- 戦争とはいったいなんでしょう? ダイアモンドの議論を参照して、あなたなりの戦争を定義してみましょう(pp.224-227)。ちな
みにダイアモンドは、さまざまな論者の戦争の定義を議論したあとで次のように戦争を定義しています:「戦争とは、敵対する異なる政治集団にそれぞれ属する
グループのあいだで繰り返される暴力行為のうち、当該集団の一般意志として容認、発動される暴力行為である」(p.228)。
- 「伝統的戦争に関する入手可能な情報は、大半が二次資料なのである」(p.230)。この場合の、一次資料と二次資料とは、どのような資
料のことを指すのでしょうか? それぞれ説明を加えなさい。
- 部外者による伝統的戦争の記録資料は「観察という行為が被観察対象を歪めて」しまうと、ダイアモンドは記述しています(p.232)。ど
うして、観察そのものが「被観察対象を歪めて」しまうのでしょうか?説明してください。
- 伝統的戦争にはどのようなものがあるのか? みんなで整理してまとめてみよう(pp.236-241)。
- 伝統的戦争と近代戦争には、どのような類似点と相違点があるのか? これもまた整理してみよう(pp.245-255)。
- 伝統的戦争は、戦争を終結させることが、近代のそれに比べて「大変」つまり困難であるとダイアモンドは述べている(p.256)。それ
は、どうしてでしょうか? 考えてみましょう。
- 人類学者スターリング・ロビンズが報告するニューギニア高地のアウヤナの人たちは、植民地政府が自分たちが長年続けてきた部族戦争を終わ
らせたことを感謝しています(pp.258-259)。植民地政府は、彼の報告によると、どのような手段で部族戦争をやめさせたのでしょうか? また、こ
の説明はみなさんにとって信じるに足る説明でしょうか? みなさんの見解をお聞かせください。
- 近代社会との接触(→ファーストコンタクト)後に、伝統社会での戦争行為が以前のものよりもより苛烈になったのではないかという仮説をダ
イアモンドは説明しています(pp-265.261)。いったいどのような要因で、伝統社会での戦争は苛烈になったのでしょうか?
- ジャン=ジャック・ルソーの原始社会=平和で闘いをしらない社会、という見解にたいして、ジャレド・ダイアモンドは史実において正しくな
いと反論しています。ダイアモンドの反論にはどのような根拠にもとづいておこなっているでしょうか?(pp.228-236, p.265 を参照)
- ダイアモンドの反論(→9.を参照)にかかわらず、多くの文化人類学者は、伝統社会民は近代社会の人々にくらべて好戦的ではないし、また
戦争行為をおこなっていないと主張しています。そのような見解に対しても、ダイアモンドは反論しています。ダイアモンドの現代の文化人類学者に対する反論
を簡潔にまとめてみましょう(pp.266-267)。
- チンパンジーにおける「戦争」はどのようなものでしょうか? チンパンジーははたして「戦争」というものをおこなっているのでしょうか?
ダイアモンドは、そうだ(=戦争している)と主張しますが、それは、ダイアモンドが定義した「戦争」の記述と合致するでしょうか、それとも合致しない
(=齟齬[そご]を起こす)でしょうか?(→1.を参照してください)
- 生物学的要因が人間の戦争行為にかかわっている可能性をダイアモンドは否定しません(p.270)が、「人間社会のなかに、生得的もしく
は遺伝的に平和を好む人々の社会と、生得的もしくは遺伝的に戦争を好む人々の社会があるという主張はありえない」と述べています(p.272)。この一見
矛盾するような説明について、皆さんはどう思われますか?ダイアモンドの説明に問題があるのでしょうか? それとも擁護すべき別の説明があるのか? みん
なで考えてみましょう。
- 伝統社会での戦争の要因を、ダイアモンドは、「捕虜にした子ども、牛、首級、馬、人体、土地、土地から産出する資源や土地の利用権、豚、
栄誉名声、タンパク源、奴隷、交易権、妻(女性)」が戦利品であり、それらの獲得をめざすものだと言われています(pp.273-274)。しかし、別の
箇所(例、第3章、p.211)では、「豚祭りに出席するために近隣の部族に住む親戚を訪問していたグテル部族同盟に属する集団」の男女が殺害されたいた
ことが、1か月後の戦争を引き起こした遠因としてあげている。この矛盾を君はどのように説明することができるのだろうか?
- 戦争の究極要因が説明できない理由としてダイアモンドは、究極要因は当事者が、それを自覚しているとは限らないということをあげています
(p.279)。これまでのダイアモンドの解説を通して、我々は人類がおこなう戦争の究極要因——例としては土地などの資源の獲得(p.280、参照)
——をどのようにすれば、明らかにできるのでしょうか? 究極という数限られた要因で説明しようとするダイアモンドの姿勢の当否も含めて検討してみましょ
う。
- ルイス・リチャードソンの近代国家間の戦争に関する、統計にもとづく経験主義的な研究についてまとめてみてください(pp.285-
287)。
- 近代戦争や伝統的戦争にかかわらず、戦争行為を考察する要因として「復讐心」について、戦争について考察を深めたい現代人はより深く考え
るべきだと、ダイアモンドは主張しています(pp.291-296)。これらの言及箇所を読んで、君自身が考える「戦争と復讐心の関係」について考察して
ください。
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この本の原著は、Jared Diamond,
The
world until yesterday : what can we learn from traditional
societies? New York: Viking, 2012. です。
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Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099