デュアルユース・テクノロジー
What is dual-use Technology? or Emerging of Transferable Technology
初飛行に成功した空自向けRQ-4B
(写真はノースロップ・グラマン)
デュアル-ユース・テクノロジー、あるいは、デュアルユーステクノロジー(dual-use technology)というのは、もともと政治学あるいは外交の用語で、「戦 争」と「平和」の両方に使える科学技術のことである。
"In politics, diplomacy and export control, "dual-use" refers to technology that can be used for both peaceful and military aims. More generally speaking, dual-use can also refer to any technology which can satisfy more than one goal at any given time. Thus, expensive technologies that would otherwise benefit only civilian commercial interests can also be used to serve military purposes if they are not otherwise engaged, such as the Global Positioning System. The "dual-use dilemma" was first noted with the discovery of the process for synthesizing and mass producing ammonia which revolutionized agriculture with modern fertilizers but also led to the creation of chemical weapons during World War I. The dilemma has long been known in chemistry and physics, and has led to international conventions and treaties, including the Chemical Weapons Convention and the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons.[2]"-Dual-use technology.
「政治、外交、輸出管理において「デュアルユース」とは、平和目的と軍事目的の両方に使用できる技術を指す。より一般的に言えば、デュアル
ユースとは、常に2つ以上の目的を満たすことができる技術を指すこともある。したがって、そうでなければ民間の商業的利益にしかならないような高価な技術
も、全地球測位システム(GPS)のように、他に関与しなければ軍事目的に使用することができる。「デュアルユース」のジレンマが最初に指摘されたのは、アンモニアの合成・大量生産プロセスの発見である。アンモニアは近代的な肥料によって農業に革命をもたらしたが、同時に第一次世界大戦中の化学による兵器の製造にもつながった」。
第一次世界大戦以降、総力戦を決するのは、大量殺戮兵器あるいは大量破壊兵器の開発であることが、大国の政府や軍事関係者のなかで意識されるよ うになってきた。とりわけ、第二次世界大戦のドイツ機甲師団や空軍にみられるように、ナチスドイツや、それに対抗する米英の軍事技術関係者は、科学技術の 進歩が、戦争を優位に進めるという思考法ないしは思想をより広範に推し進めることになった。ABC兵器の開発と、その成功、実装はその典型である。他方、 そのような技術の肥大がもたらす惨禍への予測が、軍縮協議という枠組みも作っていった————これらは、我々をして「低強度/中強度戦争パラダイム」の歴史的継続の概念を受け入れることを要請します。
他 方で、そのような軍縮の枠組みから自由になるために、第二次大戦後は、さらなる軍事技術の開発の必要性が求められた(→DARPA[ダーパ])。そこで は、軍事技術の研 究と開発(R&D)のために、政府機関が、はじめは秘密開発で、やがては、守秘義務の履行を前提に民間企業や大学との共同研究を推しすすめること になった。またプラグマテックな思想(=役に立つものを優先的に使ってみる)のもので、民生で発達した技術を、軍事装備品に実装する、スピン・オン( spin-on)という技術転用も生まれた。電信、電話、ラジオなどは民間で開発されたものであるが、民間でも軍事でも普通に使われるテク ノロジーである。
他方、軍事技術からはじまり、民生にも使われるという、スピン・オフ (spin-off)の成果もある。インターネットや、GPS(全地球位置システム; Global Positioning System)などがそれである。
技術確信のイノベーションの速度が、早くなるにつれて、また、戦争のスタイルが、それまでの大量破壊兵器が主力の武力衝突から、武力と情報(イ ンテリジェンス)のハイブリッドなもの(例:ドローンによる監視と指示によるピンポイントミサイル攻撃)へと力点が変化していったために、現在では、軍事 技術と平和技術の境目がなくなりつつある。デュアル・ユースの言葉は、そのような境界が曖昧になった科学技術の汎用性(これを高度汎用技術 [transferable technology]と読んでもいいだろう)。
冷静がおわった1980年代中頃以降、デュアルユースなど、研究者の観念遊戯だという議論がありましたが、21世紀にはいって、それが現実にな
りました。現在はむしろ「非人間的武器の非人間的使用」(ノーバート・ウィナーの著作のもじり)が深刻で重要な議論の枠組みとなっています。
●ノースロップ・グラマンは、航空自衛隊向けの無人偵察機RQ-4B「グローバルホーク」の初飛行に成功
「空自向けRQ-4Bの初飛行は、米カリフォルニア州パームデールで現地時間4月15日に行われた。グローバルホークはISR(情報収集・警戒
監視・偵察)用途の無人機で、同社によるとオンデマンド・データをほぼリアルタイムに24時間配信し続けられる、唯一の高高度長時間滞空型無人機
(UAV)だという。空自はRQ-4Bの配備に向け、三沢基地に臨時偵察航空隊を3月18日付で発足させた。約70人体制で、装備品の受け入れや運用試
験、教育などを行う。計画では今年度以降、同基地に3機を配備する見通し」https:
//www.aviationwire.jp/archives/225053 retrieved 24 Apr, 2021)
◎ロシアの偵察機から米国製半導体(2016年)
「[オークランド(米カリフォルニア州)2022年4月1日 ロイター] - 米シリコンバレーの半導体製造企業マーベルは、2016年に回収されたロシアの偵察用ドローンの中から自社製半導体が見つかったことを知り、その経緯を調 べ始めた。この半導体の価格は1個2ドル(約245円)にも満たない。2009年にアジアの流通業者に出荷され、アジアの別の業者に販売されたが、後者は その後廃業した。……マーベルの場合と同様に、自社のローエンド製品の多くが最終的にどこで使われているかを追跡する能力が半導体メーカー側にないことを 示す例は無数にある、と経営幹部や専門家は語る。これでは、自国製テクノロジーのロシア向け流出を阻止することを意図した米国の新たな制裁の効果が損なわ れかねない。スーパーコンピューターを構築可能なハイエンドの高性能半導体は企業に直接販売される一方で、たとえば電源制御といった単機能の低価格半導体 はコモディティー的な存在として、しばしばリセラー数社を経由して何らかの機器に搭載される」https://bit.ly/3uz83sY。
米シリコンバレーの半導体製造企業マーベルは、2016年に回収されたロシアの偵察用ドローンの中から自社製半導体が見つかったことを知り、その経緯を調べ始めた。写真はコンフリクト・アーマメント・リサーチが調査した、ロシア製ドローンに使われたマザーボード。キーウ(キエフ)で2019年5月撮影され、2022年3月31日にロイターに提供(2022年 ロイター/CONFLICT ARMAMENT RESEARCH)
◎授業資料:この記事を読んで「デュアルユース問題」を政府は認識しているか?あるいは、知っているのに無視をしているのか?行政遂行の倫理という点からグループで討論し、その結果を各人で論じてください。
◎防衛装備移転三原則
「防衛装備移転三原則(ぼうえいそうびいてんさんげんそく、平成 26年4月1日国家安全保障会議決定・閣議決定[1])とは、日本国政府が採る武器輸出規制および運用面の原則のことである。2014年(平成26年)4 月1日に、国家安全保障戦略に基づいて、武器輸出三原則に代わる新たな政府方針として制定された[2]。防衛装備移転三原則に基づき、国家安全保障会議 (NSC)がこれまでに防衛装備の海外移転を承認したのは、地対空ミサイル 部品の対米輸出と戦闘機用空対空ミサイル をめぐる英国との共同研究の2事例に加え[3]、実際に武力衝突が発生している国家への移転としては、2022年にロシアより軍事侵略を受けたウクライナ より要請され防弾チョッキなどを例外的に供与した例がある[4]。」
我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることなどに鑑み
れば、国際協調主義の観点からも、我が国によるより積極的な対応が不可欠となっています。我が国の平和と安全は我が国一国では確保できず、国際社会もま
た、我が国がその国力にふさわしい形で一層積極的な役割を果たすことを期待しています。これらを踏まえ、我が国は、国際協調主義に基づく積極的平和主義の
立場から、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していくことと
しています。 こうした我が国が掲げる国家安全保障の基本理念を具体的政策として実現するとの観点から、防衛装備の海外移転に係るこれまでの政府の方針につき改めて検討 を行い、これまでの方針が果たしてきた役割に十分配意した上で、新たな安全保障環境に適合するよう、これまでの例外化の経緯を踏まえ、包括的に整理し、明 確な原則を定めることとしました。 “防衛装備移転三原則について”. 防衛省 (2014年4月1日) |
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