〈魂の錬金術〉の修辞法について
A critique against the rhetoric "Alchemy of Japanese Soul with Yasukuni Shrine"
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神霊化の問題は、田中信尚『靖国の戦後史』にあ るように、 国家システムとの適合が戦前・戦中・戦後と一貫して続いて きたことにあります(続 いているのが問題ではなく、制度 設計をし直さなかったことが問題)。高橋哲哉さんのリベラル派 からの言挙げは要するに靖國=非合理という戦後民主主義 が一貫して批判した路線の延長上にあります。
英霊
の祀り直しは可能:反
靖国神社があってもよいはずだ。「靖国の社頭で会わんいざさらば」――亡くなった大戦末期の若者には申し訳ないが、まったく無意味な言葉だ、僕は死んでか
らこのことを無念と思うように
なった英霊というものはいると思う(小泉元首相もいう「ひとは心変わりするものだ」)。英霊の存在を信じるものは、この少なくとも半分は無念と考えるな
ら、それらの慰撫について誰も考えたことがないのだろうか?兵役に良心的兵役拒否があるように、英霊にも靖国への合祀拒否というものがあってもよいはず
だ。死人に口無し、英霊に選択権なしでは、それこそ霊が浮かばれぬ(2013年11月6日追記)。
たしかに 国家は〈感情の錬金術〉(→これは鋼の錬金術師のパクリで すな)を靖國を通して実践してきました。しかしてなことを 言ったら、〈伝統社会〉はおろか近代社会においてもこの ような錬金術だらけです。文化というのものは、人間を動員 する錬金術と言えないこともありません。もちろんこの場合 は〈できないこと・ありえないことを産出する〉という ニュアンスで使っているので、そのメタファーを使う背景に は(神の眼とみまがうばかりの)合理的批判精神が見え隠れ しています。
ボクが高橋哲哉(→『靖国問題』ちくま新 書、2005年)を生ぬるいと思うのは、錬金術 の周りに張り巡らされた近代の合理的管理システムそのものです。それをオ リエンタル・ディスポティズム(東 洋史家ウ ィットフォーゲルの造語=東洋的独裁)と警鐘を鳴らすのは プロパガンダとしては容認できますが、分析的視座としては はなはだ頼りないものだとかねがね思っている次第です。 ま、精霊と共に(台湾先住民の人たちが靖國から自分たちの 祖先の御霊を取り返す運動がありましたね)靖国神社に観光しましょう(それが魂のツーリズムというタイトルの由来です)。
大貫 恵美子教授の解説 (Kamikaze, cherry blossoms, and nationalisms, 2002)によると、天皇はもともと、八百万の神のひとつにすぎず、米の豊作を齎すシャーマンに過ぎなかった。しかし天皇にヨーロッパの絶対王権以上の全 能性をもたせたのは【明治政権の政治家でも日本人学者でもなく、なんと!】ドイツ人首席顧問で法学者のローレンツ・フォン・シュタインの助言によるものだ という。さらに瞠目すべきそのフォン・シュタインはかのカール・マルクスも私淑するほどの大学者で、ドイツにおけるプロレタリアート概念の理論的完成者と いう歴史的評価もある学者だったのだ http://bit.ly/1b4Y7If
言葉
の正しい意味での「教
会と国家の分離」について→「教会と国家の分離」という理念/行為原則は、しばしば日本語では「政教分離」というが、明治憲法から昭和憲法になった時に、
政教の分離ではなく、旧憲法の神権政治レジームが否定されたが、それは国家神道と国家の分離ではなく、国家神道の解体だったわけだ。しかし、GHQや新憲
法の制定にかかわった人たちは国家神道をふつうの教会の一つに格下げしてその存在を容認した――これが最大の歴史的誤り。国家神道概念の容認の理由は、も
う一つの重要な近代化理念である「信教の自由」を保証するためだった。戦前は治安維持の名目でさまざまな宗教弾圧があり「信教の自由」はなかったと言って
よい――無政府主義やマルクス主義も「宗教」という意味だ。GHQや新憲法の制定にかかわった人が、神権政治がどういう形で全体主義と「戦争遂行責任の所
在の真空」が結びつくのか、論理的にも神学=政治的にも、全く理解できなかった。GHQは、戦後統治ができなくなるという危惧のために、軍隊は解体した
が、天皇制までは解体しなかった。これは詭弁かもしれないが、神権政治レジームは、形を変えて生き残った。つまり、日本は国家神道以外のものを政教分離す
ることをヒステリックにこだわった。だからこそ戦後、公明党に対する異端視がつづき、公明党はそれを払拭するために中道左派としての政治的立場を堅持する
ことができた。しかし「教会と国家の分離」という観点から考えると、日本の公明党は、ヨーロッパとラテンアメリカのキリスト教民主党とまったく変わらない
普通の政党である。イデオロギーのない幸福実現党とはまったく異質の、普通の政党なのだ。そして、それよりも異常なのは、天皇を祭祀として、それを国家護
持の理念の一部(=国民統合の象徴というこれまた絵空事)として旧憲法の秩序を温存させたことだ。つまり、日本が本当の国民主権の国家になるための改憲と
は、天皇制の廃絶しかないでしょう。天皇制を解体してこそ、「教会と国家の分離」のもとで「信教の完全自由」が実現する。これこそが、言葉の正しい意味で
の「教会と国家の分離」であり、日本語の「政教分離」は改憲後には廃概念することが望ましいだろう(2019年9月4日追記)。
高金素梅のハイパー靖国観光論
高金素梅(Kao Chin Su-mei, b.1965.)は、タイヤル族の政治家である。民族名はチワス・アリ(Ciwas Ali/吉娃斯阿麗)。彼女と靖国の関係は次のごとくである。
「政治的には泛藍連盟の親中派で、陳水扁政権が6,108億台湾元でパトリオットミサイル
PAC-3と改バーベル級潜水艦8隻を購入しようとした際には、これに反対。泛緑連盟が主張する住民投票による台湾憲法制定にも反対している。
2005年には来日し、駐日中国大使館の報道官も「関心を寄せている」とコメントするなど、日本国内外の反靖国の政治勢力と連動して靖国神社を批判する行
動を取った。一連の行動については国内ではほとんど報道されなかったが、台湾独立派のラジオ局「台湾の声」などから批判の声が挙がった。また、国連本部で
も反靖国・反軍国主義の抗議活動を行っている。
2004年、台北県烏来郷に1992年に設置された高砂義勇隊慰霊碑 (日本軍に従軍して戦死した高砂族の兵士を慰霊する碑)
について「大日本帝国を賛美している」として撤去を主張し、台湾団結連盟(台聯)の日本支部などの反対を押し切り記念碑以外の撤去を実現。元義勇兵からの
抗議に対しては、「奴らは日本の奴隷化教育を受けた連中」と発言し物議を醸した。なお義勇兵碑そのものは、日本から集まった義援金や台北県が土地を提供し
たことなどから、移転と言う形で落ち着いた[3]。
以上のように、高金の政治ポリシーは反軍国主義であり、過激な行動が耳目を引くことがある。2009年には訪日して靖国神社の拝殿前で靖国神社反対活動を行い、拝殿に進入しようとしたメ
ンバーが制止しようとした神社職員ともみ合いになり、その際職員数人を突き飛ばし、打撲などの軽傷を負わせたと報じられた[4]。2011年8月に警視庁
公安部は高金を書類送検した[5]。高金は、抗議行動に参加したメンバーが日本側に暴行を加えたことは無く、逆に日本側により暴行を受けたと主張し、容疑
を否認した[6]。同年9月8日、東京地検は理由を明示せずに、高金を不起訴処分とした[7][8]。
2015年9月、無党団結聯盟主席林炳坤(中国語版)とともに中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典に出席する[9]。
先住民の立場から蘭嶼の放射性廃棄物貯蔵施設反対運動、馬告国家公園反対運動などを指揮した[1]。」ウィキペディア「高金素梅」より
靖国解体と国家護持を通した靖国再興を
提案する 2015年2月11日 建国記念の日(紀元節143年紀)に寄す
コラムの斎藤美奈子の言う(下記画像参照)通りだ。僕は安倍には「ゴマメ」コンプレックスはないと思うけど、将来、海外で「戦死」する自衛隊「兵士」の
遺族への年金支出やその精神的慰撫について、財源確保と(米国大統領のように)遺族への直接面談あるいは電話応接などの制度を考えて政策を実行していると
は思えない。靖国を国家が接収して、宗教色および好戦(戦時)色を脱色して「国民烈士」の慰霊と福祉機関の創設を試みるのはどうかね?靖国をリストラク
チャリングすれば靖国「参拝」という愚かしい行為をもう再現する必要はないし、戦前の陸軍省・海軍省管理による「合理的」な靖国=福祉・精神機関として再
興することができる。現在の汚れた靖国を「聖地」にもどすには1945年以前に靖国の地を時間的に巻き戻すしかない。これぞ本当の革命=リヴォルーション
=転回である。
その後、もっと厄介なことが おこった。安倍晋三への暗殺事件(2022年7月8日)――憂国の烈士は山上徹也で ある――と、当時の岸田文雄首相による、国葬(閣議)決定、と国会での論難、である。9月27日に国葬儀と名前をすこしずらして挙行されることになった。 ところで、当時、小学生の間では、安倍晋三を国葬にすると、安倍が冥界(晋三の火葬はすでに終わっている)から蘇るという噂が流行したという。ポストモダ ンとポストヒューマンの日本にふさわしい、ばか話だが、じつは、これには、『テコン ダー朴』―― (テコンダーパク、朝: 태권더 박)は、原作:白正男、作画:山戸大輔による漫画作品。キャッチコピーとして「人権派格闘技漫画」を謳っている――という風刺漫画に関係すると、私の敬愛 する伊藤某先生がおっしゃった。同漫画で登城するのは阿倍野晋二(あべの・しんじ)→「自由民政党総裁。衆議院議員。覇皇の命により野畑に代わり内閣総理 大臣に就任、193カ国との国交断絶と核兵器の保有を宣言させられ、心労で倒れる。その翌日に内閣不信任決議が可決され、覇皇の戦争犯罪を押し付けられる 形で超A級戦犯(平和に対する罪)として逮捕、収監される。その後巣鴨プリズンにて厳しい修行を行い、筋骨隆々とした肉体的にも精神的にも頼れる人物へと 成長。民衆党議員3名(鳩川、菅野、枝尾)との総理大臣の座を賭けた「御前死合」を制し、総理の座に返り咲いた。口癖は「日本を、取り戻す」」テコンダー朴(パク)ウィキペディア項目より)である。
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