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古典的学習とは?

What is so called classical LEARNING ?

解説:池田光穂

知識の習得を学習そのもののと理解するの が、古典的学習の定義である。古典的学習の類義は、系統学習受動的学習放送局型の学習などという類似語がある。

学習を心理学的観点から定義すると、「経 験を重ねることによって行動が比較的持続的に変化し、安定し、その後の行動に効果をもつようになった場 合」といわれる。この定義をした植松は、学習によらない「行動の変化」つまり環境の変化に対する生物学的な適応や疲労、損傷、病変などを除外している[植 村辰美「学習」小学館スーパーニッポニカプロフェッショナルX]。

学習の心理学研究は、エビングハウス(記 憶研究)、パブロフ(条件反射)、ソーンダイク(学習実験)などがよくあげられるが、これらは、身体の 外側に現れ、観察および実験可能な統制的条件において、立論が有効になるように、学習を定義している。

それに比べて、教育学的観点からは、学習 は被験者の内的意識に関わる[学習という行為の]事後的な体験や変化であるとされている場合が大きい。

子供(生徒・学生)たちが学習によって習 得することが至上命令とされている(つまり学習がドグマ化した)学校教育の現場においては、学習は、た んじゅんに知識の習得[修得]であると理解されることが多い。その点では、今日の日本の学校教育の現場では、学習の定義が、かつて教育学が本来主張してい たような定義よりも、より心理学的な視点に近いことがわかる[=古典的主知主義者 Classical Intellectualist と呼ぶことができる(Hanks 1991:15)]。

しかしながら他方で、学校教育担当者や教 育学者などは、自分たちの現場での体験を通して、子供たちの学習がより複雑なプロセスをたどる内的な過 程であると実感している。他方、このような現場体験を持たない一般の人たちや、子供の保護者たちは、学習をより硬直化された(つまり上記の意味でドグマ化 した)たんなる知識の習得であると理解する傾向が強い。


Illustration from a 14th-century manuscript showing a meeting of doctors at the University of Paris/ A university class, Bologna ca1350s / Teaching at Paris, in a late 14th-century Grandes Chroniques de France: the tonsured students sit on the floor

知識の習得を学習そのもののと理解する知 的伝統は、人類の歴史と共に始まるといっても過言ではない。もの覚えが早いこと、膨大な情報の記憶をも つこと、読書量に反映した知識の計量的イメージ(「頭の中に万巻の書がある」)などの譬えは、学習と知識の習得を関連づけて説明するもっとも典型的なもの である。

このような学習の理解を、ここでは「古典 的学習」と呼んでおこう。古典的学習の類義語には、学習の概念をどこに焦点化しているかということにか かわっているが、系統的学習や、受動的学習などの言葉がある

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+Diagrams, in a volume of treatises on natural science, philosophy, and mathematics. This 1300 manuscript is typical of the sort of book owned by medieval university students.

これに対して登場するのが、ヴィゴツキーの最近接発達領域(ZPD)や、正統的周辺参 加(LPP)を通した学習理論である状況的学習論 (situated learning theory)である。正統的周辺参加が可能になる場として考えられるのが、実践共同体(実践コミュニティ)である。


ただし、状況的学習論が登場する以前か ら、学習における状況すなわち場における学習の意味については、すでに議論が始まっていた。それらは、 「現場の学習」(learning in situ)や「なすことによる学習」(learning by doing)と言われていたという(レイヴとウェンガー 1993:4)。

なお、人工知能の学習は、人間の学習とは根本的に異なる「学習の定義」になるので、注意のこと。

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