SDGs達成に向けた高度汎用力教育開発
Challenging for developmets
of Transferable Skills (TK) educations with SDGs for all
postgraduate students of Osaka University, 2018-2019
大阪大学COデザインセンター(CSCD)
社会イノベーション部門
大阪大学は、異なる領域の人と知識をつなぎ、社会課題の解決や新たな価値の創造に向けて専門的知識を役立てることのできる高度汎用力(課題発見力、課題解決力、社会実践力)を備えた人材を養成するために、2016年7月にCOデザインセンター(Center for the Study of Co*Design)[読み方は「こ・でざいん・せんたー」
である]を設立した。学部生・大学院生の社会への幅広い関心と課題発見のための多様なスキルを学ぶ横断型高度教養・高度汎用力基礎教育プログラム「コミュ
ニケーションデザイン科目」、Problem-Based Learning
(PBL)も含む高度汎用力発展科目「COデザイン科目」からなるカリキュラムの開発・実施を段階的に進めている。社会イノベーション部門は、課題解決の具体化に向けた産官学民のあいだの共創と協奏をつくりだすための研究教育を探究するセクションである。とりわけ2018(平成29)年度からは、部門全体が一丸となって「SDGs達成に向けた高度汎用力教育開発」に取り組んでいる。
SDGs達成に向けた高度汎用力教育開発(計30関
係科目。うち、高度副プログラム「ソーシャルデザイン」当センター提供29科目、「フィールド・プロジェクト」(統合術))を目標にしている。
趣旨と目的 近年、2030年までの国際目標である「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: 以下、SDGs)の達成に向けた大学の役割が一層問われ、取組のあり方が議論されている。たとえば、日本学術会議の『SDGsの達成に向けて日本の学術界 が果たすべき役割』(平成29年9月)によれば、多くの学術領域の協働と社会との強い連携が不可欠であり、「学際的な研究に加えて超学際的 (transdisciplinary)な研究が不可欠」である。SDGs達成に向け、超学際的な研究の必要性への理解は深まる一方で、産官民学等との共 創を含む学際的な教育プログラムの設計のあり方に関する議論は始まったばかりである。 本調査研究は、SDGs達成に向けた本学独自の学際的かつ学習者中心の教育プログラムを開発することを試み、SDGsを題材とした高度汎用力教育のあり方 を検討することを目的とする。その作業過程において、単独の専門家で解けない課題を認識し、複数のプレイヤーが協働し、社会にポジティブなインパクトを生 み出す力を育むことを図るプロジェクト型(PjBL)の授業運営のモデルやプロトタイプを提案することを目指す。本調査研究のメンバーは、社会イノベー ション部門の全教員(常勤)メンバー(申請時点7名)からなる。 すでに全メンバーは、高度副プログラム「ソーシャルデザイン」に科目提供を行うなど、積極的にSDGsに関連する教育研究を実施してきた。今後、本調査研 究で得る成果と知見を高度副「ソーシャルデザイン」の改善点に加えて、当センター全体で取り組む予定のプロジェクト型(PjBL)の個別授業(「フィール ド・プロジェクト」(総合術)に反映することを目指す。 注:書類提出と同時にデータを電子ファイルにて、全学教育推進機構等事務部会計第二係 (〔E-mail〕zenkyo-inkaikei[at] office.osaka-u.ac.jp)宛てに送信すること。 |
計画と方法 訪問予定の教育・研究機関、ゲストスピーカーの氏名、あるいは、導入を検討している教育手法などについてもできるだけ具体的に記入すること。 部門メンバーが特に重点を置く社会的課題は、下記のとおりである。なお、17の目標からなるSDGsの対象は、開発途上国と先進国の双方にまたがってい る。加えて、個々の課題は多数のSDGsに関連し、一つのSDGs達成のためには 多くの課題への理解と解決策が必要となる。そのため、各課題につき、複数のメンバー(アルファベットはイニシャル)で研究調査を実施する。(「SDG」後 の番号については、「国際連合広報センター」のHP参照。) SDG1「貧困をゼロ」【I、U、K】; SDG2「飢餓をゼロ」【I、U、K】; SDG3「健康と福祉」【I、H、K】; SDG4「質の高い教育」【H、T、U】; SDG7「エネルギー」【M、Y、U】 SDG13「気候変動」【M、Y、U】; SDG9「産業と技術革新の基盤」【M、Y】; SDG10「人や国の不平等をなくそう」【H、T、K】; SDG11「住み続けられるまちづくりを」【M、Y】、 SDG16「平和と公正」【I、T】。 研究計画は次のとおりである。 1.本学におけるSDGsに関する教育研究活動のマッピング 部門メンバーは、これまでSDGsに関連する教育研究を実施するなかで、本学においてSDGsに関わる活動を行っている他部局教員(人科、法、経、医、 薬、工、基礎工、言語、国際公共等)との協力関係を構築してきた。今後、引き続きフィールドワーク等のSDGsに関連する活動を実施するとともに、ワーク ショップの開催等を通じて、他部局関係者との一層の情報共有や連携強化を行う。その間、本学におけるSDGsに関する教育研究活動をマッピングすること で、SDGsを題材とした高度汎用力教育と高度副プログラム「ソーシャルデザイン」に取り入れることが可能なテーマや学際的なアプローチを整理する。 2.学外におけるSDGsに関する課題発見・解決が必要なアクターとの連携強化 関西圏等でSDGsに関する課題発見・解決を望む企業や地方自治体等の組織と団体との連携を図り、実践活動が実現可能なアクターをリストアップする。加え て、海外でSDGsに関し、多様なアクターとともに実践的な教育活動を行っている機関等を調査訪問する。これらを通じて、学外におけるSDGsに関する課 題発見・解決・実践が必要なアクターとの連携のあり方を分析・評価する。 3.プロジェクト型(PjBL)の授業運営のモデルやプロトタイプ 上述の1と2を踏まえ、課題テーマ、協働アクター、予算、期間、学生ニーズ等の項目を踏まえた複数の授業運営モデルの検討に入る。また、その試験的なモ デルに関し、ワークショップ等を通じて、学内外の関係者からフィードバックを得て、本学において平成31年度から実現可能なSDGsを題材とした高度汎用 力教育のあり方についてまとめ、高度副プログラム「ソーシャルデザイン」の履修コースに取り入れる。 |
期待される成果
(機能強化経費終了後の平成34年度以降の状態も予測し記入すること。) 期待される成果として、次の三点があげられる。 まず、(1)学生向けに、17のゴール・169のターゲットから構成されるSDGsを題材とした現実的な課題をテーマとすることで、異分野を超えたチーム や学外アクターと共に取り組む意義ばかりではなく、その意欲の向上を図れることが可能となる。加えて、本調査研究を実施することで、高度副プログラムの履 修コースの改善、新設PjBL型科目の開発・改善が可能となる。 次に、(2)学内向けに、当センターでSDGsに関する教育材料を集約することで、社会的課題に対し複数のプレイヤーで取り組むことが、当センターの特色 であることへの理解を得るとともに、他部局教員からの協力を得られる体制を整備できる点があげられる。また、本調査研究を進めることで、共創機構や社会ソ リューションイニシアティブ(SSI)等のSDGsに取り組む部局との連携強化を図ることができ、H34年度以降のプログラム継続の計画が可能となる。 最後に、(3)学外への発信について、SDGs達成に向けた本学における学際的かつ学習者中心の教育プログラムの開発は、国内でも先行的な取組である。国 内におけるSDGsに関する取組促進の一助になることを目的として、本調査研究の成果を学会や研究会での発表を通じて、関係者に広く発信し、積極的に情報 共有を行う。 【表】 |
34年度以降の継続方法(資金の根拠、あるいは、資金がな
くても続けられる方法を具体的に記入すること。) 先述の(4)1~3とおり、カリキュラム開発のための本調査研究では、課題テーマ、協働アクター、予算、期間、学生ニーズ等の項目を踏まえた複数の授業 運営モデルの検討に入る。そのうち、平成34年度以降も継続して、高度副プログラム「ソーシャルデザイン」とその「出口科目」相当の「フィールド・プロ ジェクト」(統合術)を実施できるような授業運営モデルを提案予定である。具体的には、協働アクターとの連携を踏まえた授業に関し、SDGsに取り組む企 業等との連携を強化する。また、経産省等によるSDGsのテーマに関するプロジェクト公募への応募を検討する。そのほか、資金のない授業運営モデルを検討 する。具体的には、豊中・吹田キャンパス内で実施可能なSDGsのテーマに沿った運営実施体制のあり方を検討する。そのためにも、来年度の本調査研究で は、他部局との連携強化を図る。 |
【申請予算とその内訳】非公開 |
【摘要】 1)各人の授業の内容をSDGsのアイコンを使って多元尺度で評価してみよう! 2)社会イノベーション部門全体で、アイコンの数を集計して、どのようなテーマに力点が置かれているのか、どのような点が手薄なのかを(可視化を通して) チェックしてみよう! |
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