はじめによんでください

ヴァーチャル・ツーリズム

Virtual tourism

写真は北村虻曳(きたむら・あぶのぶ)氏(2018年)

解説:池田光穂

コンピュータにおけるヴァーチャル・リアリ ティ技術の発展に応じて、ヴァーチャル・ツーリズムの可能性が1990年代から浮上している。また、 2020年からのCOVID-19の流行は、これまでの人々の大規模な移動をもとにしたマスツーリズムが機能を完全に停止した。ヴァーチャル・ツーリズム が、今後どのような展開を遂げるのか不明な部分がある。まず、学史的に整理してみよう。かつて移動をしな い観光のことを池田はフィクショナル・ツーリズムだと予見した。フィクショナル・ツーリズムは「虚構観光」と同義語である。池田によるとフィ クショナル・ツーリズムは和 製英語である。旅行体験における意識変容に着目して、コンピュータや 宗教的儀礼、シャーマニズムやドラッグ使用など移動を伴わない〈疑似的な移動につい て研究するために池田光穂(1993)によって提唱された。これによって観光における移動の概念を相対化し、観光現象の文化的研究に奥行きと広がりをもた せることが可能になった。インターネットなどの電脳空間では仮想観光(virtual tourism)と限定して呼ばれている。


電脳空間の外でも起こりうるヴァーチャル・ツーリズムの可能性


まず下の写真と、写真の下に引用した報道文面を読みたまえ。

Queen Elizabeth II in Nigeria, 2003/

【リード】 英女王、ドラマ用セットで「村」味わう ナイジェリア ------------------------------------------------------------------------
「英国のエリザベス女王、ナイジェリアを 訪問 英BBCが首都郊外でドラマ制作用に作っていた「村の市場」のセットを訪れた=AP  英国のエリザベス女王が3日、ナイジェリアの訪問を始めた。部族衝突の多発国だけに、首都周辺は数万人を動員する厳戒態勢に入った。女王はアフリカの庶 民と接する機会がないため、英BBCが窮余の策として、首都郊外のドラマ制作用セットを使って「村」を演出。女王は4日、笑顔で見物した。
 AFP通信によると、地方の村市場を模 したセットで、BBCに雇われたナイジェリア人らが屋台で物を売ったり、主食のヤムイモをひいて粉 にしたりする様子などを披露。女王はしばし「村」の雰囲気を味わった。
 女王の訪問は1960年の同国独立後初 めて。5〜8日に首都アブジャで開かれる英連邦首脳会議の開幕を宣言するための訪問だ。南部の最大 都市ラゴスでは、政府が会議のために巨費を使ったと市民が抗議デモをし、警察が催涙ガスなどで追い払う騒ぎが起きた」(12/04 21:34)。出典:アサヒ・コムhttp://www.asahi.com/international/update/1204/008.html (2003年12月 31日)
Queen Elizabeth II inspects men of the Queen’s Own Nigeria Regiment, Royal West African Frontier Force, at Kaduna Airport, Nigeria, during her Commonwealth Tour in 1956.Fox Photos/Hulton Archive/Getty Images Source: http://jp.wsj.com/articles/SB10834865168797973818204582018691044189890




Queen Elizabeth II in Nigeria, 1956


キャプション:(左)「優雅な客船の旅 を思わせる、木製のデッキと大きなマストが壮観。女性たちのサマードレスとともに、新旧のスティーマー・バッグが並 んでいます」
(右)「簡易ベッドが収められたベッド トランクや銅製のトランクが並べられ、その手前には現代の女性用バッグが置かれ、時代性を超越したブ ランドの世界観が表されています」出典:「「ル イ・ヴィトン」の特別展で、遥かな旅を楽しみましょう」同サイトより

●形相の存在の不可思議に驚愕する哲学猫——あるいは猫の惑星ソラリス


Digital nomad(ウィキペディアによる説明)——デジタルノマドはどこをどのように「観光」しているのだろうか?

Digital nomads are people who use telecommunications technologies to earn a living and conduct their life in a nomadic manner. Such workers often work remotely from foreign countries, coffee shops, public libraries, co-working spaces, or recreational vehicles. It is often accomplished through the use of devices that have wireless Internet capabilities such as smartphones or mobile hotspots. Successful digital nomads typically have a financial cushion or need to develop high levels of self-reliance and self-discipline. The digital nomad community has had various events established to host members of it. The most common types of digital nomads include retired or semi-retired persons (including snowbirds), independently wealthy or entrepreneurs, and (often younger) remote workers. People typically become digital nomads for many reasons, including the quest for financial independence and a career that allows for location independence. Although digital nomads enjoy advantages in freedom and flexibility, they report loneliness as their biggest struggle, followed by burnout. The lifestyle also presents other challenges such as maintaining international health insurance with coverage globally, abiding by different local laws, obtaining work visas, and paying taxes in accordance with home and local laws.
デジタルノマドとは、電気通信技術を利用して生計を立て、 遊牧民のように生活を営む人々のことである。このようなワーカーは、外国、コーヒーショップ、公共図書館、コワーキングスペース、レクリエーション用の車 などから遠隔地で仕事をすることが多い。その際、スマートフォンやモバイルホットスポットなどの無線インターネット機能を持つ機器を利用することが多い。 デジタルノマドとして成功するためには、経済的な余裕があったり、高いレベルの自立心や自己管理能力を身につける必要がある。デジタルノマドのコミュニ ティでは、様々なイベントが開催されている。デジタル・ノマドには、退職者やセミリタイア者(スノーバードを含む)、独立した富裕層や起業家、(多くの場 合、若い)リモート・ワーカーなどのタイプがある。デジタルノマドになる理由は、経済的に自立したい、場所を選ばずに仕事がしたいなど、さまざまである。 デジタルノマドは、自由と柔軟性という利点を享受しているが、その最大の悩みは孤独感であり、次に燃え尽き症候群であると報告されている。また、このライ フスタイルには、世界中をカバーする国際健康保険の維持、異なる現地の法律の遵守、就労ビザの取得、自国と現地の法律に従った税金の支払いなどの課題があ る。
One of the earliest known uses of the term digital nomad originally was in the 1997 book Digital Nomad by Tsugio Makimoto and David Manners. It is unknown if the phrase was coined in this book or if they took a term that had already existed.

The foundation of the digital nomad movement is remote work, allowing people to do their work at home or otherwise through the Internet. Digital nomads may also sell a number of possessions in order to make travel easier, and may also sell or rent their house. Digital nomads can use wireless Internet, smartphones, Voice over IP, and/or cloud-based applications to work remotely where they live or travel. Digital nomads may use co-working or co-living spaces, cafes, house sitting agreements, and shared offices.

Digital nomads tend to travel while they earn money through their online business, clients or employers. This sort of lifestyle may present challenges such as maintaining international health insurance with coverage globally, abiding by different local laws and sometimes obtaining work visas, and maintaining long-distance relationships with friends and family back home. In some cases, the digital nomad lifestyle leads to misunderstanding and miscommunication between digital nomads and their clients or employers. Other challenges may also include time zone differences, the difficulty of finding a reliable connection to the internet, and the absence of delineation between work and leisure time.

Online financial services are popular among digital nomads. Teleconferencing software is a common tool for people to use to communicate through voice, text, and video chat across long distances. YouTube and Instagram have been used by digital nomads as a means by which to earn revenue through content directly or indirectly through sponsorship and merchandising without having to have a central workplace or living space. An important step in being a digital nomad is ensuring that all relevant documentation (such as visas and passports) is kept up to date. If you do not, it can lead to legal difficulties when traveling abroad. A solid grasp of any official languages of the countries you are visiting is also important, as a lack thereof can prevent a person from engaging with the locals. It also creates the risk of complication if you have to go to the hospital.
「デジタルノマド」という言葉が最初に使われたのは、1997年に出版さ れた牧本次生氏とデビッド・マナーズ氏の著書「Digital Nomad」である。この言葉がこの本の中で生まれたものなのか、それともすでに存在していた言葉を使ったのかは不明である。

デジタルノマド運動の基本はリモートワークであり、インターネットを通じて自宅などで仕事をすることができる。デジタル・ノマドは、旅行を容易にするため に多くの所有物を売却したり、家を売ったり貸したりすることもある。デジタルノマドは、ワイヤレスインターネット、スマートフォン、Voice over IP、クラウドベースのアプリケーションなどを利用して、居住地や旅行先からリモートで仕事をすることができる。デジタルノマドは、コワーキングスペース や共同生活スペース、カフェ、ハウスシッター契約、シェアオフィスなどを利用する。

デジタルノマドは、オンラインビジネスやクライアント、雇用主を通じて収入を得ながら、旅をする傾向がある。このようなライフスタイルでは、世界中をカ バーする国際健康保険の維持、異なる現地の法律の遵守、場合によっては就労ビザの取得、故郷の友人や家族との遠距離関係の維持などの課題がある。場合に よっては、デジタルノマドのライフスタイルが、クライアントや雇用者との間に誤解やミスコミュニケーションを引き起こすこともある。また、時差やインター ネットへの接続の難しさ、仕事と余暇の区別がつかないなどの問題もある。

デジタルノマドの間では、オンライン金融サービスが人気である。遠隔会議ソフトは、遠距離でも音声、テキスト、ビデオチャットでコミュニケーションをとる ためによく使われるツールである。YouTubeやInstagramは、中心となる仕事場や居住空間を持たずに、コンテンツを通じて直接またはスポン サーやマーチャンダイジングを通じて間接的に収益を得る手段として、デジタルノマドたちに利用されている。デジタルノマドになるための重要なステップは、 すべての関連書類(ビザやパスポートなど)を最新の状態に保つことである。そうしないと、海外旅行の際に法的な問題が発生する可能性がある。また、渡航先 の国の公用語をしっかりと理解していることも重要である。公用語が利用できないと、現地の人との交流ができなくなる。また、万が一、病院に行かなければな らなくなったときに、複雑な状況に陥る危険性がある


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