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進化生物学と医療社会学(2015年度版:立教大学大学院)

Evolutionary Biology and Medical Sociology

池田光穂

【クレジット】

社 会学特別講座1( MB471)金曜5限(16:40-18:10)立教大学池袋キャンパス9号館(9202教室)「進 化生物学と医療社会学立 教大学大学院社会学研究科・社会学特別講義1

【授業の目的】

医療社会学史の展開に関する基礎知識の上にたち、こ れまで医療人類学等が取り扱ってきた、伝統社会(未開社会)の健康と病気についての人々の対処行動の、現代社会における連続性と非連続性について、各人が 民族誌資料(史料)や関連文献を収集し、教科書に書かれてある議論について、バランスのとれた論評をすることができるようになる。

【授業の内容】

健康と病気に関する文化的および社会的現象を研 究対象とする人類学研究を、医療人類学(medical anthropology)と呼ぶ。この授業は、健康と病気に関する人間のさまざまな諸実践(これが考え得る最も広義の「医療」の定義である)が、文化人 類学の基本的な概念と方法を用いれば、研究と分析が可能となり、その時代や社会の価値評価になり得る基礎資料を呈示できることを、講義と演習(文献読解) を通して明らかにする。今年は、伝統社会の生活様式を様々 な角度から眺めることを通して、現代社会の在り方について考えます。伝統社会は比較的小規模で、狩猟採集・牧畜・農耕などの生業様式を特徴として、人類の 数万年の歴史のほとんどを占めてきた社会(=世界)です。他方、伝統社会も含めた現代社会は、多かれ少なかれ工業革命の影響を受け、加速度的に発展しつつ ある情報や物流の地球規模化(グローバリゼーション)の中にあります。現代社会の病気と健康を考えるためには、ミクロ的な臨床社会学の研究アプローチの他 に、このような比較研究――私の用語で言う進化社会学的研究のひとつ――を通して明らかにする必要があります。

社会学特別講座1は、伝統社会の生活様式を様々な角 度から眺めることを通して、現代社会の「生命と医療」の在り方について考えます。ゼミの輪読形式により文献の読解とコメントを中心に授業は展開されます。

【日程】→文献情報はこちらです!

2015年04月10日
『昨日までの世界』「プロローグ:空港に て」「第1章 友人、敵、見知らぬ他人、そして商人」
2015年04月17日
「第2章 子どもの死に対する賠償」「第 3章 小さな戦争についての短い話」「第4章 多くの戦争についての長い話(前半)」
2015年04月24日
「第4章 多くの戦争についての長い話 (後半)」「第5章 子育て」
2015年05月08日
「第6章 高齢者への対応――敬うか、遺 棄 するか、殺すか?」「第7章 有益な妄想」
2015年05月15日
「第8章 ライオンその他の危険」「第9 章 デンキウナギが教える宗教の発展」
2015年05月22日 「第10章 多くの言語を話す」「第11 章 塩、砂糖、脂肪、怠惰」
2015年05月29日 「エピローグ 別の空港にて」『銃・病原 菌・鉄(上)(下)』「プロローグ:ニューギニア人ヤリの問いかけるもの」
2015年06月05日 『銃・病原菌・鉄』(承前)「第1章 1 万3000年前のスタートライン」「第2章 平和の民と戦う民の別れ道」
2015年06月12日 「第3章 スペイン人とインカ帝国の激 突」「第4章 食料生産と征服戦争」「第5章 持つものと持たざるものの歴史」
2015年06月19日 「第6章 農耕を始めた人と始めなかった 人」「第7章 毒のないアーモン ドのつくり方」「第8章 リンゴのせいか、インディアンのせいか」
2015年06月26日 「第9章 なぜシマウマは家畜にならな かったのか」「第10章 大地の広がる方向と住民の宿命」「第11章 家畜がくれた死の贈り物」
2015年07月03日 「第12章 文字をつくった人と借りた 人」「第13章 発明は必要の母である」「第14章 平等な社会から集権的な社会へ」
2015年07月10日 「第15章 オーストラリアとニューギニ アのミステリー」「第16章 中国はいかにして中国になったのか」「第17章 太平洋に広がっていった人びと」
2015年07月17日
「第18章 旧世界と新世界の遭遇」「第 19章 アフリカはいかにして黒人の世界になったか」「エピローグ 科学としての人類史」//総合まとめ

【進度表:行程表】

    1. 授業の全体のアウトラインの説明:授業運営のルール、予習復習の方法、教室外における学習資源の紹介、質疑応答。前半の教科書:ジャレ ド・ダイアモンド『昨日までの世界(上)(下)』をどのように理解するか、について。予習:「プロローグ:空港にて」/対面的交渉を通した交易の問題。伝 統社会における、ヒューマンコミュニケーションの問題について論じる。予習:「第1章 友人、敵、見知らぬ他人、そして商人」
    2. 伝統社会における、紛争処理、ADRの起源、私法・慣習法・司法制度について考える。予習:「第2章 子どもの死に対する賠償」/部族間 戦争の事例・ダニ族の闘いについて。伝統社会の戦争と近代戦争の比較。予習:「第3章 小さな戦争についての短い話」「第4章 多くの戦争についての長い 話(前半)」
    3. 人間と戦争行為。「第4章 多くの戦争についての長い話(後半)」/生殖と再生産に関する文化現象。出産、嬰児殺し、授乳と離乳、子ども への訓育、体罰、遊び、子どもの社会的地位について。予習:「第5章 子育て」
    4. 伝統社会での高齢者への対応に関する2つの相反する態度。その理由説明に関する諸仮説。予習:「第6章 高齢者への対応――敬うか、遺棄 するか、殺すか?」/伝統社会にリスク概念は存在するか? 不幸な出来事に関する説明原理など。予習:「第7章 有益な妄想」
    5. 伝統社会におけるリスク概念の続き。予測可能能力について。予習:「第8章 ライオンその他の危険」/宗教の問題。超自然的現象の説明。 宗教と個人、宗教と社会について。予習:「第9章 デンキウナギが教える宗教の発展」
    6. 言語について。多言語状況が当たり前の世界がモノリンガルになぜなったのか。母語維持の重要性などについて。予習:「第10章 多くの言 語を話す」/社会現象として罹病・文化現象としての罹患。非感染疾患と伝染病、食生活と疾患、発症の環境因子について。予習:「第11章 塩、砂糖、脂 肪、怠惰」
    7. 伝統社会の利点、現代社会の利点。現代社会が伝統社会から学ぶべきことは何か? 予習:「エピローグ 別の空港にて」/この授業のまと め。対面的交渉を通した交易、伝統社会における紛争処理、部族間紛争、伝統社会の戦争と近代戦争の比較、人間と戦争行為)、生殖と再生産に関する文化現 象、伝統社会での高齢者への対応に関する2つの相反する態度、伝統社会にリスク概念、宗教の問題、言語について、社会現象として罹病・文化現象としての罹 患、伝統社会の利点、現代社会の利点について復習する。
    8. 後半の教科書であるジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄(上)(下)』の所論を中心に、人類史と人間の生業と文明の発展、そして疾病 の果たす意味について考える。予習:「プロローグ:ニューギニア人ヤリの問いかけるもの」「第1章 1万3000年前のスタートライン」「第2章 平和の 民と戦う民の別れ道」
    9. 平和の民と戦う民の別れ道(承前)の分水嶺としての新大陸「征服」の物語。食料生産にまつわる謎について考える。予習:「第3章 スペイ ン人とインカ帝国の激突」「第4章 食料生産と征服戦争」「第5章 持つものと持たざるものの歴史」
    10. 引き続き、人類史における食料生産の問題について考える。予習:「第6章 農耕を始めた人と始めなかった人」「第7章 毒のないアーモン ドのつくり方」「第8章 リンゴのせいか、インディアンのせいか」
    11. 人類史における家畜の意味について考える。予習:「第9章 なぜシマウマは家畜にならなかったのか」「第10章 大地の広がる方向と住民 の宿命」「第11章 家畜がくれた死の贈り物」
    12. 知識情報システムと文明について考える。予習:「第12章 文字をつくった人と借りた人」「第13章 発明は必要の母である」「第14章  平等な社会から集権的な社会へ」
    13. 文明構築の謎(1)。予習:「第15章 オーストラリアとニューギニアのミステリー」「第16章 中国はいかにして中国になったのか」 「第17章 太平洋に広がっていった人びと」
    14. 文明構築の謎(2)予習:「第18章 旧世界と新世界の遭遇」「第19章 アフリカはいかにして黒人の世界になったか」「エピローグ 科 学としての人類史」

リンク

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回数
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1
プロローグ:空港にて
Pro-World_u_Yesterday_JD2012.pdf
プロローグ:空港にて
2
第1章 友人、敵、知らぬ他人、そして 商人
01-World_u_Yesterday_JD2012-2.pdf
3
第2章 子どもの死に対する賠償
02-World_u_Yesterday_JD2012.pdf
4
第3章 小さな戦争についての短い話
03-World_u_Yesterday_JD2012-2.pdf
5
第4章 多くの戦争についての長い話(前 半)
04-World_u_Yesterday_JD2012-3.pdf
6
第4章 多くの戦争についての長い話(後 半)
(上に同じ)
7
第5章 子育て
05-World_u_Yesterday_JD2012-4.pdf
8
第6章 高齢者への対応――敬うか、遺棄 するか、殺すか?
06-World_u_Yesterday_JD2012-5.pdf
9
第7章 有益な妄想
07-World_u_Yesterday_JD2012-6.pdf
10
第8章 ライオンその他の危険
08-World_u_Yesterday_JD2012-7.pdf
11
第9章 デンキウナギが教える宗教の発展
09-World_u_Yesterday_JD2012-8.pdf
12
第10章 多くの言語を話す
10-World_u_Yesterday_JD2012-9.pdf
13
第11章 塩、砂糖、脂肪、怠惰
11-World_u_Yesterday_JD2012-10.pdf
14
エピローグ 別の空港にて
Ep-World_u_Yesterday_JD2012-11.pdf
15
さらなる読書のために
biblio-World_u_Yesterday_JD2012.pdf


同一サイト内リンク

    1. John C. Campbell『日本政府と高齢化社会』ノート
    2. 高齢化社会のデザイン
    3. 「高齢化社会」の理想と幻想
    4. 認知症者の世界へのマッピング
    5. 見えない障害
    6. ヒューマン・サービスに関わる科学とは?

For all undergraduate students!!!, you do not paste but [re]think my message. Remind Wittgenstein's phrase,

"I should not like my writing to spare other people the trouble of thinking. But, if possible, to stimulate someone to thoughts of his own," - Ludwig Wittgenstein