核戦略思想
Nuclear Strategy Obsession
挿絵は "Dr.
Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb"
より
軍事戦略の一分野として、核戦略は、核兵器を政治的目的のための手段として一致させようとするものである。戦場であれ戦略的であれ、核兵器を実際に使用することに加え、核戦略の大部分には、交渉の道具としての核兵器の使用も含まれる(→「正戦論」「戦争論」)。
核戦略において考慮される問題には、以下のようなものがある:
1)核兵器を開発することが国家の利益につながる条件
2)開発すべき核兵器の種類
3)核兵器をいつ、どのように使用するか
多くの戦略家は、核戦略は他の軍事戦略とは異なると主張する。核兵器の巨大で恐ろしい威力は、伝統的な軍事的な意味での勝利を求める上での使用を不可能にしている。
おそらく直観に反することだが、核戦略の重要な焦点は、相互確証破壊の重要な部分である核兵器の使用をいかに防ぎ、抑止するかを決定することである。
核拡散と勢力均衡の維持という観点から、国家は核戦略の一環として、他国が核兵器を獲得するのを阻止しようとする。
■核抑止力の構成
相互確証破壊(MAD)のドクトリンは、核抑止力は信頼性があり、生存可能でなければならないと仮定している。すなわち、各抑止力は、第2次攻撃で相手国
を効果的に破壊するのに十分な能力を持ちながら、第1次攻撃を生き延びなければならない。したがって、先制攻撃は発射国にとって自殺行為となる。
冷戦が進展した1940年代後半から1950年代にかけて、米ソは核兵器を運搬するための複数の運搬方法とプラットフォームを追求した。最も成功したのは
3種類のプラットフォームで、総称して「核の三重奏」と呼ばれている。すなわち、空中から投下する兵器(爆弾またはミサイル)、弾道ミサイル潜水艦(通
常、SSBNと呼ばれる原子力潜水艦)、大陸間弾道ミサイル(ICBM)である。
抑止力の一部とは見なされないが、冷戦時代にはすべての核保有国が大量の戦術核兵器を配備した。戦術核兵器は、大型通常兵器の運搬が可能なほぼすべてのプラットフォームから運搬することができた。
1970年代には、ソ連とワルシャワ条約機構の通常戦力を合わせれば、NATOの戦力を圧倒できるのではないかという懸念が高まっていた。ソ連とワルシャ
ワ条約機構の西ヨーロッパへの侵攻に戦略核兵器で対応し、破滅的な応酬を招くことは考えられないと思われた。そこで、通常兵力の進攻に対して有効でありな
がら、巻き添え被害を大幅に軽減する技術が開発された。そのうちのいくつかは低収量の中性子爆弾で、戦車の乗員、特に密集して編隊を組んだ戦車にとっては
致命的であったが、爆風、熱線、放射性降下物の発生は比較的少なかった。他の技術は、いわゆる「抑制放射線装置」であり、ほとんど爆風を発生させず、ほと
んど放射能を発生させないため、従来の爆薬によく似ているが、はるかにエネルギーが大きい[1]。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++
★ロバート・マクナマラの 核戦略理論の背景には、ランド研究所(RAND Corporation) のウィリアム・カウフマンの影響 がつよくみられる。カウフマン自身も核戦争遂行戦略(nuclear war-fighting strategy)を1971年の個別誘導複数目的弾道(MIRV)の開発と導入にもとづくものとして策定している。(→オサリバン、P.「核戦略」 J・オロッコリン編『地政学事典』東洋書林、2000年)
■絶対兵器(The Absolute Weapon)1946 , by Bernard Brodie
The Absolute
Weapon:
Atomic Power and World Order, (Harcourt, Brace, 1946).
■大量報復戦略 (massive
retaliation strategy), 1954-
Massive
Retaliation, also known as a massive response or massive
deterrence, is a military doctrine and nuclear strategy in which a
state commits itself to retaliate in much greater force in the event of
an attack.
■Assured Destruction Strategy (確証破壊),1954-
相手の核攻撃によって受ける被害を最小に限定する戦略。核戦力の増強、迎撃能力の向上、 シェルターの整備(cf. サムス元・准将とシェルターの宣教)
■Flexible Responce Strategy(柔軟対応戦略),1961-
ゲリラ戦から限定的核戦争、全面核戦争などあらゆる戦争に対する抑止力としての兵器保 有。米国の基本的な核戦略構想の中核をなす。(アイゼンハワーの大量報復戦略への批判)。テーラー
■Damage Limitation (被害限定戦略),1964-
相手からの攻撃を受けても、そこから生き残った核戦力によって相手に対して壊滅的打撃を
与える報復能力をもつ戦略。確証破壊水準と保有能力を算出(例:ソ連の人口の1/5〜1/4、工業能力の2/3)
■相 互確証破壊(Mutual Assured Destruction,MAD),1965-
マクナマラによるもので、確証破壊戦略 (Assured Destruction Strategy)の改訂版として位置づけられるもの
■戦
略防衛構想(SDI),1983-
戦略防衛構想(Strategic Defense Initiative, SDI)
■(核) 兵器のバロック化
バロックという用語を一番最初に軍備に関して導入し たのは、ハーバート・ヨーク(Herbert Frank York, 1921-2009)という核物理学者である。彼は元・リバモア放射線研究所の所長で、政府高官も務めたことがある(カルドー 1986:9)。
兵器と文明 : そのバロック的現在の退廃 /
メアリー・カルドー著 ; 芝生瑞和,柴田郁子訳, 技術と人間 , 1986/The baroque arsenal / Mary
Kaldor, Hill and Wang (1981)
■John Mueller, Atomic
Obsession: Nuclear Alarmism from Hiroshima to Al-Qaeda,
2010, by Oxford
University Press
I. THE IMPACT OF NUCLEAR WEAPONS
1. Effects
2. Overstating the Effects
3. Deterring World War III: Essential Irrelevance
4. Modest Influence on History
5. Apocalyptic Visions, Worst-Case Preoccupations, Massive Expenditures
II. THE SPREAD OF NUCLEAR WEAPONS
6. Arms Races: Positive
and Negative
7. Proliferation: Slow and Substantially Inconsequential
8. The Limited Appeal and Value of Nuclear Weapons
9. Controlling Proliferation: Modest Success
10. Costs of the Proliferation Fixation
11. Reconsidering Proliferation Policy
III. THE ATOMIC TERRORIST?
12. Task
13. Likelihood
14. Progress and Interest
15. Capacity
リンク
文献
その他の情報
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099
Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop
Worrying and Love the Bomb, Dir., by Stanley Kubrick,
1964