「私たちの欠陥は想像力の、感情移入の不足なのです」*
Our flaw is our imagination, our lack of empathy.
長崎 稲佐橋付近 写真:山端庸介
池田光穂
[シラバス]戦争
表象論.
[授業形態]集中講義(September 20, 21, 22 and 23., 2004)■ 「ゆき ゆきてベトコン!」 ■ 「現代暴力論」 ■ 絶対悪 ■ 戦 争表象(思想編=numero uno)
[授業目標]
[授業の内容]
この講義をおこなう動機は次のようなものです。「近代社会において、『戦争』とその論理 的帰結としての『平和』を動員しかつ継続するために、さまざまな『表象』を社会的に操作することは、不可欠な手段であると考えられている」(→詳しくは「思想編」へ)という命題を個々の具体例に則して検討することです。
この命題の検証は、根元的な悪や善が存在することを自明のものとする従来の戦争研究や平 和研究においては過小評価される傾向にありました。なぜなら、根元的な悪や善という人間道徳の最終審級[と思われているもの]に気を取られていると、「表 象」はたんなる道具や装置の一部になりさがり、「表象」に関わる文化的問題は、操作に関わる道徳的問題であると片づけられてしまうからです。
すなわち私は、戦争および平和の遂行とは、終わることのない表象の操作であるという視座 をとります。そして、絶対的悪/絶対善という安易な道徳的審級を動員しがちな従来の研究者が[結果的に]犯してきた数々の誤りや問題を指摘し、彼/彼女ら が蓄積してきた豊富な戦争表象のアーカイブから個々の表象の記号論的意味を解放したいと考えるのです。この野心的な挑戦に参与したい方に開放された授業で す。
[キーワード]
戦争、平和、表象、文化、文化記号論、戦 争表象論
[テキスト]各自入手して、開講日までに読了のこと[→読書法につい ての解説]
[参考文献]
(→ローカルリンク)にリンクす るページで指摘します。
[評価方法]
定期レポートならびに試験による総合評価をおこないます。
[履修上の指導]
大学における授業とは出席するものなので点呼による出席確認はとりません
[関連するリンク]
九州大学文学部集中講義戦争表象論文化人類学特殊講義2004
[授業の結論]
*S・ソンタグ(2003)の筆を通して語るV・ウルフ
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Photographed by Joe O'Donnell, 1922-2007, his most famous work was documenting photographically the immediate aftermath of the atomic bomb explosions at Nagasaki and Hiroshima, Japan, in 1945 and 1946 as a Marine photographer.
Pope circulates Nagasaki image under heading, ‘The fruit of war,’ by CRUX, Dec.30, 2017
ベンヤミン | 写真をよめない一般大衆を嘆く写真家においてすら、自分のとった映像を
読むことができないものがいる。複製技術時代のアウラの喪失。ファシズムの芸術にたいして、芸術そのものの政治が(対抗手段として)必要だ。 |
「写真小史」1931 |
バルト |
ある特定の写真は目に見えない。私を突き刺すもの、それがプンクトゥ ム。プンクトゥムがあるかぎり、写真の事実確認能力は変わらない。 | 『明るい部屋』「写真のメッセージ」 |
ソンタグ |
写真=この瞬間を薄切りにしたもの。読みを通して、写真は加速度を得
て、超現実的な主題になる。それは写真をともに生きる我々の疎外だ。そのためには映像の消費を制限するエコロジーの必要がある。「映像のエコロジー」だと
いう。 |
『写真論』 |
●写真と社会 : メディアのポリティーク / ジゼル・フロイント著 ; 佐復秀樹訳、御茶の水書房 , 1986
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文献
その他の情報