かならずよんで ね!

解釈共同体

Interpretive communities

池田光穂

解釈共同体(Interpretive communities)とは、スタンレー・フィッシュ(Stanley Fish, 1938- )による理論用語。

フィッシュによると、テクスト(=物語や作品)の登 場人物やそれがどのように解釈されるかについての文化的前提のセットの外側にテクストというものは存在しない。また、そのように読まれなくても著者の意図 が含まれるというものがテキスト、すなわち(テキストがもちうる)文化的テキストの特徴である。したがって、私たちは、誰しも、この解釈共同体の一員とし てテキストを読むことになる。また、私たちは、この解釈共同体に属しながらも、いったい誰がこの解釈共同体のメンバーであるのかについても未知である。テ キストの中の行為というものは、そのような文化的前提にもとづいて解釈されることを待つような存在だからである。

したがって、私たちは、この不思議で境界が見えにく い解釈共同体というものから自由になることできない。言い方を変えると、主知主義者が喜んで使う(しばしば濫用する)「ありのままに」テキストを読み込む ことはできないし、また、解釈には限界があると知りながら、その限界がどこにあるのかも知りうることはできない。

この議論は、読者=応答批判論( reader-response criticism)に大いなる影響力をもたらした。と同時にさまざまな論争を生んだ——フィッシュの立論は不可知主義者のレトリックに負い、プラグマ ティックな楽観主義には着地しない。他方で、フィッシュの「このクラスにテキストはありますか」などはとてもユーモアもあり、楽しい論考である(後者の立 場をとりフィッシュは「ネオ・プラグマティスト」とレッテルする向きもある)。

本文……

解釈理論/共同体論

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Mitzub'ixi Quq Ch'ij, 2018

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