ジャレド・ダイアモンド『昨日までの世界』読解
試験問 題(2015年)
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ジャレド・ダイアモンド『昨日までの世界』読解:臨床社会特論D(2015年)
【授業目的】
今期の臨床社会特論Dは、伝統社会の生活様式を様々
な角度から眺めることを通して、現代社会の在り方について考えます。伝統社会は比較的小規模で、狩猟採集・牧畜・農耕などの生業様式を特徴として、人類の
数万年の歴史のほとんどを占めてきた社会(=世界)です。他方、伝統社会も含めた現代社会は、多かれ少なかれ工業革命の影響を受け、加速度的に発展しつつ
ある情報や物流の地球規模化(グローバリゼーション)の中にあります。現代社会の病気と健康を考えるためには、ミクロ的な臨床社会学の研究アプローチの他
に、このような比較研究――私の用語で言う進化社会学的研究のひとつ――を通して明らかにする必要があります。
【到達目標】
医療社会学を学ぶ目的は、健康と病いの経験、それら
をめぐる知識と技術、医療に関わる仕事や職業、医療制度などの分析を通して、現代の人が、保健にまつわるさまざまな課題にどのように取り組んでいるのかと
いう実相を理解することにあります。現代社会における保健にまつわるさまざまな課題を照射するために「伝統社会」の対応する現象や出来事に考察し、現代社
会との共通性と独自性について考えることができることを到達目標とします。
【授業時間外の学習(準備学習等について)】
【試験対策】
【試験問題】
定期試験問題
【1】近代社会において「個人をして私的暴力に訴え なくさせる方法」は2種類あるという:(1)国家権力を怖れさせ、その脅威により個人の武力行使を思いとどまらせる、(2)司法制度を機能させ、その処遇 処理により信頼感を醸成し、個人が私的暴力に訴えないようにすること。その2種類について、解説し、我々の社会でどのように、その方法が機能しているか解 説してみよう。(配点:25点)
【2】アロペアレンティングとはなんでしょうか? ジャレド・ダイアモンドは、アロペアレンティングが伝統社会で頻繁であり、かつ有益な子育ての一種であり、また、アロペアレンティングが少なくなった近代 社会では、復活させてもよいのではないかと提唱しています。どうして、アロペアレンティングは有益で、また、近代社会では復活したほうがよいと考えられる のでしょうか? 解説してみましょう。(配点:25点)
【3】ジャレド・ダイアモンドが、ソロモン諸島レン ネル島で経験した、その社会の老人の言う「フンギケンギの後だけ食べる」ということは何のことなのか? フンギケンギとは何であるのか?またこの社会にお ける老人の「価値」についてダイアモンドが何を言おうとしているのかについて解説しなさい。(配点:25点)
【4】ジャレド・ダイアモンドによると、宗教は5つ
の要素で特徴づけられると主張(教科書:下巻:p.151)していますが、我々が授業で検討した限りでは以下の3つの要素で十分であると思われます。すな
わち宗教を説明する、必要不可欠の形態上の3つの要素とは、(1)教義があること、(2)信徒集団(=信者)があること、(3)宗教実践があること(=儀
礼を実践すること)であるように思われます。しかし、これだけでは、倫理や道徳、あるいは慣習的実行と、宗教を区分することができません。この3つの要素
に加え、かつ3つの要素に通底する、〈ある種の独自の信念〉とはいったい何でしょうか? そのことを加えて、皆さん自身の「宗教の定義」を完成させなさ
い。(配点:25点)
【試験終了後の成績照会とそれに対する教師の回答】
――厳正な採点経過を紹介する資料として提示します
【予備】
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