シャーマニズムとカーゴカルト
Shamanism and Cargo
Cult ;
A
Graphic
Guide 089
089 |
シャーマニズムとカーゴ・カルト(積荷崇拝) |
89.
シャーマニズムとカーゴカルト |
89. シャーマニズムとカーゴカルト シャーマンは、人間世界と霊魂の世界、人間と動物、あるいは生者と死者の間を媒介する宗教的に熟練した人物である。 【台詞】シャーマン「「メディシン・マン」や「魔法使い」あるいは「呪医」というよりもシャーマンと呼ぶほうが政治的に正しい言い方なのじゃ」 【台詞】信者「カーゴカルト運動と千年王国運動は、世界の終末あるいは新たな世代の幕開けを現(うつつ)として見せてくれるのじゃー」 カーゴカルト(積荷崇拝)運動とは、第二次世界大戦後にメラネシアで流行した(千年王国運動の)名称である。(積荷)は西洋からやっていくる財を指す。い くつかのケースでは、預言者が登場し「カーゴ」をともなって祖先たちが再来しする日々がその目前に迫っており、到来する新たな時代では、白人ではなくネイ ティブの彼ら自身によって社会が統制されることを宣言したのだ。北アメリカにも同様の運動がおこり、それは土着運動あるいは宗教復興(リバイタリゼーショ ン)運動と名付けられた。 これら以外に、宗教の2つの基本的な形態があり、ひとつは多神教(1つ以上の神格の存在への信念)であり、他のひとつは一神教(ただ1つの神の存在への信 念)である。フランスの社会学者エミール・デュルケーム(1858-1917)はその著書『宗教生活の原初形態』でそれとは違った宗教の2つの見方につい て示した。まず最初は、機能主義的見方であり、宗教は、信念であり活動であるので、その機能によって定義されるというものだ。 【台詞】エミール・デュルケーム「宗教は、社会的結束を強める社会的な創造物である」——そして——「もうひとつは〈聖〉と〈俗〉という基本的な区別だ。 それは次のページで示したい」 ★「シャーマニズム・シャーマン」 ★「カーゴカルト」→ 「カーゴカルト(Cargo Cult)は、文字どうり訳 すと「積荷崇拝」あるいは「積荷カルト」であり、19世紀後半から20世紀中ごろまでに、メラネシアを中心として、西洋の植民地主義により、先住民・原住 民に大量の物量や、彼らの技術にはない珍奇で 奇跡的な技術の導入により、彼らの間で認知的混乱がおこり、その時に同時におきた社会不安に乗じておこった「千年王国運動(millennium movement)」と呼ばれる宗教的熱狂運動のことをさす、文化人類学の用語である。カーゴとは、船や飛行機の積み荷のことで、彼らは、自分たちが物質 的に西洋人に対して貧困である ——そのようなイデオロギーは西洋人が武力と物量で持ち込んだのだが——ことの原因を考え、それは(キリストの救世主に似た)救済主が豊かな物量をもたら す至福の時が、いずれ近々おこるだろうと信じて、手作りの飛行場——もちろん実用的価値はない——や、木製の飛行機の像を造って、その積み荷の招来を期待 した。もちろん、積み荷などやっては来ずに、各地で熱狂的な運動は急速に醒めることになったが、広域的な地域の局所的な部分で、この間(7-80年間)散 発的に起こりつづけた。カーゴカルト運動は、メラネシアとりわけ、ニューギニアで発生した(Vailala Madness 1919-1922, Taro Cult, Cargo Cult)やヴァヌアツ(John Frum)などで起こったが、こ れらは急速な文化変容による現地社会のストレスマネジメントの社会的適応——それもかなり虚しい帰結を結ぶ——だと現在では解釈されている」 |
■ 教科書(Cultural Anthropology Remix 協賛):今回の教科書は Merryl Wyn Davies (1949-2021) が著者、Piero がイラストレーターによる、その名も『人類学を紹介する(Introducing Anthropology)』出版社は Icon Books, 2002 です。8年後に改定されて、Merryl Wyn Davies and PIERO, Introducing Anthropology: A Graphic Guide, Icon Books Ltd., 2010.となりました。いわゆる啓蒙のためのイラスト・ブックです。カルスタもとい、カ ルチュラル・スタディーズのものは日本語に翻訳されているのでな いだろうか。とってもおもしろい本です。文化人類学の現代の問題系 にまでしっかり踏み込んでい ますが、そのことを 明確するために、人類学の歴史的ルーツに遡り考察するという姿 勢が貫かれています。つまり、骨太の人類学史の教科書ともいえるべきものです。それが、な、なんと邦訳されました!!! メリル・ウィン・デイビス『人類学』池田光穂+額田有美訳、現代書館、2021年10月 ISBN-13 : 978-4768401095 [総合目次]
★ 著者紹介:Merryl Wyn Davies (1949-2021)
メ
リル・ウィン・デービス(1949年6月23日 -
2021年2月1日)は、ウェールズのイスラム教徒の学者、作家、放送作家でした。イスラム教を専門とし、ジアウディン・サルダールと共同で書籍や記事を
執筆しました。イスラム人類学の権威であり、ロンドンのムスリム研究所の所長も務めた。メリル・ウィン・デービスは、1949 年 6 月 23
日、ウェールズのマーサー・ティドフィルで生まれた。サイファースファ・グラマースクールで A
レベルを取得。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジで人類学を学んだ後、放送局やジャーナリズムの分野でのキャリアをスタート。ウェールズの地方紙、
BBC ラジオを経て、BBC テレビの宗教番組で 10 年間働き、「Everyman」、「Heart of the
Matter」、「Global Report」[4] などの受賞番組や、シリーズ番組「Encounters with
Islam」に携わった。1981 年、31
歳でイスラム教に改宗。1985年にBBCを退職し、フリーライターとして、ロンドンを拠点とするイスラム教徒の雑誌「Inquiry」で働き始めた。
1990年代には、マレーシアの元副首相で、後に野党党首となったアンワル・イブラヒム氏の顧問およびスピーチライターを務め、マレーシアのテレビ局
TV3で「Faces of
Islam」シリーズを制作した。イブラヒム氏が逮捕されると、ウィン・デイヴィスは逃亡し、シンガポールに移住した。1996年に英国に戻り、英国イス
ラム教徒評議会のメディア担当官に就任した。2010年にロンドン・ムスリム研究所に入所し、所長に就任した。2018年に「第二の故郷」であるマレーシ
アに戻ったメリル・ウィン・デーヴィスは、2021年2月1日、クアラルンプールのペタリンジャヤで、長年の病気のため心臓発作で71歳の生涯を閉じた。
英語ウィキペディア"Merryl
Wyn Davies (1949-2021)"より
リ ンク
文 献
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CC
Copyleft,
CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099