- チンパンジーは(人間と比べて)「宗教を持たない」と言われる(pp.139-140)。人間とチンパンジーのどのような違いが、その宗
教の有無を決定づけているのか、説明してください。
- なぜジャレド・ダイアモンドは「宗教は、現代社会において伝統的なものが衰えをみせずに存在している唯一のものである」と断言するのか?
(p.140)現代社会において、それが衰えていない「具体例」をあげて説明してみなさい。
- 宗教(ないしはその教団)の特徴として、「多くの場合において、信者に、貴重な時間と資源の投下を求める」とあります(pp.140-
141)。その具体例をあげて解説しなさい。
- 世の中に——とりわけ西欧世界では——「宗教が人間社会に遍在的に存在するのは、事実として神が存在するからであり、宗教の役割や便益を
あえて発見する必要はない」と主張する人がみられます(p.141)。このような「強い信念」を持つ人にも、納得できるように、今こそあえて私たちが「宗
教を(社会学的に)研究する意義があるのだということを、説明してみましょう。ここでの説明は、神の実在の有無ということを問わないでも、宗教は研究する
に値する——つまり社会的意義のある——大きなテーマであると説得することにほかなりません。これは、社会学を学ぶものにとっては極めて重要な主張(=説
得)です。こころして答えてみましょう。
- 私が授業で説明したように、ジャレド・ダイアモンドは、「デンキウナギの誕生は進化論で説明出来ない」という〈神による万物創造派
(creationists)〉を、「デンキウナギの誕生は進化論で説明できる」という論駁方法を使って、「宗教の存在理由を科学で説明できない」という
〈宗教は人間であることの本質である派(religious
essentialists)〉の論法を、「宗教の存在理由を科学で説明できる」で論駁する(=打ち負かす)ことができると信じているようです。従って
ジャレド・ダイアモンドは「宗教の存在理由を科学で説明できる」という立場をとります。では、なぜ宗教は人類社会に遍(あまね)く存在するのでしょうか?
ダイアモンドが宗教が人類において存在する理由を、いったいどのような根拠をもって説明しているのでしょうか?(p.155, pp.159-166)
- ジャレド・ダイアモンドが宗教は5つの特徴がみられると主張(p.151)していますが、我々が把握することができる範囲では3つの要素
で十分であると思われます——そのことは授業で説明しました。宗教を説明する、必要不可欠の形態上の3つの要素とは、(1)教義があること、(2)信徒集
団(=信者)があること、(3)宗教実践があること(=儀礼を実践すること)であるように思われる。しかし、これだけでは、倫理や道徳、あるいは慣習的実
行と、宗教を区分することができない。この3つの要素に加えて、そして3つの要素に通底する、信念の要素はいったい何であろうか? そのことを加えて、皆
さんの宗教の定義を完成させなさい(p.147, pp.147-151, pp.166-172)。
- ウィリアム・ジェームズは、宗教的生活とは、どのようなものであると考えたでしょうか?まとめてみましょう(p.145)
- エミール・デュルケームは、宗教をどのように定義したでしょうか?まとめてみましょう(p.146)
- クリフォード・ギアツは、宗教をどのように定義したでしょうか?まとめてみましょう(p.146)
- 日本人に多いと言われる、アグノスティック(agnostic, 不可知論)やエイシスト(atheist,
無神論者)とは、どのような信念の持ち主なのでしょうか? 解説してみてください(用語の初出は p.148)。
- ダイアモンドが考える宗教の機能に、我々が与える(さまざまな社会的)説明に「適している」からだと言って次の7つの機能を説明します:
(1)超自然なるものの説明、(2)儀礼を通した不安の解消、(3)苦痛や死を癒す、(4)制度的組織、(5)政治的服従、(6)同胞や他者への寛容性、
(7)異教徒への攻撃の正当化。これらのことについて、それぞれ、具体例を与えて説明しなさい(pp.176-209)。
- 11.で指摘した7つの宗教の機能について、ジャレド・ダイアモンドは、紀元前5千年から現在までの影響力の盛衰をダイアグラムで示して
います(p.211の表9-3)。これらの中で、私たちの時代において、もっと減衰したものは何でしょうか? そして、現代においてもそれほど衰退せず十
分な機能を果たしてものは何でしょうか? これらの2つの機能を説明してください。
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この本の原著は、Jared Diamond,
The
world until yesterday : what can we learn from traditional
societies? New York: Viking, 2012. です。
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