記述的親族呼称/類別的親族呼称
[英]descriptive kinship terminology /
classificatory kinship terminology
進 化主義人類学者ルイス・ヘンリー・モーガン は、アメリカ先住民や「未開」社会の多くで直系親族(例:チチやハハ)を傍系親族(例:オジやオバ)に拡大して呼ぶ社会集団があることを指摘しました。 ヨーロッパ由来の植民者たちの親族名称が示す対応語の範囲が異なるのです。つまりヨーロッパの人たちの親族名称とは完全に異なるシステムがあることを発見 したのです。だからヨーロッパの親族名称と完全に互換関係を持たせることが不可能ですから、別の親族名称のシステムがあると考えざるをえないとモーガンは 考えました。直系親族(例:チチやハハ)を傍系親族(例:オジやオバ)に拡大して呼ぶ方法=システムを、モーガンは「類別的な呼称体系」をとるとしまし た。この呼び方を「類別的親族呼称:classificatory kinship terminology」と言います。例えば、私のオバとハハの呼称は区別せず同じ名称で呼びます(ただし呼び方が同じなだけで、彼らもまた、生物学的な 直系/傍系の区分の認識はあります。ちょうど私たち=日本語話者が、オバと同じ呼称と読んでも、チチ方とハハ方を区別できるように)。
そ れに対して具体的に呼称を説明する、つまり日本語 でオバを「ハハのアネ(あるいはイモウト)」のように説明し呼称を区別するやり方を「記述的な親族呼 称:descriptive kinship terminology」と呼ぶようにしました。
し かしながら、それらの親族呼称間に優劣があるわけ ではありません。その後、体系の理論的拡張と実証調査により、膨大な研究と発見がなされました。レ ヴィ=ストロースによる『親族の基本構造』(1949)はそれらを成 果の金字塔とも言える著作です。当初の理論は過去の遺産になったがモーガンの着眼点は今も輝いている。
リ ンク
文
献