はじめによんでください

変化してゆく課題

Changing issues: A Graphic Guide 006

池田光穂

■  教科書(Cultural Anthropology Remix 協賛):今回の教科書は Merryl Wyn Davies が著者、Piero がイラストレーターによる、その名も『人類学を紹介する(Introducing Anthropology)』出版社は Icon Books, 2002 です。8年後に改定されて、Merryl Wyn Davies and PIERO, Introducing Anthropology: A Graphic Guide, Icon Books Ltd., 2010.となりました。いわゆる啓蒙のためのイラスト・ブックです。カルスタもとい、カ ルチュラル・スタディーズのものは日本語に翻訳されているのでな いだろうか。とってもおもしろい本です。文化人類学の現代の問題系 にまでしっかり踏み込んでい ますが、そのことを 明確するために、人類学の歴史的ルーツに遡り考察するという姿 勢が貫かれています。つまり、骨太の人類学史の教科書ともいえるべきものです。それが、な、なんと邦訳されました!!! メリル・ウィン・デイビス『人類学』池田光穂+額田有美訳、現代書館、2021年10月 ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4768401095

006
【I】人類学理論:変化する問題
6.    変化する課題
6. 変化する課題

人類学がその〈課題〉にどのように取り組むのかということが、今や人類学内部での加熱した論争の主題である。これ以外にも2つのことが変化した。1つは、 他者の変化である。非西洋社会は、急速な社会変化を経験した。

【台詞】アナザシ「俺は、消滅してゆく高貴な未開人になることを拒否するぞ。俺は、自分が持っている諸権利と、あんたたちと同等に扱われる権利を要求する ぞ」

【台詞】プラカード「俺たちはマンハッタンを取り戻す!!」
もう1つの変化は、人類学がホームに戻って来たことである。人類学はもはや非西洋社会の文化だけの研究ではなくなっている。人類学者は、今や西洋社会の周 縁的(マージナルな)文化や、法人企業や科学者集団あるいは警察といった制度的で組織的な文化も研究する。

人類学は、これらの変化にどのように対処するのか?人類学は、人類学そのものの歴史や、過去から現在までの人類学者たちの前提や、過去から現在までの人類 学者たちの反応を研究する。そして、他者よりも自己について、人類学がより多くを私たちに教えてくれるものなのかどうかを試案するのである。

【台詞】アナザシ「つまり、複雑になったということだね」
「まず、人類学が何についての研究であるのかを示すのは困難である。次に、人類学を学ぶために何をしなければならないかが少しも明らかではない。そして、 人類学を学ぶことと人類学を実際に行うこととの違いを説明する方法は、おそらく誰も持ち合わせてはいない。」
ティム・インゴルド(アバディーン大学人類学教授)

リ ンク

文 献

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CC

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