はじめによんでください
医療制度改革とコミュニケーション教育
Health Communication and Public Health Politics in Modern Japan
医療や医学におけるコミュニケーション教育の重要性は、いま さら言うまでもない。
そのため、21世紀はコミュニケーションの時代と最近になって、コミュニケーション教育の重要性を吹聴するサプライサイドの医療(ヘルス)コ ミュニケーション「業界」の人たちに嫌みのひとつでも言ってみたくなる。
私たちは、そのカウンター概念としての臨床コミュニケーションというものを、こ の数年(2004年〜)提唱、その概念を大学院生との対話的授業を通して鍛えてきた。[→臨 床コミュニケーションデザイン]
しかし、他方で、コミュニケーション教育が昔から重要だと言ってもなお、今日において、その歯の浮いた名前を口にすれば、研究費も付けてやろう と当局筋——つまり文部科学省や厚生労働省——は甘言を弄するわけだから、そのことにまったく関心をもたないと高楊枝する気骨のあるものはそれほどいな い。
そうすると「私ならばあいつの研究よりももっとまし」という学問上のセコいテリトリー意識が作動して、中身のない論文を生産することに専心して しまい、当初の「いま、なぜ医療コミュニケーションか?」という大切な反省的視点のことが忘れたままになってしまう。
大切なことは、医療制度改革のなかで、旧来の教育制度やコミュニケーション教育に関するこれまでの過小評価の現状とその考えられうる理由につい て、ただしく指摘し、医療コミュニケーション・医学コミュニケーションあるいはヘルスコミュニケー ションそのものの「適正な改革」に寄与することが求められるということである。
現場への情熱だけの応用派でも、現場のことは単なる理論計算上の経験値にすぎないと考える冷徹な理論派でも、自分たちの研究が、どのような社会 的要請からきて、今何をすることが期待されており、これからどういう方向への進むのかというビジョンをもち、そして、その状況そのものにどのように関わる のかということを、自覚することが極めて重要である。
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資料編
現代日本の大学教育に担わされている期待とは?(池田光穂)
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