大学教授になるには?
(大学院生/ポスドク/若手研究者編)
発行人:池田光穂
これから大学院生/ポスドク/若手研究者に対して、大学教授(=大学の先生)になるには、ということについて講義(レクチャー)します。
――「終身在職権(テニュア)をもらって、そもそもどうしたいのさ?」
――わたしがテニュアの再審査に神経をすり減らしていたとき、友人で同僚のエリック・エイブラハムソンが、失敗したらどうしようという恐れを和 らげようとして、こんな話をしてくれた。
――「学者ってのは、檻の中で、サイクリングマシンのペダルを漕いでる、ラットみたいなもんだ。ますます強く速くペダルを踏むのに、1インチも 前に進みやしない。しまいには、あまりにも必死に漕ぎすぎて、こりゃ死ぬなと思う。もしラッキーなら、ペダルを漕いで車輸を回しているきみの姿を、だれか が気に入ってくれて、絶好のタイミング、まさに倒れようというそのときに、檻の戸を開けてくれる。奇跡に奇跡が重なって、息ができるようになる。それだけ じゃない、自転車を降りて、檻の外に出て、新鮮な空気を胸一杯吸い込み、何年かぶりに、外の世界をよおく見ることができる。それが、テニュア(終身在職 権)を得るってことだ。でもしばらくすると、またまわれ右して、自転車に戻るんだ。前とちがうのは、ずっとのんびり、じっくりしたペースで漕げるってこと だけ」。
引用は、選択の科学 : コロンビア大学ビジネススクール特別講義 / シーナ・アイエンガー著 ; 櫻井祐子訳,東京 : 文藝春秋 ,
2010.11,330ページ(The art of choosing / Sheena Iyengar, London : Little,
Brown , 2010)
■ 本当に大学教授になりたい人には、さらに具体的な計画と専門的知識が必要です。
■ 中学生・高校生のための文化人類学講座