グローバル共生社会論(2009年)
Introduction
to Theory of Global Coexistence, 2009
池田光穂ほか
グローバル共生社会論, Introduction to Theory of Global Coexistence (English course explanation is here, click!)
GLOCOL提供のシラバス「グ ローバル共生社会」はこ ちらです
担当教員
池田光穂ほか
対象
全研究科大学院生、社会人(10名程度)
開講日
月曜7限[19:40-21:10](4月13日〜)
開講場所
人間科学部 東館第207講義室
グローバル共生とは?:このコースの目的と趣旨
グローバル共生社会とは、異なる文化、言語をもつ人々が相互に承認しあい共存することが可能になっている社会のことをさします。グロー バリゼーションが進めば、共生社会の到来は当たり前になるのでしょうか。民族や言語の違いによる紛争や差別が思い起こされるように、グローバル共生は自然 に生まれるよりも、人々の努力を通して実現される必要があるようです。言語や文化が異なる集団が、どのようなプロセスを経て違いを認識し、それぞれの文化 に対して対等に敬意をもって接することはできるのでしょうか。これまでの人類社会のさまざまな経験や教訓、それも良いことばかりではなく重く苦しいものも 含めた事象から多角的に学ぶ必要がありそうです。
グローバル共生プログラムは市民や何らかの専門的知性や技能をもった人たちが社会という現場で、さまざまな利害を超えて協働しグローバ ル共生社会のデザインを描くための理論と実践方法について学ぶプログラムです。参加型・対話型・現場でのトレーニング型(OJT)などの新しい教育手法を 通して市民と専門家が対話や討議を通して協働すること重要性について、現場に出かけたり実習したりするなかで、身体を動かしながら学ぶことを主眼としてい ます。高邁な理念や理想の学習だけでなく、現実の行動原理に結びつき、具体的な成果を生むための一歩を踏み出す学生への後押しがグローバル共生社会論の授 業の目的です。
授業の目的
1.グローバル化に対して日本社会がいかなる対応をしているかについて学ぶ。
2.現代日本におけるエスニック・マイノリティの多様性について学ぶ。
3.ジェンダー・セクシュアリティの多元性と共生社会の可能性について学ぶ。
履修条件
この授業を履修する大学院生に対しては、平成21年度より開始される大学院高度副プログラム「グローバル共生」(提案部局:グローバル コラボレーションセンター(GLOCOL))基礎科目(必修)6単位のうち2単位が認められます。
講義内容
本授業では3つの単元から構成されます。各単元は、グローバル共生に関する基礎的な知見や議論の枠組みを示すものですが、それぞれの単 元の要素は、単元の領域を超えて相互に連関しています。単元1では、グローバル化に対して日本社会がどのような共生に向けての対応をしているかについて司 法、医療、教育、行政の現場を中心に考察します。単元2では、従来の日本単一民族論に対して、現代日本における多様なエスニック・グループの存在に注目 し、その共生のありかたについて考えます。単元3では、ジェンダーとセクシュアリティの多元性が共生的な社会関係を築くためにいかなる可能性を提供してい るかについて検討します。
教科書
韓敬九・桑山敬己編『グローバル化時代をいかに生きるか:国際理解のためのレッスン』平凡社、2008年
この授業に関連のある授業とプログラム
授業の内容
各単元のワークショップ・レポート(各レポートにつき1/3の評価の合計点)を基準に、出席点ならびに平常点(=質問・発話・コメント を通して授業に貢献すること)を加味して総合的に判断します。
単元1 グローバル化と現代日本社会
単元2:日本におけるエスニック・マイノリティの多様性
単元3:ジェンダーとセクシュアリティの多元性
1 | グローバル共生社会と司法[→関連ページ] | 4月13日(月)7限19時40分〜21時10分 人間科学部106講義室 |
2 | グローバル共生社会と医療[→関連ページ] | 4月20日(月)7限19時40分〜21時10分 人間科学部106講義室 |
3 | グローバル共生社会と教育・大学[→関連ページ] | 4月27日 ペルナンブコの体罰 |
4 | グローバル共生社会と行政 | 5月11日[→平和概念の批判的相対化] |
5 | 討論WS:グローバル化と現代日本社会 | 5月18日:新型インフルエンザ禍のため全学休校措置 |
6 | 先住民:世界の先住民運動とアイヌ運動の展開 | 5月25日 |
7 | 被差別部落民・在日コリアン:差別問題の歴史と課題 | 6月1日 |
8 | 「外国人」:多元化する日本社会 | 6月8日 |
9 | 在日米軍:強力なマイノリティ | 6月15日 |
10 | 討論WS:日本におけるエスニック・マイノリティの多様性 | 6月22日 |
11 | ジェンダーと多文化主義:女性というカテゴリーのなかの多様性 | 6月29日 |
12 | 現代日本のケアコミュニティ:東南アジア女性の労働力 | 7月6日 |
13 | セクシュアリティの多様性:ゲイ・レズビアン運動、性同一性障害 | 7月13日 |
14 | 討論WS:ジェンダーとセクシュアリティの多元性 | 7月27日 |
15 | 補講日 | 8月3日(開講されず個別指導日に振り替えます。授業期間中に確認) |
キーワード
グローバル化、共生、多様性、実践、エスニック・マイノリティ、ジェンダー、セクシュアリティ
受講生へのメッセージ
本授業は「コミュニケーションデザイン」ならびに「グローバル共生」という高度副プログラムの科目のひとつです。「コミュニケーション デザイン」に関しては本シラバスの該当ページを、「グローバル共生」に関しては全学の高度副プログラムの案内を参照してください。高度副プログラムへの出 願は所属研究科を通しておこなう必要があります。
教科書をつかった話題の提供や最新資料の提示、メディア報道の批判的読解、ケースにもとづくグループ討論、問題にもとづく学習 (Problem-Based Learning)、e-learning やウェブなどを使って授業を立体的に構成します。
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授業資料:グローバル共生社会論(大阪大学大学院コミュニケーションデザイン科目2009)
教科書:日韓共同編集『グローバル化時代をいかに生きるか:国際理解のためのレッスン』平凡社、2008年
コメント:節以下の項目番号は池田光穂が付けたものである。項目の後の3桁の数字はページ数をあらわす。
1.生き生きと動く文化 012
1.1.文化のグローバル化 014
1.1.0.[無題] 014
1.1.1.ソウルのミョンドン(明洞)で見た文化の変化 015
1.1.2.「100%の韓国人」は存在するか 016
1.1.3.世界の文化は少しずつ似てきているか 018
1.2.文化の違いと偏見 021
1.2.0.[無題] 021
1.2.1.文化とは何か 022
1.2.2.文化の違いを知る 025
1.2.3.自文化を離れて見る 027
1.2.4.見知らぬ文化との接触 029
1.2.5.異文化に対する偏見 032
1.3.グローバル化のなかの伝統文化
1.3.0.[無題] 038
1.3.1.韓流ブームを再考する 039
1.3.2.文化産業と韓国文化 039
1.3.3.シンドプリ(身土不二):韓国の伝統文化と民族的アイデンティティ 040
1.3.4.伝統文化はどのように変化しているか 043
2.東洋と西洋の出会いとグローバル化 046
2.1.東洋と西洋はどこにあるか 048
2.1.0.[無題] 048
2.1.1.アフリカのジャングル王・ターザン 049
2.1.2.西洋とイスラム 050
2.1.3.西部劇のなかのインディアン 053
2.1.4.なぜ東洋は東洋なのか 055
2.1.5.西洋人の中国理解 056
2.2.世界は互いに結ばれて今日に至った 059
2.2.0.[無題] 059
2.2.1.私たちの周りにあるものはどこから来たのだろうか 060
2.2.2.アメリカ先住民の生活変化 061
2.2.3.細菌と病気のグローバル化 064
2.2.4.ヨーロッパの膨張に伴う生態系の変化 068
2.2.5.イギリス人の飲茶の習慣は何をもたらしたか 071
2.3.グローバル化の影 075
2.3.0.[無題] 075
2.3.1.モノカルチャーとグローバル化 076
2.3.2.産業革命、グローバル化、奴隷制度 078
2.3.3.なぜヨーロッパだけに産業革命は起きたか 080
3.差別のない社会に向けて 084
3.1.人種と階級差別 086
3.1.0.[無題]086
3.1.1.ロス暴動と在米韓国人 086
3.1.2.人種にはどのような社会的意味があるのか 089
3.1.3.マイノリティとは誰のことか 091
3.1.4.外国人労働者の人権 094
3.2.性差別 097
3.2.0.[無題] 097
3.2.1.インドの持参金にみる女性の地位 097
3.2.2.女性の体に加えられる暴力 100
3.2.3.ジェンダーと性差別 103
3.3.難民の人権 106
3.3.0.[無題] 106
3.3.1.難民問題と国際社会 107
3.3.2.中国の「脱北者」問題 109
3.3.3.難民問題と韓国の難民政策 111
4.平和への道 114
4.1.私たちのなかの暴力文化 116
4.1.0.[無題] 116
4.1.1.暴力の経験と暴力文化 117
4.1.2.他の社会では葛藤をどのように解決しているのか 120
4.1.3.平和を破壊する差別 122
4.1.4.寛容 125
4.2.戦争と構造的暴力 127
4.2.0.[無題] 127
4.2.1.人類の歴史と戦争という暴力 128
4.2.2.構造的暴力と社会問題 130
4.2.3.人種主義と人種差別政策 134
4.3.平和文化の創造 137
4.3.1.平和を説く名言 137
4.3.2.平和の文化 038
4.3.3.平和をつくる人びと 142
4.3.4.国連と国際機構による平和運動 145
4.3.5.マスメディアと平和運動 146
4.3.6.話し合いとコミュニケーションの技術、そして平和 149
5.食文化と持続可能な発展 152
5.1.ハンバーガーと消えゆく森 154
5.1.0.[無題] 154
5.1.1.食生活の変化 155
5.1.2.牛を食べることを禁じる社会 158
5.1.3.マクドナルド化する社会 159
5.1.4.スローフード 160
5.1.5.肉食の増加と地球環境 162
5.2.スーパーマーケット—近代的な食のシステムと商品化 164
5.2.0.[無題] 164
5.2.1.スーパーマーケットは社会はどのように変えたか 165
5.2.2.米と食文化 166
5.2.3.母乳を追放した粉ミルク 170
5.2.4.シンドプリ(身土不二)の食品・経済・生態
5.3.食糧不足をどうみるか 175
5.3.0.[無題]
5.3.1.全世界の飢餓人口 176
5.3.2.米と食糧の輸入 179
5.3.3.生態系の保護と安全な食品の提供 181
付録:文化の多様性にかんするユネスコ世界宣言(2001年11月2日パリ) 184
【コラム索引】