多文化主義と政治
Multiculturalism and Politics 2021
Mitzub'ixi Qu'q Ch'ij
キムリッカのこの章「多文化主義」W・キムリッカ『新版 現代政治理論』千葉真ほか訳、日 本経済評論社、2005年所収をめぐって、わかりにくいという指摘を伺いました。そこでこの章の読解のヒントについて考えます。それは、彼の議論を「上から目線」と「下から目線」で考えることです。
上から目線とは? |
キムリッカは、行政施策の担当者や、(教科書ですので)政治学徒や政治家にも語っているので、実際に政治を回す時には、抽象的な概念操作をおこないます。そこでは、人々の顔は、個別化されておらず、モデルで考え、議論は原理原則です。そのような論理的な思考の産物の記述があります。 |
下から目線とは? |
具体的な事例が紹介されているときに、
それを「下から目線」で書かれていると考えます。この記述は具体的で、上から目線の事例として紹介されている場合もあるでしょう。問題は、その前の文章に
あるような、理論的モデルを正確に反映しているかどうかがチェックポインとになります。この下から目線がとても重要で、立派な研究者でも、理論に対する具
体的な事例検討で、十分に理論モデルの証明になっていないようなものがあります。 |
● パート1:文化現象の記述をめぐる世
界 政治
「多文化主義」W・キムリッカ『新版 現代政治理論』千葉真ほか訳、日
本経済評論社、2005年所収 Kym_Chap08_multiculture.pdf |
この文献を読むための基本語彙 |
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0. まえがき:権利としてのシティズン
シップへの挑戦、国民統合、再配分の政治、承認の政治、多文化主義に関する関心の浮上 |
権利、アイデンティティ、市民、文化、 シ ティズンシップ(市民権)、労働者階級、国民・ネイション、国民文化、共産主義、宗教的少数派、民主主義、再配分(所得、権利、就労機会、人権的尊重、な ど)、マルクス主義、多文化主義、少数派の権利(minority rights) | ||
1. コミュニタリアニズムとしての多文
化主義(第1段階) |
個人主義、集団主義、リベラル、コミュ
ニ
タリアン、リベラル〈対〉コミュニタリアン論争 |
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2. リベラルな枠組みの内の多文化主義
(第2段階) |
フッター派、アーミッシュ、ハシド派ユ
ダ
ヤ教徒、近代化、ナショナルアイデンティティ、リベラルな文化主義者、自律性=オートノミー、内的な異議申し立て(internal
restrictions)、外的保護(external protections)、ミレット制(オスマン帝国)、自治権 |
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3. 国民国家への応答としての多文化主
義s(第3段階) |
国民建設( nation building)、
エスニック・ネーション(民族的国民)、市民的国民(civic nation)、民族国民的文化(ethnonational
culture)、社会構成的文化(societal culture)、文化の共有の強度、多民族国家、国民的アイデンティティ |
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4. 多文化主義の5つのモデル |
チャールズ・テイラー(Charles
Margrave Taylor, 1931- )、公用語 |
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4.1(A)ナショナルな少数派 |
下位国家ネーション(substate
nation)、先住民(indigenous
group)、少数民族闘争、自治権、言語政策、先住民教育プログラム、公職への雇用、マイノリティ・ナショナリズム(ninority
nationalism)、少数派の国家形成プログラムと多数派のそれの違い |
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4.2(B)移民集団 |
移民集団(immigarant
group)、外国人居住者(metics)=メトイコイ、多文化主義と愛国心、イギリス的同化モデル(Anglo-
comformity model)、不平等社会測定調査 |
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4.3(C)孤立主義的な民族宗教集団 |
法的免除要求、部分的市民
(partial citizen)、人種カースト集団(racial caste group)、ジム・クロウ法(Jim Crow laws) |
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4.4(D)外国人居住者 |
不規則=変則移民(irregular migrants)、一時的移民(temporary migrants)、外国人居住者(metics)[M・ウォルツァーの命名]=メトイコイ、移民統合、自発的帰国(期待)政策、強制送還 (deportation, 国外追放)、恩赦(pardon)プログラム、投票できない永住者の存在は社会にカーストをつくる(517) | ||
4.5(E)アフリカ系アメリカ人 |
奴隷制、人種隔離、ジム・クロウ法(Jim Crow laws)、公
民権運動、歴史的補償、アファーマティブアクション、独自の国家建設、ナショナリズム運動、少数派の権利、 |
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5. 多文化主義闘争の新たな前線とは |
少数派主張の正義、カラーブラインド
(colour-blind)、差異を意識しない(difference-blind)、リベラル正義論、承認、アイデンティティ、言語、文化的メンバー
シップ、差別や不正の立証責任を誰が負うか、エスニシティの政治化(politicization of
ethnicity)、承認の政治、再分配の政治、福祉国家、「差異を考慮しない」平等政策、自治要求、権限移譲、民族分離主義、社会的結束、民主主義的
安定 |
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6. 多文化主義の政治 |
進歩的〈対〉保守的、保守主義、ジェン
ダー、宗教、生活様式、性的指向、周辺化された集団、政策の「視点」同調主義、多元主義、変化、抑圧、ナショナリズム、国民的アイデンティティ、リベラル
な応答〈対〉保守的な応答、国民建設(承前) |
頁 |
パラグラフ |
コメンタリ |
476 |
1 |
権利としてのシティズンシップへの挑戦 1)市民的徳性と積極的な政治参加に注目、権利重視の見解を補足する 2)文化的多元主義と集団的差異にもとづく権利に注目し、共通の権利を重視する |
2 |
2)は差異の政治学を示唆 |
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3 |
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4 |
アイデンティティの政治 |
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477 |
5 |
権利としてのシティズンシップ:T.H.マーシャル |
6 |
マーシャルは国民統合でカタがつくと思っていた |
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7 |
福祉国家の発展のなかで、国民統合がうまくいってきた |
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478 |
8 |
労働者階級のボルシェヴィズムへの危惧 |
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