親族名称(人を分類する)
on classifying
human categories, introduction to kinship terminology
・親族と親族名称体系
ルイス・ヘンリー・モーガン(Lewis H. Morgan, 1818-1881)と「人の分類」
[研究の動機:《未開人》は現代の欧米の人間とは異なる親族名称をもつ]
記述的親族呼称/類別的親族呼称[英]descriptive kinship terminology / classificatory kinship terminology
・カテゴリーと関係
(*註:日本語の用法で、父母よりも年少に「叔」を、年長を「伯」とあてる。オバの夫は、オバから見て年長年少で判別するという//年長・ 年少をメルクマールとするような認識の示唆)
・親族研究法が成功した理由
次の3つのことが認識されるようになった(C・フレイク「民族誌学的立場からの認識体系の研究」p.123『文化人類学と言語学』池上嘉 彦訳編、弘文堂、1970)。
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【カテゴリーの例】
・半族(moiety):カリエラ族(オーストラリア・アボリジニー)
ウィンネバゴ族(北米インディアン)
・氏族/しぞく/クラン(clan,sib)——フリードリヒ・エンゲルスなど古くはgen(s)と呼ばれていた。
ミナンカバウ族(スマトラ):Koto,Piliang,Bodi,Tjaningo
[*定義は多様であり、4つの観点から定義・規定されている。
1.神話や伝説における始祖からでたと考えられている出自によって組織された集団(≠リネージ,lineage:actual genealogical)、
2.母または父を通して出自をたどる単系出自集団、
3.族外婚規制をともなう社会集団、
4.社会集団の統一が名称やシンボルなどのラベルによっておこなわれ、儀礼を通して表現される。(渡辺『文化人類学事典』1987)]
氏族:想像上の始祖を含む単系集団
リネージ:系譜関係を具体的に辿れる単系集団
・分類の表現
名称
カテゴリーの名称
半族:ハイダ族(北米)
「からす」「わし」の外婚的*な母系半族、互酬的な相互関係
トーテム
カースト、身分制(貴族/平民/奴隷→『高地ビルマ』)
※外婚:集団内部での婚姻が禁止され、外部との婚姻が義務づけられる(P.70)
・関係の名称
親族名称
(1)親族名称を理解する基本的前提
ジェニター/ジェニトリックス 生物学的父親/生物学的母親
ペータ/メータ 社会的父親/社会的母親
(2)W.H.R.Riversの系譜分析法(genealogical method)
△:男性 ○:女性 =:婚姻
楯線:親子 横線:兄弟姉妹(→詳しい説明はこちら)
F:Father,M:Mother,S:Son,D:Daughter,B:Brother,Z:Sister,H:Husband,W:Wife
・親族名称体系(マードック『社会構造』1949)[→こちらで詳しく説明します]
イトコ名称を手がかりに、親族名称体系には6種類のタイプがあることを指摘した。
(i)エスキモー型
|FZD*,FBD*|Z|MZD*,MBD*|
(ii)ハワイ型
|FZD,FBD,Z,MZD,MBD|
(iii)イロクォイ型
|FZD*|FBD,Z,MZD|MBD*|
(iv)スーダン型
|FZD|FBD|Z|MZD|MBD|
(v)オマハ型
|FZD|FBD,Z,MZD|MBD|
(世代を斜行して,FZD=ZD,MBD=MZ)
(vi)クロウ型
|FZD|FBD,Z,MZD|MBD|
(世代を斜行して,FZD=FZ,MBD=BD)
[例]
(1)日本人の体系:エスキモー型
(2)トロブリアンド人:クロウ型、つまり|FZD|FBD,Z,MZD|MBD|
|FZD=FZ タブ|FBD=Z=MZD ルグタ,ルタ|MBD=BD ラトゥ|
■ 文献
■ リンク
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