あたらしい地域振興論
What is Develpment Anthropology ?: Anthropology for Devepment, or Anthropology of Development ?
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授業目標:シナリオ01(2019年度 の目標です)
この授業は、一方的な物資の扶助(支援)だけでは解決できない、社会的包摂の
ためのコミュニ
ティ形成のための活動つまり支縁(しえん)を実践状況のなかでおこなうものである。具体的には、い
まや貧困と高齢化社会の縮図であり「福祉の(云々)」となった大阪・釜ヶ崎でのフィールドワークを、そこで支援と支縁の両方のサービスに関わる実践家を訪
問し、またそれらの活動に関わることで、支縁の意味を考察し、体験したことをもとに方法論の錬成などめざす。具体的な方法としては、(1)基礎的なレク
チャーの受講、(2)(3)グループの編成とテーマ設定、(4)情報収集と議論(熟議)、(5)実践家へのインタビューと現地訪問、(6)成果報告と成果
のステイクホルダーへのフィードバックの検討、(7)支縁に関わるネットワーク形成の課題提言、という7つのステップ(Seven-Steps)アプロー
チをとる。
授業内容:
1.支縁という実践概念の誕生について理解し、それが扶助(支援)方法との違いを理解し、そ れぞれの利点や弱点を、参加者の中で議論し、合意するまで議論できるようになる。
2.どのようなコミュニティにおいても、共時的な状況と経時的歴史があることを知り、人間科 学や社会科学の方法を用いて、分析可能であることを理解できるようになる。
3.グループワークを通して、また事案の当事者(ステイクホルダー)との接近、対話、交渉を 通してコミュニケーション力を磨き、かつ、それが授業の終了後も継続的に行えるようになる。
4.支援活動と同様に、支縁活動においても、さまざまな階層性が、この実践活動も社会のさま
ざまなアクターと協働することに如何により成否が決まることを体感できるようになること。
授業目標:シナリオ02
文化表象としての〈貧困〉概念の世界的流通について把握するために次の3つの学習目標を掲げ る。 1.開発経済学上(=開発人類学を含む)の概念であった〈貧困〉が、今日において文化概念とし て把握されるようになる歴史的経緯について理解する。 2.学術用語としての〈貧困〉について抽象的に理解することと、具体的な諸相をもって語られる貧困の〈内実〉が社会的に理解されるという2つの事実——文 化表象としての貧困——について理解し、従来の貧困研究がその概念把握における混乱を含んだものであったことを明らかにする。 3.貧困の文化的理解に関する代表的な研究であるオスカー・ルイス『五つの家族』(邦題:貧困の文化)の読解を通して、1940年代後半から50年代のメ キシコ市低所得者のコミュニティに居住する家族の〈貧困〉について文化人類学の観点から考察することができる。
授業内容:
オスカー・ルイス『五つの家族』(邦題:貧困の文化)をテキストに用い、貧困を文化的に 把握 す る際の諸問題について(質問とコメントで構成される)講義により次のようなプログラムをもって進行する。
キーワード:
貧困、貧困研究、オス カー・ルイス、開発途上地域、文化表象、貧困の文化
テキスト:
ルイス、オスカー『貧困の文化』高山智博ほか訳、ちくま学術文庫、筑摩書房、2003年
※文庫本化の際の筑摩書房の編集部の怠慢により、文献リストがなく(思索社版にもなかったの で、このような配慮のなさは翻訳者たちの怠慢に由来するものですが)、また文献著者のミススペルも見受けられました。そのため、英語版の文献リストを画像 ファイルで掲示しますので、復習の参照にしてくださいね。
クレジット:あたらしい地域振興論:《介入と開発》から《参加と支縁》へ!
リンク
参考文献:
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評価方法:
質問やコメントを通した授業への貢献度(40%)、試験(60%)
履修上の注意:
・授業の全コマ数14回のうち3コマ分(21%)以上の欠席者には最終試験の受験資格を付与 しません。
・講義開始までにテキストの通読を受講の要件とします。
・テキストは授業で使いますので講義開始以前に入手しておく必要があります。
・平成14年度以前の受講者は、文化表象学講読(2単位)として読替えることができます。そ の際には時間割コードが異なりますので注意してください。
● 旧クレジット:開発途上地域における貧困研究, What is Develpment
Anthropology ?: Anthropology for Devepment, or Anthropology of
Development ?
■2003 年当時、日本民族学会(現、日本文化人類学会)から、文部省にむけて、科学研究費補助金の時限付き公募課題に「開発文化学」等の要請書の下書きを作成しま した。以下はその内容です
===================
科学研究費補助金に係る「時限付き分科細目の設定」要望書(日本民族学会からの提案・案)
【分野名】
1. 開発と文化
2. 開発文化学
3. 開発人類学
4. 国際協力と文化
【内容】(箇条書きで複数列挙)
・開発現象に関する社会・文化学的研究
・国際的な開発協力の現場における文化人類学・民族誌的研究
・政府開発援助(ODA)の国際文化比較
・非政府組織(NGO)の国際間ネットワークの社会学的研究
・国際協力における文化人類学の成果利用に関する研究(応用人類学)
・社会経済開発の人材養成に関する国際比較研究
・反開発運動のグローバル/ローカル・ネットワークに関する研究
・開発現象に関わるメディア研究
【設定の理由】
国際的な開発協力の現場は過去20年間に変貌を遂げた。冷戦構造期にみられた治安目的と現地社 会の自生的な発展モデルに基づく社会開発は後退し、国際的な協調に基づいた現地即応的な開発モデルとその実践が現在試みられている。これらは、内戦や国際 紛争あるいは甚大災害後の緊急支援活動(=迅速かつ柔軟性)、国際的経済協調政策に基づく地域開発計画(=グローカル性)、およびジェンダーや持続的開発 に配慮した地域住民志向の小規模社会開発(=文化的感受性)というの3つの領域で顕著である。
これらの社会開発においては、経済学を中心とする従来までの普遍的開発モデルは通用しにくく、 とりわけ教育、文化行政、保健、医療、福祉、女性支援、マイクロエコノミー、農林水産などの環境、観光開発などは、個々の文化に配慮した施策が不可欠と なっている。欧米とくに米国では開発と文化に関する研究は応用開発人類学の伝統が以前よりあった。我が国では、開発と文化に関する諸研究はいまだ端緒につ いたばかりであるが、先駆的で萌芽的な諸研究が現在では比較的よく見られるようになり、それらの研究調査の相互交流ならびに統合が必要である。
開発と文化の研究は、国際化が促進しつつある我が国の若手の研究者の間でニーズの高いものの一 つである。多くの大学・大学院および研究機関で、国際ならびに地域社会への貢献において文化的な差異への配慮が重要であると認識されつつあることは言うま でもない。しかしながら、この分野の研究を行うには、基礎・応用科学を問わず幅広い学際的な知識、国際的な経験、特定の地域の文化や社会に関する知識、多 文化理解の理論などの素養を必要とし、専門家養成には時間がかかる。また実際の研究者はさまざまな領域で個別に研究しているのが現状であり、国内における 基礎ならびに応用研究において、安定した研究基盤が整備されることが急務の課題となっている。
開発と文化に関する研究は、多くの専門領域で行われており、関連する学会も多数ある(右の関連
学協会名を参照のこと)。これらの研究領域は相互に関連したものであり、総合的に研究を進めることが、より効果の高い結果を得るために必要である。先に述
べたように我が国では、萌芽的な研究者がいても、個々の学会では少人数であることは、その体系的な研究推進の妨げになっており、「開発と文化」(←要請細
目名が入る)という共通の分科細目が設置されれば、その学術成果と社会効果は大きいと思われる。
【当該分野に関連すると考えられる学協会名】
日本民族学会(日本文化人類学会)
日本人類学会
日本民俗学会
日本社会学会
日本言語学会
日本教育学会
日本人文地理学会
東南アジア史学会
日本南アジア学会
日本アフリカ学会
日本ラテンアメリカ学会
日本イスラム協会
国際開発学会
日本沙漠学会
1 | 2004年12月25日(土)
(1)貧困研究史 |
1限 |
2 | (2)開発経済学における〈貧困〉研究 | 2限 |
3 | (3)文化人類学における貧困研究 | 3限 |
4 | (4)グローバル経済と貧困の再生産 | 4限 |
5 | 2004年12月26日(日)
(5)貧困を中心に据えた世銀の開発レジームの展開 |
1限 |
6 | (6)オスカー・ルイス研究 | 2限 |
7 | (7)ルイス『五つの家族』(1959)について | 3限 |
8 | (8)マルティネス家の研究 | 4限 |
9 | 2004年12月27日(月)
(9)ゴメス家の研究 |
1限 |
10 | (10)グティエレス家の研究 | 2限 |
11 | (11)サンチェス家の研究 | 3限 |
12 | (12)カストロ家の研究 | 4限 |
13 | 2004年12月28日(火)
(13)貧困の文化は普遍(=通文化)的に存在するのか?:批判的検討 |
1限 |
14 | (14)まとめ | 2限 |
15 | (15)試験 | 3限 |
* | (補講・予備時間) | * |