ポートフォリオによる成績管理基準
Guide to Portfolio evaluation
ポートフォリオとは、紙挟み(かみばさみ)つまり、 もともとは証券類の書類が入ったフォルダーのことであった。ポートフォリオ評価は、アクティブラーニングやPBLなどの質的な学習による質的な評価が重要 視される――あるい試験というメリトクラシーでは測定できない――生徒や学生の質を評価し、成績をつけるための、総合診断書類のことである。あるいは、そ のような情報の集積と、評価全体のプロセスを含む場合の意味もある(→「ポートフォリオ評価(portfolio evaluation)」)。 また、経済学では、投資の管理のために、投資の個々の戦略を複数の組みわせからなるもの(=資産 構成, portfolio)とし、有価証券への分散投資をすることで、利益を最大に、リスクを 最小にすることが重要であることを、ポートフォリオ理論というかたちで説明したがそれとも異なる(=〈運用効率〉と〈リ スクの回避〉の思想はよく似ているにもかかわらず)。
ここでは、学生と教師がともにポートフォリオ(リア ル/ヴァーチャル)を管理し、アクティブラーニングの実施における、学生の質的な貢献について、リニアな順位による成績評価に還元してゆく方法について考 えてみたい。
以下は、エディソン州立コミュニティ単科大学(Edison State Community College)のそれ が役にたったのでそれに準拠しつつ解説してみたい。
■教師の側のポートフォリオ情報
1.アセスメント(評価)過程の概要
2.成績判定と単位認定のポリシー
A. 成績判定の基本的考え方と単位評価方法(Standards and Credit Awards)——8つのポリシー
B. 単位認定のポリシー
3.ポートフォリオによるアセスメント過程
3.1 授業前の学習の評価、(受講前の)必須条件
3.2 コースワーク(学習過程)に関する事前の資 料
3.3 レジュメ
3.4 シラバス
3.4.1 学習がはじまる前のベースラインに関 するアセスメント:授業がはじまる前に何をどのように学ぶのかについて、なにをどの程度理解しているのかについての情報、記載資料。
3.4.2 学習が終了したときに、なにをどのよ うに学んでいるのかに関する評価情報とそれに関する学生本人の理解に関する事前資料。評価基準が教師本人から伝わっているのかについての確認事項
3.4.3 配布される資料の正確さ・妥当性に関
する情報
4.評価事項
4.1(授業内容の理解に関する)素直さ、率直さ
4.2 本物らしさ/確実らしさ(オーセンティシ ティ)
4.3(獲得した知識や情報の)幅広さ
4.4(獲得した知識や情報の)質
5.評価の根拠
1.直接的な証拠あるいは典拠資料
2.間接的な証拠:1次資料および二次資料
3.語彙と概念の理解:定義、他の用語との差異、学
習の結果なのか知識の獲得なのか
■学生のためのポートフォリオ情報
1.ポートフォリオによる評価とはなにか?
2.ポートフォリオ評価の対象とは誰か?
2.1 授業に先立つ学習や他の授業を通して、何が どのように教育されるのかについて分かっている個人や学生
2.2(社会人履修生のように)自分の人生のなかで の経験をとおして、当該の授業の理念や学ぶことを予測し、自己評価できる個人や学生
2.3 教えられた内容についてもう知っているのだ という意識があり、授業を受ける過程でフラストレーションをもつ個人や学生
2.4 ポートフォリオによる成績管理されることを
望まない/そのように計画だてることを理解できていない個人や学生
3.ポートフォリオ評価による成績において、どのよ うにすれば好評価されるのか/成功するのかに関する技術や質とはなにか?
4.アセスメント過程に関する概要
4.1 学ぶべき指標や課題が記載された表のサンプ ルが添付されているが、授業の途上あるいは修了において表が項目や内容が記載されることについて知っている
4.2 ポートフォリオを定期的にチェックするため の不定期で非公的な集まりが開催されることについて知っている。またそのような集まりの前に、資料を準備することについて事前理解できている。
4.3 ポートフォリオは、あらかじめ決められた参 照基準に照らし合わされることについて知っている。あるいは(異議申し立てや再評価のリクエストのために)教師以外の第三者による成績評価の検証のため に、閲読あるいは評価されることについて知っている。また、そこでは、求められていることが直截的に書かれ、確実な情報に関する記載があり、自分の考え方 と他者の考え方を客観的に峻別し、引用等に関するルールが守られることを知っている。
4.4 これら自己評価と他者評価によるポートフォ リオ過程に関することが、きちんとシラバスに書かれてあり、そのことについて事前に理解したという認識をもつ。
4.5 予習と復習を通して、シラバスに記載された 内容がきちんと教えられているのか、あるいは学んだのかについて、証拠にもとづいて説明できる。
4.6 ポートフォリオ過程による定期的なチェック をうけている
4.7 ポートフォリオ単位/授業単位で、コストが
生じていることを理解している。また、それに関する追加の料金が発生する制度などについて知っていること。
5.これらのポートフォリオに関する説明を受けたあ
とに、ポートフォリオによる成績評価に関する理解のチェックリストと同意書を作成し、教師集団(学校法人)と受講生(学生)の間に合意事項が確認されるこ
と。
●本文…(未完)
学生が自覚的に自分のポートフォリオを管理するためには、みなさんが従来の職場のなかでおこなっている自己診断テストもいい方法かもしれません(実例→「情報セキュリティ自己診断チェックリスト」)
リンク
文献
その他の情報