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科学としての戦争神学

War theology as authentic science

池田光穂

イスラム教、ユダヤ教、キリスト教にあって、仏教にないものはなにか?——私なら、それは前者の宗教には、正戦論(Just War Theory; Jus ad Bellum, Jus in Bello)があるが、仏教にはそれがないということだ。あるいは、好戦的な仏教は本来の仏教ではないということである。

今 日のパソコン、ハイパーテキスト、あるいはGUIなどのアイディアを第二次大戦後いちはやく打ち出したのは、ヴァネバー・ブッシュ(Vannervar Bush, 1890-1974:ヴァーネヴァーブッシュ、とも表記)と言われている。彼の論文「我々が考えるかのように」("As we may think")には、戦時における科学研究推進の体制を戦後も維持すべきであるということが指摘されている。ブッシュには、科学は「終わりのないフロン ティア」という副題のついた論文(NSF)もある。

つまり、科学生産においては大規模な世界戦争は終結したが、科学の戦争態勢は継続していると いえるものである。戦後のサイバネティクスやシステム論、あるいはコンピュータサイエンス(情報技術革命)の成功は、その延長上の産物である。

大日本帝国の官僚たちが満州帝国で実現させようとしたシステムや新技術は、戦後の日本の高度 成長期に次々と達成されていった。

第二次大戦中にアメリカ合州国の戦時協力をした社会科学者は、大日本帝国の武装解除後に理想 的な民主国家建設を夢見てさまざまな国家再建のプログラムを組んでおり、さまざまな試行錯誤の上にいろいろな形で定着した。

つまり、我々は第二次大戦の戦争態勢の延長上の世界を生きているのである。

これが本講義の時間/社会認識である。そして、そのような現在もなお(そしてより複雑化・洗 練化を遂げた)戦争態勢にある、世界のさまざまな文化表象を、学際的な知識を動員して分析しようとするのが本講義である。

●フロンティア理論の提唱者としてのフレデリック・ターナー(Frederick Jackson Turner, 1861-1932)

『アメリカ史におけるフロンティアの意義』→「ターナーはシカゴ万国博覧会開催中の1893年7月12日、アメリカ歴史学会に提出し初めて出版された論文『アメリカ史におけるフロンティアの意義』の中の「フロンティア学説」で記憶されている。その中では、アメリカ合衆国の精神と成功は直接この国の西方への拡張に結び付けられると述べている。ターナーに拠れば、特異でごつごつしたアメリカの独自性が形成されたのは、開拓者の文明と荒野の荒々しさとが出遭ったときに起こった。このことで新しいタイプの市民が生まれた。すなわち荒野を手なづける力のある者や荒野が力と個性を備えた者だ、というのである。」フレデリック・ターナー

●クレジット:「科学としての戦争進学」あるいは「コロニアリズムとしての科学のフロンティア理論」

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