かならず 読んでください

私たちはイヌではなく、犬様なのだ!

We're not dog, bu[aaa]t!!!! Le Comtes Canis!!!!

The book of the superiority of dogs over many of those who wear clothes  / by Ibn al-Marzubān ; translated and edited by G. R. Smith and M. A. S. Abdel Haleem ; sketches by Kathryn Witt ; calligraphy by Ahmad Mustafa, Aris & Phillips , 1978

『衣服をみにつけるもの(=人類)よりも犬のほうの優越性に関する本』(国立民族学博物館蔵)

垂水源之犬

私は犬だ! ただし、親友の振りをして同胞を容易に 裏切る存在つまりニンゲンが言う意味での「イヌ」すなわち「スパイ」まさに「面従腹背(めんじゅうふくはい)」——私たちの表現では「尾振牙磨(おふりき ばとぎ)」——のことではない。本物の犬なのだ。

デスモンド・モリスは私たちの同胞に関する名鑑を作 成したが、その犬種は(二、三百というおおかたの予想を裏切って)千種以上の多様性があるらしい。そもそもニンゲンのうち人類学者という人種は、「人種」 概念を大変嫌うらしいが、反対に、私たちはその多様性にプライドをもつ。私たちは犬種の多様さを「同胞の豊かさ」としてしか理解できない。しかし、どうも ニンゲンは「違い」があると、違ったものどうしに貴賎の区分をもうけて「人種差別」という相互排除をする似たものどうしで群れる悲しい性向があるらしい。

私たちの御先祖様のオオカミには、そのような群れの 生活という性格をもっていたが、それはオオカミの連中には「異種協働」という生命体の生存戦略に関する基本的な高等戦術を獲得していなかったからだ。私た ちにとりその異種とは「犬とニンゲン」の関係に他ならないのだが、おめでたいニンゲン様は、そのきっかけは、オオカミがニンゲンの集落の周辺部にあったゴ ミあさりをしていて、それをニンゲンの最初の家畜すなわちペットにしたのだという浅はかな仮説を信じている。そもそも、同胞間で平気で差別をするという、 その悲しい性癖をもつニンゲン集落のまわりには、より卑しいニンゲンがゴミをあさっており、その意味ではゴミあさりをするオオカミをみて、彼らがそれを軽 蔑したことは吝かではない。だからニンゲンは、そんな卑しい泥棒のような存在を未だに「イヌ」と呼んで憚らないのである。

もっとも、この仮説にも傾聴する点があるのは、ニン ゲンが乞食のような同胞のニンゲン集団を軽蔑して、むしろオオカミのほうがましだと思ったことにある。だから、オオカミは、近隣の同胞の他者のニンゲンよ りも容易に愛着の対象、すなわちニンゲンが言うところの「ペット」になることができたのだ。ニンゲンは、ホントは、家畜化されたオオカミすなわち犬に対し て愛着を一方的に押し付ける存在になったにも関わらず『家犬文化総合史』と呼ばれる本には「餌をもらえる犬の先祖が野生種の孤高さを次第に欠いて、自ら人 間に懐いてゆき馴化されたのである」と記す始末だ。

このようなニンゲン中心主義の弊害は、先に述べた異 種協働の進化論的意味をいまだに理解できない低い認識の水準にニンゲンの知性を留めているのである。それゆえに、同書では「世界最古の家畜である犬は人間 にとって、いまだペットの水準に留まっており、食肉を提供するような体型の大型化という進化を遂げることができなかった。犬は家猫とならんで、人間のおお きな寄生虫なのである」と、私たちに対して最大級の侮辱の文言を連ねている。ここで、このような人間の育種学上の非常識に対して異論を唱え、訂正を最後に しておきたい:「愛情を注ぐ対象にのめり込む盲目的性向が、犬よりも人間が強いという動物行動学的特徴から言って、犬は人間にとっての寄生虫と言うより も、人間が犬にとっての《愛情の寄生虫》に他ならないのだ!」と。

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私様が、かって飼っていた愛人間フリードリヒ・ニーチェフリーダ・カーロ垂水源之介たちに捧げる!!!

(代読・池田光穂)

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●だって犬儒派だもん?!

だって犬儒派なんだもん?!: 住処とはなにか?
けんじゅは:古代ギリシアの哲学者シノペ のディオゲネスがみすぼらしい身なりで町をさまよい歩き、樽(たる)を住居として「犬のような生活」を送ったことからいう) 哲学の学派の一つでキュニコス派の異称。アテナイのアンティステネスを祖とし、認識より実行を重んじ、欲望をおさえ、慣習や文化から独立した自然の生活を することが正しいとした学派。シニシズム(冷笑主義)の語源。
💙審問:犬儒派の家をもつのか?犬は住処をもつのか?
《ディオゲネス》は、画家のジャン・レオン・ジェロームによって制作された作品。制作年は1860年から1860年で、ウォルターズ美術館
ジュール・バスティアン=ルパージュ(1848~1884)作「ディオゲネス」
アレクサンダー大王とディオゲネス
アレクサンダー大王とディオゲネス
犬儒派が制度化されて公務員になった時に、その官舎は犬小屋と呼ぶのか?(書棚は本の住処というが誰も本の家とは呼ばない?!)


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ポンペイの遺跡にある「猛犬注意」のモザイク
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