縁組理論とインセストタブー
Alliance theory and
Incest taboo;
A
Graphic
Guide 071
071 |
連帯理論と近親相姦の禁止 |
71.
縁組理論とインセストタブー |
71. 縁組理論とインセストタブー 縁組理論(alliance theory)は、クロード・レヴィ=ストロース(1908-2009)の『親族の基本構造』(1949)から始まった。これは、結婚をとおした集団、家 族、個人間の関係についての研究である。縁組理論の支持者は、出自集団が社会の基盤であるという考えを拒否し、代わりに親族集団は集団間での婚姻交換関係 の「要素」であると主張する。 【台詞】クロード・レヴィ=ストロース「インセストタブー(=近親婚の禁止)が文化の基礎である。人類学者は、インセストタブーが普遍的であるものの、そ れは異なる文化ごとに異なって作動していることを発見したのだ」———そして——「インセストタブーとは、特定の親族関係にある人びとの性的関係を禁止す るものなのである」 すべての人びとが「親族」である社会においては、結婚し性的関係を持つ※ことが許容される親族の範疇が存在する。 ※【訳注】近代社会では婚姻は法律あるいは宗教によって承認される両性の繋がりとみなされてきたが、現在では同性婚のように性別の組み合わせは問題にしな くなった。他方「未開」ないしは「伝統的」と呼ばれてきた社会では、婚姻は合法的で公認された性関係が続くことを意味する。恒常的な性関係をもつことはふ つう嫡子(=両者の間に生まれた正式な子供)が生まれることを意味するので、親族が永続的に再生産するための条件である。養子縁組も親族のメンバーの嫡子 として扱かわれる。出自理論によって親族のメンバーがどの系譜に属するのかという出自(decent)に着目するのではなく、縁組理論(alliance theory)は、ある親族がどの親族から配偶者(=女性)を得るのかという関係性が、社会関係の維持に重要であるのかに着目する理論である。 ★レヴィ=ストロース「自然と文化」の読解 ★クロード・レヴィ=ストロース『親族の基本構造』 ★高地ビルマの政治体系 |
■ 教科書(Cultural Anthropology Remix 協賛):今回の教科書は Merryl Wyn Davies (1949-2021) が著者、Piero がイラストレーターによる、その名も『人類学を紹介する(Introducing Anthropology)』出版社は Icon Books, 2002 です。8年後に改定されて、Merryl Wyn Davies and PIERO, Introducing Anthropology: A Graphic Guide, Icon Books Ltd., 2010.となりました。いわゆる啓蒙のためのイラスト・ブックです。カルスタもとい、カ ルチュラル・スタディーズのものは日本語に翻訳されているのでな いだろうか。とってもおもしろい本です。文化人類学の現代の問題系 にまでしっかり踏み込んでい ますが、そのことを 明確するために、人類学の歴史的ルーツに遡り考察するという姿 勢が貫かれています。つまり、骨太の人類学史の教科書ともいえるべきものです。それが、な、なんと邦訳されました!!! メリル・ウィン・デイビス『人類学』池田光穂+額田有美訳、現代書館、2021年10月 ISBN-13 : 978-4768401095 [総合目次]
★ 著者紹介:Merryl Wyn Davies (1949-2021)
メ
リル・ウィン・デービス(1949年6月23日 -
2021年2月1日)は、ウェールズのイスラム教徒の学者、作家、放送作家でした。イスラム教を専門とし、ジアウディン・サルダールと共同で書籍や記事を
執筆しました。イスラム人類学の権威であり、ロンドンのムスリム研究所の所長も務めた。メリル・ウィン・デービスは、1949 年 6 月 23
日、ウェールズのマーサー・ティドフィルで生まれた。サイファースファ・グラマースクールで A
レベルを取得。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジで人類学を学んだ後、放送局やジャーナリズムの分野でのキャリアをスタート。ウェールズの地方紙、
BBC ラジオを経て、BBC テレビの宗教番組で 10 年間働き、「Everyman」、「Heart of the
Matter」、「Global Report」[4] などの受賞番組や、シリーズ番組「Encounters with
Islam」に携わった。1981 年、31
歳でイスラム教に改宗。1985年にBBCを退職し、フリーライターとして、ロンドンを拠点とするイスラム教徒の雑誌「Inquiry」で働き始めた。
1990年代には、マレーシアの元副首相で、後に野党党首となったアンワル・イブラヒム氏の顧問およびスピーチライターを務め、マレーシアのテレビ局
TV3で「Faces of
Islam」シリーズを制作した。イブラヒム氏が逮捕されると、ウィン・デイヴィスは逃亡し、シンガポールに移住した。1996年に英国に戻り、英国イス
ラム教徒評議会のメディア担当官に就任した。2010年にロンドン・ムスリム研究所に入所し、所長に就任した。2018年に「第二の故郷」であるマレーシ
アに戻ったメリル・ウィン・デーヴィスは、2021年2月1日、クアラルンプールのペタリンジャヤで、長年の病気のため心臓発作で71歳の生涯を閉じた。
英語ウィキペディア"Merryl
Wyn Davies (1949-2021)"より
リ ンク
文 献
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CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099