質的研究を通して論文を書くことには次のようなステップが考えられる。

１．フィールドワークをおこない、ノートをとる。

２．フィールドノートの清書や、入力、転写

３．フィールドノートの内容を、訂正、拡張、修正する。つまり、あなたのフィールドノートを編集する

４．後になって検索できるようにコード化したり、検索語を付す。重要な単語には、下線やハイライトなどで強調しておく

５．保存する。保存することは大切に保存することのみならず、研究倫理上の責務、自分の業績の生産、人類や地域に関する重要な情報、情報提供者 への還元などさまざまな必要性がある

６．検索する。つねに、フィールドノートを容易に検索可能とすることは、フィードワークに関する現場の情報に精通することと同義である。

７．データを、自分の他のデータとつないだり、他の研究論文との異同なども（引用であることを明確に示しつつ）ノートに付記する。これは、論文 化への第一歩である。

８．ノートの外側にメモをつくる。これは、論文化への第二歩目である。

９．内容を分析する（グラウンディッド・セオリーの場合は、コード化した項目の頻度の分析、登場する単語の位置や、文脈での意味の確認）

10．データの表示。得られたデータを要素化して、マトリクス表や、ネットワーク図化して、配置することで、あなたの考えを「見える化」する。

11．結論を導き出し、再度、その妥当性を検証する。印象や最初の目論見から、データ分析をとおして、仮説を修正したり、解釈を変えたり、ある いは、あらたな学説などの仮説に自分のデータが耐え得るかを検証する。

12．理論のエラボレーション：データにもとづいて体系的な主張が可能か？反証例はないか？反証例を取り込んでも、説明可能な第３の解釈は考え られるか？　当初の目論見はどのように採用／棄却されるのかについて熟考する

13．作図する。研究成果や理論を視覚的に示す図をつくりあげる

14．報告書や論文の執筆をする：中間報告書や、最終報告書をしあげる。（中間報告書／論文の場合は、上掲の６ないしは７に戻る）

リンク

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文献

• 池田光穂「文化人類学者の 14 のテーゼ」
  

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