アスクレピオス
Ἀσκληπιός, Asklēpios
異音:アスクレーピオス、アイスクラーピウス(Æsculapius)、アスクレピオス、アスクラピウス
来歴・出自「アスクレーピオスは アポローンとコローニスの子。コローニスはテッサリアのラピテース族の王プレギュアースの娘で、アポローンは一羽のカラスを使いとしてコローニスとの連絡係 にしていた。このカラスは言葉を話し、その羽は純白だった。あるとき、カラスがコローニスの浮気を告げたために、怒ったアポローンはコローニスを矢で射殺 した。このカラスの報告は道草を食っていた言い訳に付いた嘘だったという説と、カラスがうっかり者で早とちりをしたという説がある。いずれにしても、アポローンはカラスを罰して言葉を取り上げ、白い羽を真っ黒に変え、天空に曝して償わせた。このカラスの姿が現在のからす座である。一説には、からす座のすぐ近くにコップ座があるにもかかわらず、そのくちばしは永遠にコップの水に届かないという。コローニスは身ごもっていることを告げて死んだため、アポローンは胎児を救い出してケンタウロスの賢者ケイローンに養育を託した。この胎児がアスクレーピオスである」
アスクレピオスの師匠ケイローンとアレウス(ドラクロワ画)
「ケイローンのもとで育ったアスクレーピオスは、とくに医学に才能を示し、師のケイローンさえ凌ぐほどであった。やがて独立したアスクレーピオスは、イアーソーン率いるアルゴー船探検隊(アルゴナウタイ;Argonautai)にも参加した。 その医術の技はますます熟達し、アテーナーから授かったメドゥーサの右側の血管から流れた蘇生作用のある血を使い、ついに死者まで生き返らせることができ るようになった。アスクレーピオスはカパネウス、リュクールゴス、アテーナイ王テーセウスの息子ヒッポリュトス、テュンダレオース、ヒュメナイオス、ミー ノースの子グラウコスらを蘇らせたという。冥界の王ハーデースは、自らの領域から死者が取り戻されていくのを“世界の秩序(生老病死)を乱すもの”とゼウ スに強く抗議した。ゼウスも、人間が治療の術を獲得して互いに助け合いをすることをよしとしなかったためこれを聞き入れ、雷霆をもってアスクレーピオスを撃ち殺した[アポロードロス『ギリシア神話』]。だが、アスクレーピオスは功績を認められ、死後天に上げられてへびつかい座となり、神の一員に加わえられることとなった」- アスクレーピオス.
「古代ギリシアにおいては、施療院を「アスクラピア」と呼んだ。アスクレーピオスの子どもたちはいずれも医術にかかわっており、息子にはともに医学の知識に長け、トロイア戦争で活躍したマカーオーンとポダレイリオスが、妻のエーピオネー(Epione)との間に生まれた四人の娘には治癒を司るイアーソー()、回復を司るアケソー()、衛生を司るヒュギエイアや健康を司るパナケイアがいる。ヒポクラテスは彼の子孫であるとも言う。」- アスクレーピオス.
アスクレピオス派の医学派は、キュレネ、ロードス島、コス島、クニドスなどに学校をもち、有力セクトとなった。
A statue of Asclepius. The Glypotek; Copenhagen. Asclepian bow; Tedros Adhanom Ghebreyesus.
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