はじめによんでください
応用人類学
Applied Anthropology
解説:池田光穂
【定義】
応用人類学とは、文化人類学の知識と方法論を駆使して、さまざまな社会活動の局面に介入(intervention)しようとする知的実践 行為のことである。
Applied anthropology; "Applied anthropology is the application of the methods and theory of anthropology to the analysis and solution of practical problems. In Applied Anthropology: Domains of Application, Kedia and Van Willigen define the process as a "complex of related, research-based, instrumental methods which produce change or stability in specific cultural systems through the provision of data, initiation of direct action, and/or the formulation of policy".[1] More simply, applied anthropology is the praxis-based side of anthropological research; it includes researcher involvement and activism within the participating community."-Applied anthropology.
この場合の「応用」とは、国際的な開発援助の文脈(→開発人類学)で、おもに (先進国かあるいは先進国に援助された開発途上国の政府機関など)開発側の集団 的でかつ学問的な実用的関わりをさす。したがって、応用人類学者は、開発の団体や組織(エージェント)に属し、またその職業倫理も、組織と開発対象への2 つの領域(セクター)に対するものとなる。
何かに応用するわけだから、経済開発や社会開発であれば、開発人類学になり、医療援助政策に関わるのであれば応用医療人類学(applied medical
anthropology)、観光開発であれば、観光人類学などと、形容詞のついた「〜人類学」あるいは連辞符人類学と呼ばれることもある。
組織的な関わりよりも、研究者個人が、人類学と開発現象に関わることは、より個人の倫理的関与の側面を強調して、関与的人類学 (engagement anthropology )や公共人類学(public anthropology)と 言われる。もちろん、応用人類学的な実践と、それらの人類学は深く関わることは言うまでもない。
他方、先進国(あるいは開発国)でも文化人類学を、観光、マーケティング、商品開発などの分野で「応用」されることがある。
応用人類学を可能にする基礎的素養とは(1)文化人類学、(2)開発学・開発研究(3)行動科学、の3つの領域に関する学問である。
応用人類学者はおもに次のような領域で活躍している
応用人類学の歴史は古く、マリノフスキーはあのトロブリアンド諸島の民族誌を書き上げた直後から、アフリカの食糧事情と食生活の改善につい て発言をはじめている。植民地統治の基礎資料収集という観点からでは、1930年代のイギリス社会人類学は戦争遂行と密接に調査をおこなってきた(日本の 海外における民 族学調査にもそういう側面がある)。
北米では、第二次大戦中における戦時協力、また、戦後はマーシャルプランとの関連で、開発人類学の基礎研究が一気に進んだ。つまり文化人類 学の 応用との関わりは歴史的に深いことをまず認識する必要がある。
特筆すべきことは、応用人類学[が何であるかという]パラダイムの認識は、1960年代末のベトナム戦争協力に関する社会科学の政府機関へ の関与とそれに対す る批判からはじまることである。
それ以降、理論と応用を二項の対立として捉える、北米人類学じしんというネィティヴの[民俗的]認識が生まれたとみるほうが自然かもしれな い[北米の外から北米の文 化人類学の発展を眺めるとそのようにつまり「文化人類学的な相対化」に思える]。
応用人類学の研究倫理(→「フィールドワーク研究の倫理」)
文 化人類学と民俗学を中心とした研究倫理について考察する。研究倫理を考える前にフールドワーク研究とはなんぞや?という疑問を持つ方は、まず「解説編」 を参照しなさい。ここでは、これから具体的にフィールドワークをするために、すでに倫理申請を前提に、先生(指導教員、メンター、研究代表者(PI)) と、フィールドワークの際の最終的な倫理項目を完全にチェック(✓)しているかを検証するためのルーブリックを示します(雛形はProgram for Ethnographic Research and Community Studies (PERCS) ,Elon University のものを利用させていただいた[原文]with password /ただしオリジナルサイトのものは現在されて存在しません)[原図:fieldwork_ethics_Elon_PERCS.png]。
リンク
文献(日本語)
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099