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日本語の〈ブンカ〉

BUNKA in Japanese


「文化人はコーヒーがお好き」上島珈琲株式会社の宣伝カー(1955年)/垂水源之介(解説:池田光穂

文化人類学でこれまであつかってきた「文 化の概念」については別項で説明しました。

ここでは日本語の日常用語として、文化がどのように扱われてきたのかということについて考えま す。

(i)身につけるべき教養としての〈文化〉

(ii)権力者(=国家)と国民の文化

(iii)消費財としての文化

文化は、ある程度の強制的ないしは自発的な行為によって獲得されるものです。現代社会におい て、他の社会活動と同様、経済的なものを切り分けて考えることができません。

教養(例えば語学)を身につけることを「自分への投資」といって、将来の自分の社会的地位を 上げたり、その技能によりお金をもうけたりする可能性を想定しています。絵画鑑賞や音楽鑑賞のように、純粋に楽しむために教養(文化活動)が培われるため には興行をするほうも、楽しむほうにもお金がいります。公共図書館で無料で本を読むにしても、そこに行くのにバス代や電車賃がかりますし、また図書館自体 には施設整備にはお金が投入されています。

文化と経済というものは切っても切り離せません。

また、文化というものは、物質文化(マテリアルカルチャー)というものとも切り離せません。 まず文化というものは基本的に文化財とよばれるような物質の形態をもっています。博物館や遺跡のように、文化財を維持するためにはやはりお金がいります。 文化が物質と強い結びつきをもつゆえに、芸能の伝承などは無形文化財や人間国宝などといって、(物質の)形はないけれど文化ですよ、それも経済的なもの ——芸能の伝承などの無形文化財には伝承者という人間の資源が必要ですし、担い手になる人が少なければ金銭による支援が不可欠です——が伴うのだというこ とが暗示されています。

文化というのは、お金が使われてナンボという側面があるのです。それゆえに、文化の歴史は、 所有権の歴史、金銭のやりとりの歴史でもありました。

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