解説者:池田光穂
文化人類学用語300プラス!!!を皆様に提供します。日頃の授業、期末試験、そして大学院入試などにお役立てください!!!
☆「情動と感情の語彙集」もあります。
phoneme | 音素:言語の最小構成要素 |
phonemics | 音素論:言葉の音の研究 |
morphology | 形態論:語の構造の研究(生成文法では形態論は一般に語彙論[lexicology]に組み込まれるといわれる)。 |
syntax | 統語論:文の構造の研究。文法に焦点をおいた研究 |
semantics | 意味論:語の意味の研究。語彙(lexis, lexicon)を中心 にしたことばの分析。 |
pragmatics | 語用論:言語の用法の研究 |
denotation | 外延 |
connotation | 内包 |
ethnonym | エスノニム:同じ民族の別名 |
classificatory | 類別的:傍系親族と直系親族を区別しない親族名称体系(←→descriptive)[→記述的親族呼称/類別的親族呼称] |
descriptive | 記述的:傍系親族と直系親族を区別する親族名称体系(←→classificatory)[→記述的親族呼称/類別的親族呼称] |
culture shock | カルチャーショック:異文化に接した時に受ける衝撃
(身体的および感情的嫌悪、さらには認識論的な嫌悪として表出することがある) →xenophobic(異邦人恐怖・嫌悪) |
cultural evolution | → 文化進化論 |
cultural evolutionism | → 文化進化論 |
animism | → アニミズム |
totemism | → トーテミズム |
manaism | → マナイズム |
psychology | → 心理学(植民地状況における心理学、心理人類学の隆盛と衰退) |
medical anthropology | 医療人類学 → 医療人類学プロジェクト |
medical pluralism | 医療的多元論 |
pluralistic medical behavior | 多元的医療行動 |
pluralistic medical system | 多元的医療体系 |
symbolic interactionism | 象徴的相互作用論 |
Female Genital Mutilation, FGM |
女性性器切除 |
culture of poverty | 貧困の文化 |
cultural relativism
ethnocentrism |
文化相対主義(cultural
relativism)
自民族中心主義(ethnocentrism) |
Health tourism | 健康観光 |
Thalassotherapy | タラソセラピー |
Ecologist | エコロジスト |
Envrironmentalism | 環境主義 |
Ecosystem | 生態系、エコシステム |
Fictional tourism(和製英語) | 虚構観光、フィクショナルツーリズム |
heritage tourism | 遺跡観光(→ 遺跡観光のはじまり、という神話) |
status | 地位 (生得的地位←→獲得的地位) |
role | 役割 |
mechanical solidarity | 機械的連帯 (←→有機的連帯) |
organic solidarity | 有機的連帯 |
divishion of labor | 分業 |
age grades, age-class, age set | 年齢階梯組織 |
secret societies | 秘密結社 |
egalitarianism | 平等主義 |
hierarchy | ヒエラルキー、階層社会 |
chiefship, chiefdom | 首長制 |
caste | カースト |
class | 階級 |
race | 人種 (→エスニシティ) |
ethnicity | エスニシティ (→人種) |
ethnic boundary | 民族境界論 |
marriage | 結婚 |
cross-cousin (marriage) | 交叉イトコ(婚) |
consanguine, consanguineal, consanguinity | 血縁関係 |
exogamy | 外婚 |
endogamy | 内婚 |
residential patterns,
residential types |
居住形態(→結婚 後の居住形態) |
geneological method | 親族系譜法 |
clan | クラン (→ リネージとク ラン) |
lineage | リネージ (→ リネージとク ラン) |
monogamy | 単婚 |
polygamy | 複婚 |
bride welth
bride price |
婚資 |
nuclear family | 核家族 |
extended family | 拡大家族 |
berdache | ベルダーシュ:平原インディアンの女装シャーマン:“同性愛少年奴隷”というフランス語の語源をもつ点で今日では適切ではない表現。 平原インディアンのシャーマンのジェンダー・アイデンティティや、社会的両性具有と超自然的能力の関係について考察されてきた。 |
descent | 出自 |
compadrazgo | コンパドラスゴ:ローマ・カトリック教徒における儀礼的両親制。代父母(compadre, comadre)と実父母の関係。 |
virtual reality | 仮想現実。コンピュータ技術支援によって得られる人工的な現実感。 |
cyberpunk | サ イバーパンク |
armchair anthropologist | 肘掛け椅子の人類学者。(思弁的考察に耽る)進化主義人類学者を批判するため、機能主義フィールド派人類学者が用いた蔑称。 |
race | 人種:人間集団を分断する序列的カテゴリーのあるひとつの枠組(この用語は科 学的用語としてはナンセンスではあるが、社会思想的には大きな意味をもたされてきた理由はここからリンクする) |
ethnic group | 民族(Minzoku)、民族集団 |
world system | 世界システム |
violence | 暴力[→現代暴力論] |
witchcraft | 妖術 |
totemism | トーテミズム |
syncretism | シンクレティズム、(思想や信仰の)混交・習合 |
slavery | 奴隷 |
sociobiology | 社会生物学(→リンク先) |
sociology | 社会学 (→社会学者) |
society | 社会 |
modernist anthropology | モダニスト人類学 (→授業例) |
postmodern anthropology | ポストモダン人類学 (→授業例) |
Chronological table | 年表(→文化人類学年表) |
Stare decisis | 先例拘束性の原則:一度判決された事件は拘束力をもち将来の同 種の事件を判決する時に判断を<法的に>拘束する原則 (ギアツ『文化の解釈学1』p.vii) |
scarcity | 希少性 |
moral economy | モラル・エコノミー(<対>ポリティカル・エコノミー) |
survival strategy | 生業戦略 |
production | 生産 |
distribution | 分配 |
consumption | 消費 |
Neoclassic economics | 新古典派経済学 |
Marxist ecomomics | マルクス主義経済理論 |
exchange | 交換 |
formalist | 形式論者(←→実体論者) |
rational | 合理的 |
mode of production | 生産様式 |
redistribution | 再配分 |
reciprocity | 互酬 |
market exchange | 市場交換 |
sui generis | それだけで独立の、独特の |
ad hoc
post hoc |
この問題に特別、独自の(ad hoc)
この後で、事後的な(post hoc) |
labor, labour |
労働 |
mode of production |
生産様式 |
ius naturale |
自然権
(natural rights)人間が保持している生命・自由・財産・健康に関する不可譲の権利のことで、これまでホッブス、グローティウス、
ジョン・ロックなどにより論じられてきた。米国のバージニア権利章典(1776)、フランス人権宣言(1789)、日本国憲法(11条、97条:
1946) |
Human Rights | 人権: the Cambridge Encyclopedia of Anthropologyにリンクします |
authenticity |
本物性(→「演出された本物性について」) |
Essentialism |
︎本質主義と は、もののなりた ちを、決定的で、それ以外には考えられない、ひとつないしは複数の特性(=これを本質 essence という)からなりたつという見方をさす。 |
labor, labour |
労働 |
mode of production |
生産様式 |
ideology |
イデオロギー |
ecology |
生態学 |
critical anthropology |
批判的人類学 |
radical anthropology |
ラディカル人類学 |
sociological imagination |
社会学的想像力 |
writing |
ライティング |
world-view |
世界観 |
Violence |
暴力 |
Agent |
エージェント |
Agency |
エージェンシー |
Alterity |
他者性 |
Auto-Anthropology |
自己回帰的人類学 |
Form |
形態 |
Cybernetics |
サイバネティクス |
Content |
内容・コンテンツ |
Myth |
Myth(1.現象的意味、2.肯定的意味、3.否定的意味) |
Children |
子供、こども |
Gender |
ジェンダー(社会的性別) |
Sex |
セックス(生物的性別) |
Culture |
文化 |
Movement |
(社会的)運動 |
Classification |
分類 |
Methodological Individualism |
方法論的個人主義(方法論的全体論の反対語 |
Gossip |
ゴシップ |
Code |
コード、暗号 |
Conversation |
会話 |
Methodological Eclecticism |
方法論的折衷主義 |
Literature |
文学 |
Cognition |
認知 |
Ethnomethodology |
エスノメソドロジー |
Homelessness |
ホームレスネス, 帰るべき家がないこと |
Liminality |
リミナリティ, 境界性 |
Commmon Sense |
常識 |
Ecriture Feminine |
(仏語)女性のエクリチュール、女性という社会性による記述 |
Human Rights |
人権 |
Tourism |
観光、ツーリズム |
Humanism |
人間主義、ヒューマニズム |
Kinship |
親族 |
Discourse |
言説、ディスコース、会話 |
Individualism |
個人主義 |
Irony |
皮肉、アイロニー |
Contradiction |
矛盾 |
Analogics |
類比、アナロジー |
Individuality |
個人性 |
Interpretation |
解釈 |
Consciousness |
意識 |
Interaction |
相互作用 |
Narrative |
対話論理 |
Community |
共同体、コミュニティ |
mental habit |
精神習慣(メンタル・ハビット) パノフスキーの用語 |
principium
importans ordinen ad actum |
行為を規制する原理。スコラ哲学用語 |
modus
operandi |
やり方[操作法]。働きの様相。スコラ哲学用語(cf. opus
opratum, 為された仕事)[→外科手術] |
ratio |
理性。比例。 |
visual logic |
視覚論理。パノフスキーの用語 |
disputatio |
学問的討論。〈そのとおり sic〉と〈否
non〉を提示を伴う議論。 スコラ哲学にさかのぼれるが今日のディベートのスタイルに受け継がれている。 |
nominalism |
唯名論、つまり普遍(universalia)は思考においてのみ存在
すると主張する立場。実在論に対峙する立場。代 表的な議論に、アンセルムス、ロケリヌス、アベラール、オッカム |
realism |
実在論、つまり普遍(universalia)は実体として存在する立
場。唯名論に対峙する立場。その議論の代表格
は、プラトン、聖アウグスティヌス、ネオ・プラトン学派など、スコラ哲学(聖トマスの代表される)の主流となった。 |
Ockham's razor |
オッカムの剃刀(かみそり)。議論をおこない、適切な結論に得るために
は、必要なしに多くの概念や用語を立てずに、もっとも簡潔な議 論を採用すべき、という行動原則のこと。 |
incest taboo |
近親相姦忌避。性交(場合によっては婚姻)をおこなってはならないこ
と。この禁止の範囲は、文化によって異なるために、人類学者に とって重要な議論を提供している。 |
cross / parallel cousins |
交
叉/平行イトコ。交叉イトコ(こうさいとこ、cross
cousins)は親の代の性別が異なるイトコ、つまり母親の兄弟あるいは父親の姉妹の子どもであり、平行イトコ(へいこういとこ、parallel
cousins)は、親の世代が同じ性別であるイトコのことである。 |
Ishi |
イ
シ。〈最後の〉ヤナ・インディアン(ca.1860〜1916)。1911年8月にカリフォルニア州オロヴィルで発見され、サンフ
ランシスコのパーナサス・ハイツにあったカリフォルニア大学の博物館で最後の5年間を過ごした。人類学者アルフレッド・クローバーが、実質的な後見人とな
り、死後アルフレッドの妻シオドーラがその伝記をまとめた。イシとクローバーの関係や1999年にカリフォルニア・先住民のイシの脳標本の返還請求と翌年
の埋葬をめぐって、さまざまな論争をうんだ。(→文献書誌) |
diachronic / synchronic |
通
時的(diachronic)とは時間を経過にそったことをさし、共時的(synchronic)とは同時間内におけるさまざまな
出来事の関連性にそったことをさす。歴史学や考古学において、時間的経緯を取り扱う場合は前者の、その時点での社会の動きを取り扱う場合は後者のアプロー
チをおこなっていることになる。 |
bureaucracy |
官僚制(→用語解説) |
Phenomenology |
現象学(→フィールドワークの現象学) |
opus
modernum |
モダンな作品。西暦12世紀初頭にシュジェ修道院長が、サン・ドニ修道
院の聖堂の建築様式に与 えた言葉。 |
grand
recit |
(仏
語)大きな物語、メタ物語。近代を支配する正当化の機能。リオタール(Jean-Francois Lyotard, 1924-1998)
『ポストモダンの条件』(1979)[邦訳:小林康夫訳、水声社、1991=書肆風の薔薇、1986]によ
ると、近代を支える大きな物語として、<精神>の弁証法、意味の解釈学、理性的 人間あるいは労働者としての主体の解放、富の発展などがある。 |
appropriation |
領有・流用。よーするに「パクる」こと。アプロプリエーション・領有(appropriation)(→「調べよう人類学用語集」) |
ethnographic liberalism |
民
族誌的リベラリズム。1950年代以前に植民地状況で働いていた民族誌学者は、自分たちの位置づけに対してきわめ
てアンビバレントな気持ちを持ち続けていた。それは、一方では、白人の支配ないしは優位性において民族誌学的調査が成り立つということであり、少なくとも
このことについての再帰的な自覚はあった。他方で、植民地状況下において、研究対象となる現地人との交流の中で、彼らを擁護・代弁しようとするさまざまな
(リベラルな)態度をとったり、感情的理解をおこなっていた。このような両面価値(アンビバレントな)的な自覚と態度を、ジェームズ・クリフォードは、民
族誌的リベラリズムと呼んでいる(クリフォード『文化の窮状』p.104)。 |
ethnographic surrealism |
民
族誌的シュルレアリズム。J・クリフォードによると「民族誌的シュルレアリスムは、それとは対照的に、他者性の侵入す
なわち意外性を呼び起こすことにより、見慣れたものを攻撃する」ことである。これは、人類学者がフィールドにおいて異文化体験を行ったり民族誌論文を作成
する最中に経験する異化——見慣れているものが異様になったり、自明なものが疑問に付されるような認識——の現象に相当する認識論的体験である。この反対
語は、人類学的ヒューマニズムである。 |
present-becoming-future |
未来になりつつある現在 |
cultural export and import |
文化的輸出入 |
tribe |
部族 |
negritude |
ネグリチュード |
representation |
表象、代表 |
native |
現地人=ネイティヴ |
wholeness |
全体性 |
documentation |
資料考証=ドキュメンテーション |
self-fashioning |
自己成型 |
salvage |
救出=サルベージ(→「サルベージ人類学」) |
cosmopolitanism |
コスモポリタニズム |
creole |
クレオール |
entropology |
エ
ントロポロジー。レヴィ=ストロースが『悲しき熱帯』の末尾で人類学の皮肉として提唱した言葉。
文化の多様性は未来に向かって均質化し、秩序は解体してゆくなかで、文化人類学
は本物の文化の中に消えゆく差異を(アイロニカルに)記録するしかないという。
この営為がエントロポロジーである。もちろん文化秩序のエントロピックに崩壊す
るという彼の語りは、彼の諦念であり、皮肉であるので、人類学の代替としてこの 学問が主張されているわけではない。 |
exoticism |
異国趣味=エキゾティシズム |
allegory |
アレゴリー |
identity |
アイデンティティ |
behaviorism |
行
動主義。古くはワトソン(J.B.
Watson,1878-1958)に遡れる心理学の立場で、客観的に観察できる行動のみを研究対象にする。行動主義は、スキナー(B.K.
Skinner, 1940-90)で頂点を迎えるが、狭量な〈客観主義〉が破綻し、その古典的な立場はすでに破綻している。(→新行動主義) |
rational choice theory |
合理的選択論、合理的選択理論 |
Evolutionary game theory |
進化ゲーム理論 |
Cyberpunk, Cyber-punk |
サイバーパンク |
settler nation |
植民国家。外部からやってきた植民者が、先住民の住む土地から追い出し
たり、社会の中で周縁化させたことによって成立した近代国家の
こと。先住民の権利回復が全世界で問われるようになり、その社会の国家的成り立ちを理解する際に使われるようになった。 |
socioeconomic status, SES |
社
会経済的地位。資本主義経済が浸透した社会では、社会階層(「身分」や「階級」などの社会的文化的尺度で峻別される)と経済的階層
(財産や所得などで峻別できる集団)の関係がほぼ平行関係にあり、社会階層で高い地位に占めるものは同時に経済的地位も高く、その逆もなりたつ(これを相
関性があるという)。そのためこの両方の要素をまとめて、社会経済地位(SES)が高い/低いという。ただし、社会集団の構成やそれが多世代にわたって続
いてゆく(これを階層の再生産という)性格があるために、経済的特徴だけでは実際には社会階層を識別することができない(例:「一世代で富を築き上げた成
金は、身のこなしや趣味に品がない」という世間的常識)。富を再生産するための元の資金を「資本」と呼ぶが、この資本の考え方を経済のみならず〈文化〉と
いう概念にまで拡張し、階層の再生産の問題を考えたのがピーエル・ブルデュである。 |
sustainability |
持続可能性(→持続可能性イデオロギー入門) |
resional studies |
地域研究:地球上の地域に関するさまざまな情報を整理、統合する学際研
究のこと |
Whiggish |
ホ
イッグ(Whig)主義。歴史は必然的に進歩し、過去を現在の観点からみて[過少]評価する歴史観。ホイッグ党は、清教徒革命時に
おける自由党の前身で、王党派のトーリー(保守党)と対決した。科学史研究で、ホイッグ史観というと、すなわち進歩史観=歴史は無知蒙昧から叡智に一定方
向に進化するという見方と、ほぼ同義にみてよい。ホイッグという名称は、イギリスの政治を他のヨーロッパの政治のもっとも進んだ形であると主張したこと
(=自文化中心主義)に由来する。 |
prosopography |
伝記記述法。prosopopoeiaは、擬人法あるいは活喩法(後者
は架空人物ないしは死者が話したり行動させる修辞法)と言われ
るように、歴史叙述のなかに、人間の発言や行動を後付け、その当時の社会的文脈やある決定や判断を理解する歴史的修辞法のひとつ。 |
azioni
logiche |
(イタリア語)論理的行為(パレートの言葉)[→論理的行為] |
questio
juris |
ラテン語。権利問題 |
glossematics |
言
理学(げんりがく)「言語素論ともいう。
L.イェルムスレウの提唱した言語理論。言語の実質ではなく,純粋な形式を数学的に扱うことが言語学の課題であるとする。言語には表現
expressionの面と内容 contentの面があり,そのそれぞれに実質 substanceと形式 formがあるが,言理学は両者の
formのみを扱うことになる」(→出典「コトバンク」) |
Structure of sentiment |
感
情の構造。レイモンド・ウィリアムズの提唱になる用語。日常生活の細部に至るまでに貫徹する、社会のより上位のイデオロギーとの一体化を表現する用語。我
々が愛国心と呼んでいるような具体的な実践とその心の布置の構図を描くことは、愛国者の「感情の構造」を分析することに繋がるだろう(→「愛国主義」)。 |
debut of "post-modern" |
英
語における最も早いポストモダンの初出は、建築用語として1949年である。しかし、社会
思想の用語としてはトインビー『宗教への歴史家のアプローチ』(1956)やライト・ミルズ『社会学的想像力』(1959)である。特に後者は、現在が過
去のものになるという時代と概念区分の到来を意味する用語としてポストモダンを用いている("Just as Antiquity was
followed by several centuries of Oriental ascendancy... so now the
Modern Age is being succeeded by a post-modern period. Perhaps we may
call it: The Fourth
Epoch.")。この後は、左翼文芸批評誌などの文芸ジャンルとしてこの用語が徐々に用いられるようになる[OEDの"post-modern"参
照]。 |
Anthropology For Dummies in Japan | おばかさんのための人類学(日語利用者のための——) |
unencumbered self v.s. situated
self |
「負荷なき自己 (unencumbered
self)」と「位置ある自己(situated self)」は、リベラリズムとコミュニタリアニズムの論争を表現するために、マイケル・サン
デルが導出した概念である。 |
Begging the question, Petitio
Principi |
論
点先取。 |
Learning | 学習とは、実践を通して外部から知識や情報を入手すること。学習には、 個人が(1)個別に知識リソースにアプローチする「古典的学習(classical learning)」と、(2)何らかの社会状況に巻き込まれて知識や情報を会得する「状況学習(Situated Learning)」に大きく分けることができる。 |
opus
operatum |
為された技/完 成された作品(モース 1973:210)←→modus operandi |
opus inoperans | 不作為の技(作品)(モース 1973:210) |
modus
operandi |
やり方 |
理術(RI_JYUTSU) |
広い意味での知識と技
のことである。
呪術の反対語。知識は身体の外部から食べ物のように吸収されると
いうふうには見ず、知識は鉄棒の逆上がりのように口で説明すること(=狭義の知識)だけではなく、それに身体の行為が伴わないと完成しない(=広義の知
識)ととらえる知識の見方に力点をおくためにこのような表現をした(→実践知)。映画『スターウオーズ』においてジェダイの騎士にとって必要とされる
フォース(理力)
がより、命題化(=言語化)されたものだと考えればよい。この理術は私のオリジナルの言葉ではなく、畏友の慶田勝彦さんから教えてもらった。 |
articulation |
節合 (せつごう)つ
なぎあわせることで
ある。これはちゃんとした日本語だが、カルチュラルスタディー
ズ系の人たちがいうArticulationの翻訳語としてよく膾炙した。この言葉には、言語学の有節発音や子音、解剖学の関節、通信分野における明瞭度
など、ある2つの異なったものがつながり、個々のものがつながることで新たなあるいは、それ以上の働きをなすことを意味している。 |
open space |
オー プンスペース: 広い場所のことで
ある。これは机の上を整理するとか、誰も使っていない図書館の机を
占有することで、学習者に対して新規の事業に参入する気分にさせる。異なった2つ以上のプロジェクトをもつ場合は、それらの作業をする机の場所や部位を変
える必要があるのはこのことによる。スペースと知識の占有は、ヨーロッパの知識の歴史にとっては重要な隠喩的連関をもつものだと指摘されている(フランセ
ス・A.イエイツ著『記憶術』青木信義[ほか]訳、東京:水声社、1993年参照)。 |
outline reading |
慨 読(がい
どく):アウトラインを読む、あるいはアウトラインとして読むという、私の新語。決して害毒 にはなりません(ジョーク!)。 |
other culture |
異文化
(other culture)とは、自分の文化(=自分が属している単数あるいは複数の文化)とは異なる文化のことをさします。 |
Understanding of other cultures |
異文化理解
(いぶんか・りかい;Understanding of other cultures)とは、複数
の「文化」の概念を前提にして、自分のそれ(=文化)とは「異なる文化=異文化」を、理解した り、解釈したりしようとする努力のことをさします。 |
other tribe, other people |
異民族(other tribe, other
people)とは、自分の属するものとは異なった部族、民族集団、国民な
どの類似の人間のまとまりのことを指します。 |
Nation State |
至高なる領域としての国土(=国家が空間的に占有している領域)を政治
的に統治している民(people)が国民(nation)としての統一 性やまとまりをもつ[ないしは、もたせようとしている]国家を、国民国家(Nation State)と呼ぶ。 |
global issue |
地球的(グローバル)規模での解決が必要な問題をグローバルイシュー
(global issue)という。現在では、経済・環境・人権・開発・女性などの国際社会が取り組むべき課題を述べた、サステイナブル快活目標(SDGs)に代表される17のテーマが、世界的に代表的なグ
ローバルイシューである。 |
Affective States |
感情状態 【以下は「政治人類学」用語集です】 |
After Socialism |
社会主義以降、社会主義終焉以降 |
AIDS |
エイズ |
Citizenship |
市民性 |
Cosmopolitanism |
コスモポリタニズム、世界市民性 |
Development |
発展、開発、成長 |
Displacement |
移住、移送 |
Feminism |
フェミニズム |
Gender, Race, and Class |
ジェンダー、人種、階級 |
Genetic Citizenship |
遺伝的市民性 |
The Global City |
(サスキア・サッセン, Saskia Sassen, 提唱の)グローバル都市, |
Globalization |
グローバリゼーション |
Governing States |
国家を統治する |
Hegemony |
ヘゲモニー |
Human Rights |
人権 |
Identity |
アイデンティティ |
Imagining Nations |
諸国民を想像すること |
Infrapolitics |
政治外の事柄 |
"Mafias" |
「マフィア」 |
Militarization |
軍事化 |
Neoliberalism |
ネオリベラリズム、新自由主義 |
Popular Justice |
人民の正義 |
Postcolonialism |
ポスト植民地主義 |
Power Topographies |
権力の空間図・空間配置 |
Race Technologies |
人種(操作に関する)テクノロジー |
Sovereignty |
主権 |
Transnational Civil Society |
トランスナショナル(国家を超えた)市民社会 |
Transnationality |
トランスナショナリティ【ここまでが「政治人類学」用語集です】 |
Anthropology of Tourism |
観光の人類学→「観光人
類学辞典」 |
medical anthropology |
医療人類学→「医療人類学辞典」 |
ethnic affiliation |
民
族的な所属。民族的な帰属概念は、フランスをモデルと する市民ナ ショナリズム(civic
nationalism)がもたらす均質化により、衰退すると考えられた。しかし、その後、民族は新たにうまれると同時に土着の民族性の概念はより強い意
味をもつようになっている(→ ethnogenesis )。なお、以下は「民族
と民族性をめぐる用語集」からの再録である。 |
an ethno |
「ひとつのエスノ」。1970年代のオーストラリアでは、ア
ン・エスノと いうこの語は「移民」をさす言葉であった。 |
an ethnic |
少数民族のひとり |
ethnic minority |
民族的少数派 |
Minority ethnic |
少数派民族 |
ethnic majority |
民族的多数派 |
ethnic cultures |
民族文化 |
ethnic business |
民族ビジネス |
ethnic roots |
民族的ルーツ |
ethnic designs |
民族的デザイン |
ethnic pluralism |
民族的多元主義 |
multiethnic policy |
多民族政策 |
ethnic difference |
民族的差異 |
ethno- nationalism |
民族ナショナリズム |
ethnicide |
民族虐殺、ある特定の民族を標的にした虐殺 |
ethnic cleansing |
民族浄化 |
ethnicization |
民族化。国民国家(nation
state)内部の自治権の要求——スコットランドやカタルーニャの人たちの要求、あるいは国民的帰属意識による国家として地位要求——バスク人独立運
動、アイルランド、ケベック人たちのナショナリズム、などがみられる。以上「民族と
民族性をめぐる用語集」からの再録 |
CEO |
Chief
Executive Officer, The person who is the highest ranking corporate
officer. CEOs are the head of management for an organization. |
COO |
Chief Operating Officer |
CFO |
Chief Financial Officer |
CMO |
Chief Marketing Officer |
CIO |
Chief Information Officer |
Smartphone |
A smartphone
is a mobile device that combines cellular and mobile computing
functions into one unit. They are distinguished from feature phones by
their stronger hardware capabilities and extensive mobile operating
systems, which facilitate wider software, internet (including web
browsing[1] over mobile broadband), and multimedia functionality
(including music, video, cameras, and gaming), alongside core phone
functions such as voice calls and text messaging. Smartphones typically
contain a number of metal–oxide–semiconductor (MOS) integrated circuit
(IC) chips, include various sensors that can be leveraged by their
software (such as a magnetometer, proximity sensors, barometer,
gyroscope, or accelerometer), and support wireless communications
protocols (such as Bluetooth, Wi-Fi, or satellite navigation). |
Nulla poena
sine lege |
罪刑法定主義(Nulla poena sine
lege)とは、ある行為を犯罪として処罰するためには、立法府が制定する法令において、犯罪とされる行為の内容、及びそれに対して科される刑罰を予め、
明確に規定しておかなければならないとする原則のことをいう。つまり罪刑法定主義
(Nulla poena sine
lege)においては、法における違法行為が規定されていない行為は、社会通念上犯罪あるいは悪・不道徳であっても、これを罰することはできない。
これに対立する概念は罪刑専断主義である。「日本国憲法 31,39条は,罪刑法定主義を刑法上の原則として確認している。この原則から (1) 慣習刑法の排除,(2) 遡及処罰の禁止,(3) 絶対的不定期刑の禁止,(4) 類推解釈の禁止という4つの派生原則が生れる」ブリタニカ) Nulla poena sine lege (Latin for "no penalty without a law", Anglicized pronunciation: /ˈnʌlə ˈpiːnə ˈsaɪniː ˈliːdʒiː/ NUH-lə PEE-nə SY-nee LEE-jee) is a legal principle which states that one cannot be punished for doing something that is not prohibited by law. This principle is accepted and codified in modern democratic states as a basic requirement of the rule of law.[1] It has been described as "one of the most 'widely held value-judgement[s] in the entire history of human thought'".[2] |
Nulla poena sine lege praevia |
There is to be no penalty
without previous law. This prohibits ex post facto laws, and the
retroactive application of criminal law. It is a basic maxim in
continental European legal thinking. It was written by Paul
Johann Anselm Ritter von Feuerbach as part of [German] the Bavarian
Criminal Code in 1813. |
Nulla poena sine lege scripta |
There is to be no penalty
without written law. That is, criminal prohibitions must be set out in
written legal instruments of general application, normally statutes,
adopted in the form required by constitutional law. This excludes
customary law as a basis of criminal punishment. |
Nulla poena sine lege certa |
There is to be no penalty
without well-defined law. This provides that a penal statute must
define the punishable conduct and the penalty with sufficient
definiteness. This to allow citizens to foresee when a specific action
would be punishable, and to conduct themselves accordingly, a rule
expressed in the general principle of legal certainty in matters of
criminal law. It is recognised or codified in many national
jurisdictions, as well as e.g. by the European Court of Justice as a
"general principle of Union law". |
Nulla poena sine lege stricta |
There is to be no penalty
without exact law. This prohibits the application by analogy of
statutory provisions in criminal law. |
history of Japanese cultural
anthropology |
日本文化人類
学史を見よ |
Edward Evans-Pritchard |
エドワード・エヴァン・
エヴァンズ=プリチャードを見よ(→「文化人類学人物群像」より) |
understandable sentence |
(さまざまな権力関係が行き交う文脈の中では)わかりやすい文章はしば
しば人を騙すことが明白である——ガヤトリ・スピバック(1993) |
Différance |
"difference
and deferral of meaning."
デリダによると意味作用は、ある記号が別の記号と異なる(differ)ことによって構造づけられる。私とあなたの差異は、現前と非現前(私はあなたでは
ない/なりえない)の関係で構造化される。こことあそこ、文明化と野蛮な、西洋と東洋の違いは、このように構造づけられるが、それは同時に、時間的空間的
ズレがあり、つねに遅らされる(differer)もの、である。デリダはそれを差延(différance )と呼ぶ。 |
supplement |
supplementは英語、補遺や附録の意味。言語記号は完全でない
ために、言語を完全に表象するために、言語はその外側に補遺を求める。つまり、言語は統一的な自己完全性を欠いた存在である。 |
philosophy |
哲学のこと。文化人類学は、哲学思想から大きな影響を受けているし、今後とも哲学分野から批判や援護などの刺激をうけるべきだと考える(→「哲学用語300」) |
fieldwork, field work |
フィールドワーク. |
ethnography |
エスノグラフィー、民族誌。 |
epistemology |
エピステモロジー、認識論. |
ontology |
オントロジー、存在論.(→哲学用語300) |
Political Ethnography of Violence |
『暴力の政治民族誌』を読むための短い用語集(19の関連用語収載中) |
sign language |
手話(しゅわ)。聾者(耳が聞こえない個性を有する人たち)がもちいるコミュニケーション手段。聾者のまわりにいる聴者の統語構造にとらわれない手話を「伝 統的手話」という。他方、聴者の統語構造(例、日本語)によって人工的につくられた手話を「同時法的手話」とよぶことがある。 |
patrimonialization |
遺産化・記念物化 |
mobility |
移動性 |
vernacular |
ヴァナキュラー・土着の |
voice |
声と主張 |
contact zone |
コンタクトゾーン・接触領域 |
cybernetics |
サイバネティクス |
naturalism |
自然主義 |
collective memory |
集合的記憶 |
affectus |
情動(affectus ;ラテン語)→スピノザ |
Anthropocene |
人新世(Anthropocene) |
embodiment |
身体化・具体化 |
scape |
スケープ・景観 |
articulation |
節合 |
digital |
デジタル |
territoriality |
テリトリアリティ・領域性 |
narrative |
ナラティブ・語り |
hybridity |
ハイブリディティ・混成性 |
perspectivism |
パースペクティヴィズム・観点主義 |
heteroglossia |
ヘテログロシア・異種言語混交 |
violence |
暴力 |
mimesis |
ミメーシス・模倣 |