はじめによんでください
グローバル共生社会論:2011
―開発人類学・応用人類学・公共人類学入門―
この授業は、開発人類学の基礎を学びます。開発人類学とは、社会開発(social development)に関わる現象を文化人類学の立場からアプローチする学問のことです[出典:「開発人類学」「応用人類学」]。15コマ30時間2単位の授業です。
関連する授業には、「開発途上地域における貧困研究」があり、関連するリンクには「開発のための人類学入門」「実践人類学の構築」があります。
【学習手法についての覚書】「迅速社会評価(Rapid Social Appraisal, RSA)」について
「迅速社会評価(Rapid Social Appraisal, RSA)」
とはロバート・チェンバースでの農村での開発ニーズ発見手法(RRA, Rapid Rural Appraisal)
に倣い私(=池田光穂)が日頃の授業で提唱しているものです。すなわち、これから介入したい社会や対象集団の人たちの開発ニーズを発掘しその実現可能性
を現場の人々(=ステイクホルダー)とともに模索を開始する時点での、現在集団の《開発状況のベースライン》を把握する方法で、迅速におこなわれる量的お
よび質的な調査にもとづく社会評価のことです。(1)社会調査法の学修、(2)対象集団とのコミュニケーションと対話、(3)ステイクホルダー全員を巻
き込んだ、問題に基づく学習と実践、という3つの柱からなります。
キーワード: 開発、人類学、グローバル化、共生、多様性、実践、先住民、エスニック・マイノリティ、ジェンダー
授業の目的:
グローバル共生社会論について把握するために、文化人類学、とりわけ応用人類学(applied anthropology)、開発人類学(development anthropology)、公共人類学(public anthropology)の基礎について学ぶことを目的とする。
講義内容:セミナー形式による教科書の各章ごとの読解と、事前に提示される関連文献や鍵概念に関する討論形式でおこなう。
教科書:リオノール・ノラン『開発人類学:基本と実践』関根久雄ほか訳、古今書院、2007年
参考書:ウェブページでの紹介ならびに授業ごとに指示します。
成績評価:
受講生には8割以上の出席を求めます(受講登録の未済の最初の2回はカウントされません)。セミナー時における個人発表ならびに総合討議に おける発表にて判定します。
履修条件・受講条件: この授業は大学院高度副プログラム「グローバル共生」の選択科目(2単位)のひとつです。
関連リンク
開発人類学とは?
社会開発(social development)に関わる現象を文化人類学の立場からアプローチする学問を開発人類学(development anthropology)という。〈開発のエージェント〉(政府・国際組織・非政府組織など)の側にたって開発現象に与する研究は広く、それらは応用人 類学(applied anthropology)と呼ばれて区別されることがある[学会名称は1941年より]。[→開発人類学文献リスト]
応用人類学とは?
後者の応用人類学は、人類学理論や実践の方法を開発のために役立てようとする傾向があり、これを「開発のための人類学(applied anthropology for social development)」とよぶ。それに対して、〈開発のエージェント〉と〈開発の対象となる集団〉(ターゲット集団, target group)の間にたって、ひろく開発現象を観察し、そこから得られた知識を、実践から政策決定への影響まで、広範囲に実用させようとする研究を「開発の 人類学(applied anthropology of social development)」と呼んで便宜的に区分すると、開発に対する立場性が明確にすることができる。
公共人類学とは?
他方、公共人類学(public anthropology)とは、人類学の公共性についての具体的な検討を通して、たんに人類学の社会的活動における貢献を試みるだけでなく、人類学が社 会の公共的な場において活用できる社会的条件について考察する学問である。公共人類学の誕生は、応用人類学を嚆矢として、人類学が現実の社会との関わりを もちはじめたり、あるいは、学問上の危害などに対する反省から生まれた。人類学の公共性について考える際に重要なことは次の諸点にある。人類学という学問 の社会的有用性に関する可能性と限界に関する考察、人類学の誤用(misuse)や不当濫用行為(misconduct)に関する事例検討とそこから得ら れる一般的教訓の検討、公共の場における人類学の役割に関する検討などである。
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