ライフヒ ストリー分析
life events, life history, and dependency by prerequisite
解説:池田光穂
ライフヒストリーは、研究対象になった人の人生(部分ないしは全体)を叙述することで、文化の分析と個人の人生がどのように関連するかを事 例をもって表現する方法である。
ライフヒストリーは、概ね、民族誌叙述において次のような機能をもつと考えられてきた。(こ の機能はどんな民族誌においても万能という訳でなく、むしろ反対に、機能の批判を通して民族誌理論を批判的に考察することができる、ということを忘れない ように)。
・その社会、ないしは社会の分節(男性、女性、年齢集団、幼児、年長者、階級、職業集団など)を代表する人物像を提示する。
・歴史上の証人としての資料の提示
・理論では具体的に明示し得ない、生きた実例
・社会的な分析が中心となる民族誌記述を補う、人物像
・著者の人間主義的関心や、個人的メモワールなど
■時相における変異について(フォンフリクト『説明と理解』より)(→「現象学における時間概念」)
■フッサールの時間概念を継承してメルロ=ポンティが解説し、リオタールが鍛えた「現象学における時間概念」
■Alfred Schutz's concept of "Fellowman, Predecessors, contemporaries, consociates, and sucessors"
02-007■ 複線径路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model, TEM)(※文献情報等はリンク先で!)
「サトウ・安田・木戸・田・ヴァルシナー
(2006)が提唱した、限られた事例から一般化したモデルをつくるときに、非可逆時間の経緯のなかで、分岐点(=その時点での経路が変わるポイント)と
等至点(とうしてん:=異なった経路だが結果的に同じオプションに帰着する事後的な合致点)の組み合わせで、(実際におこったものと/起こりえたかもしれ
ない)現象を同等に取り扱う方法である。」
リ ンク
文 献
【実 習課題】[出典はこちら]
(1) 宮本常一『忘れられた日本人』の中にあるさまざまな伝記のうち、2つ(ないしはそれ以上)を選び、その ライフヒストリー上の構成について、人類学的分析という観点から論評しなさい。
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