フィールドワークにおける人類生態学
Human ecology in
fieldwork ;
A
Graphic
Guide 048
■
教科書(Cultural Anthropology Remix
協賛):今回の教科書は Merryl
Wyn Davies (1949-2021) が著者、Piero
がイラストレーターによる、その名も『人類学を紹介する(Introducing Anthropology)』出版社は
Icon Books, 2002 です。8年後に改定されて、Merryl Wyn Davies and PIERO, Introducing
Anthropology: A Graphic Guide, Icon Books Ltd.,
2010.となりました。いわゆる啓蒙のためのイラスト・ブックです。カルスタもとい、カ
ルチュラル・スタディーズのものは日本語に翻訳されているのでな
いだろうか。とってもおもしろい本です。文化人類学の現代の問題系
にまでしっかり踏み込んでい ますが、そのことを
明確するために、人類学の歴史的ルーツに遡り考察するという姿
勢が貫かれています。つまり、骨太の人類学史の教科書ともいえるべきものです。それが、な、なんと邦訳されました!!!
メリル・ウィン・デイビス『人類学』池田光穂+額田有美訳、現代書館、2021年10月 ISBN-13 : 978-4768401095 [総合目次]
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フィールドワークにおける人間生態学 |
48.
フィールドワークの人間生態学 |
48. フィールドワークにおける人類生態学 フィールドワークへ出かける際、最初に知っておかなければならないことは、ある民族がどこに暮らし、その居住環境がどのようなものなのか、そしてどのよう な生業基盤と経済が営まれているのかということである。 狩猟採集:南アフリカのクンやサン(ブッシュマン)、中央アフリカのネグリト(ピグミー)、東アフリカのハッザ、オーストラリアのアボリジニ、アンダマン 諸島民、イヌイット(エスキモー)、アルゴンキン語派(クリーなど)やカナダのその他の集団がこれに類別される。 漁労:クワクワカワク(クワキウトル)や北アメリカの北西岸のそのほかの集団においてそうであるように、おそらく狩猟採集社会の基礎となる。 牧畜民あるいは遊牧民:家畜に依存する人びと。具体的には、西アフリカのトゥアレグとフラニ、ヌエルとマサイ、また西アフリカのその他の集団、中東のベド ウィン、北ヨーロッパのサーミ(あるいはラップ)などがこれに類別される。 定住農耕民あるいは栽培農耕民:アフリカの大部分、南アジア、東南アジア、ニューギニア、アマゾンの大多数の民族、オジブワと北アメリカのその他の北東集 団、ホピ、ナヴァホ、プエブロ、またその他の南西アメリカの集団、南ヨーロッパの農民共同体(コミュニティ)がこれに類別される。 社会がどのように環境を開発するのかを理解するということは、季節の周期を調べ、その社会において環境がどのように理解されているのか、共同体(コミュニ ティ)の構成員間でどのように分業がなされているのかを問うことを意味する。また、生計を立てること、つまり仕事に関係する儀礼や儀式にまつわる信念と実 践は何かということを見つけ出すことを意味する。 狩猟採集民は、農耕民よりも余暇時間がある。 【台詞】イヌイット「俺たちは自分たちの環境を〈贈り物〉だと考えるんだよ」 【台詞】学者(人類学者)「イヌイットには40以上の雪を分けて理解するのじゃ」 【台詞】学者(人類学者)「ヌエルは、さまざまな種類の牛を指し示す100種類以上もの用語をもっているのじゃ」 【台詞】アフリカ農耕民の女性「アフリカでは、農作物のための田畑を整えるのは多くの場合は男だけど、田畑を耕すのは女なのよ」 【台詞】アフリカ農耕民の別の女性「男は狩猟者なんだが、私たち女たちがほとんどの食べ物を集め、食生活の頼みの綱を提供するのよ」 物質文化と技術は、その環境の開発と、生業や経済の独自の形の実践にとって、極めて重要な要素である。 【台詞】ベドウィン「ここは、睾丸をかみ切ることを含め、ラクダを去勢するための50の方法が存在する場所だぜ。さあさあテントの中に入りなさい」 【台詞】学者(人類学者)「しかし、それ以外にもたくさんあるんじゃ。たとえば、鉄と鋼鉄の道具と比較した際の、石器の相対的な利便性と生産性などな」 【作画のなか】 モノをつくり出す技術、たとえばボートの建造などは、それ自身の信念や儀式、儀礼や規制を持っていることがある。 ★生態人類学 ★エドワード・サピア |
★ 著者紹介:Merryl Wyn Davies (1949-2021)
メ
リル・ウィン・デービス(1949年6月23日 -
2021年2月1日)は、ウェールズのイスラム教徒の学者、作家、放送作家でした。イスラム教を専門とし、ジアウディン・サルダールと共同で書籍や記事を
執筆しました。イスラム人類学の権威であり、ロンドンのムスリム研究所の所長も務めた。メリル・ウィン・デービスは、1949 年 6 月 23
日、ウェールズのマーサー・ティドフィルで生まれた。サイファースファ・グラマースクールで A
レベルを取得。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジで人類学を学んだ後、放送局やジャーナリズムの分野でのキャリアをスタート。ウェールズの地方紙、
BBC ラジオを経て、BBC テレビの宗教番組で 10 年間働き、「Everyman」、「Heart of the
Matter」、「Global Report」[4] などの受賞番組や、シリーズ番組「Encounters with
Islam」に携わった。1981 年、31
歳でイスラム教に改宗。1985年にBBCを退職し、フリーライターとして、ロンドンを拠点とするイスラム教徒の雑誌「Inquiry」で働き始めた。
1990年代には、マレーシアの元副首相で、後に野党党首となったアンワル・イブラヒム氏の顧問およびスピーチライターを務め、マレーシアのテレビ局
TV3で「Faces of
Islam」シリーズを制作した。イブラヒム氏が逮捕されると、ウィン・デイヴィスは逃亡し、シンガポールに移住した。1996年に英国に戻り、英国イス
ラム教徒評議会のメディア担当官に就任した。2010年にロンドン・ムスリム研究所に入所し、所長に就任した。2018年に「第二の故郷」であるマレーシ
アに戻ったメリル・ウィン・デーヴィスは、2021年2月1日、クアラルンプールのペタリンジャヤで、長年の病気のため心臓発作で71歳の生涯を閉じた。
英語ウィキペディア"Merryl
Wyn Davies (1949-2021)"より
リ ンク
文 献
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CC
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CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099