ならずよんで ね!

疑似軍事力としての核技術の維持

Nuclear Fuel Cycle as Pseudo- Military Power

池田光穂

★その悪ノリとしての「核燃料リサイクル」

《疑似軍事力としての核技術の維持》いい得て妙

書肆(みすず書房)の解説→日本のエネルギー政策 の恥部とも言うべき核燃料サイクル事業は、行き場のない放射性廃棄物(核のゴミ)を無用に増やしながら、まったく「サイクル」できないまま、十数兆円以上 を注いで存続されてきた。本書は核燃料サイクルの来歴を覗き穴として、エネルギーと軍事にまたがる日本の「核」問題の来し方行く末を見つめ直す。

日本では、戦前から続く「資源小国が技術によって一 等国に列す」という思想や、戦間〜戦中期に構造化された電力の国家管理、冷戦期の「潜在的核武装」論など複数の水脈が、原子力エネルギー開発へと流れ込ん だ。なかでも核燃料サイクルは、「核ナショナリズム」(疑似軍事力としての核技術の維持があってこそ、日本は一流国として立つことができるという思想)の 申し子と言える。「安全保障に資する」という名分は、最近では原子力発電をとりまく客観的情勢が悪化するなかでの拠り所として公言されている。

著者はあらゆる側面から,この国の「核エネルギー」 政策の誤謬を炙り出している。地震国日本にとって最大のリスク・重荷である原発と決別するための歴史認識の土台、そして、軍事・民生を問わず広く「反核」 の意識を統合する論拠が見えてくる労作。

核 燃料サイクルという迷宮 : 核ナショナリズムがもたらしたもの / 山本義隆 [著], 東京 : みすず書房 , 2024.5.

★「現在の核燃料サイクル政策」ウィキペディア(日 本語より)

「上記シナリオ1から4までについて、10項目の視 点から評価を行った結果、原子力委員会では、原子力政策大綱(2005年(平成17年)10月11日原子力委員会決定)において、「使用済燃料を再処理 し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本方針とする。」ことを決定しており、原子力政策大綱[6]は、2005年(平成17年) 10月14日、原子力政策に関する基本方針として閣議決定されている。現行路線(上記シナリオ1)に基づき、2011年までの45年間に核燃料サイクルに 投じられた金額は少なくとも10兆円に上っており、その原資は税金と電気料金からなる[7]。しかし六ヶ所村の再処理工場の稼動は延期が重ねられており、 高速増殖炉もんじゅは複数回の事故により1994年の稼動開始以来わずか数か月しか運転できないまま、2016年12月に廃炉が決定された。

但し下記の六ヶ所村の核燃料サイクル基地が稼働して も年間再処理能力は800トンであり国内の原子力発電所から発生する使用済み燃料は年間1000トンを超えており、「全量再処理」路線を掲げる長計に沿え ば、第二再処理工場を建設する必要がある。また電気事業連合会は2003年12月の時点でバックエンド費用が総額18兆8千億円かかると試算している [8]。

関西テレビが2023年8月10日に放映した newsランナーで、明治大学大学院の勝田忠広教授は「再処理工場がトラブル続きで稼働していない」ことや「核燃料加工施設も建設中で進展していない」こ とを指摘し、また「MOX燃料の需要がなくなっているという意味で」核燃料サイクルは「破綻していると言っていいと思います」と指摘した[9]。」(→「核燃料サイクル」)

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