情報社会における信頼について
Trust in/for/of Infornation Society
「ブロックチェーンが機能するのは、責任主体となる 個人や組織が存在しないにもかかわらず、システム全体が信頼されているからだ」(Sandra Braman )
信頼とは自信に満ちたヴァルネラヴィリティ
(confident vulnerability)- Roger
C. Mayer, 1995.
このページは、情報社会、とりわけAIが社会の中で
(象徴的にも実体的にも)重要な存在になり、シンギュラリティ(特異点)の前後の時代における、ヒト(人)とヒト、ヒトとモノ、モノとヒト、モノとモノの
間の「信頼」はどのように構築され、どのように担保され、どのように流通してゆくのかについて、人類史/モノ史的に考察するために作られたものである。
このページは、科研の特設分野研究「情報社会におけ
るトラスト」
(平成29年度〜令和元年)の分析から始まった。
「情報通信分野の急速な進展により、コンピュータや
センサなどからネットワークを介して
大量のセンシング情報が生成され、ビッグデータとしてクラウドなどのサイバー空間に蓄積
されるようになった。実空間の人やモノがそれらを複合的に活用することで、人々の日常生
活、社会経済活動、教育研究活動、行政活動などに資する新たなサービスが
創出され、多数
の人々がそれらを社会インフラとして利用する新しい情報社会が到来し
つつある。/
このような情報社会が健全に発展するには、情報通信のユビキタス性(→「教育と研究の融合化 」)を阻害することなく
トラスト(信頼関係)を確保することが重要になってくる。昔から我々の社会では人と人と
のつながりが、組織、市場、社会へと広がり、信頼関係が構築されてきた。しかし、それだ
けでは顔の見えないネット越しの社会における信頼関係の構築には十分でなく、セキュリテ
ィやプライバシーにも関わる様々な社会的問題が生じている。/
多様な利害関係者が存在する情報社会におけるトラストの確保は容易ではない。人、組
織、
サービス、システムなどの構成要素の間で、誰(あるいは、どれ)が何をどの程度信頼する
のかといったトラストの前提条件がしばしば曖昧である。個々の構成要素からみて、あるい
は総体として、どのようなトラストが実現されているのかが明らかでないことも多い。ト
ラ
ストの客観的な評価尺度や評価法、多様な制約条件のもとでトラストを適切に設計し実現す
る手法、また、対象となるサービスやシステムの信頼性を担保する社会
的な取組の強化も確
立していない。/
また、製造、農耕、商取引、金融、物流、交通、観光、福祉、医療、教育、防災、省エネ、
環境改善など社会のあらゆる分野において、人やモノから得られる様々な情報を複合的に利
用できればできるほど、より高度なサービスが提供できる反面、秘密保持やプライバ
シー保
護がより困難になる。トラストに応じて個人情報や営業秘密、知的財産を含む様々な情報の
開示範囲や詳細度を適切に設定するには、どのような法制度や規範が必要なのか、倫理や道
徳の観点から考えるべきことは何か、技術やシステム、サービス、ビジネスモデルなどとの
整合性をどのように担保するかなどの問題も存在する。/
本特設分野は、現代社会におけるトラストに関して多面的に研究する分野である 」出典:https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/03_keikaku/data/h31/h31koubo.pdf
.
"In a social context, trust has several connotations.
Definitions of trust[1][2] typically refer to a situation characterized
by the following aspects: One party
(trustor) is willing to rely on the actions of another party (trustee);
the situation is directed to the future. In addition, the trustor (voluntarily or forcedly)
abandons control over the actions performed by the trustee. As a
consequence, the trustor is uncertain
about the outcome of the other's actions; they can only develop
and evaluate expectations. The
uncertainty involves the risk of failure or harm to the trustor if the
trustee will not behave as desired."- Trust (social science).
[1]Mayer, R.C.; Davis, J.H.; Schoorman, F.D. (1995). "An
integrative model of organizational trust". Academy of Management
Review. 20 (3): 709–734. [2]Bamberger, Walter (2010). "Interpersonal
Trust – Attempt of a Definition". Scientific report, Technische
Universität München.
The Artist's Daughters on the Way to School
(Die Kinder des Künstlers auf dem Weg zur Schule), 1851 Gustav
Adolph Hennig, 1797-1869 painting.
クレジット:科学研究費補助金・傾向と対策:01
「情
報社会におけるトラスト」On Grant Information of the JSPS: Trust in/for/of
Infornation Society
リンク
●文献:信頼を考える : リヴァイアサンから人工知能まで / 小山虎編著、勁草書房、2018年の論文一覧
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