呼び人の「仕事」としての人倫的実体 /
これまでの意識の諸形態と、人倫的な生としての精神/
「精神」章は以下、どのように展開するか
A. Objective Spirit: the Ethical order
A.真の精神——共同体精神(300)
意識をつうじた、人倫的実体の分裂―「人 間の掟」と「神々の掟」
【a 人倫的 世界人間の掟と神々の掟、男性と女性】
「人間の掟」について—ポリスの法と 秩序/
「神々の掟」(―)--国家共同体と家族共同体/
「神々の掟」に←一家族がかか わるのは生者ではなく死者である/
「神々の掟」曰—死者を葬る義務について/
 ふたつの掟の区別と連関/
国家共同体とその部分—戦争と「地下の国」/
家族が ふくむ諸関係、とりわけ夫婦と親子の関係について/
家族、とりわけ兄妹というと くべつな関係について/
両性としてあらわれる家族の人倫的意義について/
理性の 先行する形態との関係について/
復讐の生起ー一人倫的共同体における均衡とその 攪乱/男性と女性の結合—婚姻の意味
【b 人倫的行為人間の知と神々の知、 責めと運命】
「なされたこと」と「運命」の絡みあいへ/
人倫的意識において義務 の衝突はなく、すべては決定されている/
人倫的意識における掟と威力の対立/
知 と不知との対立、意識の権利と実体の正義/
「なされたこと」と「罪責」/
オイデイ プスの物語の場合/
まちぶせする正義と罪責/
悲劇にみられる人倫的心情のゆくえ /
国家の権力をめぐる同胞の争い/
冥府の掟と忘却の河/
女性は共同体にとって永 遠のイロニーである/
自然的人倫〔ギリシア世界〕の没落と法状態〔ローマ世界〕 の成立
【C 法状態】
人倫的世界と「法状態」との差異について/
「法状態」と ストア主義ならびに懐疑主義との関係について/
「世界の主人」たる皇帝—「法 状態」と「不幸な意識」との呼応
B. Culture & civilization
B.疎外された精神——教養(330)
人倫的世界、法的世界、教養の世界/
疎外 とは自己と実在がたがいに疎遠となることである/
じぶんにとって疎遠となった精神は二重の世界を形成する
I. World of spirit in self-estrangement
I. 疎外され た精神の世界(333)
【a 教養とその現実の国】
精神は疎外によって現実的世界を獲得する/
Bildung (教養)、Espece (流儀)、Art(種、しかた)/
個体は教養を積み、みずからを形成 することで世界を獲得する/
当面の考察の課題ー一疎外こそが全体を可能とする/
 四大への展開—自然的実在と精神的実在の類比について/
考察の対象と手順につ いて/
「可とされるもの」と「否とされるもの」、「国権」と「財富」/
自己意識こそ が威力と実在を判断する/
自己意識による判断の基準について/
国権と財富に対す る「可否」の判断/
じぶんとの同等性と不等性という規準/
「高貴な意識」と「下 賤な意識」/
分離したふたつの判断はひとつの推論へと転化する/
「高貴な意識」と 国権との関係について/
廷臣による忠言、三部会、革命前夜/
〈私〉がそこに現に 存在することとしてのことば/
媒語=中間項としてのことばと、推理的連結の構造 をめぐって/
国権と高貴な意識という両極と、その不完全さ/
奉仕するヒロイズム から追従するヒロイズムヘの転化—絶対君主制/
国権はかくてそれじしん財富ヘと移行する/
「高貴な意識」は「下賤な意識」となりはてる/
引き裂かれた自己 意 識一「ラモーの甥」をめぐって/
恩恵を与えるものと与えられるもの一ー財富を めぐる賤しき弁証法/
分裂することばと、分裂する人格/絶対的に顛倒した精神と しての「教養」の世界/
「音楽家」の語りと「哲学者」の語り(「ラモーの甥」か ら)/
「樽のなかのデイオゲネス」とルソーの「自然状態」/
「純粋な洞察」と「信 仰」の立場の意味/
自己の空しさと事物の虚しさ―「純粋な〈私〉」の登場
【b 信仰と純粋な洞察】
純粋な意識と現実的な意識/
純粋意識と「信仰」の立場/
疎 遠になったものとしての純粋意識/
信仰と純粋な洞察/
信仰の世界の分化一「三 位一体」論瞥見/
信仰する意識にとっての現実と「内なるもの」/
純粋な洞察にと っては、すべてが概念である/
「教養」の世界と「精神的な動物の国」
II. Enlightenment
II.啓蒙 純粋な洞察と、その対象である信仰/
信仰 に対立するものとしての純粋な洞察
【a 啓蒙と迷信とのたたかい】
純粋な洞察というあらたな次元/
一般大衆、僧侶 階級、専制政治/
洞察と信仰のひとしさと、純粋な洞察の拡散/
洞察の暴力的なた たかい/
純粋な洞察のたたかいとはじぶん自身とのたたかいである/
啓蒙の信仰批 判と、信仰の立場/信仰を批判する啓蒙の自己矛盾/
純粋な洞察が信仰にかかわる 第一のしかた一一偶像の暴露/
第二の契機一一信仰と啓蒙は相互に伝染する/
第三 の側面―信仰における行為への洞察の関係/
啓蒙の真理の第一の契機/啓蒙の真 理の第二の契機/
啓蒙の真理の第三の契機/有用性の次元—自体的存在と対他的 存在/
啓蒙の肯定的真理/
信仰の神的権利と、啓蒙の人間的権利/
信仰とおなじく 啓蒙もじぶん自身については啓蒙されていない/
啓蒙の主張—信仰が崇拝してい るのは、ただの木であり石である/
信仰する意識における知と行為と所有—喜捨 と禁欲の欺腸について/
信仰の有する二重の眼、二重の耳、二重の舌とことば/
信・ 仰する意識と啓蒙とは同一の意識である
【b 啓蒙の真理】
純粋な洞察、純粋な 思考、純粋な事物/
純粋な実在、純粋な思考、純粋な物質/
有用性の次元へ/
啓蒙 という段階の回顧と展望
III. Absolute Freedom & Terror
III.絶対の自由と死の恐怖(398)
啓蒙と絶対的自由/
一般意志と絶対的自由 /
個別と一致する普遍という名のテロリ ズム/
むぞうさな恐怖政治の登場—「キャベツの玉」と「水のひと飲み」/
革命 政府とは党派であり、その主要な行為はテロルである/
絶対的自由のゆくえと、純 粋な知のありか/
絶対的自由から道徳性への移行
C. Morality a. The Moral View of the World C.道徳(407) 人倫的世界、教養と信仰、自己意識の知そ のものとしての道徳性
【a 道徳的世 界観】
自己意識にとって義務が絶対的実在であり、自然がその他なるものである/
道徳的意識と義務、あるいは倫理と自然/
カントの要請論をめぐって—道徳性 と自然=幸福の統ーは不可避である/
第二の要請—内なる自然=感性と道徳性の 調和/
要請論・再考―純粋義務の単一性と、さまざまな義務の複数性/
あらたな 要請—純粋義務と限定された複数の義務/
その前提と帰結一―·行為の個別性と幸 福の偶然性/
道徳的世界観の完結と、道徳的意識/道徳的世界観の総括とその帰結 /
「置きかえ」への移行

b. Dissemblance
【b 置きかえ】
道徳的世界観とは「矛盾の巣窟」(カン ト)である/
第一要請·再考/
個別的行為と目的全体—自然法則と道徳法則/最 高善とその置きかえ/
道徳性は一箇の中間状態であり、中間状態とはひとつの非道 徳性である/
道徳的判断の内容はたんなる嫉妬であり、道徳性の偽装である/
第三 要請・再論/純粋な道徳性とは一箇の仮象にほかならない/
道徳的世界観の解体と 意識の遁走/道徳的世界観から良心論への移行

c. Conscience: The “Beautiful Soul”:Evil and the Forgiveness of it 良心、美しい魂、悪とその赦し
【c 良心美しきたましい、悪 とその赦し】
道徳的世界観の帰結—道徳性のアンチノミーとその解消/
良心と いう自己と、これまでの自己との比較/
行為するものとしての良じ/
良心にとって の実在はじぶん自身にかんする確信にほかならない/
良心という知における対他存 在の側面/
良心における承認の契機について/
精神の領圏における「良心」の位置 /
行為にさいしての良心に帰属する知について/
良心の自己確信とその恣意性につ いて/
純粋義務における「対自」と「対他」/
義務の対立を回避するこころみとそ の挫折/
義務にかんする知としての良心の至上権/
良心の欺腑ー一良心は行為し、 不等性をもたらし、かつ断言する/
良心とは承認された存在であり、承認はことば にもとづいている/
ことばとは精神の現存在であり、他者に対して存在する自己意 識である/
良心はことばをつうじて、みずからの確信こそが義務であると断言する /
良心が語るとき、内面の意図は廃棄されている/道徳的天才としての良心/
良心、 神、教団のことば/〈私〉=〈私〉という抽象と「美しいたましい」/
行為する良 心における個別性と普遍性/
行為する良心と、その悪/普遍的意識もまた特殊な法 則に依拠している/
行為する意識と判断する意識は同罪である/
判断する意識の欺 腑と偽善/行為する意識は、評価する意識に和解を期待する/
評価する「美しいた ましい」は矛盾のなかで解体する/
「赦し」と「相互承認」の成立—絶対的精神 の形成へ/
和解する「然り」の登場と宗教への移行
(CC). Religion

意識、自己意識、理性ならびに精神につい て/
人倫的世界、啓蒙、道徳性/精神の これまでの諸形態と、宗教という段階(一)/
精神のこれまでの諸形態と、宗教という 段階に)/
宗教とは精神が完成されたありかたである/
宗教はこれまでの諸形態にと ってその実体である/
宗教の段階の区分—自然宗教、芸術宗教、啓示宗教
VII. Religion in General A. Natural Religion
意識、自己意識、精神と、宗教の諸形態
【a ひかり】
精神の本質という暗夜、 「純粋な〈私〉」/
光の存在(Lichtwesen) とはなにか
【b 植物と動物】
植物の 生と動物の生、トーテムと民族精神
【C 工匠】
ビラミッドとオベリスクにつ いて/
エジプト的な精神のさらなる課題について/
植物的生命、神殿の装飾/
スフ ィンクスの謎

B. Religion as Art 芸術としての宗教
「工匠」から「精神的に労働する者」へ —エジプトからギリシアヘ/
人倫的民族 の宗教とその特徴/
芸術宗教という割期と「純粋形相」
【a 抽象的な芸術作品】
 作品、精神、自己意識/
エジプトとギリシアの対比ーー建築について/
ギリシアの 神殿に住まう者たち/
神々と芸術家と作品/
芸術家は大衆との関係においてなにを 経験するか/
彫刻からことばへ/
賛歌のことばについて/
だれひとり知ることもな く、いつからか現われていた神々のおきて/
彫像と賛歌と祭祀について/
「祭祀」 と「浄化」/
祭祀における行為のありかたについて/
犠牲と供犠/
神々による享受 と人間たちによる享受
【b 生きた芸術作品】
 光の宗教と芸術宗教,再論/
祭祀 における女性的原理と男性的原理/
祭祀における享受が実在をあらわにする/
美し い身体と競技一一精神的芸術作品へ
【C 精神的な芸術作品】
 パンテオン、さま ざまな民族とひとつの国家/
民族精神の集合と神的な実在/
叙事詩(1)—詩人、 神々、英雄/
叙事詩2ー神々と人間たち/
叙事詩3ー一神々のたそがれ/
悲劇(1) ―その一般的な規定について/
悲劇2一神々、英雄、観客/
悲劇3——家族と 国家、知と不知/
悲劇4アポロンと復警の女神、忘却の河/
悲劇5知の欺 眺と行為の凶兆/
悲劇における最高神ゼウスの意味/
悲劇から喜劇へ/
喜劇1一 仮面をはずす俳優たち/
喜劇2ー自然的なものと人倫的なもの/
喜劇3ーー理性 的な思考の役割/芸術宗教の完成と啓示宗教への移行

C. Revealed Religion 啓示宗教
芸術的宗教の到達点について/
命題「自己 こそが絶対的な実在である」とその換位 /
啓示宗教の基盤としての「法状態」について/
喪われたムーサとその帰結/啓示 宗教が出現する条件としての芸術宗教/
啓示宗教の信仰箇条一ーマリアの処女懐胎 /啓示宗教に先行する狂信の闇夜について/
神が人間となること―イエス=キ リストの意味/
絶対的宗教における「啓示」をめぐって/
キリスト論—父と子の 関係、あるいは「神は存在する」ことについてグイエスの生と死、その復活—原 始キリスト教団の成立をめぐって/
表象としての啓示宗教とその限界/
キリスト教 史の一断面をめぐって/
不幸な意識、信仰する意識、啓示宗教の教団/
啓示宗教に おける純粋思考と、区別なき区別/
「表象」という教団的形式と、その限界/
啓示 宗教における「表象」の立場の権利について/
啓示宗教における表象の展開1ーー「世界の創造」について/
啓示宗教における表象の展開口~「楽園の喪失」に つ いて/
啓示宗教における表象の展開曰—一神の息子、ルシフェルとイエス/
啓示宗 教における表象の展開四ー一善悪のはざまの人間/
啓示宗教における表象の展開国 —神的実在の自己疎外、神の死と復活/
啓示宗教における表象の展開伏トー漁全括、 神の「受肉」とその意味/
啓示宗教たるキリスト教の信仰箇条(-}--「洗礼」につ いて/
啓示宗教たるキリスト教の信仰箇条コ—-「ミサ」について/
神の死と復活、 あるいは「神自身が死んでいる」/
啓示宗教における「自己を確信する精神」の意 味/
啓示宗教の限界—表象の立場の臨界
(DD). Absolute Knowledge


VIII.Absolute Knowledge VIII Das absolute Wissen

啓示宗教の精神とその克服/回顧(1)— 意識の諸段階をめぐって/
ひとつの頂点 ー「頭蓋論」をめぐって/
回顧2「啓蒙」と「有用性」の視点/もうひとつ の頂点—道徳的自己意識をめぐって/
精神の「和解」と「承認」の場面/和解と 承認の二側面/
回顧3「美しいたましい」の位爵/最後の頂点—「良心」と 「宗教」をめぐって/
「絶対知」という境位をめぐって/
精神、自己、時間をめぐっ て/
経験のうちにあるものが知られるものである/
精神の労働、現実の歴史、近代 哲学史/
「私たち」の立場をめぐって/
前途瞥見(1)—論理学と思弁哲学について /
前途瞥見2ーー自然哲学について/
回顧一「精神現象学」の理念・ふたたび
出典関係



☆︎ 【ヘーゲルリンク】



リ ンク

文 献

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CC

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