Muchas Gracias! 感謝のコーナー Thanks a lot!
このコーナーは、池田光穂ならびに私の属していた熊本大学文学部の池田研究室に寄贈された書籍・報告書・論文別刷・CD-ROM資料などをアップすることで、感謝の意を表明し、またコメント等を 掲載することで、執筆・制作者の方々の努力にお応えするものです。讃美・罵倒などコメントは、あくまでも受け取った池田の責任において情報発信するもの で、コメントされた、それらの著作物等の販売促進や名声の向上(あるいはその逆の社会効果)を目的とするものではありません。
2002年から熊本大学に赴任されておられる寺田先生の研究室を訪問した際に、拙著『実践の医療人類学』と交換しました。猿蟹合戦ではありませんが拙著はおにぎり、寺田先生のものは柿の種です。この領域(医療と文学、医療文 学論)の研究の可能性がもつパワーはすごいですね。医療人類学は老舗ですが、医史学のように地道データーの蓄積の方向へゆくふうでもなく、文学研究のよう な豊富なテキスト群に立ち向かってゆくでもなく、軟弱?な批判的反省モードへの傾斜をつよめて、オリジナル・データの生産がちょっとお留守になっているこ とは、ここ最近、いろいろな勉強会に呼ばれて反省しております。寺田先生、喝を入れてくださってありがとうございました(2003.04.17)。
2003年より放送大学大学院文化科学研究科修士課程の2名の院生(望月さん、渡山さ ん)の副指導教官を務めることになりました。千葉幕張でのオリエンテーションのおりに、江渕先生からいただきました。フィリップ・ボックの教科書の翻訳者 としてはじめて先生のご高名を知りましたが、まさに文化人類学の一般教育のひとつの集大成ですね。また、江渕先生には、宴会の懇親会の席上で、君のインターネットの教科書のページには古くて手に入らないものがあると指摘されました。まったくその とおりでございます。これから順次、手に入らないものは、マスクして見えないように改造してゆきます(2003.04.12)。
加藤秀俊 編『コメとアジアのひとびと――7人の稲作農民の生活史――』中部高等学術研究 所、中部大学[非売品]
加藤秀俊先生がリーダシップをとられたユネスコのプロジェクトの研究報告書です。テキス ト本文はpdfファイルで下記のところからダウンロードできます。大学の自己評価フィーバーでペーパー公害気味の人文社会関連の報告書・紀要ブームにより 凡百の紙屑が生産されていますが、早々と見切りをつけ(プリントメディアでの配布は500部だけだそうです)電子媒体で広く広報するというのは、これから の人文科学の情報公開に新しく力強い流れを作るでしょう!!
◆ アジアのコメと人々(ダウンロード・ポータルページ)
http://www.chubu.ac.jp/koho_shuppan/annai/kenkyujo/chubu_koutou/shuppan.html(2003 年4月9日)
桜井厚・好井裕明編『差別と環境問題の社会学』東京:新曜社、2003年
寄稿者のひとり細川弘明(ほそかわ・こうめい)さん[第8章「異文化と環境人種主義」] です。環境人種主義(environmental racism)という観点から見えてくる、コアラの着ぐるみやディジャリドゥー(あのヨス・インディの音楽に流れる“ぶぉ〜お〜お〜”と奏でる楽器)の文 化表象の政治性など、考えさせるものが満載ですね。いま、環境社会学が一番パワフルですねぇ。(2003.04.09)
武井秀夫 編『身体の比較文化誌』社会文化科学研究科・研究プロジェクト報告書、第23集、 千葉市:千葉大学大学院社会文化科学研究科、2003年
関西外国語大学の近藤英俊さんからいただきました。巻頭のポストモダン医療について論じ た近藤論文は、なかなか読み応えがありますね。おなじみの執筆陣で、数年前の民族学会の発表の論文集とも言えるべきものです。(2003.04.09) [→近藤英俊「現代医療の民族誌」医療人類学ニュースレター]
寺岡伸悟・原田隆司『ものと人の社会学』京都:世界思想社、2003年
はい、はい、はい、もうま〜ったりの社会学ですねぇ。これがエスプリが効いてて面白い ん〜でぅ〜す。タイトルはふつうのダっサイ書名ですけど、しかし、なかみは、凄い! パラダイス! つまり、しゃかいがくのパラダイスですぅ!(桂小枝、 風に)しかし、まあなんですねぇ〜(2003.04.06)
太田好信『人類学と脱植民地化』東京:岩波書店、 2003年: [2,800円, ISBN4-00-026378-1]
「おおた・よしのぶはアキラである!」というのは読み終わった時の感想です。煌[きら] びやかな知性、博引旁証の人類学スーパーコンピュータ、そしてトニック・ウォーターのような爽快な批判精神。21世紀のポストコロニアル人類学は、このフ レイレ=ファノンというキメラ的偉人(もうリヴァイアサンなみの破壊力!)の拓いた沃野にチマチマと種を蒔くしかないのか!!(別に岩波書店のマークを皮 肉っているのではありません、念のため)[81サイトのみの特典映像はこちら]。てな、ことを 言うと好信の旦那はんは、「イケダさん、あんた勝手に他人をリプリゼントして、楽しい事でも アルの〜?」と恫喝されそうなので、言い直します。はい!「ロバート・ジョンスンはおおた・ よしのぶである!」これで堪忍どすえ〜!(2003.04.06)
田辺繁治(田邊繁治)『生き方の人類学』講談社現代新書、東京:講談社、2003年
田邊先生はお忙しい中来熊され、水俣までの車の中で近代化する東南アジアの社会経済状況 と身体に介入する保健施策についてさまざな議論をいたしました。ご本人は「大衆路線」とおっしゃいますが、実践系人類学を志す者にとっての有益な羅針盤 (ただし海図は[言わずもがな]ありません)になるのではないでしょうか(2003.03.28)。
古谷嘉章『憑依と語り――アフロアマゾニアン宗教の憑依文化』福岡:九州大学出版会、 2003年
著者の古谷さんよりいただきました。学位論文の提出から10年の熟成を経た――まるで薩 摩の黒酢のような?!――古谷さんの研究の原点=原典が読めるのは、僥倖です(2003.03.22)。
松園万亀雄編『性の文脈』東京:雄山閣、2003年
編者の松園先生よりいただきました。ありがたや、ありがたや〜(観音様信仰の雰囲気 で?!――2003.0324)
兵頭晶子「精神病の日本近代――明治・大正期における「監護」の成立と「憑物」問題――」 2002年度大阪大学大学院文学研究科修士論文(文化形態論専攻日本学専修)、48 + 7 pp.、2003年
日本民族学会近畿支部例会の研究会の口頭発表で知り、著者に恵与していただきました。日 本の精神病者像の成立を日本近代における<知>の確立――喜田貞吉の研究が参照点になる――との関連づけて考察した、非常に丁寧な論文です。ストーリーと しては、ちょっと出来すぎ?という感じもしますが、日本の近代をありようをこれからは、もっと多角的に取り上げ、海外のさまざま諸研究の成果と照らし合わ せれば、今後、いろいろな展開が期待できる論文だと(私は)感じました。どうもありがとう!(2003.03.24)
森栗茂一『河原町の歴史と都市民俗学』東京:明石書店、2003年
日本民族学会近畿支部例会――修士論文発表会――にて、著者より授かりました(頂いたと いうよりも「授かる」というほうが適切ですね)この子はなかなかでかくて重たい健康優良児です。13年前の『河原町の民俗地理論』という水子の生まれ変わ りとのことです。民俗地理から都市論に再生したそうです。復興途上にある神戸の姿が、どうも人間的ではないことへのルサンチマンもあるそうです。私の神戸 は、空襲と震災で二度死にましたので、もう涙は流しません(2003.03.17)。
清水展『噴火のこだま:ピナトゥボ・アエタの被災と新生をめぐる文化・開発・NGO』福岡: 九州大学出版会、2003年
Shimizu, HIromu. The Orphans of Pinatubo, 2001の翻訳ですが、アエタやさまざまなフィリピン先住民族の支援母体NGOが、日本にたくさんあるために、邦訳の意義は非常におおいなるものがありま す。学部のゼミでも使えますしね。どうもありがとうございました。地域科学科図書室に収書しますのでみんなで読もう!(2003.03.12)。
J・クリフォード『文化の窮状』(訳者名は下記)人 文書院、2003年
翻訳者の皆様、編集部の松井純さん、営業部の影山部長さん、どうもありがとうございま す!
とんでもない名著を発見しました!
左はハーバード大学出版局の原著です。
右は人文書院版の表紙です。太田好信さんの解説やインタ ビューもあり原著より100倍お得!
価格:4,500円 サイズ:A5判上製 603ページ ISBN4-409-03068-X (専門/現代思想:カルチュラルスタディーズ、ポストコロニアリズム、文化人類学)
人文書院・影山営業部長曰く「今年のイチ推しでっせ〜!」
【内容紹介】
序章 純粋なものは、狂ってしまう
第一部 言説
1.民族誌の権威について
2.民族誌における権力と対話――マルセル・グリオールのイニシエーション
3.民族誌的自己成型――コンラッドとマリノフスキー
第二部 転置
4.民族誌的シュルレアリスムについて
5.転置の詩学――ヴィクトル・セガレン
6.君の旅について話してくれ――ミシェル・レリス
7.新語のポリティクス――エメ・セゼール
8.植物園――ポストカードより
第三部 収集
9.部族的なものと近代的なものの歴史
10.芸術と文化の収集について
第四部 歴史
11.『オリエンタリズム』について
12.マシュピーにおけるアイデンティティ
野村一夫『インフォアーツ論』洋泉社、2003年
野村さんスペシャルはこちらで す。
実松克義『マヤ文明 新たなる真実』講談社、2003年
実松さん、どうも、ありがとうございました。私はヴィクトリアーノの言う現在のモグラ (=恐怖政治の実行者)の連中のことに関心があるので、彼の高尚な哲学の議論にはちょっとついていけませんでした。なお著者名はヴィクトリアーノとの共著 にしたほうがよかったかもしれませんね。
『まほら』旅の文化研究所(近畿日本ツーリスト)