ヘルスコミュニケーション
保健コミュニケーション、健康コミュニケーション、health communication, Comunicacion de salud
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定義
ヘルスコミュニケーション(ヘルス・コミュニケーション, health communication)とは、健康と病気にかんする保健領域における(個人対個人、個人対集団、集団対集団などの様々なタイプの)対人コミュニケー ションのことである。米国の疾病予防研究センター(CDC, the Center for Disease Control and Prevention)では、ヘルスコミュニケーションを「健康を増進する個人とコミュニティの決定に情報や影響を与えるコミュニケーションの諸戦略の研 究と利用のこと」(the study and use of communication strategies to inform and influence individual and community decisions that enhance health)[2001]と、とらえている。
また、1998年のHealth Promotion Glossary では以下のように説明されていた。
Health communication is a key strategy
to inform the public about health concerns and to maintain important
health issues on the public agenda. The use of the mass and
multi media and other technological innovations to disseminate useful
health information to the public, increases awareness of specific
aspects of individual and collective health as well as importance of
health in development.
すなわち、ヘルスコミュニケーションとは、対象となる個人や集団の(定義 がいかなるものであれ)「よい健康 」(good health)というアウトカムを求めるコミュニケーションの実践と研究のことである。
そのため、研究や実践をはじめる前・行っている最中・終わった後に、ヘルスコミュニケーションでは、その「よい健康」ならびにコミュニケーショ ンとは何かということが常時検討されていなければならない。
■ 範疇
ヘルスコミュニケーションとは、ある特定の人間から発せられ(機械やメディアに媒介されながらも)最終的には別の人間に伝えられるコミュニケーションである。媒介される機械やメディアや人間の相互作用にお ける「文脈・コンテクスト」を考慮すると、およそ下記のようなタイプに経験的に分類するこ とができる。
■ 研究と教育
ヘルスコミュニケーション研究にはいくつかの認識論的次元がある。
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A.ヘルスコミュニケーション概論 (1)対人コミュニケーション研究の動向の把握 [→参照:コミュニケーション・デザインとは何か?][コミュニケーション] ヘルスコミュニケーションを含む、個人対個人、個人対集団、集団対集団などの様々なタイプの対人コミュニケーションに 関する基礎理論や研究の新しい潮流の把握 大阪大学大学院博士(前期・後期)課程の院生向けの「コミュニケーションデザイン科目」ならびに学部高学年向けの「知
のジムナスティクス」および一連の高度副プログラムにおける選択・選択必修科目の授業(臨床コミュニケーション関連科目)では、おもにこの現象面において
焦点をおいて、対話型の授業をおこなってきた。 (2)コミュニケーション過程に影響する変数 ヘルスコミュニケーションにおける、文化的、民族的、ジェンダー的、宗教的、地理的な諸要因の変数に関する基礎情報や その動態の把握 [→参照:ヘルス・プロモーションとヘルス・イデオロギー] (3)健康と病気に関する基礎理論 [→参照:病 いと疾病] B.ヘルスコミュニケーション実践に関する社会的取り決め (4)対人コミュニケーションに関する契約概念とその倫理 (5)コミュニティ活動に関する契約概念とその倫理 (6)コミュニティの動態性 [→参照:コ ミュニティ] (7)専門職による医療的コミュニケーション(あるいは臨床コミュニケーション) [→参照:臨床コミュニケーション] (8)ヘルスコミュニケーション・プロモーションにおける当事者の活動の位置づけ [→参照:コミュニティにもとづく参加型研究(CBPR)] C.ヘルスコミュニケーション技法 (9)ヘルスコミュニケーションの計画と立案(リサーチと実践のデザイン) (10)健康状況の把握、対象者・対象集団の輪郭形成 (11)プログラムの目的とその諸戦略の確立 (12)個々の戦略を実現するための戦術の構築と、プログラム途上のフィードバックのための評価技法 [→ 参照:PDCA] (13)履行状況把握、経過観察、プログラム総括評価 |
■ アウトカム
■ ヘルスコミュニケーションの認識論
私は、ヘルスコミュニケーションというものが、歴史的文脈を超えて普遍的に共通する一般像を結ぶとは考えていません。ある時代のある社会 において、まさにヘルスコミュニケーションであると考えるものが、別の異なった文脈ではおよそ似ても似つかぬものである/あった可能性があります。それぞ れの文化の身体観や超自然的なものを取り扱う宗教が文化や社会において多様な広がりをもつものだとすれば、ヘルスコミュニケーションもまた多様な広がりを もつ可能性を誰が否定することができるでしょうか?_できません。病気や治療の概念が異なるように、ある社会における極北のヘルスコミュニケーションが、 別の社会では中心的な課題になることだってあるはずです。
他方それは完全にバラバラというものでもないでしょう。医者—患者関係が、しばしばシャーマン—クライアント関係に擬されて分析されること があるよう に、ヘルスコミュニケーションにも、それを成り立たせているエージェントやプレイヤーが限定でき、それらの役割と社会的期待や理想像があることは、行動や 価値観のパターン化には多様性を超えてある共通性を認めることができるわけです。ただしその共通性は、ウィトゲンシュタインの家族的類似性のように、多項 的な配列の重なりあいでしか共通点を見いだすことができないような組み合わせかもしれません。ヘルスコミュニケーションは、それがおかれた文化的背景に よって、その意味内容・社会的意義・実践的意味機能が異なります。つまり、その社会の人たちが考えるヘルスコミュニケーションは、文化や歴史というものに 影響を受ける極めて動態的なものであるということです。
私は、ヘルスコミュニケーションの具体像が、多様化する地球規模的な要因について考える必要があると考えています。例えばグローバリゼー
ションがもたら
す、世界の均質化と、同時にそれとは矛盾するように思われる世界の分節的多様化の影響が、当然ヘルスコミュニケーションの社会現象にも表れていると思いま
す。もしそうであるならば、ヘルスコミュニケーションは、歴史的社会的に普遍的な一般像をもつような文化的事象ではないし、それゆえこの事象に対して本質
主義的な定義をおこなうことはナンセンスであると言えます。他方で、歴史的社会的文脈の詳細な分析をすれば、人びとが、それをヘルスコミュニケーションと
して受け入れるようになったプロセスがすべて解明されるようになるとも考えていません。ヘルスコミュニケーションは、現時点で確固とした実在として取り扱
うことを否定しないが、文脈に依存している流動的かつ不安定なものとしても理解しなければなりません。もしヘルスコミュニケーションになんらかの実体を想
定して私たちがアプローチするのであれば、このコミュニケーションに関わる人びとから構成されるきわめて立体的な構成物であることを今一度確認しておかね
ばならないでしょう。
人を動かす十の原則です(東京大学の奥原剛准教授の説 ※表現変えています)
1)おどろきを、あたえる 2)クイズを、つかう 3)すうじを、つかう 4)ものがたりを、かたる 5)みえるようにする、あるいは、ぐたいてきに、わかりやすく、つたえる 6)りてんと、じゃくてんを、こころに、ひびかせる 7)つたえる、ないようを、しぼる 8)じっさいに、あたまのなかで、やってみる 9)ちゅうがくせいに、わかるようにする 10)おしえられる、ひとの、たちばから、そうぞうする |
奥原先生の原文はこうです;1)驚きを与える、2)クイズを使う、3)数字をつかう、4)ストーリーを使う、5)視覚的・具体的に伝える、
6)メリット・デメリットを感情に訴える、7)情報量を絞る、8)シミュレーションしてもらう、9)中学生にもわかるように伝える、10)受け手の視点で
考える(出典:奥原剛『実践行動変容のためのヘルスコミュニケーション』大修館書店, 2021年)
◎経済産業省を嗤おう
Anyway, DX originally means Long Distance Communications. so, F*UC*K O*FF Japanese METI.
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