オストラネーニエ
ostranenie, остранение
解説:池田光穂
日常言語は、自動化し無意識化した日常を自然化する機能(=ドクサ化機能)をもつ。
しかし、日常言語による現前化したものだけが「現実」ではないことは、我々が非日常的なことを出会ったり、事故にあったりすることで、その事実 は開裂するかのごとく出現する。
その日常性を破壊する、ないしは、ちょっと傷つけることにより、日常性が開裂する機能をもつ言語あるいは言語機能をもつ実体が存在する。
それが詩的言語である。詩的言語は、ヴィクトール・ボリソビッチ・シクロフスキー(Viktor Borisovich Shklovskii, 1893-1984)らによるロシア・フォルマリズムの運動のなかで、日常言語との区別のなかで定式化された。オストラネーニエ(ostranenie) は、芸術の手法としての非日常化、あるいは異化(いか)として理論化されたものであり、詩的言語は、これにより日常言語により構築される世界を打破し、芸 術を我々の前に開示するのである。
オストラネーニエ(ostranenie, ロシア語 остранение) は、英語の翻訳では「見慣れないようにすること=異化(Defamiliarization)」と紹介されている。
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