sExploitation of labour
マルクス主義では、ものから搾り上げる=搾取という ことを広く使うのではなくて、労働搾取あるいは労働からの搾取(Exploitation of labour)というふうに理解する。労働搾取とは、広義には「ある主体が他の主体を不当に利用すること」と定義される概念である。労働者とその使用者の 間の力の非対称性や価値の不平等な交換に基づく不公正な社会的関係を意味する。搾取について語るとき、社会理論的には消費との直接的な関連性があり、伝統 的には、搾取とは、他者が劣位にあるために不当に利用され、搾取者が力を持つことであるとされてきたからである。マルクスの搾取概念は、資本主義経済にお いては、単にブルジョアジーが生産手段を独占して、労働者の賃金を掠め取るという不道徳ではなく、かりに、労働者にちとって人間的によきブルジョアであっ ても、資本主義の構造の中では労働者への賃金のなかに未来への資本投資のための不払い労働が含まれる。不払い労働とは、計算で算出されるような概念ではなく、資本主義がもつ必然性であり矛盾(=支払いが正当に見えても不払い労働分は資本の増殖に直結するからであり、それを回避することは不可能)である。古典派経済学者の創設者アダム・スミスは、搾取をマルクスのように特定の経済システムに固有の体系的現象とは見なさず、むしろ任意の道徳的不公正としてとらえた。
では、搾取なき世界の構築は可能だろうか?「地下世界のマルクス主義」によれば、根 粒菌が植物に対して、窒素供給を 「怠る」と、今度は植物のほうが、根粒菌に酸素提供を出し惜しみするとい うことらしいのだ。これは使用者(=資本家)たる植物が、労働者(=窒素供給しかできないプロレタリアート)たる根粒菌に、その労働の出来 高が悪い際に、 賃金を据え置くぞと恐喝し、期待されている労働にみあった貢献をしている時に、対価(=酸素)を支払う、経済搾取構造に似ている、とある。つまり、まさに「ラディカル・ユートピア(Philosophie des linken Radikalismus)」 (アグネス・ヘラー)というものは、夢想するにはいいが、ユートピアという「もうひとつの現実」を生き抜くことも、なかなか、厳しいものになるのだ!
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